東方死人録   作:nismon

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お久しぶりです。


七話 理を外れし者とか格好いいけど、現実的な話ただのルール違反な訳で

「ぐっ……!」

 

 破裂音と差異の無い打撃を受け私の体は吹っ飛ぶ。

 巨大な拳に惜しみ無く乗せられた怪力。その殺傷力の塊を全身に受ける。当然ながら能力で反射をする。しかし、私の処理できる範疇の力じゃない。

 私の能力にはいくらか制限が持つ。当たり前だが無敵じゃないのだ。余りに巨大なエネルギーは反射しきれない

 とはいえそれでも多少なり威力を減らしたはずなのだけど、そんなのは関係ないとばかりに軽い肢体は吹き飛ばされた。

 そのまま地面に背中から打ち付けられるのを、歯を食いしばって耐える。衝撃により、中から這い上がってきた赤黒い液体が口から漏れる。息は当然ながら整わないけれど、それを待っている時間はない。急いで立ち上がろうとする。

 

「遅いな」

 

 しかし、私の前には既に巨大な姿があった。月明かりに照らされ、私をすっぽり覆う位大きな影を地面に落とすそれは、その体に見合った巨大な拳を再び私に振り下ろす。

 

「かはっ」

 

 再び打ち付けられた。今度は地面が抉れる。体の中身がぐちゃぐちゃになる感覚。死んだ。

 

「そこを退きなさい!」

 

 何処かから巨人よりも巨大な岩が降ってくる。それは私の近くの巨人に向かっていく。ヘカーティアが魔法で投げたのだろう。その大岩をものともせずに拳で砕く巨人。しかし、それでほんの一瞬だけれど十分な時間は稼げた。

 復活した私は能力を使い最高速で巨人の側から離脱する。

 

「妖魔の癖にその能力。お前を作った奴は随分と酔狂だな」

「いっつつ……私が作られたのか自然に湧いたのかはわかんないけどね」

 

 着地した私はペッと血を地面に向けて吐く。鉄の味が心地悪い。

 

「それにお互い様なんじゃないかな? 化け物は大人しく神様に浄化されるべきだよ」

「貴女とアレは違うわ。そんなこと言わないで頂戴」

 

 私の隣にヘカーティアが降りてくる。豪奢な服は所々千切れ、そこからみえる肌には至る所に傷跡がある。普段の神々しさは幾らか鳴りを潜めている。

 

「無理させてごめんなさいね」

 

 苦い顔をして、けれど目は敵に向けつつ彼女はそう言う。

 

「そっちこそ。一人動けないんでしょ?」

 

 幸か不幸か私は死なないからどうにでもなる。けれど今この状況では、あの巨人によってヘカーティアがやられかねない。彼女にもしもの事があるとは思えないが、条件が悪過ぎる。戦況は芳しくない。

 

「一体何の為に彼女を襲うのさ?」

「言っただろう。その女はあの男の仲間だからだ」

 

 私の問いかけにそう答える巨人。あの男って一体誰なんだろうか。そのせいでこんな事になってるのは大分腹立たしい。

 

「心外ね。仲間になった記憶なんて無いわよん」

「目をかけられて居るのは事実だろう」

「如何わしい目線の間違いじゃないのかしら」

「なるほど仲間というより(そばめ)か。流石の絶倫男なだけある」

「ぶっ殺すわよ」

 

 ……話題のあの男の全貌が何となくわかってきた気がする。

 とりあえずヘカーティアはその男と別に懇意にしているわけじゃなさそうだ。しかし敵は聞く耳を持っていない。

 

「その男とヘカーティアの関係はともかく。そもそも何でその男と対立してるのさ? 貴方の神様……原初神て言ったっけ」

「フン、良かろう。話が神の崇高なる理想を聞きたいというのなら、冥土の土産に聞かせてやる」

 

 毛むくじゃらでその表情は醜いままだが、恐らく得意げにそう言う巨人。実際そんなに聞きたくないです、ええ。

 

「我が神は元々は全宇宙を支配……いや、全宇宙そのもので有ったと言っても過言ではない」

 

 なんだその厨二の塊みたいな奴は。

 

「主神の座を子孫に譲った後も主は常に弱き者の味方であり続けた。ある時は理不尽に幽閉された魔物を救い出し、ある時は子をタルタロスへと閉じ込める愚かな神を断罪し……ああ残念だ。その慈悲の全てをここで語り尽くすことは出来ない」

 

 ふぅむ。もしかして結構良い神様……?

 

「何が慈悲よ。閉じ込められてるのってあの怪物達のことでしょ? 息子と交わって変な怪物産んだり、それを認めないからってキレてそいつを去勢したり、昔から無茶苦茶やってるだけじゃないの」

 

 そんなことはなかった。本当に無茶苦茶である。なんというかぶっ飛び過ぎじゃない?

 

 近親相姦上等っていつの神話だよ。……いや本当に神話なのか。

 挙げ句生まれてくるのは怪物とか訳が分からないよ。どんな属性だよ。誰得だよ。

 

「黙れ! あの男の妾ごときに何が解るというのか」

 

 この巨人は何とも不自然にその神を崇めている気がするなぁ。

 

「大方お前もあのキチガイ女神に作られたんでしょうね」

 

 なるほど。道理で盲目的なわけだ。作られたのなら主を疑うはずもない。さっき言っていた怪物の一端がコイツなのかぁ。私の中で件の原初神様のヤバさ加減が上昇した。

 

「その通りだとも。我らは自然の理から外れし者。主は我らをそのように創ったのだ。神とは主に自然を司る。故に我にその力は通用しない」

「本当無茶苦茶ね。とてもじゃ無いけどこの世界にそんな奴は受け入れられないわ」

「何とでも言え。遺言になるやもしれんから気を付けるのだな。それに安心しろ」

 

 そして巨人はそのわかりにくい表情を醜く歪ませた。多分嗤っているのだろう。

 

「……何がよ?」

「嘆きの絶えない世界を慈しみ我が主は決心なさった。世界を再び己がものとすることを。その為にお前らを始末するのだ。お前が世界の心配をする必要はない」

 

 ヘカーティアを狙う理由はわかった。……いや全然意味がわからないけど。

 

 

 

 

 

 

七話 理を外れし者とか格好いいけど、現実的な話ただのルール違反な訳で

 

 

 

 

 

 

 

 クリュティオス。現在の私達の敵。巨人。

 ヘカーティアの国を、そして彼女自身を滅ぼすためここまでやってきた巨人達の首領である。根源の女神とか言うのに命令されているらしい。

 聞くからにいろいろな意味でヤバそうな女神。それがなんでこの国を滅ぼそうとするのかというと、どうやら世界を再び支配するためらしい。意味がわからない。

 あの国のおよそ人畜無害な人々を一掃するような世界に一体何が残るというのか。本当にわからない。

 とりあえず意味不明なままこんな連中を押しつけてくる奴は、きっと碌な神じゃ無い。それだけはわかる。

 ともあれ、当然ながらこいつらを街に向かわせるわけにはいかない。いかないのだが――

 

「ヘカーティア!」

「っ!これくらい大丈夫よ!」

 

 援護に徹して、宙を飛ぶ彼女の周りに、群がっていく無数の巨人。彼女にあれだけ近づかれると少し不味い。なにせ彼女の力はこいつらには殆ど効かない。それで戦えるヘカーティアも大概だが、油断したら押し負ける。

 

「よそ見している暇は無いぞ」

「うわっ! そんなのわかってるってば!」

 

 私と対峙しているクリュティオスがその馬鹿力を拳に込めて振り下ろす。何度も言うようにあの力は規格外なのだ。紙一重で避けたそれは地面に突き刺さり勢いよく砂煙が立つ。一瞬だけお互いの視界が妨げられる。

 

「脳筋は良くないと思うんだよね。頭使おう。スマートに」

「たわけが。貴様らは我が神聖なる力によって葬られるのだ!」

 

 クリュティオスは拳を振り砂煙を払い、そして再び拳を落とす。岩より達の悪い力の籠もったそれは、私をいとも簡単に押しつぶす。

 

「む?」

「残念無念また来週ってことで」

私の分身(・・)を押しつぶしたクリュティオスは動きを止める。さっき砂煙が舞ったときに妖術で作った分身だ。数少ない私の使える妖術の一つである。

 

「術か。の指向性を変える力といい実に小賢しい」

「褒めてくれて嬉しいね。それっ!」

 

 その間にヘカーティアの元に飛ぶ。彼女の周りの巨人を能力によって飛ばし破壊し殲滅する。

 酷使した能力のせいでどっと疲れが来るが、それは奥歯を噛み締めて耐える。

 

「大丈夫って言ったのに。でも助かったわ」

「良いよ。やっぱりもっと下がってたほうが良いんじゃない? 力が効かないのはちょっと無理があるよ。なんなら都に戻った方が」

「距離はとるけど、戻るのは断るわよん。貴女だけに任せるわけには行かない。これは私に売られた喧嘩なわけだし。それに援護が有ったほうがまだ可能性が有るでしょ?」

 

 彼女の力、つまり神の力がこの巨人たちには効かない。最初の初撃、本来なら巨人どころか街一つ壊滅させられるあの魔法でさえも、女神であるヘカーティアが行使したという一点で、無効化されたのだ。加えて先のクリュティオスによる一撃で、彼女の一人はもう動けない状態らしい。

 彼女は神ゆえ、常人のそれとは比べ物にならない力を持つ。しかしそれは怪力に特化した巨人に対し、物理で優位に立てる程じゃない。一撃でヘカーティア一人を沈められる力を持つ相手に、攻撃手段を持たないままここに居るのは危険だ。

 

「でもやっぱり、戻って助けを呼んだ方が良いんじゃないかな」

「それは駄目よ。その辺の無能な巨人にすらやられてしまうわ。人間をこんな戦いに巻き込むべきじゃない」

 

 巨人の力は強大だ。それこそ人間なんか赤子の手を捻るように壊してしまうだろう。

 

「他にはいないの?知り合いの神様とか」

「居るには居るけど、話を聞く限りきっと同じ様に襲撃を受けてると思うわ」

 

 つまりこれ以上の戦力は期待できない。助けが期待できないなら、ジリ貧だ。唯一の希望はその神々が援護に来てくれるか否か。この様子じゃ余り期待できないか。

 何せこいつらに神が勝つのは現時点で不可能に近いからだ。恐らくは同じような奴が他の神のことも襲撃しているに違いない。

 私でさえ中途半端な神格のせいでいまいち術が聞かないのだ。だから私達二人の唯一と言っても良い攻撃手段は私のこの能力だけ。直接触れて体内の力の向きを逆にする等、殆ど近接の物理攻撃だ。

 しかし残念ながら私はそこまで強くはない。巨人の体に触れるのは簡単だが、内部を破壊し尽くす程に能力を行使するには長く触れる必要が有る。が、私にそれだけの力がない。すぐに吹き飛ばされる。

 それにそもそもこの眼の前のクリュティオスは破壊しきれるかもわからない。

 

「はっ!」

「む?」

 

 ピカリと夜空が光る。ヘカーティアが魔法で複数の落雷を落としたのだ。周りの無知な巨人共が呻き声を上げながら動きを止める。しかし、クリュティオスそれを軽く避けていた。巨人の癖にその身軽さは何なのか。

 

「そりゃ!」

 

 私はその避けた先に瞬時に肉薄し、能力で力を集めた拳を撃つ。私の小さい無い拳が音を立てて空気を裂く。

 

「ぬるい。実にぬるいな」

 

 その拳は五倍以上大きさの違うその手の平で軽々と受け止められる。

 私は能力をありったけ行使してその腕の圧力を外向きへ変え破壊した。爆散した巨人の腕からの赤黒い返り血が、先の蘇生で綺麗になった私の体に付く。

 そんな私を巨人はもう片方の手で掴み取ろうとする。

 

「はっ!」

 

 それを見計らいヘカーティアが魔力の弾を放つ。それは側頭部にヒットした。その隙きを見て私は離脱する。

 

「効かないと言っているだろう」

 

 ヘカーティアのとんでもない魔力のこもった弾は全く効いた様子はない。私はヘカーティアの隣にもどり、そして先程私が破壊した敵のその腕を見る。

 

「厄介極まり無いわね……攻撃が効かないだけじゃなくその回復力」

 

 そう、もう既にクリュティオスの腕は元に戻っている。唯一通じる私の能力でさえ、その活動を止めるには至らない。あのクリュティオスにそんなものは直接通用しない。自然の法則を無視し、神の支配下から外れた存在。理不尽の塊だ。

 

(今回ばかりは不死で良かったよ)

 

 そう思わずには居られない。私が捕まるか倒れない限り時間は稼げる。だが、時間を稼ぐだけでは周りを歩く巨人がそのまま都まで到達してしまう。

 まず必要なのは理不尽なほど強い敵の殲滅。何か打破する方法を考えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 あれから数刻が経った。

 

「ぅう……っは」

「儚ッ!」

 

 私は地面にめり込んでいる。ヤバイ。力、入らない……

 

「いい加減飽きたぞ。前戯もこれくらいが限界か」

 

 頭を掴まれ持ち上げられる。せめてもの抵抗にその掴んだ手を能力で爆散させた。

 

「小賢しい」

 

 その弾けた手はグチュグチュと再生しはじめる。こうもすぐに回復されてはどうしようもない。

 結局、解決策は未だ見当がつかなかった。しかし能力を使えば疲れる。当然のことだ。

 つまり時間切れということ。

 クリュティオスは逆の手で再び私の頭を掴み、まるで紙屑を投げるように私を投げ飛ばす。くそ、立ち上がれない。

 

「かはっ」

「儚!」

 

 地面に打ち付けられる。肺から空気が抜ける。痛みで動けない。

 

「お前は後だ。そろそろ終わりにしよう。我が神の敵よ。わざわざこちらまで出向いてくれたのだから、精々民の目の届かぬここで仕留めてやろう」

「くそっ、ヘカーティア逃げてっ!」

 

 ヘカーティアはまだ少し離れた空を飛んでいる。すぐに離れればこいつに捕まることもない。逃げ延びて誰か助けを。

 そこまで私が考えたところで巨人はその異形の口を開いた。そしてそこに光が集まりだす。その向く先は空を飛ぶヘカーティア。

 前世に有ったゲームにあんな技が有った。反動で動けなくなる代わりに凄まじい破壊力を誇る。特殊技に分類されるそれは言わば"遠距離攻撃"である。

 もし同じようなものだとして、力を無効化される今の彼女にそれを防御する術は無い。そして光線であれば避けるのは困難だ。

 ガッという鼓膜を裂くが如き爆音と、目が眩む閃光と共に発射される。それは遠く空に浮かぶヘカーティアに向かって一直線に飛んでいく。

 動けない私は、同時に能力で血流を逆にし一度リセット。蘇生を開始する。死ねば全開まで行かなくとも動けるようになる筈だからだ。

 言い表せないような痛みと、体が巻き戻る不自然な感覚が身を貫く。……だが、駄目だ!間に合わないっ!

 蘇生を終え急いで視線を巡らせるも、光線に対し魔法陣の盾を展開するヘカーティア。しかし駄目だ。あれでは受け止められない。

 彼女が神で有る故に奴には勝てない。

 

 

 

「我が王に仇なす物よ、恥を知れ」

 

 

 

 張りのある青年の声が空気を震す。そう感じられるくらいに力強い声だった。

 

「はっ!」

 

 その青年は見慣れた魔力の魔方陣と共に、いつの間にかヘカーティアの前に現れた。彼は剣を構え、そしてかけ声と共に巨人の放った光線を切り裂く。

 

「何イィ!?」

 

 驚愕で巨人は汚い声を上げる。

 こんな事を言ったら少し間抜けかもしれないが、まるで豆腐を切るかのようだった。そう言えるくらい、違和感なく、美しく、破壊力の塊は切り落とされた。

 

「お前の攻撃位見切るのは容易い。この汚らわしい怪物め」

「クソが、人間風情が我を貶すか。奇妙な力を持つだけで他は非力だろう」

 

 彼は人間。今ここに置いて最弱な種族であると言えるかもしれない。しかし輝くその目と纏う雰囲気はそんなことを感じないぐらい力強い。

 

「大丈夫ですか?ヘカーティア様」

「ええ、大丈夫よ」

 

 次にヘカーティアと青年リュンの近くに魔法陣と共に現れたのは、黒いローブの魔法使いの少女。

 

「メディア……貴女も来たのね」

「ええ、リュン様に頼まれまして」

 

 二人は決して強くない。いや当然普通の人間と比べたら遥かに強いのだろうけど、神や神に作られた巨人に比べたら遥かに弱い。きっと彼らもわかっている。わかっていてここに来ている。

 

「戻って、はくれないわよね」

「当然ですよ。私達は貴女の国の民です。それに国を守るのは貴女の巫女としての義務です」

 

 笑いながら、それでもはっきりと意志を持ってそうメディアは言う。

 

「そんな事を言われちゃ私も頑張らなきゃね」

 

 ヘカーティアは諦めたように、しかし嬉しそうに苦笑した。

 神と人間。種族は違えどそこには確かな信仰と信頼があった。私の前世にもそんな物があれば良かったな――なんて話は今はどうでもいい。

 

「それっ!」

「ぬぅ?」

 

 クリュティオスに炎弾を投げつけそこから離脱し、彼女らの方へ飛んでいく。

 

「儚さん! 無事ですか?」

「無事……と言って良いのかわからないけど。一応大丈夫だよ」

 

 数回死んでるけどね。死ねてないけど。

 

「けどこれからどうしようか」

 

 いくら戦力が増えたとは言え現状は余り変わらない。

 

「私の目で見る限り、巨人共の力は奴の元に集まっています。奴を潰せばとりあえずこの侵攻は止まるはずです」

 

 その虹色の目にはどうやら奴らの力の流れが見えているらしい。彼のよく見える目には何でもお見通しだ。

 

「そう、やっぱりあれを始末しないとダメなようね……リュン、何か奴について見えないかしら?」

「残念ながら。酷く歪な存在では有るようですがそれ以外には何も」

 

ジリ貧なのは変わりがない。奴に攻撃が通じる何かが…何かが足りない。

 

「そういえばピースはいるのかしらん?」

「ああ彼女でしたら……」

 

 メディアが少し苦笑した。ピースというのはクラウンピースの事だ。

 

「アタイの力をとくと見やがれ!」

 

 クリュティオスの背後の方から場違いに元気な声が聴こえた。

 いつしかの様に月を隠れ蓑に出てきた彼女は、その手に持った松明を振るう。その透明な羽に月光がうっすら反射する。

 

「ご主人の仇!」

「私死んでないんだけど?」

 

 ヘカーティアの突っ込みも関係なく、振るわれた松明から炎弾が発射された。

 

「それで背後を取ったつもりか。甘いわ妖魔ごときが!」

 

 クリュティオスはその炎弾をまるでホコリを払うように撃ち落とそうとした。

 しかし、出来なかった。

 

「ぐあああああ!」

 

 醜い悲鳴が響く。それは奴が初めて上げた悲鳴だった。差し出したその毛むくじゃらな手は溶け、そして再生しない(・・・・・)

 その様子を驚いた様子で眺めながら、クラウンピースは私たちの側まで飛んできた。

 

「……アタイってもしかして強い?」

 

 あった。自体を打開する鍵が。パズルの"ピース"が見つかった……!

 

 

 

 

 

 

 

 




忙殺されてました。書き溜めはあるので校正でき次第上げていきます。

2021/03/22 改稿
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