艦ムスと深海棲艦と時々BETA   作:fire-cat

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第3話:始まりの時

「ポイント60万か。ん? …姦淫するなかれ。を厳守した事で更に20万ポイント付与って、余計なお世話だ!」

 中学時代からキスすら未経験だったことを茶化され、憤然とする男。

「まあそれはどうでもいいか。基本としてはまず、立場をどうするかを考えるべきだろうな。元からいた存在になるか、突然の出現か。そういえば、ここはどうなるんだ?」

 ふと疑問に思い、問いかけると、

『よく気が付いた。そこはすでに元からいた存在となることに決まっている。提督として最低限の能力も与えられる。ポイントを無駄にせず、結構なことだ』

 抑揚のない平坦な声が聞こえる。

「罠付きかよ。罠を見破った特典ポイントも付けて欲しいもんだ。……慎重にならないと」

 改めて画面を慎重に確認する男。

 『人物』の項目の『自分』を選択すると『仲間』で表示された複数の項目がグレー表示になり選択できない。『仲間』を選択すると、『自分』で表示された項目が同様になる。

「80万ポイントを使えばかなり有利な戦いができるが……。仲間をとるか、自分を強化するかの二者択一か」

 この条件さえなければ、と、考え込む男。この条件さえなければ、様々な能力を持ちつつ、強力な艦隊を率いて参戦も出来るのだが。

「仲間だろうな」

 選択しようとしたところで、思い直す。

「ほかの項目を見てから考えよう」

 

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「ほう。よく気が付いたな。意外と注意深い」

 生体からの問いかけに応えを返し、独り言ちる。

「だが、さすがに20万ポイントの原因まではわからなかったか」

 原因は、僕が入っていたからなんだけどね。と苦笑する。

「さてさて、隠し機能は見つかるかな。あれを見つけないと、かなり苦労するぞ。見つけられれば、チートプレイができるんだがね。ついでに君のポケットも探ってみることだよ、プレゼントを入れておいたんだが気が付くかな?」

 目の前に生体の姿を映しながら影が笑った。暫くし、さらに質問が来る。

 

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 『人物』の項目を戻り、『自分』をカーソルで操作する男。

 『自分』を選択すると先ほど見た複数の項目が表示される。

「身体能力、精神力、知識、能力、容姿、特殊能力か。さらに分かれそうな項目もあるな。まずは、お約束の身体能力から覗いてみるか」

 そう呟くと、カーソルで『身体能力』を選択する。

「予想通りか」

 選択すると、体力、筋力、敏捷性、技術力、特殊能力の項目が表示された。

「とりあえず保留だな。次に面白そうなのは、容姿かな」

『容姿』を選択すると、こちらも予想通りの展開になる。

「人種、性別、年齢、身長・体重、魅力、ん? プロポーション指数? バスト指数? プロポーションインデックス値? ……女性専用か、これ。性別は男にするから、これは不要だな。ボディマス指数は、自動設定でもいいかな。それより、髪の色や虹彩の色も選べるのかよ。女たらし提督(ロイエンタール)の容姿にもできるのか。……流行りだと、銀髪オッドアイか? やる気はないけどな」

 だが、と男が考える。態々髪の色や虹彩の色を選択できるような設計になっているということは、何かあるのかもしれない。

「これにするとボーナスつくのかな?」

 ふと思い返し、念のため質問を投げる。

「虹彩異色にすることで遺伝上のリスクや魅力に影響はあるのでしょうか。また、身長体重を大幅に変更することで視野等の戸惑いはあるのでしょうか」

 

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「虹彩異色にすることで遺伝上のリスクや魅力に影響はあるのでしょうか? 当然あるに決まっているだろうに。ああ、流行りの影響か。ボーナス? 付く訳なかろうが。……身長体重については、違和感を感じさせない、と。違和感があったら、動かさないだろうしな。それでは面白くない」

 しばらくすると値が変化し始める。

「おっ。始まったか」

 

「黒子の数まで設定したか。その辺りの設定は使うことないから自動設定も設けていたんだが。気が付かなかったとは」

 腹を抱え爆笑する。

「しかし、失敗に気づいているのかね?」

 

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『影響についての禍福は当然ある』

 予想された回答がある。

「そうだよな…。遺伝病のリスクを背負って虹彩異色にする事もないな。容姿は先に作ってもいいか」

 項目を操作し、ポイントを計算しながら作成する。

「……今の自分とかけ離れるほどポイントが消費されるのか。……4万ポイント消費か、結構使ったな」

 人種、性別、虹彩と髪色はそのままだが、その他は遠慮なく変更した結果だった。

「アレの大きさや、足のサイズ、顔の彫とか鼻の高さや黒子の位置・数まで設定することになるとは思わなかった。……黒子の数や位置なんて使うのか?」

 愚痴を言いつつほかの項目を探る。

「特殊能力か、2つあったけど、身体能力の方はどうかな。……薬物毒物分解能力、薬物耐性、魅了耐性、指揮能力向上……お約束だな。NK細胞・NKT細胞強化、健康維持、内臓強化、細菌感染防止、日焼け・しみ・そばかす防止、アレルギー疾患無効……細かっ。自然治癒、長寿、不老……驚かない驚かない。他には……不死!? こんなの持っていたら彼方此方で解剖されそうな気がする。これは危険だ」

 項目を別の特殊能力に変える。

「こちらは……轟沈艦娘救助蘇生、絆強化、本人限定時間遡行、生産強化、彼我能力強化……色々あるな、どれもポイント高いけど」

 カーソルを動かしているうちに形が変化する箇所を見つけた。

「ここだけカーソルが変わるな。……うぉ、こんなところにボタンかよ。見た目1×1㎜ミリ位しかないんじゃね、このボタン。何ピクセルよ、色も背景色だし。隠しボタン? ……何か良いもの有りそうだ」

 昔のサイトで作ったボタンとリンク先を思い出し、選択する。

「マジかっ。……お約束主義、独自拠点の設計・開発、各種技術開発・改良・運用、艦息化・艤装設計・複数所持、隠蔽工作強化、認識阻害、ポイント持越し、設備持越し。ポイント持越しや設備持越しとかって何だろ? これはいいか。それ以外は選択対象だな。……そう言えば、仲間の方は何があるんだ?」

 項目を戻し、仲間を選択しようとするがグレー表示のままであった。

「あれ? 選択できない……? しまった! 容姿を作成したからか。しくじったぁ……」

 

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「失敗に気づいたか。さて、どうする?」

 楽し気に見つめる。

「幸い、あれは見つけたようだしな。あとはプレゼントを見つけられるかだが……」

 生体からのいくつかの質問に答える。

「……プレゼントも見つけたか。どうするのかな? ……そうだ。そのまま使用してかまわん」

 作業を楽し気に見つめ続け、適時質問に答える。

 

 区切りがついたところを見計らい、再び人型の光影を纏い、生体の前に立った。

 

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 やっちまった失敗は仕方ない。そう自分を慰め、男は『自分』にカーソルを合わせ選択する。

「やっちまったなぁ。注意が散漫だった。過ぎた仕方ない。しかしもったいなかった」

 ブツブツと愚痴をこぼしながらも、カーソルを操作する。

「さっきの隠し機能で選んだもの全て選択と、特殊能力選択っと。不死は怖いから要らない。脳と脊髄になって精神崩壊しても死ねないなんてことがありそうだ。そういえば、独自拠点ってどういう扱いになるんだ?」

 疑問に思ったことを尋ねる男に対し、応えがある。

『拠点の扱いは立場の設定による。軍所属であれば、軍から与えられたものとなる。この場合、余程の事がなければ取り上げられることはない。が、ここで設定したものは1つを除き、事前搭載されない。後から搭載する必要がある。民間の場合、発見者としての権利を持ち、設定した設備は搭載されるが、国家に徴収される事もある。その後提督になっても返還されない事もある』

 その回答に

「軍所属以外選択できないじゃないか。徴収されない可能性なんて僅かな物だろう」

 そう呟き、操作を重ねる。

「? あれ? 自己不利益によるポイント増加? 何だこりゃ。……へぇ。自分の状況を不利にすることでポイント増やせるのか。どれどれ……世界設定まで弄れるのかよ。深海棲艦って、海や運河以外にも船の運航があった場所はどこでも侵入するのか。琵琶湖とか淀川とか四万十川とか鴨川とか中川とか、掘割・運河にも入れるのね、怖っ。侵入するのは入れた船の大きさに拠るのがせめてもの救いか。……あれ? ……これ! 事前に選択されているじゃねぇか!! ふざけんなよ!」

 操作するうちに、見つけた設定を選択し、眺めるうちに気づいた事柄に激高する。

「深海棲艦に加えてBETAもいるのかよ。冗談じゃない。……ここの設定機能は。……これか。チッ、BETAの削除は無理か。なら、少しでも弱体化してやる」

 憤りながら、弱体化させるためにポイントを注込む。

「……水面を渡る機能をほぼ消滅させるのとBETA遺骸に対する射撃も行えなくするだけで35万ポイントか。学習能力弱体化やレーザー属種消滅も行いたかったが、これ以上無理だな。大陸居住者諸君、すまん。成仏してくれ」

 そう呟き、男が一旦席を立ち、大きく伸びをする。再び作業に戻る為に席に勢いよくついた弾みにポケットからUSBが落ちた。

「あれ? こんなのあったのか。何入れていたっけ?」

 USBを差し、中身を確認すると

「おいおい、俺が使っていた咆哮シリーズの改造ソフトとセーブデータかよ。なんでこんな物が。……不要な物じゃないよな、ここにあるってことは。使えってことかね。……使えってことだよな。……使えるとしたら、拠点作成か艦息化・艤装設計・複数所持の項目か? そう言えば設計ってどうするんだ?」

 そう、困惑しながらも初期画面から『設計』を選択し、艦息化・艤装設計・複数所持の項目を選択する。表示された画面を確認し、思わず吹き出した男。

「まんま、咆哮の設計画面かよ。結果は保管できる……のか。場所は同じ、か。よっしゃ!」

 大喜びでソフトを起動し、適当に作ってセーブしたデータを書き換える。

「船体は……で、艦橋は……、兵装は……波動砲系と重力砲系は設定できないのか。まあいいか。じゃぁ代わりに……で、補助兵器は電磁防壁、防御重力場と無限装填装置と衛星視界装置と超イージスシステムと……で、航空機も変えないとな。これは……で、……で、これで良し。功績値と編成値は……。よしできた。この兵装の数、拠点に持っていけないか?」

 その呟きに、応えが返る。

『ポイントを使用することで可能である。サービスだ、選択していないポイント持越しと設備持越しを選択したまえ』

 応えがあり、焦る男。その言葉に従って、ポイント持越しと設備持越しを選択する。

「びっくりした。せっかくだし指示に従いますか。……うわぁ、残り25万ポイントか。立場を選ぶのに15,000ポイントは最低でも残さないといけないから……ギリギリかな? 次は拠点か。モデルはハーロックの海賊島かマクロスか、アクアポリスもいいな。まぁ、SeeIn青のアンドルードにするか。あれが印象的だったし。アンドルードか……設備は…… うん? デフォルトの物質変換機ってなんぞ? 工廠と船渠とRO造水機はわかるが。まぁ、既存設備なら良いか。さっきの兵装を移行して……拠点には波動砲系も重力砲系も設置できるのか……100㎝砲と超電磁砲と……ん、これで良し。後は、技術か……。……戦術機関連技術? 使うこともないだろ。いざとなれば波動砲と重力砲ぶっ放すし……あとは娯楽施設だよな……。おし、終わった終わった。農場と牧場と人工温泉もつけたし、これで良し。ポイントの残りは2万ポイントか。ぎりぎりだったな」

 終了を選択し、力を抜く。

 

「準備は終わったな」

 その声とともに、再び光影が降臨する。

 男は席を離れ、顔を伏せ片膝をつく。

「それでは、かの世界に送り込むが、質問はあるかね?」

「艦これの世界に行くものとばかり思っていましたが、なぜBETAと深海棲艦がいる世界なのでしょうか?」

「君の依代としての評価がわずかに不足していた。その不足分の補填だ(実際は僕の計算違いなんだけどね)」

 その答えに男が沈黙する。

「注意事項がある。君が作成した艤装だが全体で50回までの使用制限を設けさせて貰う。深海棲艦戦役の主役は艦娘なのでな。50回を越すと艤装が暴走する事になる」

 仕方ないと納得する男に対し、さらに。と光影が告げる。

「20年後に異星人の襲来がある。その時の異星人がどのようになるかは、その時優勢な勢力次第だ」

 思わず、顔を上げる男。――どう考えてもBETAが有利ではないか。

 その不安を承知しているかのように、

「安心するが良い。あの博士と恋愛原子核とその仲間を存在させた。だが、そちらは特に気にすることはない。軌道が交わるとすれば最後のハイヴ攻略の時だ。君は艦娘と深海棲艦の方を気にしたまえ。……最後に一言注意を。これから行く世界は君がいた世界とよく似ている。よく似た世界だが歴史が全く変わっている。能々確認することだ。では、さらばだ」

 その言葉とともに男の視界は光に閉ざされていった。

 

 

next…

 

出現時期:大日本帝国海域開放支援作戦開始直前

出現場所:呉鎮守府管轄柱島泊地

 

残存艤装展開回数:50




仲間を選んだ場合、仲間に超兵器艦娘と主人公が作成していた艦の艦娘が加わりました。その代わり特殊能力のいくつかが消えていました。

大日本帝国海域開放支援作戦は架空のものです。




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