……こんなところで、僕は終わるのか? まだ君に……『好き』の一言すら言えてないのに……?
胸の痛みと共に感じる、自分がなくなっていく感覚。そして、自分の中にいた悪魔がでていき、あれほどまでに欲していた情欲が薄れ、残るのは女性たちに対する罪悪感。それに、『生きたい』という願望。
嫌だ、死にたくない。僕の最期がこんな惨めだなんて認めたくない。
しかし、現実は非情だ。胸をほとばしる鋭い痛みもじきに薄れ、意識もだんだんと消えてくる。
そして僕はーーー死んだ。
*
「こ、こは……」
目が覚めると、そこは僕の屋敷だった。どういうことだ……? 僕はさっきここで死んだ筈では……?
しかし、辺りを見渡したらそこにはーー僕の死体があった。
「…………は?」
おかしい。僕は此処に居るぞ? いや、まさか……。僕は自分の体を見下ろした。僕の体は、どういう訳か半透明で全身(服や装飾品なども含めて)が真っ白になっていた。
幽霊になったとでも云うのか……? ……悪魔なんて物が存在しているのだから、それは充分有り得る……かもしれない。
僕は外に出ることにした。いつまでもこの場に居る訳にもいかないし、それに、自分の死体がある場所に留まり続けたくない。
そう思いながら、自分の屋敷から出た。案外、すっと出れた。もう少し……こう……何かに阻害されるとか、そんなものもあるかと思っていたが、拍子抜けだった。
*
それから、多分数年ほどたった。(多分、というのは、幽霊(?)になってから時間の感覚が薄れているようで、年月を数えるのも面倒だと思うようになってしまったからだ。)
僕は、異形な何かに変わっていた。人の血肉を、同族を、殺し、喰らう『バケモノ』に。
*
ある日のことだった。僕は、いつも通り同族を喰らっていたら、体が熱くなり、何かが変わった気がした。
自分の体を見てみると、いつしかの、背中には翼、頭には角がついていて、爪が異様に伸びている、といった悪魔の力を使っている僕の姿形になっていた。違っているところと言えば、僕の顔を覆う仮面がついていることと、僕がバケモノになったときにポッカリ空いた心臓の位置にある孔くらいだ。
このようなことは、前にも何回かなっていた。回数を重ねる度に体が動物(サソリ)のようになっていっていたので、今回は完全にサソリになるのかとも思ったが、違ったようだった。
ともあれ、馴染みのある人の姿になれたのはありがたい。それに、何故だか知らないが、悪魔の力が使えるようになった。しかし、心地よく感じられたあの声は聞こえなかった。
*
それからしばらく経った。僕は一人の男と対面していた。
男は、自分のことを『アイゼン』と名乗り、己を死神(同族(アイゼンがいうには、
アイゼンは、『崩玉』とやらを使い、虚を強くすることができるのだという。正直、そのことは興味はない。しかし、気になっていたことがあったので聞いてみたら………、面白い情報を聞いた。その死神とやらに、僕を殺した相手、カーチェス・クリムと……
ーーグミナ・グラスレットがいる、と。
ああ、思えば、今までの人生で君のことを考えなかった日はなかった。死ぬときでさえ、君のことを想いながら死んだ。
虚になっても、ずっと君のことを探していた。僕がこうなったのだから、君だってなっているだろう、と! しかし違った。君は僕のように醜く生きてはいなかった。
ああ、いいさ。
ーー悪魔と契約を結ぼう。
短かい話でしたが、ご閲覧いただき、ありがとうございました。
説明不足が目立ちますので、少し分かりにくいかな、と思ったところは、ここで補足をさせていただきます。疑問に思った点などがございましたら、感想欄にて聞いてくだされば、答えられるものは答えさせていただきます(必ず答えられる訳では御座いませんので、悪しからず)。
・サソリ
色欲の悪魔のモチーフ動物だということで。
・カーチェス・クリム、グミナ・グラスレット
分かりにくいかもしれませんが、この二人は藍染派閥の一員というわけではなく、単なる死神です。細かい設定などは後に登場したときに説明しますが、十三隊のどこかにはいます。
感想、ご指摘、お待ちしております。