尚、今回は少々短めです。
それでも皆さんが楽しんで頂ければ幸いです
ではどうぞ・・・
織斑一夏 身長181cm 体重70㎏
鍛えこまれた肉体、格闘術、剣術は原作一夏と比較にならないほどのレベルにある。 その正体は転生者だが、神様に会う事もなく、これと言った転生特典も無い。織斑一夏として、そして今の自分として生き抜くことを胸に掲げている。
若干思考がオタクな感じだが、真面目で勤勉な性格。基本的に目立つのは苦手、しかし言わなければいけない事はしっかり意見する。密かにヒロインズにボコボコされないよう日々を奮闘中である。
専用機「白式」
どうも、只今本場イギリスの方に紅茶を淹れている織斑一夏です。日本では豊富な軟水を100℃まで沸騰させ、ガラスのティーポットに先に注ぎ、温まったポットにティースプーン2〜3杯の茶葉を入れて3〜4分蒸らす。
最後に茶こしで茶ガラをこしながら、濃さが均一になるようにまわし、"ベスト・ドロップ"と呼ばれる最後の一滴まで注ぐ。砂糖とミルクと一緒にお盆で運び、セシリアの前にカップを一つ置く。
「さぁ、どうぞ」
「あ、ありがとうございます。…いただきますわ」
少し緊張しながらもカップに角砂糖を2個入れて、ゆっくりと味わうように飲む。
「あ…」
セシリアが少し驚く。え、もしかして美味しくなかった⁉︎やべーな緑茶にすりぁよかったかな?
「ど、どうかな?」
若干吃りつつも感想を聞く俺。
「これは、ダージリン…とても美味しいですわ」
どうやらお気に召したようだ…。よかった〜ちょっとビックリなのです。
「はは、本場イギリスの方にそう言って貰えるなら嬉しいよ。これはスコーンとジャムも用意しとくべきだったかな?」
「まぁ、『一夏さん』たら」
おや、名前で呼んでくれた。そう言えば彼女がまともに俺の名前を読んだのこれが初めてじゃないかな?…まぁー本人は気づいていないが可愛い笑顔をしてるし、無粋な指摘は無しにしよう。
「ははは」
「ふふふ」
俺たちは互いに少し笑い合った。
しばらく雑談をしているとセシリアが急に真剣な表情をした。
「その、今日は一夏さんに謝りに来ました」
「ん?」
そう言って彼女はその場から立ち上がった。
「この度は、男性の方を軽視した発言。そしてあなたを侮辱してしまい本当に申し訳ありませんでした。後日クラスの皆様にも同様に謝罪いたしますわ。」
作法に沿ったその姿勢は、彼女が心から謝っている事がよく伝わるものだった。っていうかもう俺は全然怒ってないんですけど。折角謝罪をしてくれているのに無碍(むげ)には出来ないよな…人として。むしろ俺も彼女に謝らなければいけないことがあるしな。
「うん、謝罪を確かに受け取りました。そして俺も君に謝罪しなければいけないことがある。」
自分も立ち上がり、しっかりと頭を下げた。
「三流候補生の発言、本当に申し訳なかった。どうか許して欲しい」
「で、でもそれは一夏さんが私を戒めるために…」
戸惑うセシリアに俺は続ける。
「だとしてもさ。…戦ったから分かる。君の強さは本物だ。白式の性能と2人の協力がなければ…間違いなく俺は負けていた」
「セシリア・オルコット、君は強かった。そんな君に勝てたことを誇りに思う」
「セシリア・オルコット、…君は強かった。そんな君に勝てたことを誇りに思う」
優しく微笑みながら…でも真っ直ぐに私に伝えた偽りのない言葉…。
お金目当てに寄ってくる人達が着飾った言葉と全く違う。何か言わなければいけないのに出来ない。涙を抑えるので精一杯だった。
彼から与えられた最大級の称賛への嬉しさと、そんな相手に慢心しあまつさえ途中まで手加減をしてしまった自分の愚かさに…。それでも自然と言葉が出てきた。
「うぅ、ふぅ…わ、わだぐじは…ただ、寂しくて…」
「うん」
「父も、母も…急に死んでしまって、突然知らない人たちが来て…怖くて」
「うん」
「そ、それ、でも私は、大切な、オルコット家を、思い出を護りたくて…失いたく、なくて」
「うん」
「必死に頑張っても、分かって、くれるのはチェルシーしかいなくて…日本に来るのも、ほ、本当は不安で…それがばれるのが怖くて…一夏さんにも、皆さんにも、あ、あんな、心にもない酷い事を…」
呼吸さえ苦しくなる。もう自分が何を言っているのかも分からない。罪悪感、愚かさ、悲しみに押し潰されそうになる。
「大丈夫だよ」
そう言いながら私の両手を優しく包む暖かく包む一夏さんの手。安心する、心が暖かくなる。
「その気持ちを、ちゃんと皆に伝えよう。俺も一緒に謝るよ。だから大丈夫」
尚も彼の言葉が続く、優しく全てを受け入れてくれそうな笑顔をしながら…。もうやめてください。これ以上はもう…、本当にもう…。
「ここには織斑先生・山田先生・クラスの皆、そして俺もいるんだ」
「だから、もう大丈夫!セシリアは独りじゃないよ」
「あ、あ、あぁぁぁぁ‼‼‼‼」
もう限界だ。これ以上、我慢できない。私は彼の胸に飛び込んで幼子のように泣き出してしまった。今まで溜め込んでいた涙を全部出してしまうように。そんな私を彼は黙って抱きしめながら背中をさすってくれた。
それはまるで、自分よりも遥かに多くの経験をした大きな男性に包まれている。そんな不思議な感覚だった…。
「今日はありがとうございました。」
ドアの前でゆっくりとお辞儀をするセシリア。目元は腫れぼったく少し赤くなってはいるが、その表情はどこか晴れ晴れとしたものだ。
「もう大丈夫?」
恥ずかしいのか?少し頬を赤らめながら答えてくれた。
「ええ、たくさん泣かせていただきましたから」
彼女も運命に翻弄されながらそれを良しとせず、必死に戦っている人なんだ。まだ年端もいかないのに強い娘だ…純粋にそう感じた。
「あ、あの…」
「ん?」
え?何ですか?モジモジして…やめてよ、そんな可愛い仕草をしないでよ。…思わず萌えちゃうでしょう。お兄さんを萌え萌えにして何が楽しいの?
「その、遅くなりましたが私のことは『セシリア』と呼んで下さいまし。これから私は『一夏さん』とお呼びしますわ」
…うぉーー‼皆の衆よ、セシリア様からお許しが出たぞー‼宴じゃー、宴の用意じゃーーーー‼しかも身長差があるから自然と上目遣いになるー!
可愛らしい顔してとんでもねー凶器を隠し持っていやがった。
セシリア…恐ろしい子。
まぁー、そんなふざけた思考は絶対に表に出しません。蜂の巣にはなりたくないもん。
「うん、これからよろしくねセシリア」
そう言って右手を差し出す。恒例だがこれをやらないとダメな気がするんだよなー。
「はい、こちらこそ宜しくお願いしますわ」
しっかりと俺の右手を掴むセシリア。その笑顔は澄んだ湖のように透き通るものだった。
いかがだったでしょか?
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次回はside箒&簪のお話し