IS~転~   作:パスタン

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皆様が楽しんでいただければ幸いです
ではどうぞ…


クラスメイトは全員女子3

 どうも織斑一夏です。

 

 時間は、放課後まで進み今俺は帰り支度をしている。あの後、俺は周りの女子たちに謝罪をして回った。怖がらせたのは確かだし一人一人に丁寧に頭を下げた。気にしてないと言われたが、いかんな…、俺も人の事を説教できるほど偉そうなことは言えない。月曜の対戦が終わったらオルコットさんにも謝ろう。

 

 そんなことを考えていると、織斑先生と山田先生が教室に入ったきた。

 

「あ、織斑君。まだ教室にいてくれたんですね。良かった〜」

 

「どうしたんですか?山田先生」

 

「寮の鍵を渡すのを忘れてました。はいどうぞ」

 

 そう、予め姉さんから寮での生活ができることを通知してくれたのだ。そういえば…。

 

「あの、3つ程質問があるんですが」

 

 これは絶対に聞かなければいけない事だ。

 

「ん?どうした織斑」

 

「部屋は誰かと一緒なんですか?」

 

「…」

 

「…」

 

 2人とも気まずそうな表情となる。ああ、何となく予想できた。

 

「あ、あのですね織斑君…」

 

「すまないな織斑。どうしても調整が間に合わなかった。少しの間、篠ノ之と一緒に生活してもらうことになったのだ。」

 

 やっぱりここは原作通りなんだ…。まぁそれはそれで構わない

 

「そうですか」

 

「ごめんね織斑君」

 

 山田先生が申し訳なさそうに謝る。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。それに気心の知れた箒だから問題ありませんよ」

 

「なら良いんですけど…」

 

 千冬姉さんも、少々心配そうだ。別に不埒な事はしませんよ。

 

「あ、もう一つは寮には男子トイレはありますか?」

 

「うむ、お前が暮らす1階と2階にそれぞれあるから心配はないぞ」

 

 よかった~。これはマジで死活問題になるからな。

 

「最後に、この事は箒は知っていますか?」

 

 そうこれだ!!ラッキースケベフラグを回避せねば、あの連続牙突がきたら避ける自信がない…。

 

「ああ、それは山田君に伝えるようにしたから心配せずとも…」

 

「…………」

 

 あれ?おかしいな、山田先生の表情がみるみる青くなった。おまけに冷や汗も出てるぞ。

 

「…山田君?」

 

 あ、姉さんの目が鋭くなった。

 

「すぐに伝えに行ってきまーす‼」

 

 おお…、原作の山田先生からじゃ考えられない様な速度で教室を出て行った。そのスピードは、まさに「脱兎の如し」である。

 

「…」

「…」

 

 呆気にとられていると、気を取り直すように姉さんが咳払いを一つした。

 

「…山田君の代わりに謝ろう。すまない織斑」

 

 本当に申し訳なさそうだ。おまけに頭も痛そうだ…。

 

「いえ…聞いて正解でした」

 

 俺は苦笑いをするしかなかった。

 

「少し時間が掛かるかも知れないから、学園を見て回るのも良いかもしれんぞ。」

 

 確かに良い案だ。お言葉に甘えよう。

 

「そうですね。早いうちに慣れないといけないし、ちょっと見て回ります。」

 

「うむ、それと織斑、これを渡しておくから明日までに提出しなさい。」

 

 そう言って姉さんは一枚の書類を俺に渡した

 

「これって…」

 

 書類の一番上には「IS貸出申請書」と記載されていた。

 

「2日だけならどうにかなるだろう」

 

 言葉は少なめだが姉さんからの気遣いを感じた。本当にこの人には、どこまでも敵わない。

 

「…何から何まで、本当にありがとうございます」

 

 俺は感謝の気持ちを込めて頭を下げた

 

「うむ、では私は会議に行ってくる。…頑張れよ」

 

 姉さんは、薄く笑みを作りながら教室から出て行った。ここまでして貰ったからには、いよいよ勝つしかなくなった。

 

「さてと、行きますか」

 

 目指すはトレーニングルーム棟だ。でもその前に、教室の前に張りついている女子たちをどうにかせねば…はぁ~気が重い

 

 そんな感じでやっと目的地に着いた俺は半袖のスポーツTシャツと同じく黒のスポーツズボンに着替えた。

 

「お〜い、おりむ〜」

 

「ん?」

 

 この独特なのんびり系癒しボイスは。

 

「おお、のほほんさんも来てたんだね」

 

 布仏本音(のほとけほんね) IS学園の1年生生徒会書記。袖丈がやたらと長い制服や私服や着ぐるみを好んで着ている。常に眠たそうで行動もゆったりとしており、のほほんとした雰囲気を醸し出すところから原作一夏は「のほほんさん」と呼んでいた。

 

 一夏のことは「おりむー」と呼び、会う度に腕などにくっついている。間延びした口調でズレた発言も多いが、たまに核心を突いた発言や正論を言うこともある。

 

 本人曰く、生徒会にいると仕事が増えるからほとんど仕事をしていないらしい。…それで良いのか生徒会。ちなみに布仏家は代々更識家に仕えてきた家系であり、更識姉妹の幼なじみでもある。だから彼女は簪の専属メイドでもあり、簪の世話やISの整備を手伝ったりしているそうだ。事実、整備の腕はかなりのものらしい。

 

「うん、私もトレーニングしちゃうのだ〜」

 

 実は先ほど謝った時も、この子が助け舟を出してくれたお陰で他の人への謝罪がスムーズに行ったのだ。本当に感謝です。今度お菓子を作る約束をすると、ものすごく喜んでくれた。

 

「はは、俺も負けてられないな〜」

 

「えへへ、それじゃ〜おりむーも来週の試合頑張ってね。応援するからね。」

 

 そう言ってのほほんさんは何処かに行ってしまった。 

 

 よし、そんじゃ頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 この日、私は偶然トレーニングルームに足を運んだ。特に理由はない。ただ面白いネタでもないかな程度の気軽なものだった。しばらくすると周りがざわついた。

 

「ねぇ、なにかあったの?」

 

 私は同じ2年生の子に聞いてみた。

 

「噂の男子が来たんだってよ」

 

 どうやら今日の私はついているようだ。振って湧いた思わぬ幸運にカメラを持つ手に力が入った。 

 

「へぇ、是非とも取材をしたい!!」

 

 うまく行けば我が新聞部の発行部数はとんでもない事になるかもしれない。そんな期待を胸に私は噂の男子、織斑一夏君の元へ向かった。直ぐに彼が見えてきた。一人黙々と柔軟体操をしている最中だった。ふむふむ、身長は180弱、なるほど顔立ちは織斑先生とよく似ている。体格は結構ガッチリしているようね。そんな思考をしながら私は取材ノートに自身の感想を書く。

 

 最初に驚いたのは彼の柔軟性だった。開脚をするとほぼ180度まで開き、そのまま体を倒すと床にまで着いてしまった。周りからどよめきの声が上がる。

 

 運動系の部活に所属している女子が口々に感想を言っているのが聞こえた。カメラのシャッター音がどよめきに紛れる。

 

「あんなに足って開くものなんだ」

 

「あれってほぼ180度開いてない?」

 

「凄くしなやかで柔らかい筋肉ね」

 

「あれだけの柔軟性を獲得するには一朝一夕では無理ね。恐らく長い時間をかけて鍛錬を積んだんでしょうね…。」

 

 ふむふむ、何らかの格闘技を長年やっている可能性が高いと、要チェックね。しばらくして織斑君はベンチプレスに向かった。

 

「うそ、いきなり60㎏から!?」

 

「すごい、私60㎏がマックスなのに…」

 

「やっぱり男の子だよね」

 

 男子のトレーニングなんてほとんど見た事がない女子たちからまた声が上がる。その時、彼のシャツが捲り上がる。

 

「ちょっと見てよ!お腹が六つに割れてるよ!!」

 

「やばい…ちょっとでいいから触らせてくれないかな?」

 

 勿論、その瞬間もカメラに収めた。…個人用に保存しとこ。結局ベンチプレスは80㎏まで持ち上げてしまった。その後もいくつかの機材を使ってトレーニングをする織斑君。

 

 でも私が本当に驚かされたのはここからだった。

 

 どうやら最後の締めにサンドバック打ちをするようだ。馴れた手付きでバンテージを巻き、足にサポーターをはめる。

 

 サンドバックの前で眼を瞑り1つ大きく深呼吸をし眼を開いた。その表情は真剣だった。半端なく真剣だった。まるで実践の様に隙のない構え、自然と緊張が高まる。

 

 最初は感触を確かめるように叩きそして蹴る。しばらくするとそのスピードが上り、同時に、サンドバックから重厚な音が響くようになった。スピードも然ることながら、一発一発の衝撃音がその破壊力を物語る。女尊男卑…。男は小さくか弱い生き物だと誰もが口を揃えて言うが、この男の子を見ても同じ事が言えるだろうか?

 

 そして最大限に力を込めた渾身の右ストレートをサンドバックに放った。

 

「!!!」

 

 圧巻の光景だった不覚にもこの瞬間をカメラに収められなかった…。

 

「…サンドバックって『縦』に揺れるの?」

 

 そう、「縦」に揺れたのだ…。IS学園では絶対にお目にかかれない光景だ。

 

 あーー!!!私の馬鹿!!何見とれてるのよ!?けどいつまでも悔やんでいられない早速部室に戻って記事の作成をしないと。明日の一面はこれで決まりね。

 

 

「IS学園にサムライ現る」

 




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