IS~転~   作:パスタン

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ここから中学生編に入ります。
皆様が楽しんでいただければ幸いです
ではどうぞ・・・


中学生編
中学生になりました


 どうも、中学1年生になりました織斑一夏です。

 

 最近やたらと身長が伸びました。1年生の健康診断で身長170cm・体重65kgと細マッチョな体型になったうえ、お腹も4つに割れてる。内科健診の時に上を脱いだら周りからどよめきが起こり恥ずかしい思いもしました。

 

 やっぱり目立つのは苦手だ。

 

「一夏、飯行こうぜ」

 

「うん。鈴も呼ぶからちょっと待ってな」

 

 そんな風に俺に声をかけてきてくれたのは、赤い髪を乱雑にまとめて少し軽い感じがするが根が良い五反田弾(ごたんだ だん)である。

 

 入学後の同じ班で意気投合して以来、一緒に行動することが多くなった。原作でも一夏と弾君は、仲良しな感じだったことを覚えている。数少ない男友達だしこれからも仲良くしたいものだ。

 

「鈴、ご飯食べに行こう」

 

「ええ、今日は屋上にする?」

 

「そうだね。今日は天気も良いしね」

 

「そんじゃ行こうぜ」

 

 

 

~昼休み屋上~

 

「さて一夏、今日も採点お願いね」

 

「う、うん」

 

「鈴、お前も諦めないな~」

 

「当然よ!!絶対一夏より料理がうまくなるって決めたんだから!!」

 

 そう、中学に入学してから鈴ちゃんは自分の作った料理を俺に採点するように言うのだ。ちなみに俺も自分で弁当を作っている。その方が安いし家計にも優しいからだ…。

 

 ちなみに俺の弁当を食べた弾君は「一夏、お前将来良い主夫になるよ」とお褒め?の言葉をいただいた。鈴ちゃんからは「道は険しいわね…」と憂いの表情をいただいた。

 

「今日は、得意の「酢豚」よ。これで合格点をいただくわ」

 

 と鼻息荒く弁当箱の中身を開けてくれた。ちなみに合格点ラインは90点としているようである。ふむ、見た目はとても綺麗だな。さてお味のほどは如何に?

 

ぱく、もぐもぐもぐ。ぱく、もぐもぐもぐ。

 

「ど、どうなのよ」

 

「では、本日の採点結果を発表します」

 

「…………」

 

 鈴ちゃんに緊張が走る。弾君は大きな欠伸をしている。

 

「本日の評価は…70点です」

 

「え!!前回より5点下がった!?な、何がいけなかったのよ?」

 

 そう言いながらメモの準備をする鈴ちゃん、勉強熱心である。

 

「まず、良い点から説明するね。肉も野菜も一口サイズに均等だったし、豚も程良く揚げてあって衣のサクサク感も良く出てたよ。ここら辺は前回の反省をしっかりと生かせていた思うよ」

 

「ふふ、ここら辺は前に言われていたとこだったから、特に気を使ったわ」

 

 鈴ちゃんは誇らしく胸を張った。と、ここで弾君から茶々が入った。

 

「・・・「貧乳」だから胸張ったって色気なんてな、ゴハ!!!!」

 

 …正に神速の早業だった。「貧乳」というワードを聞いた途端、眼は光を失い無表情となり、次いで目にも留らぬスピード弾君へ近づきその腹に「崩拳」を叩き込んだ。

 

 この間5秒にも満たないのだから恐ろしいものである。喰らった弾君は、まるで陸に上がった魚のように口をパクパクさせて思い出したかのように身体を時々震わせていた。

 

 崩拳とは、形意拳の一種で中国の山西省で誕生したとされている。

 

 伝説では、宋の時代の最後期に岳飛という武将が形意拳を伝えたといわれている。この岳飛は槍術に優れていたとされており、形意拳の技の多くが槍術と共通していることからもこの武将に伝説が結び付けられたのだと考えられる。正に槍を相手に刺すが如く突き込む動作であり、殴るといったイメージは皆無である。

 

 実は鈴ちゃんのお母さんである恋さんは、中国武術の達人らしい。これも恋さんに習った技なのだろうか…?

 

「ごめんね一夏、なんか「ハエ」が五月蠅かったから黙らしてきたわ」

 

 弾君、ハエ呼ばわりである。先ほどの無表情と違いニッコリ笑って話しているが、俺からすれば恐怖心しか湧かない……。

 

「じゃあ、続きをお願いね」

 

「は、はい」

 

 思わず敬語になってしまう。き、気を取り直して…。

 

「じゃ、じゃあ悪い点なんだけど、野菜によって火の通りが全然違うんだ。良く通ってるのもあれば、半ナマなのもあってこれは良くないと思ったよ。で、味なんだけど概ね良いと思うけど、肉によって濃さと薄さが極端だから、この辺をもう少し均一に出来ると良いかなと思う。あとこれは、個人的なものなんだけど酢が少し強すぎるかな。以上の点から今回は70点とさせていただきます」

 

 ひとしきりメモを取り終えた鈴ちゃんが溜息をつきながら言う。

 

「う~ん、まだまだ改善の余地ありね」

 

「でも凄いよ。上達スピードが半端じゃないもん」

 

 

 

 これは本音だ。料理を初めて1年そこらしか経ってないのにこの上達ぶりだ。鈴ちゃんの頑張りと先生である修さんの指導があってだろう。

 

「ほ、本当?」

 

「うん、良く頑張っていると思うよ」

 

「え、えへへ。ありがとう一夏」

 

照れくさそうに笑う鈴ちゃん・・・・やだ、かわいい。

そこに、いつの間にか復活した弾君が、また余計なことをボソッと言う。

 

「…もう、お前ら結婚しろよ」

 

 あ、また殴られた。綺麗なアッパーが入ったな~。だが先程と違って今度の鈴ちゃんは顔が真っ赤であった。

 

 

 

 

 

 

~古牧道場にて~

 

 最近の俺は古牧道場に通う回数が多くなった。というのも原作で中学の時に一夏が誘拐されたのを知っているからだ。第2回モンド・グロッソが迫っているのもあり俺は身体作りに余念がないようにしている。

 

 古牧道場は基本的に実践形式での戦いが多い。1対1から1対多人数まで、場合によっては武器を持った状況も想定して行われている。所謂、超実践的思考なのだ。だが巷(ちまた)では、襲われやすいシチュエーションなどを格安で教えてくれることが戦いに巻き込まれない予防になると人気になっている。

 

「セイ!!ハッ!!!」

 

「ははは、だいぶ良いぞ千冬ちゃん」

 

 今は、千冬姉さんと古牧先生が戦っている。姉さんは竹刀を持ち、古牧先生は素手だな上にまともな防具もしていない。しかし剣一本で世界大会を制覇したあの姉さんが、まるで相手にならないのだ。

 

 面・小手・胴・突き等の基本的な打突は勿論のこと、小手面・小手胴・小手面胴・突き面・突き小手・突き胴などの連続技を繰り出すが、かすりもしない「格闘界の人間国宝」の名は伊達ではなかった。

 

 単純に先生の技量が上なのだ。そして決着はすぐだった。

 

「セヤーーー!!!」

 

 姉さんが上段から烈士の気合を込めて竹刀を振り下ろそうとする。その瞬間、古牧先生が動いた。

 

 振りおろしの動作の途中で古牧先生が姉さんの手を掴み、そのまま姉さんの振り下ろしの力をも利用して姉さんを投げ飛ばしたのだ・・・。

 

 まさに一瞬の出来事だった。後に残ったのは大の字で倒れている姉さんといつの間にか片手に姉さんの竹刀を肩にかけてにこやかに笑う先生の姿だった。

 

 「古牧流無刀取り」である。

 

 しばらくしてから姉さんがのっそりと起き上がり互いに礼をする。姉さんが防具を外した。

「ふむ、大分剣のスピードが上がったのう千冬ちゃん」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ありがとうございます。古牧先生」

 

 涼しい顔をする古牧先生に対して息も絶え絶えに答える姉さん。

 

「しかし、まだまだ振りが大きい。もっとコンパクトになれば、更に早さも強さモ増すじゃろうて」

 

 これ以上、強くなってしまうのか?姉さんは・・・いよいよもって人間をやめてしまうかもしれないな・・・。

 

 そんな事を思いながら俺は修練に励むのであった。

 




いかがだったでしょうか?
感想並びに評価をお待ちしています。

次回から2話程一夏君が血みどろの戦いを演じます。マジで。

ではまた次回

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