魔王少女の恋物語   作:アザ☆ゼル

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藤堂アキラ

 主であるリアス部長の親友の生徒会長に頼まれ、僕はある男子を観察している。

 藤堂アキラ君。同じクラスで、話したことはない。というか彼が誰かと話したところを見たことがない。

 何時も窓際の席で眠っている。今日もそうだ。あ、鳥が頭に止まった。野良猫も膝の上に乗っている。

 動物に好かれやすいのだろうか?

 

「藤堂君、少し良いかな?」

「……………」

 

 僕の呼び声に藤堂君はゆっくりと上体を起こす。鳥が飛んでいき膝でくつろいでいた三毛猫の喉を撫で窓の近くの木に乗せると眠そうな瞳で振り返った。

 

「何?」

 

 ニコリともしなければ、拒絶するような顔でもない。ひょっとしたら表情に出ないタイプなのかもだけどこれではコミュニケーションに多大な影響を与えるだろう。そう思うほど、彼の表情には何もなかった。

 

「……………」

「何?」

「あ、ご、ごめん」

 

 その表情に固まっていると藤堂君が再び声をかけてくる。

 

「いや、その……休み時間、何時も1人だよね。友達と何か話さないのかな、と思って」

「学内に友達はいない」

「………………」

 

 聞くんじゃなかったかな。とても悲しい言葉を聞いた。

 しかし会長は何故彼を知りたがっているのだろう?彼のことを詳しく知りたいから、としか言われてないが。最初は神器所有者かと思ったけどそういう気配はない。

 魔法使いでもなければ陰陽師でもなさそうだけど。眷属候補ではないのだろうか?

 いや、待てよ。ひょっとして色恋沙汰なのだろうか?好いた相手が同じ寿命を生きる悪魔になってほしくて彼の好みを調べているのかな?何だ、意外に可愛いところもあるんだな。

 

「じゃあ僕と友達にならないかい?」

「構わない」

「よろしく。僕のことは祐斗でいいよ」

「なら俺はアキラで」

「アキラ君は好きなモノは?」

「ない」

「………………」

 

 ないのか。即答だし、嘘をつく理由はないだろうから本当だろうな。

 

「好きなドラマは?」

「ない」

「好きな食べ物は?」

「ない」

「……好きな人は?」

「いない」

「……………………」

 

 話の話題が膨らまない。どうしようかと迷っているとアキラ君がはぁ、とため息を吐いた。

 

「俺はこの通り話題にかけるし無愛想な男だ。友達になっても面白いことなんて何もない」

「えっと……」

「だから何時だって眠っている。話しかけられずに住むから」

 

 ひょっとして、休み時間眠っているんじゃなくて寝たふりをしているだけなのだろうか、こうやって僕のような含んだモノがない相手に関わられないように。

 

「不快にさせたなら謝る。わるかったな」

「い、いや、別に………」

 

 むしろ話しかけた僕にこそ責はあるだろう。彼はきっと、自分が人と話しても話し合いについていけず、嫌な顔をさせてしまうからと距離を取っていた。それを知らず僕は平然と彼に近づいた。

 最悪なことに僕はこの学園で有名人だ。クラス一の変わり者と呼ばれている彼と僕が話せば嫌でも目立つ。きっと彼に話しかけようとする者が増えるだろう。きっと彼は同じように答えるのだろう。そうなればきっと彼はより孤立する。

 

「………ごめん」

「何が?」

 

 

 

 

 

 今日は珍しいことがあったな。誰かが話しかけてくるなんて何時以来だろうか。

 ………いや、正確には学内で誰かが、か。学外では最近話しかけてくる者がいた。

 

「あ…や、やあ」

「おう、セラ。三日ぶり」

 

 この近くの学園に通う妹がいるらしいセラ。姉の同人誌即売会の手伝いの時、先に言っているように言われて出会った女だ。

 魔法少女のコスプレを会場に来る前からしていて、周りから無視されていたので会場を教えてやった以来の仲だ。

 

 

 

 

 ………何を話そう。おいしいクレープがあるよ、と誘ってみたは良いけど何も思いつかない。

 そもそも彼、アキラ君は私のことをどう思ってくれているのだろうか?ひょっとしたら対して親しくもないくせに馴れ馴れしい奴とか思われていないだろうか。

 

「そういえば今日学園で友達ができた」

「そうなの?」

「まあ、もう話してはこないだろうけど」

 

 ?どういうことなんだろ。

 友達になったのに話さない?それって友達なのだろうか?

 

「友達、少ないの?」

「1人もいない。別にそれで悩んだことはないが……セラはないのか、悩み」

「え、えっと……無いこともないけど、私個人の問題だし、君には関係ないというか」

「関係なくはないだろ。友達なんだし……」

「………一つは今解決した」

「そうか」

 

 友達だと思ってくれていた。少なくとも親しい存在だとは思われていた。嬉しい。

 

「あ、あのさ。名前、教えてくれない?私、君の名前知らないし」

「藤堂アキラだ。そういえば俺もお前の名前レイヤー名でしか知らない」

「あ、セラフォルー・レヴィアタンって一応本名だよ。私も妹も日本人顔だけど日本人じゃないから……」

「……そうだったとか。悪かったな、レヴィ」

「……………」

 

 教えなければ良かったかも。いやまあ、うん。まだつき合ってもないんだから名前で呼ぶのはあれだけどさ。

 

「?渾名、不本意か?外国人の名前は長くてつい略してしまったが」

「あ、ううん!違うよ、そうじゃない………その、何で私を友達なんて呼んだのかな~って。あ、嫌じゃないんだよ?」

「よく話すから」

「………解りやすいね」

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