艦ムスと深海棲艦と時々BETA   作:fire-cat

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第8話:拠点改装―外観と設備―

 移動鎮守府高天原に提督の新たな改装は行われていない。

 全長650m、型幅200m、満載排水量は90万トン越えの超大型船は、パイオニアリング・スピリットをモデルに提督があの部屋で設計した姿そのままである。

 提督が設計した鎮守府に接続する予定のユニット艦は光学迷彩と防御重力場を搭載したまま周りを囲んで航行している。

 提督は五月雨の完熟訓練を行いながら台湾沖を目指す予定であったが、現実には予想外の速さで4日で到着している。

 

 まいったな。と提督は、台湾を見つめながら考えていた。

(五月雨の完熟訓練も計画していたのだが、予想外の早さだった。兵装の扱いは何度か生じた深海棲艦の襲撃で習熟してくれたが)

 ふとゲームでの五月雨を振り返る。

(当初は結構ミスを繰り返しヤキモキさせられたものだが、これほど早く新武装に慣れるとはな。最後に見た時のレベル126は伊達ではなかったか)

 カ級やヨ級に対して対潜ミサイルを雨霰と打ちまくり、撃沈を繰り返す姿を思い出す提督。

 同時に、五月雨に撃破され浮いている深海棲艦を回収し、妖精が物質収集変換送信機に丸ごと投入した事を思い出す。

(物質収集変換機に投入した元深海棲艦がきれいにインゴットとその他に解体されたのには驚いた。丸ごと転送したが、インゴット以外はどうするのだろう?)

 嫌な予感が浮かびかけたが、忘れることにする提督。

(ウルトラマンに倒された怪獣の遺骸の行方の話なんて思いださないぞ)

 提督は戦力をドロップ艦にも期待したが、残念ながら出会わなかった。

 

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「どうだ、慣れたか? ドジっ子らしく随分とこけまくっていたが」

 傍らに秘書艦として控えていた五月雨を揶揄う提督。

「うぅ。このガスタービンとアジマススラスターの組み合わせ、凶悪です。それと提督、私ドジっ子じゃありませんから。この推進器が凶悪なんです。大体、公試全力54.5ノットって何なんですか? 島風ちゃんより早いじゃないですか。私の公試全力って34.1ノットですよ。20ノットも違ったら慣れませんし、遊びが無いというか、舵の効きが良すぎるというか、今までの感覚でいるとバランスを崩しやすいんです」

 顔を赤らめ抗議してくる五月雨。その表情を見るために揶揄う提督であったが表情を改める。

「五月雨。後3日以内に、そうだな、「海賊」のメドーラのバリエーションを踊れる位になって欲しい」

 提督の突然の言葉に

「え? いきなり何の話ですか? 「海賊」のメドーラって?」

 キョトンとした顔の五月雨。

「今、台湾のフィリピン海側の沖合を周回しているが、そろそろ収集も限界になりつつある。高天原を強化して、資源を得るには大陸にギリギリ迄近づかなくてはならない。大陸に近くなると深海棲艦の数も増して来るのは分かるな?」

 表情を変える五月雨。

「高天原にはまともな武装がない。今すぐに武装を増やすのは可能だ。だが、武装を増やしてもそれを自在に操れるかは疑問が残る。そうなるとその中で頼りになるのが五月雨なんだが推進器に不慣れなまま出すわけにもいかない」

 真剣な表情で続きを促す。

「深海棲艦と交戦等となって砲弾を避けた拍子に転倒したり、BETAのレーザー照射範囲ギリギリの所で交戦して航路変更できずに照射を受けた場合どうなるかは判るな? それと「海賊」のメドーラはバレエの話だ。これは冗談だが、それ位艤装を操る心構えで臨んで欲しい」

「はい。艤装も3日以内に前と同じ位まで操れる様に頑張ります。お任せください」

「頑張ってくれ」

「私は轟沈なんてしませんし必ず提督のもとに戻ります」

「ありがとう、五月雨。先程の「海賊」のメドーラの話だが、資料室に資料があるはずだから興味があれば見てみると良い」

 その言葉に、はい、後で見てみますね。失礼します。と退室しかける五月雨に

「そうだ。五月雨、此れを見てくれ」

 その言葉に五月雨が振り向き近づく。

「どうかしましたか?」

「――――」

 提督が五月雨には意味が分からない言葉の連なりを紡ぐ。

「あの? 提督?」

 訝しげに問いかける言葉に耳も貸さず。

「――。合歓綢繆」

 能力を発動する。

「はうぅ」

 

 顔を上気させ退室する五月雨を見送り、内心で呟く。

(済まないな、五月雨。大陸に近付き過ぎてレーザー照射を食らっては、電磁防壁があるとはいえ轟沈の恐れもある。訓練が間に合えばいいが、最悪の場合を予測しておかないとな。憐香惜玉と純潔清浄、できるだけ使用を避けたいものだ)

 

 ********************************************************************** 

 

 2日後、五月雨が訓練の成果を見て欲しいと提督に伝えて来る。

「提督、見てください。新しい私、お見せします!」

 そう言って海上に飛び出す五月雨。

 2日前の言葉通り海上を自在に走破し、序でとばかりに――資料室に映像があったのであろう――「タリスマン」のバリエーションまで踊る姿があった。

(ギリギリ間に合ったか……)

 五月雨の訓練を一通り見守り、呼び戻す提督。

「どうでしたか、提督。新しい私、お見せできましたか?」

 上気した顔で問いかけてくる五月雨の姿。

 髪をぐしゃぐしゃに撫でて、返事に代える提督。

「もう。言葉で言ってくださいよ」

 そう頬を膨らませながらも笑顔で髪を整える五月雨の笑顔は提督にとって眩しいものであった。

 

 艦橋に上がり、

「航海長、艦を澎湖と厦門の間に泊めろ。なるべく澎湖寄りにな。ただ、澎湖には警備府があった筈だ。そこの目には触れさせるなよ」

 航海長に命令を下す提督。

「また、難しいことを仰いますな。まぁ何とかしてみましょう」

 そう言いながらも、直接舵を取る航海長は鼻歌でも歌いそうな位に操船する姿に余裕があった。

 

 夜の帳が降りる頃、目的地に艦が泊まる。

 周囲を警戒しながらユニット艦を呼び集めつつ、会議室に幹部陣を招集しする提督。

「これより、予てから伝えていた【海上要塞型移動鎮守府 高天原】の改装を行う。改装中の敵勢力の攻撃は考慮しなくて宜しい。全員今夜はゆっくりと休み英気を養うように伝えてくれ。以上」

(急激な改装で起こる記憶の流入と妖精の増員に加えて1個大隊分の陸戦妖精増員の事は良いだろう。寝て目が覚めれば、当然のように受け入れてしまう筈だ)

 提督はそう考えていたが、その予測は大きく異なるものであった。

 

 ********************************************************************* 

 

 各部署のモニターから全員休まった事を確認し、改装準備に入る提督。

 大型艦設計用のKND設計システムを起動する提督。

「ユニット艦1号から8号まで接続開始……。接続確認、良し。続いて……」

 画面と窓の外を交互に見ながら高天原と全ユニット艦の接続を確認する提督。

 画面を確認し、窓の外の風景でも確認する。双方で接続されたことを確認し、階層を含めた大改装が開始される。

(まずは外観か。高天原をコアと考え中心に据え、その周りに外郭内郭の二重構造をとるか。郭同士は海上橋梁で接続させると同時に水面下10mの位置で船底を一体化させる。直接郭の間に潜水艦の侵入を許すわけにもいかないからな。外海への出入り口は、内郭は0、3、6、9時の位置に、外郭は1時半、4時半、7時半、10時半の位置にしよう)

 それにしても、と提督は思った。

 ――外郭が馬出しになっているな。馬出しにしては巨大だが。

 埒もないと頭を振り、改装を続ける。

(上空から見れば長半径3.5㎞、短半径3.0㎞の楕円形をした艦――島だな。水面から甲板(?)までの高さが30m。階層は4階層位でいいか。設計中も思ったが、アンドルードより銀英伝のヴィルヘルミナ級に似ているかもな、この艦の外側を二重に囲む構造は。あっちの方は盾艦が一重だが)

 

【挿絵表示】

 

 外観の改造を終わらせる提督。伸びをすると、改めて画面に向かう。

(外観の後は機関と推進装置の改造か。高天原はディーゼルエンジンとハイブリッド型二重反転プロペラのポッド推進システムだが、これをディーゼルエンジンは磁気絶縁方式慣性核融合炉に交換してアジマススラスターを追加しよう。各設備の補助発電機としてとしてトリジェネレーションシステムも設置するか)

 機関と推進器の改造を終えると外郭に取り掛かる。

 外郭に防波堤機能を持たせると同時に防御設備と武装を設置する。

 ――外郭――

 KND設計システムを使用し、画面に映る外郭と化したユニット艦に防御設備と武装を設置する提督。

 外郭外側に、AGS 280mm砲、80口径50.8㎝四連装砲、CIWSに対艦ミサイルVLS3と多目的ミサイルVLS3、対空対潜ミサイルVLSに多弾頭噴進砲、12cm30連装噴進砲、OTO 152mm三連装速射砲、406㎜ガトリング砲を設けるとともに、死角を補うような位置に機銃を設置する。

 内側には超重力砲、拡散波動砲、砲塔型超電磁砲、軌道と掩体壕を設けた80口径100㎝砲、80口径80㎝連装砲、80口径61㎝三連装砲といった主兵装の他や超イージスシステムを流用した小型イージス・アショア、電磁防壁発生設備――対エネルギー兵器防御97%――、防御重力場発生設備――対物理的兵器防御90%――といった防御設備の他、ドックや外洋への出入口を設ける。

 内部には、兵員待機施設や無限装填装置用設備が設置される。

 内郭との間の水面に艦娘の演習場や訓練場を設けると同時に、反対側に海洋生物の養殖場も設ける。

 漁は潜水艦娘に任せる予定の提督。

「転写するか」

 外郭の設計を終え、外に見える外郭に向けてタブレットを翳しながら『外郭総転写』を選択する。

 ――内郭――

 内郭外側には人工海浜や植物園・薔薇園・日本庭園といった公園施設の他、農園・果樹園も置かれる。その他に陸上演習場を置いて、万が一深海棲艦の攻撃が届いた際の防御地区とした。

 内郭内側には造船部・造兵部の他、空廠・火薬廠・燃料廠・衣糧廠・療品廠の他、微細藻を利用した各種バイオプラントや一般用向け製品の工場施設として冶金施設・木工工場・金型加工も含む金属加工工場が設けられる。各工廠の境は桐の植樹帯を設け万が一の火災に備える。他には衛星視界装置用の衛星打上施設、汚水処理施設、仮想演習施設、教育機関が置かれた。

 ――高天原本体――

 物質収集変換送信機が強化され複写増幅機能を持った機器が併設される。

 これで、転送できる物資が大幅に増やせる。と考える提督。

 居住区の他、屋内遊園地、屋内庭園、人工温泉・入渠設備、劇場・映画館、プラネタリウム等の娯楽施設と多目的スタジアム、学校や水族館・動物園・美術館・植物園等の教育機関、医療施設や購買施設などの生活に必要な施設や水耕栽培プラントや屋内農園・屋内果樹園等の生産施設が設置された。

 他に予備指揮所が複数設置され、艦橋を含めた指揮所には強化された新型探信儀が複数設置されている。

 改装後の鎮守府に、上空から見れば砂浜と森と山に見える擬装網をかける。

 陸戦用装備も生産しないとな。と考える提督。

(Steyr MannlicherのAUG-A3 SFとSauer&SohnのP250を携帯装備として、M249軽機関銃を分隊支援火器にすればいいな。後はIMTVにFASTヘルメットを1個大隊分か……。疲れそうだ)

 

 東の空が白み始める頃、提督は執務室の机に机に突っ伏していた。

(やっと外装は終わった。後は内装だが……やれやれ、東の空が白み始めてしまった。少しだけでも寝るか。起きたら内装に取り掛かって、終わったら大陸沿岸で元素収集作業と艦娘建造だな……)

 そう考え、提督は動かない体を引きずりながら長官私室のベットに潜り込む――。




次回は、内装設定です。その前に一波乱。

内装が終わったら大陸ギリギリ迄接近してからの元素回収と艦娘建造です。
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