戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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調と切歌にトラウマを与え、一人で眠れなくした響とクリスのベストマッチ。

一真は一真で勝手に動く。

こうして物語は形を変えながら、進みだす。


第5枚・それぞれの願い

 二課にて、

 

「聖遺物の機械的安定起動方法に時間と労力を割いていた機関。そして私の次なる器候補を集めていた。という程度しか認識していなかったが、まさか聖遺物『神獣鏡』をステルスに使うとは」

 

「それ、物凄く覚えがあるんだが」

 

 奏の言葉に、了子はばつが悪い顔になる。正直彼女の親が見つけた物だが、了子が調査の為に他国に流したのだ。

 

 奏の両親はノイズにより死んでいる。天羽奏以外、生存者無しであり、彼女がけしかけたものである。

 

 物凄く居心地悪そうに、静かに小さくなり、情報を提示した。

 

「この聖遺物は装者が見つからず、また聖遺物としてはかなりランクが下がるために、機械によるステルス機能が可能になったようだ。だから装者の襲撃並び、ヘリの出現や追跡ができなかった」

 

「はあ、厄介だな。それと、装者達が遭遇した聖遺物。名をネフィリム。これが私の記憶通りなら、聖遺物を食べる」

 

「聖遺物を?」

 

「そうよ。本来は複数いた個体が共食いし合い、ネフィリムと言う個体になった孤立型完全聖遺物。私が知る限り、何かしらの実験に失敗、のちに活動を停止した。そう聞いている」

 

 そう言いながらコーヒーを飲み、一息つき、そこから考えられるのは、

 

「ネフィリムで何をしたいか分からないが、少し検討する」

 

「頼む、俺達は装者達探索か」

 

「それと、私が流したリンカーの情報から、アンチリンカーを生成したのでしょうね。響ちゃんの話じゃ、建物に入ってからギアが重くなっていったと言う当たりガス状。今後屋内戦闘は避けるべき案件だ………」

 

 そう締めくくり、その中で彼が現れなかったことも気になる。

 

「剣崎一真、此度の事件、どう関わるか」

 

 了子はそう言いながら、クリスと響が物凄い勢いで獣のように、一真の写真を殴るものや壊すものに貼り付けていたので、奏が呆れる。

 

「ったく………好きな奴なのに、どーしてあーなるんだかね~」

 

「子供なのよ、まあ分からなくは無いわ。人がせっかく、櫻井了子として生きると諦めたのに、まったく気づかないから、核爆弾でも用意したくなる時があるわ」

 

「やめてくれ、誰だろうと使用しないでくれよ」

 

 弦十郎の言葉に、了子はため息をつき、奏は少しばかり頬をかく。

 

 

 ◇

 

 

 私は布団でくるまりながら考える。

 

「しらべ~平気デスぅ?」

 

 覗き込んできた切ちゃんに、顔だけ出して、話をする。

 

「ごめんね………」

「謝らなくていいデス、私も怖くてマリアとセレナとで一緒に寝たほどデスから」

 

 後で二人にも謝らないと………

 

 聞いていた話と全然違う、何もかも違い過ぎだ。

 

 あれは英雄じゃなくって魔王だよ。

 

「それもあるけど」

「アジトが無くなって、ネフィリムを育てるのに、聖遺物が必要………」

 

 つまりあの人と戦わなければいけない。少なくても、すぐに聖遺物を所持する組織は、あの人がいる場所しかないのだから、当然だった。

 

「………やろう切ちゃん」

「調」

 

 お布団から出て、私は静かに起き上がる。

 

 私よりも辛いのはセレナとマリアだ。

 

 マリアはフィーネの魂に塗りつぶされて、セレナは本当のお姉さんが変わっていくのを、黙って見ているしかない。

 

 二人とも、本当の家族じゃないけど、私達にとって大切な人。このままなんて、いやだ。

 

「行こう切ちゃん、マリアは戦わせることはできない。セレナはマム達の護衛をしている、動けるのは私達だけ」

「デス、そうデスね」

「天羽々斬、時限式のガングニールを」

「手に入れるデスっ」

 

 ま、まずは、弱いところからね………

 

 

 ◇

 

 

 それは秋桜祭。私立リディアン音楽院にて行われる学祭、それの歌を歌うステージ。

 

 板場を初めとした仲良し三人組、彼女達と言うより、板場の目的、アニソン同好会を設立したいらしく、この優勝すれば生徒会権限の範囲なら叶えてくれる商品の為、ステージに立ち、歌う。

 

 だが、チーンと鳴る。

 

「くうぅぅぅ、だが、まだ切り札があるッ。そう、お願いビッキィィィィィィィ」

 

 そう叫ばれ、私はステージを歩く。

 

 その衣装は未来が用意した為、なぜかボーイッシュになるが、曲の内容が内容の為に、致し方なしだし、私はひらひらしたものより、こういうのがいい。

 

「特撮ヒーロー物っ、頼むよビッキー!!」

 

「頼まれた以上は、歌ってやるよ」

 

 それになぜかきゃあぁぁぁぁぁぁぁと言う悲鳴が響くが、怖いからとかじゃない。未来が時々、ワンピースとか着た時にあげる声に近い。

 

 そして私は選ばれた選曲を歌う。

 

 なぜか、一真達、仮面ライダーが頭をよぎった………

 

 

 ◇

 

 

 私はいま切ちゃんと共に、敵の本拠地へ侵入している。

 

「調、平気デスか」

「うん………」

 

 あの人の顔が過る。偽善者と思っていたあの人の顔が怖くて、夜眠れない。夢の中で私を追ってきたんだもの。マリアの布団に入ったのは悪くない。

 

 おかしい、話と全然違うのだ。偽善者、いまを知らずに、英雄扱いの人のはずなのに、あんな人だなんて知らない。思わない。怖い。

 

 

 

『都合の悪い時は人殺し、都合が良い時は英雄。第三者の言葉が私は嫌いだ』

 

 

 

 どういうことなの? 話と全然違い過ぎる印象。

 

 正直会いたくない。会ったら………何されるか分からない。

 

(けど、マリアに無茶はさせられない。聖遺物を使えば、フィーネの魂に塗りつぶされる。マリアがマリアじゃなくなる、セレナや私達を置いて………そんなの嫌だ)

 

 そして私達は勇気を振り絞って、前へと進む。

 

 

 ◇

 

 

「ほう」

 

 なんで見ているのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!

 

 聖遺物を手に入れる為に、私達はお祭りのステージに立った。

 

 なんでも好きな物が手に入り、イチイバルの人が歌っていた。だから私達は聖遺物を手に入れるため、ステージに飛び入りする。

 

 そしたらステージの観客席、その奥にあの人が静かに笑みを浮かべた。

 

 笑ってる。

 

 こっち見てる。

 

 なんでいるのッ!?

 

 切ちゃんが涙目で生まれたての小鹿のように震えている。

 

(けど)

 

 それでも、

 

(勝つよ、マリア)

 

 私達は戦う。

 

 私達は歌うよマリア。

 

 

 ◇

 

 

「ん、響がサブミッション系を思い出したり、中を壊す方法を考え出してる気がする」

 

 そう思いながら、静かに何かが起きるのを待つ。

 

 草野球チームの練習を手伝いながら。

 

「いくぞッ、俺の昔の取り柄」

 

 暇なとき、こいつらと出会ってから、時々こうして教えている。子供達からはケンジャキと呼ばれている。

 

 どうしてこう俺は滑舌が悪いのだろうか、オノレデケーロっ!

 

 そんなことを考えていると、ん?

 

「ん、三人足りないですね」

「あっ、はい。彼奴ら、剣崎さんが来てから楽しんでるのに………」

 

 監督さんがそう言う。おかしいな、フォークの投げ方とか教えてくれって言ってたのに。

 

「ケンジャキさん、ボール行ったぞぁぁぁぁ」

 

「ウェェェェェェェイィィィィィィィィィィィィィ」

 

 考えていると、ボールがこっちに飛んでくる。

 

 ボールを取ろうとしたら顔面に当たる。鼻血はまずい。

 

 そうこうしているとき、

 

「ブ、ゾロゾロブバイバ」

「いつもすいませんね」

「ブエ」

 

 そろそろ別の場所に移動しようと、一声かけて抜けることにした。

 

 鼻押さえながらだから発音がおかしい、仕方ないか。

 

 そしてバイクに乗り、ヘルメットを付けた瞬間………

 

「!」

 

 ノイズの気配に気づく。

 

 

 ◇

 

 

「おやぁ?」

 

 その男は目的を達した。だが目撃者である少年の三人組を見つける。

 

 少女達は叫ぶ、だが聞く耳を持たない。

 

(やめてっ)

 

 その少女の叫びに、

 

『ターンアップ』

 

 光の門がノイズの進撃を防いだ。

 

「!」

 

 そしてバイクごと通り抜け、金色の戦士が、バイクから雷鳴と共に現れた。

 

「………」

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 少年たちは異常事態に逃げ出し、その様子にほっと胸をなでおろす。

 

 そして、

 

「貴方は、カードの使い手ですか、邪魔を」

 

「黙れ」

 

 ノイズが無数、ブレイドに放たれるが、黄金の波動がそれを吹き飛ばす。

 

 静かにバイクから降りた瞬間、大地が揺れた。

 

「貴様は………俺の本能を刺激した」

 

「! くっ」

 

 無数のノイズが現れる。

 

「どうやらあなたも英雄希望のようですが、英雄は一人で十分なんですよッ」

 

「知るか」

 

 鎧が輝き、ノイズを吹き飛ばす。

 

 それに驚き、再度取り出そうとするが、空間から現れた瞬間、黄金の輝きに焼かれて、ノイズは煤に変わる。

 

「なっ、なっ!?」

 

 重醒剣を取り出し、引きずりながら、近づいていく。

 

「………」

 

 だが不意に顔を上げ、獅子のレリーフが輝き、振り払うように、銀の腕を弾いた。

 

「がっ」

 

『セレナっ』

 

 いまの彼はインカムの音声が耳に入り、静かに顔を上げ、煤を見渡しながら、銀の歌姫を見る。

 

 一瞬驚くように顔を上げ、しばらく見つめていた。

 

「………なぜだ」

 

「………あなたは」

 

「なぜ君は、彼らを助けるのが遅れて現れた」

 

「っ!?」

 

 その瞬間、僅かに心音が早まり、動揺している。

 

 ソロモンの杖を持つ男はその隙に逃げようとしたので、キングラウザーを片腕で投げ、その前の地面をくり抜いた。

 

「ひいぃぃぃぃい」

 

 しりもちをつく男は無視し、再度見る。

 

 歌姫は、いまにも泣きそうな顔で、彼を見た。

 

「………君は、僅かに躊躇った。もしくは、気付くのに遅れたな」

 

 

 ◇

 

 

 それは少し前でした。

 

「ドクターっ、マムお願い!! 私に米軍の兵士と戦わせて」

 

 いま私たちのアジトに、米軍の工作員が現れ、対処しなければいけなくなった。

 

 だけどドクターは、ノイズを使って彼らを確実に殺し、抹殺している。

 

 私は、こんなことを、私達はこんなことをしたいわけではない。

 

 だけど、

 

「無理を言うのではありませんセレナっ」

「ダメよセレナっ、なら私が」

「マリア姉さんが戦うのは駄目っ、リンカーで身体が、なにより、フィーネに近づく」

 

 その言葉に、姉はなにか衝撃を受けたように固まる。

 

 そしてマムは、

 

「セレナ、貴方が出ることは許しませんっ」

 

 そうマムが告げた。

 

 なぜなの、私達がやりたいことと、全く違うのに。

 

 私は部屋から出て、モニターから、現実から目を背けた。

 

 扉の奥から、悲鳴が聞こえる。姉さんはどうして、マムは………

 

『おやぁ?』

 

 その時、姉さんが叫んでいる。

 

 それに気づいてモニターを見たら、無関係な民間人に、ドクターは手を向けようとしていた。

 

 私は急いで外に出た。そして、

 

「………」

 

 どうしてあなたがいるんですか?

 

 どうしてこんな形で会わなきゃいけないの?

 

 あの日、私たち姉妹を、大切な人を救ってくれた人は、

 

「………行くぞ」

 

 私の敵として、現れた………

 

 

 ◇

 

 

 少女は歌う、己のギアの性質を上げ、戦う為に。

 

 青年は黄金を放ちながら、彼女を倒さんと、拳を振るう。

 

 バッタのレリーフが光り輝くと共に、ジャガ―のレリーフも光る。

 

 動きが速くなり、その蹴りが少女を襲う。

 

「がっ」

 

 そのまま建物を壊し、中に入る。

 

 そして追うように、ゆっくり彼は迫ってきた。

 

「………なんでだ」

 

「………」

 

 ――やめて………――

 

「なぜ君が、あの日、命を捨ててでも誰かを守ろうとした君が」

 

 ――やめてッ!!――

 

「こんなとこにいるんだ………」

 

 ――そんな悲しそうに、言わないでッ――

 

 ――あなたに知られるくらいなら、いっそ罵って、嫌って――

 

 ――あの日、救われた命なのに、私は、私、は………――

 

「………!」

 

 槍が迫り、それを素手で掴む。

 

 それに驚きながらも、

 

「マリア姉さんっ」

 

 

 ◇

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 マントと共に回転し出し、彼に対して立ち向かう。

 

「………」

 

 コマのような形状のもの。触れるものを弾く、竜巻のような物。

 

 なのに彼は手を差し入れるように、軽々と破り、自分の首を掴んだ。

 

「がっ」

「歌えなければ、装者は無力だ」

 

 そう静かに言いのけ、手を差し込んだ。

 

「!」

 

「………いや………イヤアァァァァァァァァアアアア―――」

 

 その光景を見たセレナ。悲鳴のような叫びと共に、銀の刃が彼を貫き、吹き飛ばした。

 

「………えっ………」

 

 この世の物とは思えない叫び声に対して、今度は小さく短い悲鳴。

 

 それは、赤い血ではなく、緑の血だった。

 

「………」

 

 黄金の鎧から流れているのは、緑の鮮血が舞う………

 

 

 ◇

 

 

「がっは、はあはあ………」

 

 肩で息をするマリア姉さん。なぜかスーツは傷付いているが、姉は無傷であり、私は困惑する。

 

 目の前にいる戦士は、あの日の人。間違いない。

 

 だけど、

 

「そ、それ、は………?」

 

「………」

 

 傷口を抑えるはずが、すぐに手をどけた。傷はもう、無い。

 

 緑色の血、人間の、生物では無い、血………

 

「あな、たは………」

 

「俺は怪物だ、あの日、俺は戦闘本能であれと戦っただけだ。君らを守ったのは偶然だ」

 

 そう彼は言い、僅かに身体がブレた。

 

「………あの日から、歳をとってない?」

 

 それに気づく、あの日の記憶と彼は瓜二つ過ぎた。

 

 私は大人になったのに、あの人は変わっていない。

 

「………君らは綺麗になった」

 

 そう悲しそうに呟き、また身体がブレる。

 

「!」

 

 だけどその瞬間、無数の爆薬が点火された。

 

 彼の足元が爆発して地下へと崩れる。

 

「マムっ」

 

『二人とも、ドクターは回収しましたっ。急いでその場から離れなさいっ』

 

 いつの間にかドクターは逃げていた。

 

 彼がいた位置は陥没しているが、これで終わるとは思えない。

 

 マムの言葉に、静かに従い、今は去る………

 

「………」

 

 だけど………

 

 あの人の悲しそうな顔と声が、心から消えなかった………

 

 

 ◇

 

 

「逃がしてよかったのか………くそ」

 

 しばらくして、地面を吹き飛ばして出る。

 

 あのまま戦闘を続行してもよかったが、警報も無い事態だった。一般人の避難は十分ではない。

 

 向こうは一般人を構わず巻き込むのなら、これ以上の戦闘は危険と考えた。

 

 だが、

 

(………なんであの子が)

 

 僅かに残る記憶から、あの日見た子、会話からもそれは間違いない。

 

 腕から薬のにおいがする。これで問題は無いだろう。

 

 だが正しいか分からない。

 

 俺は間違ってばかりだ。

 

「………それでも、あの子のあの顔は、望んでいるわけじゃない」

 

 ならやるべきことは一つだろう………

 

 ともかくここから立ち去らなければな。

 

 

 ◇

 

 

「というわけで、決闘を申し込まれました」

 

 あのチビ達は、私達にあの場、少なくとも学園内での戦闘行動はせず、場所を指定してきた。

 

 正直、あそこで戦うのは、いまの私はできない。

 

 ツインテは顔から血の気が無くなっていたが、いまは関係ないな。

 

 気になるのは歌を歌い、クリスの聖遺物を手に入れようとしたこと。その時のあの子達は、テロリストなどの犯罪者でも、私のように心が壊れているようでもない。

 

 壊れたもの(わたし)に怯えるさまは、まさに普通の人間のものだ。

 

 それでも戦うことを選択するため、何か裏があるのだろう。それなら罠があるだろうが、彼女達の指定した場所に出向く。そう話を進めた。

 

「まあ罠があるだろうな」

 

 あの子達ならともかく、どうもウェル博士だけは別だ。あれは信用できない。

 

 そして、ノイズの出現。どこぞでノイズが発生。だが大量の煤だけで、なんなのかはいま調べている。

 

 だけど分かる。一真がいた………

 

 クリスも頷く、あそこに一真がいたんだ。

 

 私は身体を休めて、静かに考えていた。

 

 ノイズを倒すことは、シンフォギア以外では自壊を待つしかない。それか、仮面ライダーたちしかいない。

 

「考えるなんて、昔の私なら考えられない」

 

 壊すことしかできないと思っている。いまも、そうだ。

 

「なら壊してやるよ、一真」

 

 あんたも含めて悲しい運命なんて、

 

「私が全部壊してやる!!」

 

 待ってろ、一真………




セレナと一真の関係がヒロインっぽいな。

物語はリディアン跡地で戦いが始まる。

それではここで、お読みいただきありがとうございます。
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