東方死人録   作:nismon

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五話 魔法少女に私はなる!(黒歴史は増やさないからなっ

 

 

 

「私と同じ力…?」

「ええ貴女の根底にかかっているその膨大な力。それは貴女の持つものと酷く近似しています」

 

 能力を行使すると虹色に輝くその目。思わず魅了されそうな程美しく輝いている。曰く表現すれば『あらゆるものを見通せる程度の能力』を持つという。その目を持って私の根底にあるという莫大な力。誰かに何のためか掛けられた不死の呪いそう私が思っているそれを見て貰った。

 のだが……

 

「私がこれを掛けたってこと……?」

「見た限りではそうなります」

 

 そんなはずはない。

 私にそんな事をした記憶はない。私の記憶が無いだけ……? いや、そもそもこんな事私に出来るはずがないのだ。

 事象を無理やりねじ曲げて死を無かったことにする呪い。偶に『時』さえも巻き戻す。そんなものを私が自分に掛けるはずが無い。もちろん気持ち的なことも有るがそもそも圧倒的に力不足だ。生まれ変わる前なんてもっと無理だ。ただの高校生にそんな事は出来ない。

 

「……お役に立てなくて申し訳ない。これ以上貴女に伝えられることは無いようです」

 

 その金髪の髪を私に向けて謝るリュン君。礼儀正しい今の態度が本来の彼なのである。

 

「いや、良いよ……うん。ありがとうね」

 

 せっかく調べてもらったのにまた増えた疑問。この呪いは私の力の形と酷く似ているのだという。

 としたら呪いの根源は私が今妖怪である理由に関係するのかもしれない。それくらいしか考えられない。

 生まれ変わるときに私の力を使って私を生まれ変わらせた……だとしたら、私は一体何の為に転生させられた?

 私は一体……何なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃ?友人様どうしたの?こんなとこで黄昏て。」

 

 空からひらりと降りてくる青と赤の妖精。心地の良い日差しに反射するその透き通った羽は綺麗だ。風景に美を感じる様に、自然を元にする妖精の特徴なのかもしれない。

 

「……ああ、なんだクラウンピースか」

「なんだとはご挨拶だね」

 

 場所は何時だかヘカーティアと話したテラス。そこに私は寝そべっていた。せっかく見つけたと思った手掛かりのはずが、むしろ謎が増えてしまったので今後をどうするか考えていた…わけでもなくないのだが。

取り敢えずなんとなく寝転んでぼうっとしていたのだった。軽く微睡みに落ちていたのは内緒だ。

 

「何か悩んでるならアタイに言ってみなよ。このクラウンピース様がどどんと解決してあげる!」

 

 えっへんと腰に手を当て胸を張って言うクラウンピース。ない胸は張っても無い…それは私も同じだしどうでも良っか。しかし一体どこからその自信が出てくるのか…

 

「じゃあ……私ってなんだと思う?」

 

 言ってみなと言われたので言ってみる。

 

「??妖怪なんでしょ? どうしてそんなこと聞くのさ。頭でも打った?」

 

 キョトンとした顔で尋ねてくる妖精さん。

 

「いやぁ別にそういうわけじゃないけどさ。なんで私妖怪になったのかなーって」

「……それって元は妖怪じゃなかったってこと!? 何だったの? 獣? 人間!?」

 

 あ、言ってしまった。急に興味を示すクラウンピース。好奇心を刺激したらしい。

 いやまあ特に隠してたいわけじゃないからいいんだけどもね。ねえねえ!と聞いてくるキラキラさせたその目が眩しい。

 

「まあそれは置いておいて……どうして妖怪になったのかわからないんだ。そもそも何の妖怪かすら謎だしね」

 

 ケモ姉だったら犬科。他にも集落にいた妖怪は鳥や何か爬虫類等モチーフ……っといったら少し変だけど。その元となる物がすぐ解る者が多かった。私は……なんだろう。白髪幼女の容姿は一体何がモチーフなのだろうか。綿菓子? 雲? はたまたティッシュ?

 ケモ姉は「アンタはどこか儚いから名前を持て」と私に「儚」という名をくれたが、儚いモチーフとはなんだろう。あまりに漠然としていて検討もつかない。

 

「ええアタイそっちの方が気になるんだけどなぁ……まあでも、妖怪なんて理由が有ってなるモノじゃ無いんじゃないの? いつの間にかなってるみたいな?」

 

 まるで草みたい、と割とひどいことを宣うクラウンピース。普通はそうなんだろうけど、まあ私が例外なのは自明か。

 

「でもそっかぁ……まあ友人様の気持ち、わからなくもないよ。」

「? クラウンピースも何か有るの?」

 

 へえ意外だ。天真爛漫さが目立つこの悪戯妖精にそんなものがあるなんて。

むしろ彼女が悩むことに驚きだよ。

 

「失礼なっ! あたいだって悩みの一つや二つくらあるから! そこらの妖精と一緒にしないでよ!?」

 

 いやぁごめんごめんって。うんうんクラウンピースはすごいすごい。

 

「全然思ってないでしょそれ……まあいいや。あたいも自分がどうやって生まれたか良く覚えてないんだよ」

「ん? それって普通じゃない? さっきあなたが言ったようにさ。妖精も自然に発生するんでしょ?」

「じゃああたいって何の妖精だと思う?」

 

 何の妖精……合衆国の妖精……?

 なんてありえないわけで。言われてみれば彼女も私と同じく根源が不明なのかもしれない。

 

「それに生まれたときの事は覚えてないんだ」

 

 それはそんなもんじゃないんだろうか。普通は自分が生まれたてのときのことなんて覚えてないはずである。

 

「うーんそうなんだけど……なんというかね。覚えてないっていうのは違くて、覚えてるんだけどよくわからないみたいな……あれこれだと覚えてるじゃん、う~ん……」

「何となく覚えてるってこと?」

「うー、まーそんなかんじ。何か凄く暗くて黒かったって印象は残ってるんだけどね。余り意識がはっきりしなかったから」

 

 乳児の頃が時折フラッシュバックする的なあれだろうか。しかし、暗くて黒いって一体なんだろうか。なんか凄くやばそうなんだけど。

 

「うん、多分あんま良い所じゃないね。よく思い出せないけど。そこにあんまり……戻りたくはないかな」

 

 少し悲しげに笑うクラウンピース。自分の生まれ故郷がそんな所だったら余りいい気分じゃないだろう。

 

「ごめんね。変なこと聴いて」

「いやいいんだ。そもそも気づいたときにはこの辺に漂ってたからね。あんまり気にならないよ。何より人にイタズラするのが楽しいし! あたいにはぴったりな力も有るし!」

 

 その力は是非使用を控えて欲しいが、まあ妖精らしいお言葉である。そうだね、あんまり気にしても仕方がないことだ。……普通ならね。

 生憎と私は普通じゃないのだ。何故ならどれもこれも自分の命を断つためにやっているわけだから。でもまあ彼女を見て気にしすぎても意味が無いか、とも思えた。

 

「……クラウンピースと話してたらなんか元気でたよ。悩んでても仕方ないね。うん、見習ってもっと脳天気にいこう!」

「なんかあたい貶されてる気がするんだけど?」

 

 そんなことないよ?元気なのは良いことだよ、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて手掛かりが無くなったのでまた一から調査開始である。

 

「ヘカーティアー何か無い?」

 

 ここは王座の間。…というのは私が勝手に呼んでいるだけだけど。要は以前彼女と酒を交わした玉座のある間である。一応は神聖であるそこにいる女神様に私は問いかけた。今日の彼女は赤い。

「特に無いわねぇ。それにあっても教えないし……というか貴女、暇なら手伝って頂戴よ。もう3日は書類達と戯れてるわ」

「いや一日ずつ三人で交代してるじゃん」

「意識は共有してるからウンザリが三倍なのよん」

 

 ヘカーティアは女神であり王様なのである。つまり他国とのやり取りなり通商の話なり処理しなければならない仕事がそれなりに有る訳で。結構馬鹿にならない量だ。

 う~ん……前世的観点で言うと未だ紀元遥か前なはずなのだけれど、思いの外人間の活動が活発らしい。神様がこんなにも近くに居るから当然と言えば当然なのだけど。やはりこの世界は前世と違った歴史を歩んでいるのかもしれない。

 

「いやほら私忙しいからさ。応援してるよ」

「……布団敷いてその上で菓子食いながら本を斜め読みしている奴のどこが忙しいのかしらん?」

 

 誰だよそんなニートみたいなことしてる奴。あ、私だったね。

 

「いやぁ手掛かり無いと特にする事が無いからねぇ。時間だけ有り余って仕方ないよ」

 

 妖怪や神様はよっぽどの事が無い限り悠久の時を持つ。それは個人的にありがた迷惑な話だけども。

 

「……はあ。なら魔法を学んでみたらどうかしら?」

 

魔法ねぇ確かに封印とか呪いとか解く術とか有りそうだし。それにうーんでもなぁ……

 

「だってヘカーティアの魔法で解けないんでしょ? この呪い。だったら私が頑張ってもなぁ」

「違うわ。解けないんじゃないわ。解かないだけよ。それだけ時間を捻じ曲げるくらい膨大な力の封印を破壊するなんてそれこそ、この星が半分になるわ。それに貴女と私は仲良く木っ端微塵よ」

「いや個人的にはそれでも……ああでも流石に地球が半分なくなるのは駄目だね、うん」

 

 とのことである。一体私は核弾頭か何かなのか。いやアレだけの核でも地球は吹き飛ばなかったのだからもっと危険だねこれ。本当何で生きてるのだろうか?早く死んでしまえ。

 どうでも良いけどヘカーティアは木っ端微塵になっても何とかなりそうではある。

 

「貴女一体私を何だと……まあ、そう諦めるのは早いわ。私だって魔術をすべて把握してるわけじゃないのよ」

「へ? そうなの?」

 

 それは意外だった。魔を司るっていうからもうなんか、むしろ私自体が魔術だぜ!みたいな感じだと思ってた。

 

「一体どんな感じよそれ。でも少し悔しいけどね。いわゆる魔の力はまだ私にもわからないことが多いのよ。そもそも魔力の根源が何処か分からないし。そもそも私が魔術の神なのは人間たちが魔術というものを作ったからよ」

 

 ふむふむ、ヘカーティアにも分からないことか……たしかに可能性が有るかもしれない。

 いやでもヘカーティアが無理なら私も無理じゃね?でもまああくまで可能性の一つとして考えておこう。

 

「そう言えばこの前クラウンピースと話したんだけどさ。ヘカーティアって自分の出自って覚えてる?」

「出自?いきなりね」

 

 そうやって私と駄弁りつつも彼女の手は動いている。意外と仕事の出来る女である。

 

「そうね、私は元々地上よりずっと上の方、あ、上っていうのは位置的な物じゃなくてね。もっと世界の格的なものよ。そこで生まれたのよ。あんまり覚えてないんだけどね」

 

 へえ、ずっと上の世界。何か神々しそう。

 

「そうね神々しいも何も、親族達の本拠そのものだからね。私以外の神もそこで生まれたのよ。貴女みたいに変質して神格を持つ人もまれに居るけどね」

「いや私は神様じゃないんだけど……どんなところなの?」

「神聖な場所よ。穢れなんて全くない何処までもキレイな場所よ。」

「で、なんでまた地上に?」

「暇だったからよ。何も無いわけじゃないけど、やっぱり多くは無いの。それに地上で神を求める声が段々大きくなってきたからね。神達の間で地上に降りるのが流行ってた時期があって、じゃあちょっと行ってみようかって感じね。それで来てみたらいつの間にか祭り上げられて今に至るわ」

 

 まあなんと軽いノリだこと。暇つぶしで降臨なさっていたとは…

 

「神なんてそんなもんよ。特にこの辺にいる連中はね」

「そんなもんなのかな……?」

 

 毎度思うけど神様って一体。

 

「……ん?」

 

 話しながらも書類の山に目を通していたヘカーティア。前屈みになっても落ちないその頭の球体は一体何なのかとか突っ込みたいところでは有るが、それより彼女が珍しく眉を歪める原因が気になった。

 

「どうかしたの?」

「ちょっと気になる報告があってね……」

 

難しげな顔で書類の1つを見つめるヘカーティア。一体何があったのだろう。

 

「巨大な物体の目撃証言なんだけどね。やたらに多いのよ。同じようなのが三件」

巨大な物体ねぇ……なんだろね?真っ先に思いついたのは飛行機だけど。そんなものこの世界に(月は除く)無いだろうし。

 

「見間違えがよくあるから余り気にしなくていいとは思うのよね。この前なんか霧に映った光の輪を退治して欲しいなんて言われたわよん」

 

 蜃気楼って奴かな?あれブロッケン現象だっけ。どっちかよく知らないけど、どちらにしろ退治できる物じゃあ無いね。

 

「ただ……」

「ただ?」

 

 どうやら何か引っかかるとこがあるらしい。

 

「――いや、思い過ごしだわ。第一もう片付いた事だし」

「そう? よくわからないけど。まあヘカーティアが良いなら良いけどね」

 

 そういったヘカーティアはすぐに次の仕事に取りかかる。その顔に先ほどまでの感情はない。さして気にすることでも無かったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んあ-!全ッ然わかんない!」

 

 私はびっしりと文字が敷き詰まった本に私は音を上げた。最近読んでいるその本。私は本を読むのが割りと好きだ。でもそれは主に物語の本であって、専門的な情報の乗った教本とかは範疇外なのだ。

 

「何だ属性って!もっとデバイスとかCA○とか使ってちゃちゃっとやろうよ!」

外部機器万歳!いや有っても出来るとは言ってないけどね!

「よくわからないですけど、何か魔法の行使に使う媒体が欲しいのなら、前の『魔法少女の杖』とか使えば良いんじゃないでしょうか?」

「おいこら魔女巫女! 私の黒歴史に塩を塗るなぁ!」

 

 痛む!痛いッ!

 メディアがさも当然のように言ってくる。駄目だ。アレはもう二度と使わないのだ……!これ以上黒歴史を量産してはならぬ……!

 

「しかしまあよくこんなに覚えられるねぇ」

「それが魔法の勉強ですから。」

 

 なんでも魔法には属性と言うかなんというかそういうのが有るとか。それでその属性に適した触媒を使うことで魔法の補助とする、らしい。高位の魔導師になるとそれが無くてもそれなりに魔法は行使できるのだそうだ。本にズラ~って羅列された触媒(それ)を覚えることで効率の良い魔法や新しい魔法が使えるようになるとかなんとか…

 

「いや無理でしょ、量多すぎだって……」

「まだそれは初級の本ですよ?せっかく基本ができるのですから頑張りましょうよ」

「基本の魔法って言っても、魔力の流れを感じられるだけじゃんか」

 

 というわけで私はメディアに魔法を教えてもらっていた。彼女の教え方は悪くないので魔法にからきしな私でも色々と分かった。

 魔法は魔力を行使して事象を起こすもの。昔少し研究してた妖術に近いものらしい。その源は妖力ではなく魔力なのだが。ちなみに魔力も妖力も霊力その本質はさして変わらない物のように感じられる。

 さてそんな魔術なのだが当然ながら誰でも使える訳では無い。

 この世界には二通りの魔法使いがいる。

 一つは先天的に魔力を持ちその行使に長けている者。これは家系的なものも関係してくるらしい。そもそもが魔法を司るヘカーティアなんかもこの分類に入るのだろう。

もう一つは後天的に魔法を学び魔力を扱えるようになる者。ようは魔法の鍛錬をし続けその末に魔法を行使できるようになる事だ。

 当然ながら私が持っている力は妖力と神力なので魔力は扱える範疇外なのだ。

 

「後天タイプの人が最初から魔力の流れを感じられるって言うのは凄いアドバンテージなんですよ?」

 

 まず魔力を感じることから始める。出来なかったらその時点で諦めるしか無いらしい。感じられるようになったら知識を学び、実践していく内に魔法を行使出来るようになる。

 つまり最初の段階を突破した私は少なくとも魔法を使えるようにはなるらしい。

 

「いや本来そうなんだろうけど。これきっと『能力』のお陰だからねぇ」

 

 私の持つ「あらゆる大きさと向きを操る程度の能力」のお陰だろう。「流れ」には当然「向き」と「大きさ」がある訳で。それなら感知するのは容易い物である。

 

「でも全然魔法使えないじゃん、意味ないじゃん……」

 

 感知は出来ても行使は出来ない。目の前に見えるのに自由に動かせないというのは少しもどかしい。なんなら『魔法を使う程度の能力』とかのが良かったよ。…いやでもそうすると何かもう魔法少女っぽいな。黒歴史は(ry

 

「そのための勉強ですよ。儚さんから頼まれたんですからね。やるからにはしっかりやりますよ!授業の間は私の事は先生と呼んでくださいねっ!」

 

 えへんと指を立てて得意げに言うメディアさん。きっとこうやって教えるのが好きなのだろう。随分楽しそうだこと。

 

 

 

 この後私は頭がパンクしそうな位激しいメディアの講義を受けたのだった。前世でもこんなに勉強した事無かったよ。

 終始笑顔を絶やさず、苦しむ私の事を見ていた彼女はなかなかに鬼かもしれない……

 

 




いつになったら幻想郷出来るんですかね…(遠い目

そのうちキャラデザとか設定とか纏めようと思います。

批評感想あれば是非。

2021/03/20 改稿
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