皆様が楽しんでいただければ幸いです
ではどうぞ・・・
どうも織斑一夏です。
只今、急遽IS学園から帰って来た千冬姉さんと家族会議をしている。先ほどまで家の周りには、マスコミやら変な科学者やらが押し寄せ得ていったが警察と千冬姉さんの一睨みで蜘蛛の子を散らすように逃げて行った
織斑家リビング
「しかし、大変なことになってしまったな」
千冬姉さんが茶を啜りながら言う
「うん、俺も不用意に触ったのは悪かったけど、まさか動きだすとは思わなかったよ」
スイマセン、本当は100%動くと思ってました。
「無理もない事だ。「ISは女性しか扱えない」こんな事はその辺の小学生でも分かる事だからな。しかし現に男であるお前は動かしてしまった。これがどういう意味か一夏、お前に分かるか?」
俺は頷いて、こう答えた。
「由々しき事態だってことは間違いないよね?それも世界の流れが変わるほどに…」
姉さんも真剣な目になる
「その通りだ。ISの登場によって女尊男卑の世界になってから幾年か経ち、良い意味でも悪い意味でもある程度バランスの保たれた世界が構築されつつあった」
「……」
「そんな最中にお前という新たな因子(ファクター)が出現した。今はまだ各国が混乱の状態にあるが、これが収束した後に、最悪なケースの話をすればお前は男性からは「希望の象徴」、女性からは「脅威の象徴」として認識されるかも知れない」
つまりそれは…。
「俺の存在は、今の女尊男卑を再び男尊女卑の世界に戻しかねないって意味で受け取っていいのかな?」
「そうだ。勿論これは飛躍した考え方だ。だが、どんな事が起こるか予想が出来ないのも世界と言うものだ」
それもそうだ。至極正論、誰もが異論の余地を挟むことなどできないほどの正論だ。今日が平和だからと言って、明日ミサイルを撃ち込まれないと誰が断言できるだろうか?少なくとも俺には出来ない…。原作の知識があろうともこの世界は予想もできないからだ。
現に俺を誘拐しにスコールとオータムが現れた。原作ではきっと違っていたのだろう。
そんな思考の中に入りかけたときに姉さんの言葉が響いた。
「だが、一つだけ確かなこともある」
「ん?」
「それは、私が一夏、お前の味方であるという事だ」
不敵な笑みを浮かべながら姉さんはハッキリと答えた。
「お前が倒れそうになったら、私がお前を起こそう。お前が迷いそうになったら私が最大限に導こう。お前が私を守るように私もお前を守る」
俺が呆然としていると、更に姉さんの言葉が続いた。
「一夏、私は本当に感謝している。もしお前が支えてくれていなければ、今の私はいなかっただろう。だからこそお前に言いたいんだ。助けて欲しい時は、まず私を頼れ。お前と私は「家族」なんだからな」
万感の思いが胸を渦巻いている。この人には、本当に頭が上がらない…。俺は姿勢を正して頭を下げた。
「その時は…よろしくお願いします!!」
「ああ、任せろ。いつまでも不甲斐ない姉ではいられないからな」
そんな風に言い姉はやさしい笑顔をしていた。
「さて、少し話は変わるぞ。今後のお前の処遇についてだ。主に2つの選択肢がある」
そう言って千冬姉さんは右手の2本指を立てた。
ん?2つとな
「2つ?IS学園に入る一択しか思い浮かばなかったけど…」
「うむ、それはもちろん大前提だが…。言い方が悪かったな。入学までの約2ヶ月をこの家で過ごすか、「倉持技研」で過ごすかという選択肢のことだ」
倉持技研(くらもちぎけん) 確か俺の専用機である白式の元々の製作、開発に加えて後付装備の開発もここが担当しいたようだったな。だが、白式の特性に加え、白式自体が「雪片弐型」と「雪羅」以外の後付装備を拒絶しているため未だ専用の後付装備の完成には至らなかった。しかも元々は「打鉄弐式」の開発も行われていたが、前述の通り白式の装備開発にスタッフが割かれてしまい、7割方組み立てられた時点で放置されてしまっていた様だが…。
「うーーーん。姉さん、IS学園の寮の空きはないかな?早い段階から寮に住むという選択肢を希望します」
などと提案してみたがスパッと切られた。
「生憎と寮の方は満室だし、そもそもお前の受け入れ態勢が整っていないのだ。だからその選択肢は、100%可能性はないものと考えた方がいい」
「ですよね~」
「まぁこの家にいるより向こうにいる方がメリットは多い。まずISに馴れる事ができるし、煩わしいマスコミ共も施設内に侵入はできない。私としてはこの案を推奨するがな」
確かに、千冬姉さんが言う事も最もだ。だが最新の原作情報に照らし合わせると技研の中には1人気を付けなきゃいけない人がいた。
篝火ヒカルノ(かがりび ヒカルノ)倉持技研の第二研究所の所長だ。切れ長の瞳と山田先生並の胸部装甲を持つ女性である。確か専攻はISのソフトウェアだったかな?「白式」のメンテナンスのために倉持技研に訪れた原作一夏の前に、濡れた状態でISスーツに頭に水中眼鏡を着けて銛と淡水魚を持った格好で出現したというトンデモナイ人だった。
高校生の頃の千冬姉さんと束さんの同級生であったらしいが、友達ではなくただの同級生であるとのことだ。初対面でいきなり原作一夏の尻を触ったり、上記のような格好で現れたため最初はヘンタイと思われた。
なんだか束さんと同じ匂いがするんだよなー。でも俺に選択肢はないし…。
しかたないか。
「分かった。俺は入学式まで技研でお世話になるよ。」
「そうか。そう言ってくれると助かるよ。」
姉さんも安堵の表情を浮かべた。
「すまないな、仕事上どうしても学園を長期間離れることは出来ないのだ。苦労をかける。」
そう言って頭を下げる姉さん。俺は慌ててしまった。
「そ、そんな事ないよ。それで俺はいつ頃から向こうに行けばいいのかな?」
「予定としては3日後となっている」
「分かった。じゃあ必要な物の準備をしておくね」
「ああ、そうしろ。何か要り様があったら買ってくるから私に言いなさい」
「うん、お願いします」
こうして俺は、倉持技研への出向が決まった。ん?そう言えば「あの子」はいるのかな?
「はははっ、ははっ、はあひいひひひひははっはは!!!」
けたたましい笑い声。オータムのものだ。余程嬉しかったのだろう。本当に「彼」には驚かされてばかりだ…。私も自然と口元が上がってしまう。2年前、ふとした興味から請け負った「織斑一夏拉致計画」。結果は私の予想を良い意味で遥かに上回るものだった。
純粋な格闘戦であのオータムを後一歩まで追い詰めたのだ。いや正確にはオータムは負けていた。本人も認めているところだ。「あの技」が決まっていれば、ほぼ間違いなくオータムは死んでいた。
あれから彼女は一夏君だけを唯一「男」として認め、自分が愛するに値する対象と決めたのだ。私も彼のファンになってしまった。一夏君に対しオータムほどの恋愛感情があるかと聞かれれば首を捻ってしまう。まだ自身の感情が分からないのだ…。だからこそ彼のファンという位置にいる。
しかし…本当に彼は楽しませてくれる。まさかISを動かしてしまうなんて…。誰が予想できるだろうか?
「うれしそうねオータム」
「ああ、嬉しいさ!!何かしてくれる奴だとは思ってたけど…。まさかISを動かしちまうなんてな!!本当にあいつは規格外だぜ。大したもんだよあたしの一夏は」
「ふふ、そうね。「あの子」も驚きを隠せなかった様ね。しばらく呆けた顔していたもの」
「あの子?あ~、ブリュンヒルデに似たあのガキか…。あいつ今どうしてるんだ?」
さして興味もなさそうにオータムが聞いた。
「自分の部屋にいるわ。以前に比べると随分と安定しているわよ」
「あーー、そういや最初は暴れて仕方なかったな~」
「ええ、でも一夏君の写真を見たら途端に静かになったわよね。それから確かこう言ったわ「この人が私の兄さんか?」って」
「だな。そっからまるで宝物みたいに一夏の写真を持ち歩いていたな。馬鹿な家畜共が面白半分で一夏の写真を取り上げたら、その日の内に惨殺死体の出来上がりだったけか?あんときゃ、しばらく血生臭くてたまったもんじゃなかったぜ」
あの時を思い出したのか顔をしかめながら愚痴っぽくオータムは話した。
「ふふ、そうね。でも彼女も写真とは言え何か感じたんでしょうね。一夏君が発する底知れない闇の気配を…」
「けっ、気に入らねえ。一夏の事はアタシとスコールが分かってさえいりゃ良いんだよ」
「まぁまぁ、そんなオータムに更なるビックニュースよ」
「ああ?なんだよビックニュースって?」
「時期はまだ未定だけど、IS学園への襲撃がほぼ決定したわ」
「!!」
「勿論乗るでしょ?」
「愚問だぜスコール。ああ~また一夏に会えるのか~。楽しみだな~。TVで確認したが更に大人っぽくなったしな~」
そう言いながらオータムは、頬を赤らめ目元が垂れてしまった。全く本当にご執心だ。
「その話は本当か…」
突然第3者の声が聞こえてきた。
「あら「M」来てたのね」
「て、てめぇガキ!?驚かすんじゃねえよ」
「何だ?「兄さん」の事を考えて、だらしない顔でも晒していたのか?…歳を考えろこの中年め」
鼻で笑いながら見下したような言い方をする「マドカ」にオータムは切れてしまった。
「ぶっ殺されてぇのかクソガキ!!!!それにアタシはまだ20代だゴラァァァ!!」
いきり立つオータムを抑える
「ハイハイ、抑えなさいオータム。「マドカ」もケンカ腰に接しないの」
「…ふん」
はぁ~この二人の仲もどうにかならないか…。オータムが落ち着き話を戻す。
「話を戻すわよ。IS学園の襲撃は私たち3人で行うわ。それまでは、また色々と忙しくなるから覚悟しておくこと。いいわね?」
「「了解だ」」
さて、また会えるのを楽しみにしてるわよ一夏君
「うむー…」
私はただ困惑している。一夏がISを動かしてしまった…。最初にニュースを見たとき何を馬鹿なと思ったが「打鉄」を装備した一夏を見た瞬間。飲んでいた熱い緑茶を盛大に噴いて対面に座っていた副官のクラリッサの顔面にかけてしまったのだ。
「あちゃちゃちゃたたたたったた!!」
床を転げまわる副官に慌たてて冷たいタオルを押し当てた。なんとか事なきを得たようだ。
「す、すまない!大丈夫かクラリッサ!?」
「は、はい。な、なんとか」
どうやら大丈夫のようだ、良かった…。
「隊長、「彼」が常日頃私たちに話していてくれた…」
「そうだ。織斑一夏だ」
「何というか…。本当に彼は一般人ですか?」
「確かにそう思うのも無理はないが、一夏は間違いなく一般人だ」
クラリッサが疑うのも無理はない。映像でも分かる雰囲気や立ち振る舞いは一般人のそれを明らかに逸脱している。
「…ふふふ」
どうやら一夏は私との約束を忘れていなかったらしい。
強くなった
「隊長?」
怪訝な顔をするクラリッサ
「何でもないさ。それよりクラリッサ、私がIS学園に行くのはいつ頃だったか?」
「そうですね。5月の終わりごろだったかと思われますが…」
「ふむ…。今から楽しみになってきた」
会えるのを楽しみにしているぞ一夏。
「で、ではIS学園編入試験の手続きが終わりましたので…。」
「ええ、ありがとうございます」
私はにこりと笑い、そのまま立ち去った。
「ふぅ~まさかISを動かしちゃうなんて…。予想外すぎるわよ一夏」
彼と別れてから一年、私は中国に戻りISの代表候補生にまで上り詰めた。私なり
に色々と考えた結果だ。一夏との再会はもう少し先かと思ってたけど、まさかこんな形で私の願いがかなうとは…。
「ふふ、一夏待っててね。もうすぐ会えるから…」
私はそんな思いを胸に、訓練所へと向かった。
一夏がISを動かした。そのニュースを知るや否や私は慌てて一夏の携帯に連絡した。詳しく事情を聴き、入学までの間は「倉持技研」でISの勉強をするそうだ。
予想外の事だ…。
でも、嬉しい。また一夏と過ごせる事がこの上なく嬉しい。IS学園で毎日一夏と顔を合わせる事ができる。ああ、今から楽しみだ。心に温かいものを感じながら私は布団へともぐった。
この展開をどなたか予想できたでしょうか?
感想並びに評価を頂けたら幸いです。
では次回から「倉持技研編」スタートです
あ、「あの子」が誰だか皆さん予想がつきますよね。
ではまた次回