IS~転~   作:パスタン

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いよいよです。
ここまで長かった…。

皆様が楽しんでいただければ幸いです。
ではどうぞ・・・


原作の始まり

 どうも現在受験会場内で迷っている織斑一夏です。

 

 カンニング対策の関係で俺が住んでいる場所から4駅先に受験会場がうつされたと御達しがあったのは二日前だ。いよいよ来るべき時が来たと言った所か…。俺が受ける受験校は原作と同じ私立藍越学園(あいえつがくえん)である。

 

 さて話は変わるが1つ俺の中で変化が起きた…。神様の特典か何か知らないが原作の知識が俺の中に流入してきたのだ。しかも小説をそのままアニメ化したみたいな映像的な感じだ。簡単に言えばパソコンのアップデートだろうか。

 

うーむ、これが今回の一回限りなのか分からない以上、当てにして行く訳にもいかないが、まぁマイナス面はないしこれで良いだろう。

 

 さて箒との事についての報告もしておく。回想スタート!!

 

 

 

 

 

 

「私は、お前が好きだ!!」

 

 え…?ええええええええええ!!!!!!!いきなり何言ってんだこの侍ガール!?こんな公衆の面前で、サプライズ告白かましやがった!!!

 

 ほら!周りの人達がすごい温かい眼をして見てるもん!!…若干数は血の涙を流している人もいるな。

 

と、と、とにかくこの場所から早く撤退しないといけない。

 

「ほ、箒」

 

 俺は、彼女の肩を掴んで軽く揺する。箒の体がびくりとする。

 

「一夏、い、いきなりなんて、そんな…」

 

 ちーがーうーかーらー!!!そんなんじゃないから!!もはやそんな状況じゃないから!!!

 

「箒!目を覚まして!そして周りを良く見んだ!!!」

 

「え?周り?」

 

 箒は周囲をぐるっと見た。

 

「…………」

 

「…………」

 

 お互い無言となる。が、箒の顔は瞬く間に赤くなっていった。それはもう熟しすぎたリンゴの様に。

 

そして…。

 

「い…」

 

「い?」

 

「いやあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 そんな叫び声をあげながら、走って行ってしまった…。

 

ってヤバイ!!今ここに俺一人だけなんてどんな公開処刑だよ!?そんな考えが浮かび上がった俺は、すぐさま箒を追いかけた。

 

「おーーい待ってくれ箒!!俺を一人にしないでくれー!!!」

 

 つーか速!?袴姿なのになんであいつあんなに速いんだ?????

 そんな感じの追いかけっこが約10分程続いた。

 

「はい箒、緑茶で良いか?」

 

「(コクン)」

 

 俺達は今人気のない試合会場のベンチに腰掛けている。果てしない追いかけっこの末、辿り着いたのが試合会場だった。どうにか箒を落ち着かせて備え付けの自販機で緑茶のペットを2本買い、片方を箒に差し出した。未だに恥ずかしいのか箒は頬を赤らめながら無言で頷きペットの口をあけ緑茶を飲んだ。俺も自分のを飲む。

 

 さてどうしたものか…。箒からの好意は、あの時から薄々気づいていた。でも今の自分には、簡単にその好意を受け入れることは出来ない。その大きな理由は2つある。

 

 1つ目は、別離した時間が長すぎる。約6年の歳月は箒を美しい女性へと変貌させた。誤解しないで欲しいが外見だけでなく内面も含めてだ。正直俺には勿体ないと思えるほどだ。しかし俺は、箒が過ごした年月を知らない。つまり箒をほとんど知らないと言っても過言じゃない…。そんな状態で箒の思いを受け入れるのは、あまりに失礼じゃないだろうか?

 

 2つ目は、鈴の存在だ。別れ際の彼女の姿が今も鮮明に残っている。鈴の思いを蔑ろにしてもいいのだろうか。そんな思考をしていたが途中で全てやめた。

 

 馬鹿か俺は?結局今までの考えなんて全て自分が傷つかないための「言い訳」でしかない。選択をすれば何かしら失う事なんて分かってるじゃないか。箒の思いから逃げちゃダメだ。伝えよう。今の自分は君の想いを受けれないと…。そんな風に決意を決めた俺だが箒が先に口を開いた。

 

「一夏…」

 

「どうした?」

 

「その…、先ほどは突然すまなかった…」

 

「い、いや別に」

 

 箒の言葉は続く

 

「だが、私の一夏への想いに嘘はないんだ」

 

「…」

 

「一夏、私があの町を離れて何年目になるか知っているか?」

 

「もうすぐ6年経つ」

 

「そう6年だ。言葉にすれば簡単だが、互いに長い年月が過ぎたのだ…」

 

 そこで一息ついて、ここで箒は予想外の言葉を紡いだ。

 

「一夏、私から告白をしておいてなんだが…私はもう一度お前とやり直したいんだ」

 

「…やり直す?どう言うことだい?」

 

「あの日以来、私たちは一度として会った事はない。そんな状態で私の想いを告げたところで一夏が困惑するのは目に見えている」

 

 俺の胸がチクリと傷んだ…。

 

「私は、中学を卒業すると自動的に「IS学園」に入学することが決まっている。ここは基本的に全寮制だから、しばらくの間は引越しをすることも無い」

 

 つまりそれは…。

 

「だから、今度は私から一夏に会いに行けるし、一夏の家にだって遊びに行ける。時間を戻すことはできないが、別の形でやり直すこともできると思うんだ。少しづつで良い、また私を知ってほしいのだ」 

 

 箒が最大限考えた結論なのだろう…。「あの頃に戻る」のではなく「新たにやり直す」という結論。あまりニュアンス的に違いはないだろうが箒がこの短い時間で必死に考えだした結論なのだろう。

 

「…すまない一夏。私は本当に浅ましく、自分勝手で愚か者だ。でも…それでも、私はお前の傍にいたいんだ…。もう一人は嫌なんだ!!」

 

 本当に箒は限界だったのだろう…。彼女の言葉の一つ一つが俺の胸に突き刺さる。

 

違う、違うんだ箒。本当に浅ましいのは俺の方なんだ。俺は箒の提案に心の底から安堵している。選ばなければいけない俺が箒の言葉に助けられてしまったんだ。

 

「…箒はそれで良いのか?」

 

「え?」

 

「やり直すか。そんな考えも悪くないな」

 

「じゃ…!?」

 

「改めてよろしく箒」

 

 あの時のように俺は笑顔で右手を差し出す。

 

 その意味を理解した箒はポロポロと泣きながら、俺の手をぎゅっと掴んで。

 

「あ、ありがとう一夏、本当にありがとう…」

 

 それから互いに携帯の番号交換を行い、その日は別れた。あれ以来、俺たちはメールのやり取りを欠かしていない。時々だが電話もしている。

 

 

 

 以上が事の顛末だ。また自分自身の心の弱さを再認識した瞬間でもある。そんなこんなと思考を凝らしていく内に、1つのドアの前に辿り着いた…。恐らく「ここ」がそうなんだろう。俺はドアを開いた

 

「あー、君、受験生だね。向こうで着替えてきて。時間が押してるから急いでね。」

 

 そこにいたのは、神経質そうな女性教員が1人だけ、俺は「はい」と声をかけカーテンを開けると、そこには一体の甲冑が鎮座していた。

 

 間違いない。日本が開発した量産第2世代型IS「打鉄(うちがね)」だ。

 

 いよいよだ…。ここから始まる。俺は高鳴る鼓動を抑えるように1つ深呼吸を入れる。ここから先、もう本当に後戻りはできない。俺の意思とは関係なく戦いの渦中へと巻き込まれるだろう。だがそれも「あるがまま」に受け止めてやる。

 

「いくぞ!!当方に明日を切り開く用意あり」

 

 

 

 

 その日、世界の流れを変えるような1つのニュースが駆け巡った。「日本の15歳の男子中学生がISを動かした。」というものだ。

 

 

 

 物語は二つ目の節目を迎える。これより始まるは喜劇か?悲劇か?引き続きご観覧ください




 今回の話は賛否が分かれそうだ…。でも15歳で箒の境遇を考えると、この程度は良いんじゃないかと考えてしまいます。

感想並びに評価を頂けたら幸いです

ではまた次回。

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