ピンポーン
「お兄ちゃん小町手離せないから出てー」
「はいよー」
ガチャ
「トリックオアトリート!!」
そこには魔女に扮した綾野が居た。
「何やってんの?」
「え?今日はハロウィンだよ?」
そう言いながらこてっと首を傾げる。
その服装も相まってとても可愛らしい。
「いや知ってるよ?」
「なら……」
「良いか綾野もともとハロウィンと言うのはだな…」
「お兄ちゃん玄関じゃなくてリビングで話せば?」
「あ……すまん綾野」
「う、うんうん気にしないで」
***
「比企谷君」
「ん?なんだ?」
「さっきの続き…」
「あぁそうだな…どこまで言ったっけ」
「えっと…ハロウィンとは…だっけ?」
「そうだったな…ハロウィンとは秋の収穫を祝い悪霊などを追い払うというとても神聖な行事なんだよ。だからリア充共がいちゃこらいちゃこらするのはおかしいんだよ。だから俺はこれらこの行事にのっとり家の布団の中で神聖な祈りを捧げようと思う」
「そうだよね……じゃあ私かえ……ってまったー!!おかしいよ!!」
「どこがおかしいんだ?」
「ハロウィンの説明は分かるよ!でも最後布団の中って比企谷君が寝たいだけじゃん!!」
「チッばれたか」
「ばれるよ!!」
「はぁ……じゃあ何すんの?」
「えーとパーティー…ハロウィンパーティーしよ!!」
「家に何も無いぞ」
「そこは大丈夫!!私がお菓子とか持ってきたから」
「じゃあやるかー」
「いぇーい!!」
***
あれから30分ほど俺と綾野は忙しなく家の内装をハロウィン仕様にしていた。
カボチャやらガイコツやらコウモリやらいったいどんなけハロウィンが楽しみだったのかと思わずにはいられないほど綾野は張り切っていた。
ちなみに小町は友達の家に行った。
後何故か小町が出かける前に俺に向かってサムズアップした。何故だろう?
「よしこっちはおっけー比企谷君の方は?」
「俺の方も大丈夫だぞ」
「やっとパーティーだ!!」
すると綾野はおもむろに鞄の中から大きめの箱を取り出した。
「何が入ってるんだ?」
「ふっふーんじゃーん」
箱を開けるとそこにはクッキーやケーキなどが入っていた。
「おぉ」
これには流石の俺もびっくりせざるをえなかった。たしかに綾野は料理が好きだと前言っていたがまさかここまでとは…ケーキなんて売り物として出せるんじゃないかと思うほど完成されている。
「なんか凄いな」
「そう?早く食べてみて」
俺はキッチンから持ってきたお皿に均等に切られたケーキをのせた。匂いをかぐとカボチャのいい匂いがした。
「パンプキンケーキか」
「うんそうだよハロウィンだしね」
「それじゃいただきます」
「………どう?」
「あぁ美味いいままで食ったパンプキンケーキの中で一番美味い」
「本当に?良かった〜不味いって言われたらどうしようって思ってたから安心した〜」
「これなら何個でもいけるわ」
「クッキーは妹さんと食べてね」
「ありがとな」
「気にしないで」
***
「ふう〜ごちそうさま」
「比企谷君殆ど食べたね」
「美味しかったからついな」
「料理人冥利に尽きます」
「あれなら毎日食べたいくらいだな」
「え?」
「ん?」
「っ〜〜」
何故か綾野は顔を赤くして俯いてしまった。
「ど、どうした?」
「うんうんなんでも……ない」
「なら良いけど……」
「あっもうこんな時間だ!!帰らないと」
「送ってこうか?」
「良いの?」
「あぁこんな時間帯に女の子を1人で帰したら小町に怒られるからな」
「ふふ…本当に小町ちゃんが好きなんだね」
「当たり前だろ。あんなに可愛い小町を嫌いな人なんていないからな」
「良いなー私も比企谷君みたいなお兄ちゃんが
欲しかった」
「綾野は一人っ子なのか?」
「うんだから兄弟が欲しくて」
「まあまりオススメはしないがな」
「そうなの?」
「いたらいたで苦労するんだよ」
「そ、そうなんだ……そろそろ行こっか」
「あぁ」
「本当に今日はありがとね」
「ん?」
「急に押し掛けたのに…」
「気にすんな綾野の美味しいケーキが食べれたから安いもんだ」
「また行っていい?」
「俺が暇な時な」
「それって……毎日じゃない?」
「な、何言ってんだよ俺とか超忙しいから」
「本当かな〜?」
「まじまじ」
「ふふ……ここまでで良いよこっから近いし」
「ん……じゃあな」
「うん!!ばいばい比企谷君」
「……ばいばい」
綾野が歩き出したのを確認してから俺も家に帰ろうと反対を向いた時だった。
「比企谷く〜ん!!」
後から綾野が呼んでいた。
何だと気だるけに返事をし、後ろを向くと綾野がめいっぱい息を吸い言葉を発した。
「ハッピーハロウィーン!!」
それだけ言って綾野は走っていってしまった。
本当に綾野は嵐みたいな奴だ。
しかし、そんな彼女といるのが楽しいのかもしれない。
ふと口の方に違和感があったので触ってみると口角が上がっていた。それはおそらく笑っているのだろう。
「ハッピーハロウィン……綾野」