東方死人録   作:nismon

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歴史的時系列に色々突っ込みどころはありそうですがご了承を…


四話 魔法少女まじかる・ハカナ!…ちょ、待って!今の無(ry

 

 

 

「はふっはふっ……んく。んんん!うまい!」

「ちょっとはゆっくり食べなさいよ」

 

 私の目の前には料理の皿。さっきまでそれはそれは沢山有ったのだが、半分くらいはもう既に私の腹の中。皿は空になって横に積みあがっている。妖怪の体、我ながら恐るべし。ブラックホールの如く入る。なんなら能力で圧縮も出来る。そこまでしたら食事の意味とは、というより感じもする。

 もちろん妖怪にとってこの食事は余り必要ではない。妖怪の食料は人の恐怖であり、場合によっては人そのものだったりする。

 でも元人間な私的に食は必要不可欠。ここ云年何も食べてなかった訳だから、より美味しく感じるね。

 

「ごくん……文字通り超久しぶりに食べたからね。そりゃがっつきたくもなるよ」

 

 この国は色々材料が集まるらしく、ちゃんと肉も野菜も魚介類もある。前世感覚で言うなら未だ紀元前云年前とかのはずだけれど、意外にしっかりとした食料がある。

 それは月に行ったあの人里の時も然りだけど。やっぱり前世とは違う世界なのだろうか。

 ともあれ私達は街の通りにあった食堂で食事をしていた。お昼時なので割りと混んでる。

 

「美味しいご飯食べると久しぶりに私も作りたくなるねぇ」

「あら? 貴女料理できたの?」

「多少ね」

 

 もう何年も作ってないから腕が鈍ってないか怪しいけど。私はケバブっぽいのを頬張る。うむ、旨い。ケバブって何が材料だっけ? 肉とキャベツとパン? 今度作ってみようかな。

 

「ヘカーティアは……出来なそうだね」

 

 ヘカーティアは神様でありこの国の王様。見た目は私よりいくらか年上だけど、少女の域を出ては居ない。女子高生くらい?

 妖怪は見た目に精神年齢が引きづられるとかなんとか永琳辺りからが聞いた気がする。神様もそうなのだろうか。

 ちなみに今日のヘカーティアは青の彼女だ。気分で入れ替わるらしい。随分適当だなぁ……

 

「なっ!失礼ね。少しくらい出来るわよ……多分」

 

 目が泳いでる女神様。なんともわかりやすい。

 先ほども話した通り私はヘカーティアと共に街に降りてきていた。城下町……というのは少しおかしいか。ここにあるのは宮殿だし。というわけで女神様直々にその足元の街を案内して貰ってる訳である。

 街並みはなんだろう……よくある異世界冒険物の街を想像して欲しい。残念ながら冒険者ギルドは無いようだけれど。

「しかし良くそのメガネ一つでバレないねぇ」

 

 ヘカーティアは一応この国の王であり女神なわけで、そんな人が街をそのまま出歩いて居たら大騒ぎになる。ということで変装しなければならないのだけど…

ヘカーティアは現在メガネをかけているだけでそれ以外は全くそのままだ。何の変哲もない赤い縁のメガネ。曰く、それが変装らしい。

 

「ちゃんと魔法をかけてあるから普通の人間には分からないわ。むしろメガネはおまけよ。気分出るじゃない?」

「意味有る?」

「魔法を使う上で気分は大切よ」

 

 余り今まで表立って無かったけれど、女神ヘカーティアはこの地母神というだけじゃなく、魔術も司っているらしい。なので魔法はお手のものなのだ。

 ちなみにだけど、私との戦いで殆ど魔術は使ってなかった。使ったのは光の盾くらい。他はすべてただの自力らしい。曰く「本気で攻撃魔法使うと世界が歪んじゃうから使えないのよん」らしい。

 女神じゃなくて破壊神じゃないのとか、なんでそんな魔法有るんだよとか色々突っ込みたい所は有るけれど。

 ……うーん、何ていうか。

 

「理不尽だなぁ」

「何よいきなり陰気な声出して」

「いやぁなんでもないよ。それより早く食べちゃお。追加で頼んで良い?」

「まだ食べるのね……」

 

 神は理不尽なんて言うのは前世からもはや気にしても仕方がないよね。それより今はご飯ご飯。

 

 

 

 

 

 たらふく食べた私達(主に私)は再度街にくり出していた。

 

「ねえヘカーティアあれって何?」

 

 人が行き交う商店通り。そこを通っているとき私は気になるものを見つけた。それは目玉の見た目をしたアクセサリーか何か。色々種類があるが、そのどれもめちゃくちゃリアルな目玉が付いていた。

 

「それは魔除けの御守りよ。『ナザール・ボンジュウ』って言うの」

「へぇ、……こんなこと言っちゃあアレだけど、不気味じゃない?」

 

 陳列されたそれらはなかなかに壮観。何かめっちゃ見つめられている気がする。

 

「この目は邪視から災いをはねのけるの。魔術師達が魔除けの魔法を掛けてるからちゃんと効果あるのよ?」

 

 へえ、本物の魔道具なんだ。そう聴いてみると不思議だ。前世だと女子高生がヤバーイって言ってそうな見た目なのに、なにやら特別な力を帯びているように感じられる……気がする。

 

「そうね……すみません。1つもらえるかしら?」

「はいよ…おや?随分と可愛いらしい嬢ちゃん達だね」

 

 ヘカーティアがその売店の店主に声をかける。快活そうな髭のおっちゃんだ。

 

「おじさん気前が良いからねぇ。おまけしよう! 銀貨二枚だ」

「気前のいい人は好きよ。これで良いかしら?」

 

 懐から貨幣を出し渡すヘカーティア。

 

「毎度あり!どれでも好きなの取っていって構わないよ」

「儚。貴女が選んでちょうだい」

「へ? 私?」

 

 突然私に振られた。うーん何が良いとか特になさそうだしなぁ……

 よし私と同じ色、白のやつにしよう。ペンダント型のそれを手に取る。

 

「じゃあこれで」

「そう。それじゃあ少し貸してもらえるかしら?」

 

 私はヘカーティアにそれを渡す。受け取ったヘカーティアはそれを握り目をつむる。瞬間彼女の手を中心に紺色の魔法陣が浮かび上がる。やがてそれが消え彼女は目を開ける。

 

「はい、これで良いわ」

 

 そう言って私に目玉お守りを渡してくるヘカーティア。

 

「何したの?」

「ちょっと私の力を込めただけよ。女神様直々のお守りなんて貴重よ。大事にしなさい」

「……うん、ありがとう」

 

 彼女からのプレゼント。素直に嬉しい。私はそれを首に掛ける。

 

「似合ってる?」

 

口元に右手を当てた彼女は、私の問に一呼吸置いて答える。

 

「…やっぱり目玉って不気味ね。」

「ちょっヘカーティアがくれたんでしょ!?」

 

 どうやら微妙らしい。うーん仕方がないので服の中に隠れるように付けよう。

 

「さてと……これからどうするの?大体この通りは回ったけど」

「そうねぇ、もう特に紹介するところは……あ、あったわ」

 

これからどうするか話し合う私達。何か思い当たる場所があるようだ。

 

「どこ?」

「私の可愛い弟子達の――「ヘカーティア様!?」」

 

 ヘカーティアの言葉が突然の叫び声に遮られた。それに釣られ周囲を行き交う人々が立ち止まる。その視線がすべてこちらに集まっていく。声の主は見た目私と同じかそれより小さい少女だった。黒いローブを羽織っている。その手には片方は網カゴ、もう片方はその小さい体に不釣り合いな錫杖を持っていた。

 

「今あの子ヘカーティア様って……」

「ヘカーティア様だって!?」

「どこにいらっしゃるの?」

「おいよく見るとあの眼鏡の子ヘカーティア様に似てないか?」

「おい今宮殿から連絡が有ったぞ! ヘカーティア様がこっそり居なくなったそうだ! 街に居るらしい!」

「じゃあもしかして…」

 

 徐々に集まって来る人々。ざわめき出す群衆。

 

「不味いわね」

 

 少し焦った様子のヘカーティア。

 

「……騒がしいので来てみれば、ここにいらっしゃいましたか」

 

 今度は上空から声が聞こえる。

 

「げっ、リュン」

 

 空に浮かぶリュン青年を見て、苦虫を噛み潰したような顔をするヘカーティア。

 

「仕事が溜まっています。今日中に処理していただかないと」

「別に私がやらなくても良いと思わないかしら?ほら王様って家臣に些事はぶん投げるべきだと思うのよ」

「いえいえやはりご本人様にやって頂かないと信用に関わります故」

 

どうやらヘカーティアは仕事をほっぽり出して居たらしい。おいそれで良いのか女神様。

 

「儚。あと貴女も。」

「うわっヘカーティア様?!」

 

 私の左手を取るヘカーティア。右手にはいつの間にかれた先の少女を抱えていた。

 

「逃げるわよ!」

「うわっ!ちょ速いっ!」

「なっ! またお逃げになられるか! お待ち下さいヘカーティア様!」

 

 ヘカーティアの速すぎる速度に浮かび上がる私の体。人の合間を縫うように通り過ぎていく。

 

「やっぱりそうだ!」「ヘカーティア様だったんだ!」「きゃあヘカーティア様!」

 

 混乱に陥る群衆を尻目に私たちは脱兎の如く逃げ出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、危なかったわね」

 

かくして、なんとかリュン青年から逃げおおせたヘカーティア。一仕事終えて随分スッキリした顔つきだ。

 

「一体誰のせいだと……うぷっ」

 

 あ……酔った。油断していた。いつだかの永琳もこんな感じだったのか……いや、あの時はちゃんと抱えて飛んであげたし。手だけ掴まれて、風になびかされたのとは違う、と信じたい。

 というわけで、どうやらこの女神様は仕事をさぼって街の散策に繰り出したらしい。

 

「朝一番で『街を案内するから一緒に来なさい!』って声かけられた時から怪しいと思ったんだよ。この駄女神め」

 

 初対面の戦闘と言い、この前の酒盛りといい本当にコイツが女神なのか怪しい。

 

「失礼しちゃうわね。私だってたまには休暇取りたくなるのよ」

「リュン君『また(・・)お逃げなられるか!』って言ってなかったけ?」

「…そんなことよりもここが私が貴女に紹介したかった場所よ!」

「いや仕事」

「場所よ!」

 

 笑顔が怖いヘカちゃん。有無を言わせないその圧力。まるで邪神の様だった。

 

「わかったって……で一体ここは何なのさ?」

 

 周りを見渡すと黒いローブに木の杖とか錫杖を持った女性が沢山居た。

 

「ヘカーティア様!?」「見回りは今日では無いはずでは?」「いやあのお付きが居ないからきっとまたサボり……」

 

 驚いて私達を見る彼らには皆同じ力が感じられた。それは本来人間の持つ力と少しばかり異なった力。そう、ヘカーティアが行使する魔法の力――

 

「紹介するわ。私達の弟子達よ」

 

 ドヤァと宣言するヘカーティア。

 

「あのそろそろ離して頂けると」

 

 脇に抱えられた少女が申し訳なさそうに呟いた。

 ……いまいち締まらないのはきっと彼女らしさなのだろう。多分。

 

 

 

 

 

 

 

 私が連れられてきたのは端的に言うと魔法使い育成所だった。魔法を司る女神ヘカーティアの元で魔法の技術を磨き、この国のためにそれを行使する魔法使いの集まり。どうにも女の子が多いのは性別的に魔術を使いやすいとかなんとか。

 

「ヘカーティア様のご友人なんですね!」

 

 先の抱えられていた少女が私に挨拶してくる。

「儚だよ。よろしくね。こんなに小さいのに"巫女"だなんて凄いねぇ」

 

 『巫女』というのは一番優秀な魔法使いにつけられる称号らしい。まあ上が女神だから巫女という名前でもおかしくないと思う。

 

「はい! 授かったこの錫杖に恥じぬように頑張りたいと思います!」

 

 おお…眩しい。目が眩しい…その透き通った目で見つめられると不浄な私は浄化されそうだよ。

 

「うん頑張って。応援してるよ、えっと……そういえば名前聞いてなかったね」

「私ですか? 私はメディアと申します!」

「……ん?」

 

 何か聞き捨てならない名前が聴こえたんだけど。

 

「?メディアですよ?」

「……そっか。将来男には気をつけなよ?うん」

「?どういうことですか?」

 

 この世界の彼女が一体どういった道を進むのかわからないけれど。前世にあった某聖杯を争う系のゲームの同名の人みたいにならないで欲しい。アレはアレで幸せになっていたけれど。

 

「自己紹介は終わったかしら?せっかくだしここを案内するわ。付いてきて頂戴」

「私も一緒にいきます!」

 

 二人に連れられここを回っていくことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ凄いね、色々と。」

 

 実に様々な場所があった。魔力を高める瞑想の間とか、実技を行なう訓練の間とか、水銀とかヒ素とか漂う魔術の研究室とか……最後の所はなかなかにデンジャラスだったね、うん。

 

「私にも魔法って使えるかな?」

「魔法は技術の側面も大きいから根気さえ有れば使えるわよ」

 

 確かに薬品とか使うところとかは前世の科学者達を彷彿させる。呪いの調査が一段落付いたらやってみようかなぁ。

 

「楽しんで頂けたようで何よりです!」

 

 メディアが嬉しそうに笑う。うん結構楽しかった。

 

「そろそろ帰ろうか。」

 

 大分日も暮れてきた。

 

「ヘカーティアは仕事も残ってるしね。」

「せっかく忘れてたのに思い出させないで頂戴。」

 

 嫌そうな顔をしているが、しかし自業自得である。

 

「ああ、そうそうヘカーティア様。最後に一つお尋ねしたい事があるのです。」

「ん?何かしら?」

「少々お待ちを」

 

 そう言ってメディアは何処かに行き、すぐに戻ってきた。

 

「この杖って何かご存知ですか?」

 

 そう言って持ってきたのは先に紺色の玉が浮いて付いて居るよく有りげな杖。

 

「ああ、懐かしいわね。昔変な人間に頼まれて作ったのよね。」

「何の杖なの?」

「これはね……そうだ。儚、貴女が使ってみなさい。多分念じれば使えるわ。」

「私が?」

 

 そう言って杖を受け取った。念じるって何を……

 

「うわっ!」

 

 瞬間力が私の中に流れ込んできた。それとともに私の体が光りだす!

 キュピーン!という効果音とともに服装が変わっていく!

 ちょっとエッチなアングル!そして徐々に見えてくる衣装!

 これは……!これは……!!

 

 

 

「魔法少女まじかる・ハカナさーんじょっ!」

 

 そして最後に決めポーズ!

「ちょっ待って、今の無しで」

 

 なんだか軽く引き気味なメディアと笑いを堪えるヘカーティアが視界に入る。

 

「っぷ…はははっ! なにそれ痛!、痛過ぎるわよん!」

「やめろ!忘れろ! というか、なんでこんな物あるのさ!?」

 

 私は現在フリルの着いたひらひらのミニスカートなドレス。腰には薄紫色の大きなリボン。手にはなぜか白い手袋。手に持った杖も合いまってまあなんというかよくある魔法少女になっていた。

 ……いやこの世界魔法少女なんて概念ないよね!?

 

「一体これはなんなんでしょう…?」

「確か『魔法少女の杖』って名前だったはずだわ。その人間は『時代は魔法少女だぜ!』って言ってたわね」

「いやなんでこんな物作ってんのさヘカーティア……」

 

 色々謎だよ。私以外にも転生者が居たのか……?いや真相は分からない。

 

「まあいいじゃない。それ貴女に上げるわ。良く似合ってるもの……っぷふ。」

「いや笑ってるよね!?すごく恥ずかしいんだけど!」

 

 そりゃ魔法少女系のアニメは好きだったけれど、あくまで見るのが好きなのであって私自身がなりたいわけじゃあ無いのだよ……ともあれかくして魔法少女杖をゲットしたのであった。

 

 

 

 

 

 

「ヘカーティア様お待ちしておりました。」

「なんで裏口にいるのよ!?」

 

 神殿へと戻ってきた私達を、神官たちは裏口で待ち構えていた。ヘカーティア様(笑)は彼らに連行されて仕事に戻っていった。何回も言うけど自業自得である。

 

「あれ? リュン君は行かないの?」

「ええ……儚様にお話が御座います故。」

 

 ここに残ったのは私とリュン青年だけだった。どうやら私に話が有るらしい。

 

「話って?」

「……先日は申し訳ありませんでした。」

「へ?」

 

 リュン君は私の前で膝を着き頭を垂れたのだった。

 

「うわ!ちょちょそんな頭下げなくて良いって。元はといえばクラウンピースのせいだったわけだし」

 

 ちなみにクラウンピースは宮殿の雑用をやらされているらしい。ざまぁ見やがれ!

「いえ、元はといえば私が未熟だった故の過ち。詫ても詫きれません」

 

 真面目だなぁ。神官たちが真面目だから、あのちょいと適当なヘカーティアとバランスが取れてるのかもしれない。

 

「本来ならば罰を受けるべきですが、ヘカーティア様からは有り難いことに許しを得ています。しかしそれでは私の気が収まりません。ですので何か仰って下さればこの身でできる限りのことをする所存です」

 

 なるほどなるほど。それはこちらとしても有り難い。

 

「それじゃあ……あの時言った約束覚えてる?」

「あの時……とは?」

「『ゲーム』の話だよ。まあ色々と微妙な所だけど一応は私の勝ちってことで。だから君のその力を貸して欲しい。君のその目で見て欲しいんだ」

 

 ――私のこの呪いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

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