RozenMaiden If 〜白薔薇は儚く〜   作:ЯeI-Rozen

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あまりにも都合の良い運び方のする運命。
男はそんな事を気にする風もなく受け容れる。


〜それが、甘い蜜の罠だと知らずに〜












第2話 〜綺麗な薔薇には棘がある〜

偽る。己の心を偽る。

そうすれば私の元に、勝手にやって来るのだから。

そして甘い誘惑に拐かされていく。

それが私の愛でも何でもない、虚無の罠だとも知らずに。

 

 

────全ては、私が至高の少女たらしめる為に。

 

 

 

そして、今回の人間もまんまと私の仕組んだ都合の良い幸せな運命を歩んでゆく。名前等、最早どうでもいい。全てはお父様の愛を一身に受ける為。それには至高の少女『アリス』に成る必要が有る。だからこそ詰まらない小賢しい手段を用いて己の力を蓄える。その為にはまずエネルギー源が必要。並ば此の人間が望もうが望まないが関係は無い。要は『供給源』にしてしまえばそれで良い。簡単に言えばそんな事であるのです。

 

然し、事はそんなに容易く動いてはくれないと1番、私が理解しています。

───そう、『姉妹』による『邪魔』が入らねば。

嘗て、私は「桜田ジュン」を『苗床』にし、私の存在を実態を持たせる事に失敗したのです。然し、今はそんな邪魔が入らない事を願います。私は必ず、私の思う至高の少女たらしめる為の糧になって頂かなければ。ある程度の細工はして置きましたが、何時破られるかは時間の問題。破られる前に『苗床』にしなくては……

 

そんな事を考えていれば、『カチャリ』と錠が開く音が誰も居ない部屋に響く。そして扉が軋む音と共に帰って来た人。確か、『四方木シュウ』と言う名だった筈……

その思考を巡らせ乍、20歳過ぎの青年を出迎える私。そう、健気に。美しく。そして可愛らしく。自身を偽って。

 

 

初めて出会ってから何日かは経っていますが、彼は女ではないかと思うくらい几帳面なのです。

部屋は質素ではある物の、空白が美的に見える様家具の配置も拘るのです。そしてゴミを見つければすぐ様掃除機を掛けて仕舞う程。此れは几帳面、と言うより潔癖症と言った方が正しいでしょう。几帳面なのはそれだけでなく、私の為に私専用の食器まで買い揃える程の気回しをする迄に至ります。ちゃんと食事もその器に拵えて。

 

そんな事をされても私は嬉しく無いのです。

寧ろ一層の事、『苗床』になって欲しいと。ただ其れ丈を心に秘め、さぞ嬉しい様に振る舞う。そう、偽る。今迄やって来たように、心を偽る。

然しそんな私とは裏腹に、青年は輝く様な笑顔を魅せる。昔の私で有れば、どうとも思わなかったでしょう。ですが今の私は、そんな無邪気な笑みを見て心が苦しくなる…。まるで自分の胸ををもう1人の自分が締め付けてくる様な感覚に囚われるのです。

 

解らない。分からない。理解らない。全く理解出来ない。

何故こんな感覚に囚われるのか。自然と私は胸を摩っていた。そんな仕草を見てか彼は私を労る様に気に掛けて来る。私は何でもない様な笑顔を見せ、彼を遇う。けれど日に日に其の苦しみは増して来るのです。とても不愉快です。其れはとてもとても。謎の胸の苦しみ。始めて味わう此の苦しみに私は何もする事が出来なかった。

 

「何故…こんなにも……」

 

気が付けば鞄の中の暗闇で呟いていました。

暗闇の中なので解りませんがきっと私は苦虫を潰した様な表情をしているのだろうと、そう思考し乍胸を抑える。

 

そうして、何気無い1日が終わったのです。

 

ふと、目を覚めた時には朝。

柔らかい日光が眼に光を注ぐ。鞄を開いて窓の外を眺めていれば彼が私を見て微笑み掛けてくる。そんな微笑みを見て微笑み返す。そんな行動に私はとても違和感を感じたのです。私は自身を偽る事無く、自然に微笑みを返していたのです。頭の中で驚きつつも表情には微塵にも感じさせぬ様に振る舞い、何時もの様に朝食を召す。どうやら今日は彼の休日らしく私を連れて召し物を選んで下さる。それ自体何ら思う事は無かったのですが、やはり彼の笑顔を見る度に心が苦しくなるのです。

 

一通りの買い物を済ませ、昼中に家路につく。

態々私の食事を用意する為だけに炊事をしてくれるのです。彼が炊事をする中、私は朧気にテレビの番組を眺めるのです。他愛も無い事を話し、笑い声を上げる人々を達観し、哀れな物だと思考し乍眺めるのです。そして食事が出来れば昼食を召す。食事も終わり食器を片付けた時に自然と身体が動き、気が付けば洗い物の手伝いをしていました。まるで解らない。私は如何してこうも非合理的な事をするのか。その考えで頭を巡らせていれば直ぐに洗い物は終わってしまった。そうして彼は、

 

「手伝ってくれて有難う、雪華綺晶。君のお陰で早く洗い物が終わったよ。」

 

そう言って笑顔を見せる。屈託の無い、眩しい笑顔を。それを見る度に胸が苦しくなる。それを伏せる様に喜んだ振りをする。

 

──────その時だったのです。

『苦しみ』が『痛み』に変わったのは。

ぽっかりと心に穴が開けられて其処から痛みが走る。身体は傷一つ無い筈なのに痛い。理解が追い付かないのです。その痛みを隠す様に鞄に入り眠る事にしたのです。

 

 

 

「見つけましたですよッ!憎き末妹ッ!」

 

 

 

其の声が聞こえ、私は飛び跳ねる様に目を覚ますのです。

そう、『姉妹』。よりにもよって頭に響いて来たのです。鞄が突然開いた物音に驚いたのか彼が私に駆け寄って来る。私の身を案じてくれたのです。そして落ち着ける様にと、紅茶を淹れてまで下さいました。私は縋る様に紅茶を1口、味わって心を落ち着かせてゆっくりと溜息を付く。私が落ち着いた雰囲気を見せれば彼は微笑むのです。まるで自分の事の様に喜ぶかの様子で。

 

再び胸が苦しくなって来たその時だったのです。

 

突如、硝子窓が破られ大きな鞄が部屋の床に物音を立てて落下する。ゴソゴソと鞄が揺れればガタリ、と鞄が開くのです。

 

「遂に見つけましたですよッ!憎き憎き末妹ッ!」

「悪さをするつもりなのだろう?並ば僕達は君を放って置く事は出来ないんだ。」

 

私の計画の歯車が狂い始めるには充分過ぎる出来事だったのです。




どうもどうも、好きなダクソキャラはカタリナの騎士ジークバルド。ЯeI-Rozenです。
今回は雪華綺晶からの視点で御座います。
さて、どんな風に感じてくれたでしょうか?
一応物語として連結させるには雪華綺晶の闇の部分も触れなければならないので、其処も後々詳しく書かせて頂きますのでお楽しみに。

と言うかアレだよね、きらきーは闇の部分も含めて尊いんだよね、うん。けどやっぱり純粋な乙女なんだよね。純粋過ぎるが故に狂気とか、尊すぎですね。

因みに執筆ペースが落ちた理由はアレです。
Fate/Grand Orderの10連ガチャを3回回して爆死したのでメンタルやられました。

何だかんだと語らいをしたい物では有りますが、さっさと次話を執筆致したいと思います。

皆さん、ローゼンメイデンØ(ゼロ)是非是非買って読んでみて下さい!本当に面白いですから!

では、3話の後書きにてお会いしましょう。
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