ソードアート・オンライン 絶速の剣士   作:白琳

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キャラクターの口調がちょっと分からない事もある為、もしも違ったりしていたら指摘をお願いします。


第10話 幼馴染み

「……はっ!」

 

次の日の午前中────俺は現在、始まりの街から出てフィールドでフレンジーボアを戦っている。シリカとは午後からの約束である為、時間的にまだ余裕があるから────という理由でこの青イノシシと戦っているわけではない。

 

「トドメだ」

 

曲刀のソードスキル、リーパーを発動してフレンジーボアを倒す。手に入れた経験値を確認し、新しく購入したブロンズシミターを鞘へと戻すと後ろにいる2人(・・)に声を掛けた。

 

「今のがソードスキルだ。と言っても、曲刀のだが」

「なるほど……」

「へぇー!凄いんだね、ソードスキルって!」

 

2人の内、片方はどこか内気なように見える片手剣と小さめな盾を装備した少年。もう片方は大人しそうに見えながらも少年とは反対に元気が良い少女。

 

ノーチラス(・・・・・)はともかく……ユナ(・・)、お前は本当に分かっているのか?」

「もちろん!モーションを大切にすればいいんでしょ?」

「間違ってはいないが、もう1つ大切な事がある。ソードスキルを発動した時、絶対に動きを止めるな」

「止めたらどうなるんだ?」

「相手からの攻撃を受ける……っと、現れたな」

 

ベータテスター達がモンスターを倒しまくっている為、モンスターが現れるまでに時間がかかる。おそらく今日辺りでここのモンスターは枯渇するだろう。そしたらベータテスター達は次の村へと向かうはずだ。

 

「じゃあ、次はノーチラスが行ってみろ」

「僕が?」

「まだ無理そうなら別にいいが」

「……いいよ、やってみる」

 

そう言うと、ノーチラスはフレンジーボアの前へと立った。剣と盾を構え、気付いたフレンジーボアは突進を仕掛けてくる。ノーチラスはそれをかわしたが、どうもその避け方がおかしかった。初心者である上に、それもデスゲームとなった今では攻撃を受けるのは非常にまずいが、相手はそんなに強くないし、盾も装備している。あそこまで必死になって避ける必要はないんだが……。

 

「はぁっ!」

 

ノーチラスは片手剣を振り、隙だらけとなっているフレンジーボアにダメージを与える。その後も大きな避け方をしながらもノーチラスはフレンジーボアに確実に攻撃をしていった。

 

「ノーくん!そろそろソードスキルをやってみれば?」

「ああ、やってみるよ!」

 

ユナにそう言われ、ノーチラスは片手剣のソードスキルであるバーチカルを放った。使うのは初めてであるにも関わらず、1回で発動するとは驚きだ。HPをほとんど失っていたフレンジーボアにはそれが決め手となり、消滅していく。

 

「や……やった!」

「ノーくん、凄い!」

 

喜ぶノーチラスと褒めるユナ。さて、何故俺がこの2人と一緒にいるのかというと、理由は数十分前に遡る──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────とまぁ、武器は色々あるが一番扱いやすいのは片手剣だ。隙も少ないし、相手に対して有利に戦える」

「へぇ……色々あるんやな」

 

俺は現在、武器屋でどの武器を装備したらいいのか迷っていた初心者に軽く説明をしている。俺は主に曲刀か刀しか使っていない為、他の武器についてはそんなに詳しくない。だがキリトが使う片手剣はもちろん、短剣や細剣などについても使用者からある程度は聞いている。

 

「なら、あんたが言うこの片手剣でやってみるわ」

「ん、そうか」

「……ところで1つ、聞きたい事があるんやけど」

「何だ?」

「あんた、ベータテスターやろ?何でワイら初心者に対して優しくしとる?」

 

ふむ……この髪の毛が奇抜な初心者は俺がベータテスターだと気付いていたか。まぁ、ほとんど……いや、俺以外のベータテスター全員は初心者を放っといてるからな。

 

「悪いのか?」

「そういう事やない。理由を聞いとるんや」

「『救いを待つ者には手を差し出せ』『人を見捨てるぬこと』。どれも俺が産まれた頃から教わってきた教えだ」

「……そうなんや」

 

そう言い、片手剣のスモールソードを購入する。そして武器を装備して俺の方に顔を向けてきた。

 

「あんがとな、助かったわい」

「なら声を掛けた甲斐があったというものだな」

「……ベータテスターの中じゃ、あんただけや。ワイらを積極的に助けてくれているのは」

 

確かにそれは言えている。昨夜、シリカと別れてから俺は始まりの街周辺のフィールドを駆け巡った。ベータテスター達はもちろんいたが、中には初心者らしきプレイヤーもいた。モンスターに殺されそうになっていたら助け、回復アイテムがなければトレードしていくのを何回も繰り返した。途中、フィールドから落ちればログアウトできるんじゃないかと考え、実行しようとした馬鹿なプレイヤーを止めた事もあった。

昨夜は一睡もしないで頑張ったが────それでもプレイヤーの何十人かは死んでしまっていた。

 

「だが、助けられなかった奴らもいた」

「そうやけど、あんたがいなかったらもっと死んでたで」

「……可能性の話だ。ほら、そろそろ行った方がいいんじゃないか?仲間が外で待ってるぞ」

「そうやな……あんがとな。ワイはキバオウや」

「シンだ。またな、キバオウ」

 

キバオウは店の外へと出ていった。さて……新しい曲刀と予備の曲刀を購入してシリカとの約束の時間までまたフィールドを駆け巡るか。ついでに曲刀の熟練度も上げよう。

 

「ちょっといいか?」

「ん?」

 

後ろを振り向くと、立っていたのは今ここに入ってきたと思われる少年と少女であった。

 

「あんた、ベータテスターなんだよな?」

「……そうだが」

「僕達、初心者なんだ。このゲームを生き抜く為に色々とレクチャーしてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────よし、とりあいずこんなもんだろ」

 

ノーチラスとユナ、共にモンスターとの戦闘を何度かしてもらった。初心者と聞いていたが、ノーチラスはなかなか才能がある。ユナは……なんというか、戦闘向きじゃない気がするな。

 

「ノーくんは強いね!私じゃろくに勝つ事すら出来なかったもん!」

「そうかな?」

「うん!」

 

それにしても……仲がいいな、あの2人。現実世界では幼馴染みだと聞いているが、それ以上の関係に見えなくもない。まぁ、関係のない俺にはどうでもいい事だが。

 

「ありがとう。これで戦闘に関する心配は大分なくなったよ」

「だからといって油断だけは絶対にするな。分かってると思うが、この世界で死ねば────」

「ああ、分かってる」

「……ならいい」

 

ノーチラスから視線を外し、ユナに向ける。ノーチラスにとって、この幼馴染みは大切な人なんだろう。ユナが戦闘をしている時、こいつはどこか落ち着きがなかったし、ユナが攻撃を少しでも受ければすぐに飛び出していった事もあった。

 

「シン、私の顔に何か付いてるの?さっきからジッと見てるけど」

「いや、何でもない。……そうだな、お前達には教えの1つを教えるか」

「教え……?」

 

夜天流道場の教えは全部で10個あり、内容は主に2つに分かれる。自分がすべき事、自分が信じるべき事。

全ては何百年も前に生きていた先祖によって作られた。その先祖がどんな思いで、どういった経緯でこの教えを作ったのかは知らない。だが、この教えこそが俺が生きる全ての理由である事は確かだ。

 

「教えの1つ、『その2 繋がりは永遠に断ち切れぬ』……幼馴染みのお前達にとっては、ぴったりだろ?」

「そ、そうだな……」

「繋がり……素敵な言葉ね」

 

ノーチラスは何を想像したのか顔を赤くし、ユナは繋がりという言葉を気に入っているようだった。

 

「どんなに遠くにいようと、例え離れ離れになったとしても思うべき相手は必ず傍にいる……という意味だ」

「シンの近くにはいないの?」

「……何?」

「傍にいてほしいっていう人よ」

 

俺が傍にいてほしいと思う相手……か。大切な人達は確かにいるが、それと傍にいてほしいというのは別のような感じがする。ならばキリトは──────

 

「……逆に傍に俺がいてほしいと思ってる奴ならいる」

「その人とは、今一緒にいないの?」

「ああ。そいつもこのゲームに囚われているんだが、俺に依存している所がある。だからもし俺が死んでも悲しまないよう、俺から離れてもらっている」

「それは違うんじゃないか?」

 

…………違う?ノーチラスからそう言われ、俺は疑問に満ちた視線を向けた。

 

「俺のしている事が間違っていると?」

「シンの傍にいたいという人がどんな人なのかは知らないけど、傍にいたいという気持ちを無視するのはどうかと思うんだ」

「…………」

「もし僕はユナが自分の知らない所で死んでしまったりしてたら──────傍にいれなかった自分を恨む」

 

……キリトもそうなんだろうか?俺があいつの知らない所でこのゲームから消えてしまっていたら、自分を恨むんだろうか?

 

「……ノーくん」

「あっ、いや……べ、別にユナが死んでしまうなんて思ったりはしてないから」

「ううん、そうじゃない。でも……私もノーくんと同じような事になったら、自分を恨んじゃうかも」

 

俺は────自分が死んだ時、キリトが少しでも俺の事を忘れられるようにと1人にさせた。でも、それが正しくなかったら?この街に残る初心者を助ける事が、俺はベータテスターとして正しいと思った。ここに残るという事を利用して、あいつを1人にさせた。

──────しかし俺がキリトに対してああいった行動をとったのが間違っていたら、それはベータテスターとしてではなく……夜天流道場の人間として正しいと言えるか?

 

「……そんな事、あるかっ」

「シン?どうかしたの?」

「俺は街の宿に戻らせてもらう。お前達はどうする?」

「僕達はもう少しここで戦ってから戻るつもりだ」

「……分かった。気を付けろよ」

 

俺はノーチラスとユナにそう言い、前方に見える街へと走り出した。

 

 

 

 

 

「……消えていないか」

 

宿の部屋で俺はキリトがフレンドから消えていない事を確認する。黒鉄宮にはどのプレイヤーがどんな風に死んだのかを確認できる石碑が出現しているらしいが、そこから1人の名前を見つけるのは面倒だからな。

 

「…………悪かったな、キリト」

 

俺はそう呟きながらキリトに対してメッセージを書き、送った。

 

『2日後、ホルンカの村で合流しよう。その時に直接言いたい事がある』

 

すると、送ってから1分もかからない内に返信が来た。……まさかあいつ、ずっと俺からメッセージが届くのを待っていたわけじゃないよな?

 

『うん、分かった。じゃあ、1時頃にクエストの森の秘薬が受けられる民家の前で合流しよ』

『分かった』

 

キリトからの返信に対して俺もすぐに返信を送った。キリトと再会したら────突き放してしまった事を謝ろう。許してくれなくてもいい、恨まれたっていい。とにかく俺がしてしまった事を謝らなくてはならない。

 

「俺は……やっぱり、何も分かっていないんだな」




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