魔王少女の恋物語 作:アザ☆ゼル
「アキラ君は部活とかやらないの?」
「………………」
話しかけると意外そうな目で見てきた……の、かな?目を少し見開いているけど無表情なのに変わりはない。相変わらず表情から内面が読み取れないな。
「何でだ?」
「いや、足運びとかみる限り、アキラ君運動得意だよね?運動部に興味ないのかなーって」
「興味………?ないな。そもそも、達成感とか俺にはわからん」
アキラ君はそういって再び視線を雲に移す。あ、窓から猫が。餌付けしている様子はないけど、やっぱり動物に懐かれやすいのかな。
いやそれより………
「頑張れば達成感だって生まれるよ。それが趣味に繋がるかもしれないよ?」
「それは剣道部の勧誘か?ますます無理だな。俺は力と力をぶつけ合う、試合という形を取っただけの結局は喧嘩は苦手なんだ」
「……………」
力を競うことにトラウマでもあるんだろうか?これ以上、深いところまで聞くのはさすがに失礼だろう。仕方ない、か。
「もし興味が出たら言ってよ。何時でも歓迎するから」
「興味が出たらな」
「…………はぁ~」
思わず出てしまったため息に部活仲間たちが反応した。
「珍しいな木場、お前がため息なんて。悩み事か?女関係以外なら協力するぜ。いや、まてよ……あわよくば女の子と仲良くなるチャンスか!?」
「もうイッセーさん!木場さんは本気で悩んでいるんですよ?木場さん、悩みでしたら相談してください。微力ながら力になりますから」
新しく仲間になったイッセー君とアーシアさんが心配そうに尋ねてくる。良い人達だ。仲間になったのが彼等みたいな人で本当に良かった。僕は最近の悩みである友人になりたい男子について相談する。もちろん名は伏せて。
「ほーん、ま、木場はモテモテだからな。仲良くなりたがる男子なんて少ねーだろ」
「はっきり言うね………」
イッセー君の裏表ない言葉にちょっと傷ついた。まあ、確かに、僕は自分で言うのもなんだがモテる。後輩からのプレゼントはもちろん先輩からのお誘い、同級生からの声かけなんてしょっちゅうだ。それを羨む男子だって少なくない。
「でも、彼はそういうのと違う気がするんだよね。何というか、他人にはとことん興味がない人でさ」
「その人、藤堂先輩見たいですね」
「え?」
「?まさか、当たってました?」
小猫ちゃんから出たまさかの本人の名前に固まる僕。それがせっかくの匿名を無駄にしてしまった。
「知ってるの、小猫?」
「はい。以前裏庭で複数の気配がして、言ってみると昼寝をしている藤堂先輩がいて、周りに犬猫や鳥、栗鼠が集まってました」
やっぱりそうとう動物に懐かれるんだな、彼。
「そういう類の神器、ということかしら?」
「いいえ。体質です。藤堂先輩は………とても、良い匂いがするんです。タマにいるんです、そういう動物を引き寄せる臭いを持った人間が。猿と仲良くなれる女の子や狼が育ててしまう赤子とか……」
そうなのか。初耳だ。
「基本的には一定の動物と仲良くなり気を許すと他の動物には多少なり別の心境を抱きます。狼に育てられたのに兎を餌として見れないなんて事はありませんし、猿と仲良くなって猿を食べる動物を仲間として見れるはずないですから」
「なるほど……あら、でもその子はいろんな動物に懐かれてるのよね?」
「藤堂先輩は動物の命に興味ありませんから。栗鼠を撫でてその栗鼠が猫に食べられても、犬を可愛がって猫を襲っても気にしません。だから、動物達にとってそこは単なるたまり場です。ただ個人故に場を乱さないのが暗黙の了解」
動物にもいろいろあるんだなぁ。そういえば動物って縄張り以外では狩りをしないのも多いらしい。
「小猫ちゃんはアキラ君と仲良いの?」
「悪くないとは思いますが………あ、でも、良く他の動物達と一緒に撫でてもらいます。凄く気持ちよくて……」
「何!?小猫ちゃんを撫でるだと!畜生藤堂のやろう!羨ましすぎるぜ!」
撫でるのが上手。ひょっとしたら藤堂君は動物好きなのだろうか?仲良くなるきっかけに、今度動物園にでも誘ってみようかな。