IS~転~   作:パスタン

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第一話に当たるのでしょうか
皆様が楽しんでいただければ幸いです
ではどうぞ


俺の決意と千冬姉

 どうも織斑一夏でございます。6年の月日が経つことで色々な変化が俺の内外で訪れた。

 

 まず内側、心と身体が成長することで記憶がより鮮明になった。以前は前世の記憶を2~3年ほどしか遡れなかったが、現在では自分の幼少期まで記憶を遡ることが出来る。しかし思い出せないことが1つある。それは「名前」だ。

 

 自分から始まり、家族、友人、恩師、果ては飼っていた犬の「顔」も思い出せるのに誰一人として「名前」が出てこないのだ…最初は記憶喪失を疑ったが、名前に限定された記憶の喪失などあるのだろうか?世間一般的な名前あるいは名称はいくつも出てくるのに俺を含めた俺の人生に深く関わった人物の名前が一人たりとも出てこない。これにはさすがにヘコんだ…自分の存在を確立する手段の一つであるのが「名前」なのだ。それが思い出せない、若干の恐怖や不安を感じるもののこれについては早々に諦めた。

 

 名前を思い出したからといって以前の自分に戻れるわけでもないし…。そう内側での大きな変化は自分自身の「適応力」だろう。転生などというビックバーン並みのイベントを体験したのだ、もうちょっとやそっとのことでは驚かない。

 

 そう『あるがままに』である。

 

 前世で習った心理療法の用語の1つ、「ありのままで良い、あるがままより仕方がない」ということ。当り前である、しかしこのフレーズが頭に浮かびあがった瞬間、それまでの不安やその他の諸々もろもろの悩みが吹き飛んだ。なぜ転生したか?なぜ自分なのか?多くの悩みが頭の中で燻っていたが、恐らく一生悩んだところで解決なんぞできるはずもないだろう。『なら開き直ろう』とそんな安易な考えである。

 

 そして最大の変化…いや決意表明であろう。

 それは、『織斑一夏として、そして今の自分として生き抜くこと』である。理由はどうあれ織斑一夏という精神が入るべき器を乗っ取ったのだ…それは間接的とはいえ人を殺したこと。ならば俺は生きなければならない、どんなになってもあがき続ける覚悟…そう覚悟完了である。

 これが我が内側の変化。続いて…「一夏、そろそろいくぞ」我が姉の声である。

 

「どうした一夏、何か忘れ物でもしたのか?」

 

「うんうん、ちょっと緊張してトイレに行ってた。」

 

「ふふ、そうか。なに心配ないさ、小学校は怖いとこじゃないしな。」

 

「うん、ありがとう千冬姉さん」

 

「ああ、さぁ行こうか。入学式に遅れたらシャレにもならんからな」

 

「うん」

 

 そう言いながら俺たち二人はゆっくりと歩き出した。

 

 そうそう紹介が遅れた。この隣で歩くクールビューティーな方が現在の唯一の肉親にして、未来のブリュンヒルデこと織斑千冬(通称千冬姉さん)現在高校生である。

 

 切れ長の目にスレンダーな体つき、贔屓目で見てもかなりの美人さんだろう。原作では「鬼」とか「真面目な狼」なんて言われているが、幼い俺を必死に育てている苦労人である。今日だって、高校を休んで俺の小学校の入学式に来てくれたのだ…俺はそんな姉を尊敬している、そして一生頭が上がらないだろうということも認識している。

 

 あっ、原作で一夏は「千冬姉」と呼んでいたが俺は呼ばない。正直なんか恥ずかしいからだ。いや、まじ勘弁してください。前世では姉なんていませんでしたし、兄弟の中じゃ俺が一番上でしたからね。姉さんっていうのも少し恥ずかしいのよこれが。

 

 

 さて話を戻し外側の変化であるが、上記の通り本日は小学校の入学式である。前世を含め2度目となるが、年甲斐もなく(精神年齢的に)ワクワクしている。二度目の入学式に加えて、ある原作キャラに会えるからだ。

 

 篠ノ之箒 ご存知一夏のファースト幼馴染である。

 

 ポニーテールと我が姉に似た切れ長の目、そして豊な母性(胸部装甲)が印象的だ。原作では小学校のある時期からISの開発のせいで政府の重要保護対象にされ一家離散という凄まじい状態になってしまう。アニメでは事あるごとに一夏に殴る蹴るの暴行を働き嫉妬心にかられたその姿はまさに「鬼」である。

 

 ま、まぁアニメではそんな感じだったが、さて実際にはどんな子なんだろうか…。内心冷や汗をかき戦々恐々しながら学校へと歩を進めるのであった。




会話が少ないですね・・・。
さらに精進します

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