了子さんがノイズを大量に町へ解き放つ中で、四人は町へ繰り出す。
そして金色の戦士は、巨大なエネルギーを持つ完全聖遺物、ネフシュタンの鎧へ。
その鎖が剣のように、鞭のように操られながら、剣風で装甲を破壊するが、すぐに再生する。
「再生能力が高いかッ」
「不死身の化け物である貴様とは違うが、この身はいまは立花響の融合症例に合わせ、完全聖遺物と融合している。この身をどう攻略する?」
「そうだな」
身体からカードが現れ、レリーフから一枚のカードが飛び出る。
二枚のそのカードは金色の13の二つでは無い為、現れた瞬間、その姿を変えた。
「なら」
剣のようなムチを弾いたのは、醒剣ブレイラウザーで、
「こうするさ」
取り出したカードをそれにスライドし、カードの力を呼び起こす。
≪スラッシュ バイオ ポイズン チェーンヴェノム≫
「ッ!?」
刀身が草木の蔦へと変わり、ムチのように振るう。紫の液体をまき散らしながら、巫女へと絡みつき、それを叩き付けるように斬り付けた。
「なに………!?」
その時、僅かに異変に気づく。
ネフシュタンの鎧が感電するようにエネルギーがうなり、装甲が砕けだす。
「俺が何年、響の身体。聖遺物と人の身を分けてきたと思う?」
「まさか」
「俺の力、アンデッドジョーカーの力。これで俺は響の融合を押さえて来たんだ。融合を解く毒の生成。できないと思うか」
「チイィィィィィィィィィィィ」
急に距離を取り出し、ノイズを放つが、
「ノイズ程度っ」
剣を一振りするだけで、波のように押し寄せたノイズが吹き飛ぶ。
その瞬間、鎧から五枚のレリーフが黄金に輝き、解き放たれ、重醒剣キングラウザーへと取り込まれる。
≪スペードⅡ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ ストレートフラッシュ≫
雷と共に二降りの剣を握りしめ、辺りに解き放ち、大地を吹き飛ばす。
「やはり、その身体、その力、万能の力とはよく言ったものだッ」
重醒剣キングラウザーを肩に担ぎ、醒剣ブレイラウザーを向ける。
◇
「いまなら飛べるッ、あたしの歌っ!! これがあたしの全力だッ!!!」
飛翔しながら一振りの槍として、けして貫けぬものは無いと言わんばかりにノイズを吹き飛ばす奏。それに続くように、
「吹き飛ばしてやっらあぁぁぁぁぁぁぁ、やっさいもっさいっ!!」
クリスは飛行機のように外装を増やし、弾丸やレーザーをまき散らす中で、翼も全てを両断する剣として、己の剣を振るう。
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
巨大な爪を纏う響が獣のように吠え、ノイズを次々と討ち滅ぼす。
マフラーが尾のように翻し、一真を睨む。
「なにしてるッ、さっさと倒すか救うかして」
「悪い」
「くっ、なら」
その時、ノイズを出す聖遺物を身体に差し込み、それに全員が集まり驚く。
「なに!?」
「まさか、フィーネの奴ッ。ソロモンの杖と」
その時、無数のノイズが放たれては取り込まれ、地下の施設から剣が、
「デュランダルか」
「まずいっ、あれも取り込む気か」
翼と奏の言葉と共に、その姿を現す先史文明の巫女たる彼女。
赤い竜のようなそれは、二つの完全聖遺物。デュランダルの無限のエネルギーと、ネフシュタンの鎧による完全修復。それらが合わさった存在だ。
ギアが強化された装者達。それを振るうが再生能力が高く、逆に無限のエネルギーの力と共に薙ぎ払われる。
『所詮、限定解除された聖遺物であろうと、所詮は玩具。完全聖遺物に対抗できると』
瞬間、その言葉を遮るように、無数のカードが舞い上がる。
「ウッリィィィアァァァァァァァァァァ」
叩き込まれる雷鳴は、赤い竜の壁を打ち破りかける。
『化け物がァァァァァァァァ、その身で、その身体で、永遠に分かり合えぬ身で、ことごとく逆らうなァァァァァァァァア!』
「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
無数の光弾がブレイドに降り注ぐ中、それを見た響は、
「やめろ………」
そう呟き、
「一真を傷つけていいのは、アタシダケダァァァァァァァァァァァァァァ!」
そう叫び声を上げたとき、赤い竜の傷口から光が輝き、それに奏達は驚く。
「あれは、デュランダル?」
「まさか、響の叫びに反応して」
「デュランダルはまさか、あのバカを主に選んでる?」
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
その叫びに光が一層輝き、無数のムチやノイズが放たれる。
それを刃と槍が防ぐ中、一人不機嫌な装者がいるが、
「チッ、しゃーねーなッ」
クリスはその傷口に弾丸を放ちながら、意図に気づき、ガングニールの回転と共に、そこに飛び込む奏。
『くっ』
防壁のような壁の中、敵でもあり、仲間だった人を見つめる。
「悪いけど、あたしはあんたが憎い」
目の前にいる巫女に、そう奏は言う。その言葉に、僅かに苦笑する。
『なら教えてやろう、お前の両親達がノイズに殺されたのは、私が襲わせたからだ』
その言葉に、心臓をわしづかみにされかけた。だがすぐに我に返り、睨み返すだけにとどめた。
「………昔のあたしなら、それで怒り狂ってただろう。だがいまは」
槍が回転し出し、静かに吠える。
「やるべきことを、見失ってたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
『くっ!!』
「いま気合い入れてるやつらの為に、旦那達の為にも、ここで終わりにさせてもらうぜっ!!」
回転する槍が爆発し、その勢いでデュランダルを持つフィーネは、それを放つと、すぐに空へと飛び上がる。
「翼ッ」
蒼ノ一閃が吹き、デュランダルを響の下に。
「来イ、デュランダルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
その手に取る瞬間、黒い闇が身体を覆う。
【ぐ、グウゥゥ】
その様子に、地下のシェルターの扉が吹き飛んだ。
「正念場だ、踏ん張りどころだろうがっ」
中から二課のメンバーや、未来の友達。そして彼女が現れた。
「強く、自分を意識してくださいッ」
「昨日までの自分をっ」
「これからなりたい自分を!!」
「まだ私達はあなたと友達になってない」
「これから色々あなたの話を聞くんだから」
「負けないで、ビッキーーーーーっ」
シェルターから出て来るみんなの姿に、響は驚く中、その中に未来がいる。
(未来………)
「響ィィィィィィィィィィ」
『黙らせてやるっ』
無数のムチが放たれるが、ブレイドが剣を投げて弾く。すぐに醒剣へと切り替えて、残りを全て防ぐ。
「響ッ」
それに、
【………ダカラ】
それに、闇と光が合わさったように、黒と白の翼を持ち、赤い眼光で剣を振り上げ、クリス、翼、奏と共に剣を掲げ、
「ウオォォォォォォォォォォォォォ!」
吹き飛んだ重醒剣キングラウザーを手に取る。
その様子を見た瞬間、五つのカードを彼女達の下に投げ渡す。
「使え響っ!!」
「一真を傷つけていいのはッ、私だけだァァァァァァァァァア!!」
そう叫び、光を放ちながら二つの剣を重ねる。
≪スペードⅩ J Q K A≫
「一真がくれた明日を、ジャマスルナァアァァァァァァァァァァ!」
≪ロイヤルストレートフラッシュ≫
デュランダルと共に、その咆哮を振るう。
『その力、何を束ねたッ』
「明日を信じる、大馬鹿野郎たちの、シンフォギアダァァァァァァァァァァァ!!」
五つのカードが光を束ね、その一撃を放ち、赤い竜を撃ち滅ぼす。
それは爆発が起きるが、響は見た。
その炎の中に飛び込む、明日を掴む化け物を………
◇
「………ここは」
「気が付いたか了子くん」
怪我で包帯を巻く弦十郎は上着が無く、私にかけられていた。
コートを外している、緑の血によって汚れているものは、私の身体に触れている。
「私の身体を治癒しているのか」
【あのままじゃ、肉体もそのまま壊れていたからな。響に人を殺させない】
「ハッ、貴様は………」
周りの目を気にせず、化け物の姿をさらす。
どう思われようと気にせず、それは臆することもせず、敵を救おうとする。
「「………」」
そいつを慕う者は納得してなさそうだが、何も言わず見ていた。
無論、親を殺された者もいる。
だが誰も止めない。なんともバカバカしい。
「………傷つけていいのは私だけ、か」
そう呟く中、
「貴様に一つ聞く、剣崎一真。先史文明よりも遥か先から続く、その戦いを終わらせて、お前は何を得た?」
人の身で無くなり、どれほど人を救おうと、お前は総合理解を失った世界で、人の争いを見続けていたはずだ。
なのに、
「なぜおまえは………人を愛せる?」
【………】
それに静かに、
【仲間がいるからだ】
「装者達か」
【それだけじゃない】
そして空いている手で、心臓に手を置く。
【ここに俺の仲間たち。始たち、仮面ライダーとして戦った、俺の仲間たちがいる。彼らの明日があるこの世界、俺を愛した人たちの明日がある世界。だから俺は何度だって、この世界を、人を愛する】
愚か過ぎる答えを、それは言った。
「………死した者達の為に、お前は世界を救うと言うのか………争い、お前を受け入れぬ世界を」
【ああ】
即答だった。
迷いも無く、それはそう言い切った。
「………貴様は愚かだ、剣崎一真………人の身を無くし、化け物と化した愚かな存在」
【よく言われる】
そう言う中、静かに空を見て、僅かに笑う。
「月の欠片が落ち始めている。藤尭辺りに調べさせてみろ」
「なんだとっ!?」
その言葉に、軌道計算し出す。結果はすぐに出て、下手をすればここに落ちる月の欠片に、化け物は空を見る。
「………ちっ」
そう短く、立花響は舌打ちした。
「一真、月の欠片は私がどうにかする」
【響】
「一真はその女を救え」
そう言って飛び上がろうとする時、
「響!!」
小日向未来が呼び止めるが、
「………必ず帰ってくる」
そして静かに微笑みながら、
「今度は、帰ってきたら、迎えてくれるよね」
それに少女は涙を流しながら頷き、そして飛び立つ。
【響】
その後、
「だーーーー響の奴、旦那、行ってくるっ」
「奏、私も」
「くそったれがっ」
そして三人も飛び上がる中、それを見る。
「いいのか、貴様は」
【………信じる】
そう小さく、
【俺が間に合うまで持ちこたえると】
呟いた………
◇
気持ちよく歌を歌った。
未来が待っている。けど、私は………
「えっ………」
暖かい光が私を、私達を包む。
その温もりは、あの日、あの雨の中、ノイズを素手で倒した、怪物の………
「一真………」
「………もう俺は必要ない」
「一真っ」
私の声が響く。一真がどこかに行く。
「いやだよ、なんで………なんでっ!?」
「俺は運命と戦い、勝ってみせる。そう始や、仲間に言った。けれど、本当に俺は正しかったか分からない………それでも、やっぱり俺はこうなんだ」
そう言いながら、頭に優しい手が触れる。
「かずまぁ………」
溢れる涙、一真は静かに、
「俺は人間と一緒にいられない………俺は多くの人間を守りたい、この運命に戦い続けたい。そのために、俺は戦う………」
「かずまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
私達が目を覚ます頃、地面の上にいて………
剣崎一真の姿は、どこにも無かった………
◇
「………いまさら高校生、似合わない」
「似合う似合わないは関係ないよ響」
あの後、未来が一真に言われて、私達を初めに見つけ、現在、装者は生死不明にして、雲隠れしている。
櫻井了子は、生きている。
だが先史文明の巫女、フィーネは死んだ。幸いかなんというか、櫻井了子は別人となり、さまざまな理由でごまかす。
元々、自分と繋がっていた米国関係者は、もういないらしい。いたとしても表だってなにも言えない。この国でテロ紛いのことをしていたなんて、誰も言わないのだ。
「というわけで、弦十郎くんの監視下で、このまま二課に滞在することになったわ。あなたのボーイフレンドの所為よ」
「アァ?」
クリスが変な声を出す。
「失敬、クリスのボーイフレン」
「アァ?」
これは私。
「分かったわ、二人のボーイフレンドの所為」
「「違うッ」」
クリスと揃って言い。藤尭が苦笑したので、雑誌を投げつけておく。
翼はやや呆れ、奏は、
「違うのか、ならもらってもらおうかな?」
「「!」」
「奏っ!?」
ニシシと笑う奏を睨みながら、未来が耳を引っ張り、勉強に戻される。
確かにあの日から勉強なんてしていないが、だからっていまさらどうかと思う。
ちなみに融合の症例があるため、無理矢理、適合率を上げて戦うことは禁止になり、色々と面倒になった。
全て何も言わずに消えた、一真が悪い。
結局一真は、どこかへ消えた。
一真だけ、この輪の中から消えた。
「………一真のばか」
私は小さく、そう呟いた………
どこか遠い土地、ではなく公園で、風鳴弦十郎は静かにベンチに座る。
「いいのか、このまま姿を消して」
独り言のように、静かに呟く。返事は無く、ただため息と共に呟く。
「響くんはこのまま新生リディアンに通い、クリスくんも通う。君の願い通り、人の中に二人は戻る。装者としてではあるがな。無論、欠片が侵食しないよう、細心の注意を払うし、了子くんがどうにかすると息巻いていた」
「………ならいいさ」
そう、初めて呟く。
「君はいいのか、了子くんがいるとはいえ、響くんの融合症例による、聖遺物の融合は危険なんだ。二人を説得するのに、俺や緒川がどれほど苦労したか。君がいてくれれば」
「………すいません」
そう静かに言い、弦十郎は黙り込む。
こうして彼と会話するのも最後だろう。最後にする気なのだろうと知りながら、彼はずっと最後まで自分ですら姿を見せず、ただ結果を聞くのみだった。
だからこそ、最後に、
「君は、人間の中に戻る気は無いのか」
「はい」
最後の問いかけに答える。彼は静かに、
「俺は見えなくなるだけで、そばにいるさ。響たち、いや、人間になにかある時、俺は必ず駆けつける」
「………君は」
「響たちのことはあんたに預ける、ただそれだけだ。俺はいる、人の、人類の側に………」
そして彼の気配が消えた。また人々の隣、誰かの下へと出向く。弦十郎は静かに、
「頑固者が………」
彼はそう呟き、その場から立ち去った………
次回ルナアタック事変最終回、そして次のステージへです。
感想などで自分が考えたものの感想や評価かッ!?と思うほど、皆さんに愛されて嬉しいです。
活動報告や感想の方で、様々なご意見や感想、誤字報告などありがとうございます。
それでは次回、ルナアタック事変、最後の1枚として次回のお話の準備します。その後G編、GX編を物語作成します。
それではそれまで待っていてください。
お読みいただき、ありがとうございます。