どうもみなさん、織斑一夏です。シャルロット・デュノアに関する三人だけの会議を終えて幾日か経った日のことだ。あの後シャルは俺を交えて姉さんと楯無さんの軽い事情聴取の様なものを受けた。こちらに協力的かつシャル自身の人当たりの良さは二人にとって良い心証を与えられたようだったので割と柔らかい雰囲気でその時間は過ぎて行った。
それから時は流れ、帰りのHRでのことである。
「さて最後に、来月から行われる学年別トーナメントについてだが皆には重要な知らせがある」
「今回行われる学年別トーナメントでは、より実戦的な戦闘を行うためタッグでの参加を必須とする。尚、ペアが出来なかった生徒は抽選で選ばれた生徒同士で組んでもらう」
いよいよか……。原作の様なラウラと険悪なムードはないからな、鈴やセシリアが出場辞退なんて場面は起きないだろうが、何かしらのイレギュラーが発生しないかが気になるところだ。
「もう一つある」
「今回織斑とデュノアの二人には特例として強制的にタッグを組んでもらう」
「そ、それはどうしてですか⁉︎」
「そうです!納得できません‼︎」
「落ち着け二人とも、もちろん理由はある」
苦笑いしながら二人を宥める織斑先生に周りからクスクスと笑いがこぼれ、二人もそれを感じ取ったとの若干顔を赤らめながら席に着いた。この二人は人間的には大分成長しているようだが、俺が絡むとまだまだ直情的になってしまうんだよな~。
まぁ、慕われているんだから嬉しいことなんだが……。
「まず今回タッグを組むことについてだが、これは先のクラス対抗戦のようにまた襲撃者が襲ってくるとも限らない部分からの処置だ。タッグを組むということは単純に考えてもIS4体の戦力となる。もしものことがあっても制圧部隊が突入するまでの時間稼ぎには対処できる十分な戦力だ」
「それは……」
「それに襲撃者が織斑やデュノアの様な男性陣を狙ってきたとしても、二人が固まっているということは護衛する側も分散されずにいられる。そのために必要な処置なのだ。納得はできないだろうが各々は理解してほしい」
「……」
「話を続けよう。チーム登録は来週の月曜日までに1年生の担任あるいは副担任にチーム名とメンバーを所定の用紙に記入して提出。月曜までに決まらない生徒は自動的に抽選に回されるので注意するように。では授業を終わろう」
~放課後~
「てな理由で俺とシャルルはタッグを組むことになったんだ」
「なるほど、確かに気持ちでは納得できないけど理解は出来るわね。うまい言い方」
「?」
いまいち理解できていないのか簪が首を傾げた。それに対して鈴は続きを説明する。
「納得はできないだろうって言葉は一夏やシャルルと組めない私たちの不満や不平の気持ちを汲んでるっていうこと、そして理解してほしいって言葉は現実的に対処しなきゃいけないことを知ってほしいってことね。自分たちの我儘でこの二人が危なくなったらそれこそ色々な部分で立場も危うくなるしね。あの織斑先生がここまで言ってるのよ?これで誰も表立って批判はできないわ」
「なるほど、鈴すごいね」
目をパチパチしながら感心している簪を鈴は苦笑いしながら話すをつづける。
「まぁそれは良いとして……。そいうことならさっさとパートナ決めに行こうかしら。皆また後でね」
「私もパートナー探しに行ってくるね」
そう言って二人は足早にパートナー探しへと去って行った。鈴はセシリアと組みそうだけど簪はだれと組むのかな?そんな疑問を感じながら俺はトレーニングルームに足を進めた。
それからあっという間に1週間が過ぎたある日の食堂での風景。
「生徒会ニュ-スをお送りしまーす。司会は生徒会長更識楯無」
「生徒会会計の布仏虚です。みなさんよろしくお願いします」
「さぁ!タッグトーナメントマッチまで残り2週間。全生徒のチーム登録も終わり臨戦態勢に入っている頃でしょう」
「さて今回の特集はIS学園新聞部の協力で、大会の注目チームをピックアップ!!」
「最初にご紹介するのは、元気印の中華娘々『凰鈴音』と英国淑女『セシリア・オルコット』からなる『ブルー・ドラゴン(青龍)』」
「凰選手の甲龍は継戦能力に優れ近中距離戦を主体なバランスの取れた万能タイプ。一方のオルコット選手のブルー・ティアーズは遠距離支援と精密な狙撃に優れた遠距離タイプ。バランスの取れたチーム構成は優勝候補の一つに挙げられます。さらに未確認情報ではありますが、両機ともに今大会のために追加武装を組んでいる模様とのことでこの辺も大会での見どころの一つになりそうですね」
「次に紹介するのは、日本の剣術小町『篠ノ之箒』とドイツ軍の黒ウサギ『ラウラ・ボーデヴィッヒ』からなる『シュヴァルツ・カメーリエ(黒椿)』」
「篠ノ之選手の紅椿は世界初の第四世代機。攻撃、機動、防御とすべてにおいて一線を画した能力があるものの搭乗者である彼女がどこまで機体のポテンシャルを引き出せるかが注目ですね。一方のボーデヴィッヒ選手は軍所属ということでISに関しては経験豊富であることから新人とベテランの良いコンビになるでしょう。二人のチーム力がどのような結果を生むのか?楽しみなところです」
「続いては、頑張れ妹ズ!お姉ちゃん達も応援してるぞ!!ラブリーマイエンジェル『更識簪』と1年生の癒し少女『布仏本音』からなる『ビルドファイターズ』」
「更識選手の打鉄弐式は国産初の第3世代機。旧来の打鉄を遥かに凌ぐ性能は打鉄のさらなる可能性を見せてくれるでしょう。布仏選手は選手パラメーターま完全に未知数ですがこれがどの様に影響してくるか。注目選手内で一番のダークホースと考えられてます」
「簪ちゃーーーん頑張ってね!お姉ちゃん応援してるから!!!お姉ちゃんの愛はまさにインフィニ」
~~~~~~~~しばらくお待ちください~~~~~~~
「視聴者の皆様には大変お見苦しい姿を晒してしまったことをここにお詫び申し上げます」
「じゅ、じゅびばせんでじた!!」
「それでは最後に紹介になります。全世界注目の男性操縦者コンビ!日ノ本の若侍『織斑一夏』と西洋の貴公子『シャルル・デュノア』からなる『ブラン・ラファール(白き疾風)』」
「彗星のごとく登場した織斑選手。実力は折り紙付き、1年生唯一のワン・オフ・アビリティーを発現した白式を駆り大会に殴り込み。一方のデュノア選手はリヴァイブを独自に改良したカスタム機体には30以上の武装を搭載。これらを臨機応変に使い分ける技量も持ち合わせた実力派コンビになってます。すべてを巻き込む疾風は今大会でどのような活躍を見せてくれるのか?私たち二人も非常に楽しみにしているチームです」
「今大会は色々な意味で盛り上がること間違いなしでしょう。それぞれが力を尽くして素晴らしい大会になることを期待しながら本日はこの辺で失礼したいと思います。お相手は更織楯無」
「布仏虚でした」