「長官、今日はどこ行くの?」
賑やかな駆逐艦たちの声。
「何時でも頼っていいのよ」
そんな声と共に纏わり着いている雷の頭をわしゃわしゃと撫でながら作業着姿の長官一行が目的地に向かう。
「はい、皆さん。列に並びましょうね、車が来るわよ」
列が広がりすぎると、引率する高雄と愛宕から注意が飛ぶ。
その脇を資材を満載したトラック(妖精運転中)が横切る。
「此処って果樹園?」
50m四方に植えられている果樹を見ながら暁が確認する。
「今日は、ここで果樹の収穫。駆逐艦の皆はフェイジョアの収穫をしてくれ。高雄と愛宕はキウイの収穫を手伝って」
「はーい」
元気な声とともに駆逐艦の娘らが散らばるのを見ながら、3人がメッシュコンテナ(ビールが入っているアレ)と鋏を手に、キウイ棚へ向かう。
「どうされます?」
「なるべく種類別に分けて欲しい。少なくても香緑と紅妃と黄色系は分けて欲しいな」
「了解しました」
「ねえ、高雄」
「なに?」
「長官は分けて欲しいって言ってたけど、間違いようがないわよね」
余分なメッシュコンテナを足場にしながら頭上に腕を伸ばし収穫する愛宕が、実を触りながら話しかける。
「そうそう。この香緑はうぶ毛が多いものね」
この果樹園にある品種を思い返しながら応じる高雄
「ここにあるのは、香緑とアップルキウイと紅妃とジャンボイエローだものね。どれも特徴的で似たような品種がないから楽よね」
産毛が多い香緑、小ぶりな紅妃、大きさが異なるアップルキウイが判れば残りは決まってくる。
「それで、愛宕、残りはどれくらい?」
「ええと。私の方は後10m位かしら。高雄は?」
「私の方は少なかったからもうすぐ終わるわ。長官が紅妃の収穫しているから、終わったら手伝わないと。摘果が不十分だったから一番数が多いのよね」
「じゃあ、私は終わったら、アップルキウイの収穫に行くわね」
「宜しくね。紅妃の収穫が終わったらそっちに行くわ」
メッシュコンテナを動かす高雄。その姿を見ながら。
「脚立があるといいのに」
愛宕のそんな声を聴きながら、
「脚立は高生り物を収穫している妙高さん達が使っているから仕方ないわよ」
苦笑する高雄。
漏れ聞こえる2人の声を聴きながら、
「まぁ、もう少し脚立を増やしても良いけどなぁ。あの光景も目の保養だしな。あの二人に棚物の収穫任せてよかったなぁ」
視線の認識阻害を使用しながら、腕を伸ばしている2人の強調されているモノをチラ見する。
「長官、私の方は終わりました。お手伝いしますね」
「お、助かる」
先ほどの思いなど億尾にも出さない長官。
「あと……直に終わりますね、この数では」
「まぁな。終わったら愛宕を手伝うか」
手をこまめに動かしながら
「これは柔らかすぎるな……。高雄、ホレ」
柔らかい実を高雄に放る。
「えっ? キャ」
突然放られた実を取り損ね、胸で受け止める高雄。
「お、済まん済まん。狙ってはいなかったんだが胸で受け止めるとは。良いもの見られたな」
この程度では互いに悪びれない。
「もう、仕方ない方ですね。頂きます」
苦笑交じりに手にした実の皮を剥き、口に含む。
「やっぱり、紅妃って他のキウイより甘いですね」
「糖度が違うからな。爽やかな風味と上品な甘味というものだ」
澄まして言う長官に苦笑を隠さない高雄。
「何方からの受け売りですか? 金剛さん? 比叡さん? それとも熊野さん?」
「誰だったかなぁ。しかしこういった場面で比叡の名前が出てくる事は少ないだろうな。うちの比叡は語学堪能だけでなく料理も上手だから」
「本当に意外でしたよね。磯風ちゃんの時もそうでしたけど開発資材いれた時に料理のレシピ本と料理教室動画CDも一緒に混ぜた五月雨ちゃんのファインプレーかしら」
「あれは受けたな。こけた拍子に本とCDが蓋閉める寸前に入るなんてな――」
暫く盛り上がる。
「終わった終わった。さて、愛宕を手伝いに行くか」
「はい。……ところで、あの子たちは大丈夫かしら? 愛宕の所に行く序でに見に行きませんか?」
「そうだな、一寸見に行くか」
次回は駆逐艦とフェイジョア収穫を挟んで愛宕とキウイ狩り。