IS~転~   作:パスタン

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皆様が楽しんで頂ければ幸いです

ではどうぞ・・・


無人機との戦い2

「簪!?」」

 

 鈴だけでなく俺も驚いた。まさかピットを破壊してアリーナに入ってくるとは…普段の簪からは考えられないほどのアグレッシブさだ。

 

「簪…」

 

「一夏、私も…戦う!」

 

「!!」

 

 少ない言葉だが、簪から俺は確かな意志と思いを感じた。

 

「分かった…一緒に戦おう!!」

 

「頼りにしてるわよ」

 

「!!、…うん!!」

 

 予想外だったが、これは最大級のチャンスだ!

 

 簪のお陰で勝ちの芽が広がった。ここで俺は2人に敵ISの情報を伝えた。

 

「2人とも聞いてくれ。戦っていて一つだけ分かったことがあるんだ…」

 

「どうしたの一夏?」

 

「…何か重要なこと?」

 

「結論から言えば…あれに人は乗ってない」

 

 俺の言葉に某然とする2人。慌てて鈴が声を荒げる。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!あんたはあれが『無人機』だって言いたいの?!」

 

「一夏…それはあり得ない」

 

 二人から否定的な声が上がる。

 

「勿論理由はある。1つ目はあのデタラメな機動性だ。人間の反応速度と関節の構造上から見れば、あんな動きは到底不可能だ。鈴はあれと同じ動きが出来るか?」

 

「それは…」

 

 俺の言葉に言い淀む鈴。更に俺は続ける。

 

「2つ目はこの状況だ」

 

「どういうこと…?」

 

「俺たちが会話をしてる時に限って、あいつは殆ど攻撃してこないんだ」

 

「!…確かにそうね。これだけ話をしてれば攻撃しても良さそうだけど…」

 

「でもあり得ないよ一夏。ISは人が乗らないと動かない。そういうものなんだもん…」

 

「そうでもないさ。極端な話をすれば研究の成果を黙っていれば、いつまでも実現不可能という偽りの事実だけが残る」

 

 簪がまだ不満そうな顔をしているが、ここで鈴が再び口を開いた。

 

「いいわ、あれを無人機と仮定しましょう。それでどうするの?」

 

俺は無言で〈八龍〉をクローズし〈雪片弐型〉を出す。

 

「3方向から時間差で攻める!狙いは両腕。敵の武装はあのビーム砲だけだ!そんで、それを破壊したら鈴と簪は遠距離から最大火力で沈めてくれ。いくら奴が頑丈でもIS2機の同時攻撃を喰らえば一溜まりもないだろう…」

 

「分かった。それで行きましょう!」

 

「うん…こっちも大丈夫!」

 

「よし!作戦開始だ!」

 

 

 

 

 

 

 最初に動いたのは一夏だった。

 

「うおぉぉぉおおおおお!!」

 

 正面から近づき上段からの袈裟斬り。奴は難なく躱し一夏に攻撃をしようとする。が、今度はそれだけでは終わらない

 

「せぇぇぇい!」

「うりぁぁぁぁ!」

 

鈴は〈双天牙月〉、簪は超振動薙刀〈夢現〉による左右からの同時攻撃。しっかりと不明機の両腕に当たる。その攻撃により僅かだが装甲が破壊され、そこから僅かにだが配線やコードが見えた。

 

ここで一旦3人は不明機から距離を取る。

 

「いい感じだ。奴は反応できてない!このまま押して行くぞ!!」

 

 この3方向からの時間差攻撃が功を奏した様で、少しづつではあるが不明機の両腕の装甲が削れていく。

 鈴も簪もそれぞれの獲物を全力で扱いヒット&アウェイの要領で攻める。遂には殆どの装甲が破壊され剥き出し機械部分が露わの状態になったのだ。

 

 

 

 

 このまま押し切れる一夏はそう確信していた。

 

 

 

 

 だが…ここで予想外のハプニングが起こった。

 

 

 

 

 バッキィィィィンンンンンン

 

 

 

 

 突如として響いた甲高い破壊音。それは鈴の方から聞こえてきた。

 

「なっ!」

 

 一夏は驚愕した。

 

 そこには、無残に刃が全損した双天牙月を持ち呆然とする鈴の姿があった。そんな無防備な状態を敵を見逃すはずなく鈴に向かって拳が迫る。

 

「りぃぃぃぃぃん!!」

 

 咄嗟に一夏は鈴を横から押し退けて庇った。

 

「ぐう!」

 

 防御は間に合ったが、それなりのダメージだ。再び3人は不明機から距離を取った。

 

 

 

 

 

 

 何て事だ…。ここに来て、こんなことが起こるなんて…原因は間違いなく俺の一撃だ。試合の最初に放った刺突。あのダメージで…。

 

 …いや、起きてしまったことは仕方ない。あるがままに受け入れろ。そして考えろ、この状況で最善の戦略を見つけるんだ!!

 

 俺は、この状況を打開できる作戦を頭をフル回転させて考える。

 

 

 

 良し…これしかないな、取り敢えず鈴を何とかしないと…。

 

「あっ、ああっ…」

 

「鈴!しっかりしろ鈴!!」

 

 今だに呆然とする鈴の肩を掴んで俺は叫ぶ。

 

「っ!!い、いちか…」

 

 俺の声に目の焦点が合ったようだ。

 

「大丈夫、落ち着くんだ。衝撃砲はまだ使えるか?」

 

「う、うん。まだ使えるわ」

 

 良し受け応えもある程度しっかりしている。恐らく大丈夫だろう。

 

「簪、〈山嵐〉と〈春嵐〉は?」

 

「損傷はしてないからいつでも撃てる…」

 

 よし、作戦の前提条件はクリアした。ここで俺は作戦を二人に伝える。

 

「2人とも作戦の変更だ。俺が何とかして奴の両腕を切断する!2人は遠距離からの攻撃に集中してくれ!」

 

 〈八龍〉を展開し、クローを限界まで伸ばす。

 

「ダメよ一夏!もう十分じゃない!?ここから遠距離で攻撃すればあいつに当たるはずだわ!!」

 

 鈴から否定の言葉が入る。俺は鈴にしっかりと状況を伝える。

 

「鈴…確かに俺たちは相当なダメージを与えたと思う。だが奴は今だに動きはある程度は機敏だ。…万が一、避けられでもされたらそれこそ終わりだ」

 

「でも…でも!」

 

「鈴!!」

 

 尚も反論しようとする鈴に俺は思わず怒鳴ってしまう。

 

「っ!!」

 

「これが最善策だ」

 

 ビクつく鈴に俺はピシャリと答えた。

 

「……」

 

「大丈夫。無理はしないよ」

 

 それだけ伝えると俺は更に高度を上げ、ある程度の高さで停止する。

 

 イグニッションブーストを含めて全力の零落白夜を打てるのは一度きり…。この一撃で…必ず決める!!!

 

 逸る気持ち沈めて一気に急下降。途中でイグニッションブーストを発動して不明機へと迫る。回避行動を取る無人機に向かって更なるブースト、ダブルイグニッションを発動。

 

 俺の突然の軌道変更に着いて行けない不明機は少しだけ動きが止まる。

 

 

 

 今だ!!〈零落白夜〉発動!!!!!

 

 

 

 両手のクローが上下に展開し収納される。そして雪片弐式と同じ青白いレーザークローが展開される。俺は零落白夜を纏った両手を手刀の様にして大きくバンザイの様に振りかぶり、そのままの勢いで振り下ろす。

 

 瞬間、奴の両手がバターの様に切れたが、俺の攻撃はまだ終わらない。

 

「まだだーーー!!!」

 

 俺はその場で回転した勢いで右回し蹴りを叩き込む。なす術なくまともに食らった無人機はそのままアリーナのシールドへと叩きつけられ、磔のようになった。

 

 俺はその場を離れながら二人に向かって叫ぶ。

 

「鈴、簪!!!撃てーー!!」

 

「いけーーー!!フルパワーよ!!!!」

「オールウェポンファイヤーーーー!!!!」

 

 

 磔となった無人機にミサイル群、荷電粒子砲、そして衝撃砲が殺到。2機分のISの最大火力が無抵抗の無人機を蹂躙する。

 

 結果、全ての攻撃が被弾、両足も無くなり胴体も穴だらけになった無人機は重力による自由落下をし、遂にはグラウンドへと叩きつけられた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 呼吸を整えながら暫く上空から観察したが奴はピクリとも動かない。

 

 …どうやら完全に機能を停止したようだ。

 

「はぁ〜〜、終わった…」

 

 深いため息とともに緊張を解くと2人から通信が入ってきた。

 

「い、一夏…本当に終わったの?」

 

 恐る恐るといった感じの簪の問いに俺が答える。

 

「ああ、どうやら完全に機能が停止したようだ…」

 

「はぁぁぁ〜〜〜…、しんどかったわ…」

 

 鈴の気の抜けた返事が聞こえた。全くもって同感だ…。今日くらいはシャワーじゃなくて湯船に浸かりたい。そんな考えをしていると姉さんから通信が入った。

 

 

『織斑聞こえるか!』

 

『はい、聞こえます』

 

『こちらで不明機のエネルギー反応の消失を確認した。そちらの被害状況はどうなっている?』

 

『白式の装甲が中破しましたが、3人とも無事です』

 

『そうか…3人とも本当によくやってくれた。ピットに医療班を待機させてある。3人はすぐに戻るんだ』

 

「了解です」

 

 俺は鉄くずとなった無人機を一瞥し、そのままピットへと進んだ。




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