男がこの世界で過ごす事になった全ての始まりは、目の痛みさえ覚えた光に満ちたあの部屋からだった。
「起きたまえ、君」
その声に男の途絶えていた意識が戻ってくる。
「起きたかね」
「ええ。……ここは」
目を開けた時から、強い光しか映らず、男は目の痛みすら覚えていた。
目を眇め、周囲の状況を何とか確認しようとするも、
「目を閉じていたまえ。君には眩しすぎるだろう。今――を弱める」
声の後半が聞き取れないながらも、声の主に従う。
「これでいいだろう。もう目を開けても構わない」
その声にゆっくりと目を開け、周囲を確認する。
白い――白しかない部屋であった。否、よく見ると機械らしきものが置かれた台といすが見える。
男がそれを見ていると、機械らしきものが見覚えのあるもの――タワー型デスクトップPCへと変化する。
その光景に驚き、ふと気が付き、声の主を探すと、いつの間にか目の前に、人の輪郭を持った光影があった。
声からして、男性。それも青年以上と思われる。だが、それ以上のことがわからない。
影が揺らめき、声が聞こえた。
「これから君には、ある世界へと転生してもらう。異議は許されない」
突然の宣告に戸惑う男。
「ちょっと待った。いきなり何を言ってるんだ。そもそも此処はどこだ。そしてあんたは何者だ」
混乱して喚く男の態度を気にする風でもなく、
「君にならわかるだろう。流行りの転生というものだよ」
「はぁっ? 何を――」
言っているんだ? 正気か。と続けようとした男を遮るように、突然、辺りの気配が変わった。
風と見まごうばかりの強い威が男を囲む。
「これで判るかね」
その声に、吐き気を催すほどの強い威圧感に、
――これは、普通の人ではない。態度を改めるべきだ。
そう思わせられる。
そして影の身に纏う神威とも思われる威に、男が思わず片膝をつく。
「宜しい」
影が、その姿勢に満足げな声を出す。
男が片膝をつき、声を震わせながらも影に問うた。
「なぜ、私なのでしょうか」
その問いかけに、
「君が私の依代であったからだ」
影が、そう答える。
「依代……」
呆然とする男に
「なぜ依代に自分が、という問いには答えられぬぞ。君の定命だ」
笑いを含む声がかかる。
「君は依代としての役目を終えたが、そのままにしておくのも不義理な気がしてな。褒賞として第二の人生を与えることにした」
一転、厳かな声調となり影が言葉を紡ぐ。
「まずは、そこから世界を選びたまえ」
影がPCを指す。
おぼつかない足取りながらもPCの前に進み、画面を見る。
『――っ。本当に褒賞か?』
思わず、疑念が生じる。
選択肢に上がった世界。それは――
1.マヴラヴオルタネィティブ
2.モンスターハンター
3.Fate/stay night
4.艦隊これくしょん
5.ゼロの使い魔
6.銀河英雄伝説
『2,3,5の世界って俺ほとんど知らんぞ。1はBETAが怖いし、ヒロインは武ちゃんの嫁’Sだし、4の艦娘は良いけど、深海棲艦なんて謎のモノだし。6がまだまともそうだけど、戦死率も高いよな。うっかりラインハルトの前の帝国平民なんぞに生まれたら最悪だ。もっと穏やかな世界はないのか……』
男が葛藤していると、それを承知しているかのように声がかかる。
「決まったかね。生憎とそこにある世界以外の選択肢は無いのでな。その中から決めるように」
その声を他所に直も、男が悩み続けていると
「決まらないのかね。では、私が決めよう。そうだな……3の世界で」
その声を遮る勢いで、
「4の艦これ世界で!」
男が叫ぶ。
「宜しい。世界は決まった。では、次は君の好きなように自分の立場をデザインしたまえ。但し、際限無くという訳にもいかない。君の依代としての評価をポイントにした。このポイントを組み合わせてデザインしたまえ。時間は無限にある。隅々までよく見て考えることだ。一度決定したことは戻せないのでな。――私が居ると気も散ろう。席を外す故、不明な点はそれを使い問いかけよ」
PCに付属しているマイクを指すと光影が消えた。
「ありがとうございます」
素直に感謝の言葉を述べ、いつの間にか現れた電卓とメモ帳とペンを見る。
「艦これの世界か。よくわからん世界よりは良いか。ポイントとやらはどれくらいあるのかな」
そう呟くと男はマウスを操作しだした。
光の人影は、プロローグにでた白衣の男です。
神様プレイでノリノリです。
ぶっちゃけると、主人公は選択肢があるようで実はありませんでした。艦これ世界を選んだことも無意識に誘導されています。
次回はチート付与回。
鋼鉄の咆哮3のデータ引っ張り出さないと…。