IS~転~   作:パスタン

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特に理由のない暴力が一夏を襲う!!

皆さんが楽しんでいただければ幸いです

ではどうぞ・・・




鈴からの一撃

 どうも、また勢いでフラグを建設してしまった織斑一夏です。本当の自重しなければ原作以上にヒドイ状況になってしまう。

 

 さて突然ですが、今俺は、鼻血を出して倒れています…。

 

 

 

 

 

 最初に会った時、一夏の印象は「優しいけど、おとなしい男の子」だと思った。

 一夏の隣りの席になって、彼は少し怯えながらも挨拶をしてくれた。多分それは私が中国人とのハーフだからかなと結論付けた。こっちで最初に会う人は大体一夏のような感じだったから気にはしていない。

 

 こちらが名前で呼び合おうと提案すると、彼は快く応じて握手まで求めてきた。日本では、あんまり握手の習慣はないみたいだけど断る理由もないし、なんだか新鮮で嬉しかった。

 

 一夏も嬉しそうに笑顔を見せてくれた。ここでふと私の心にイタズラ心が湧いた。突然だが「リンリン」と飛ばれるのは私が一番嫌いなことだ。なので警告も込めて少し注意してみたら顔を青くしてすごい勢いで首を縦に何度も振った。

 

 …やばいこの子、かわいい上に面白い。

 

 そんな経緯で一夏とは仲良くなった。

 

 学校での一夏は、いつも優しい笑顔を浮かべ物静かでのんびりした性格だ。普段はそれで良いのだが、グループ決めや集団行動では彼は周りから少し遅れてしまう。そんな一夏を私はいつも引っ張っているのだ。その度に一夏は「ありがとう、鈴」と言ってくれる。内心では嬉しかったが、素直になれず「ふん、一夏は、どんくさいから本当に仕方ないわね。」と、つい憎まれ口を叩いてしまう。でも彼は困ったような笑みを浮かべるだけだった。

 

 グループの中で一夏は、他の男子と比較にならないくらい働いてくれる。でも決して出しゃばったりはしない。目立つのは苦手なんだそうだ。ただ仲の良い女友達と話しをていると一夏の話は時々出てくる。

 

 「温和でいつもニコニコしている」「見ていると何か癒される」「あんな弟が欲しかった~。」などである。なんだか私は、自分の弟が褒められたみたいでとても嬉しく、そして誇らしかった。

 

 そんな中、変な噂を耳にした。それはある男子から聞いたのだが、「織斑一夏を決して怒らせてはならない。…あいつは、人の皮を被った「狼」だ」と言うものだった。

 

 あまりの事に開いた口が塞がらなかった。そして次第に怒りが湧いてきた…あの温和な一夏にそんな根も葉もない噂を立てられたことが、そしていつも私に優しく暖かい雰囲気で接してくれる一夏に対して何てヒドイ事をと思った。

 

 私は、誰がそんな噂を流したのかその男子に詰め寄ろうとしたが一夏が止めに入った。一夏は、私がほかの男子と衝突しそうになるとすぐに間に入るのだ。内心で私は盛大に毒づいた。何よ邪魔しないで!!今あんたのことで怒っているのよ!?

 

 でもこんな噂、口が裂けても一夏には言えない。あの心優しい一夏がこんなことを耳にすればきっと落ち込んでしまう。私が・・・私が一夏を守らなきゃ!!

 

 その犯人たちはすぐに分かった。何でも以前は色んな人間たちをイジメていた男子4人組らしい。今度は一夏をターゲットにしようとしたのか…。絶対に許さない

 

 そいつらは、学校の裏手側で4人とも集まっていた。

 

 私は、そいつらの前に立ちはだかった

 

「あんた達ね、変なうわさを流してるのは?」

 

「ん?なんだお前?」

 

4人が振り向いた

 

「一夏に対して変な噂を流してるでしょ?おとなしくやめなさい!!」

 

私は、毅然として相手に告げた

 

「は?お前には関係ないだろ」

 

「あ、こいつ最近転入してきた鈴音だろ」

 

「鈴音?中国人かよ。なんかパンダみたいな名前だし」

 

「おいリンリン、笹食ってみろよ。パンダだろお前~」

 

 男子4人は私をせせら笑った。前の学校でもそうだった。リンリンと渾名されて虐められた経験がある。私は何でもない風に装い相手を挑発した。

 

「あんたらには、私がパンダに見えるわけ?バカじゃないの?」

 

「あ゛、なんだと?」

 

「女のクセにたてついてんじゃねぇよ」

 

「きゃ!?」

 

 一人の男子に押され、倒れてしまった。そして男子の大きさに私は、今更になって後悔と恐怖を覚えてしまった。後先を考えずになんて無謀なことをしてしまったのだろう。

 

「お前中国人のくせに生意気なんだよ」

 

「そうだ、中国人が勉強なんかしてんじゃねぇよ」

 

「アハハハハハハ」

 

 やめて、やめてよ。ケンカを売ったのは私の方だ。謝るわ。でもあたしが中国人なのがダメなの?私はただ、皆と仲良くしたいだけなの。そんな心も通じる筈もなく、男子たちの罵詈雑言に、私は身体を丸めて耐えるしかなかった

 

「よくしゃべるブタ共だな…」

 

急に男子達が大人しくなった。私は恐る恐る顔をあげた。そこには、一夏がいた。

 

「お、お前、織斑!?」

 

「な、なんでこんなとこにいるんだよ」

 

 男子達が慌てふためく、だがそんなこと目に入らなかった。普段の温和で優しい一夏はどこにもいなかった。一夏は誰の目にも明らかな怒りの表情をあらわにしていた。そしてその眼は、噂を証明するような「狼」のような鋭い目つきだった。

 

「く、くそーー!!」

 

「お、おい!バカ、よせ!!」

 

 仲間の制止を振り切って、一人男子が一夏に向かって殴りかかる。ダメ!逃げて一夏!!

 

 だが驚愕の光景が私の目の前で起きた。

 

 一夏は、男子のパンチを避けると逆にパンチを叩き込んだ。更にうずくまった腹に蹴りを入れ、仰向けになった所を踏みぬき足を置いた。

 

 もうこれが現実なのか夢なのか判断できない。そんな私の心情を余所に、彼は男子達を睨みつけながら静かに口を開いた。

 

「・・・これは自論なんだが、躾に一番効くのは痛みだと思う」

 

 まるで幼い子供に分かりやすく説明するような口調だった。更に言葉は続く。

 

「そして残念なことに、お前らは俺の大切なものに手を出した。…お前らブタ共に必要なのは、言葉による「教育」ではなく、「教訓」だ」

 

 大切なもの?そうか…一夏は私の為に怒っているんだ。一夏から聞いたことがある。

 

 「俺は、物心がついた時から両親がいないんだ。小学校の親友も突然引っ越しちゃったし、だからこそ一つ一つの出会いを大切にしたいんだ。」一夏は・・・、私のことを大切なものに入れてくれていたんだ。中国人とか関係なく、私を受け入れてくれたんだ。嬉しい…。

 

 ありがとう、本当にありがとう一夏…。

 

 それからは、瞬く間のことだった。近くの男子の顎に飛びヒザ蹴りが入った。喰らった男子は、背中から大の字に倒れた。早い!?いつもの一夏からは考えられないほどの俊敏性だ。更に一夏は、私が呆けている間にまた一人地面に沈めた。最後の相手に一夏は前転をした勢いで腹に飛び込み頭突きをし、ガラ空きになった頭に蹴りを叩き込んだ。

 

 それから慌てて一夏が私に駆け寄ってきた。腰をおろし、私に目線を合わせる。

 

 でも私は、先ほどの恐怖や怒りや羞恥心で頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。

 

 

side一夏

 

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

ごっ!!

 

「ぶべら!?」

 

 最初に感じたのは鼻を中心に広がる痛みだった。視界は星が瞬くようにキラキラしている。それから鼻の下に広がるヌメっとした感触と口の中で感じる鉄分。

 

 ああ、俺はどうやら顔面を殴られたらしい。

 

 

 

 

 

 神様これは、あなたからのプレゼントでしょうか・・・・・・・?

 

 もし会うチャンスがあったら絶対に張り倒す!!!!

 




鈴ちゃんは一人で空回りするイメージがあります。
しかも鈴ちゃんに関する資料が本当に少なくて困る。

感想並びに評価を頂けたら嬉しいです

ではまた次回。

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