ともかく、罠と知りつつもリディアン跡地へと向かう。
そこで起きる出来事は………
私の好きな人は、命を捨ててでも守ろうとした家族を守り、私を守ってくれた。
燃え盛る炎を消し去り、血の歌を歌おうとした妹を止めてくれる。
あの後だが、あの子も彼を好きになり、そして彼を見たらしい。
黒い髪に黒い瞳、黄金を纏い、剣を振るう戦士。
私は彼に感謝してもしきれない。
だけど………
◇
「「………誰かを殺したくなった」」
「なぜだっ!?」
深夜の夜、指定の場所へ向かう装者達。
今回は奏、リンカーも打てるように持ち歩きながら、対処する気だ。
カ・ディンギルの跡地。そこに出向くのだが………
私ならあの子達の行動に怒り、悪い奴はこれを使って、のこのこ現れる私達を殺る。
「ちょうどいい、そいつをサンドバックだクリス………」
「ああ。ハチの巣にしてやらぁ」
「なぜこうも好戦的………剣崎さんがなにかしたのか!?」
「まったくもう」
翼も奏も染まりつつある。
◇
「で、やっぱりかっ」
そこにいたのはチビ達ではなく、ウェル博士。
ノイズを大量、もう無尽蔵に取り出して、自分は戦わない。
「貴様らはなにを企てるっ、F.I.Sっ」
「企てる? 人聞きの悪い………我々の望むのは人類の救済っ」
そう言い、いまの欠けた月を差す。
「月の落下にて損なわれる無辜の命を可能な限り救い出すことだ」
「なにっ!? そんなこと」
「そんな馬鹿げ………いや、可能性があるかっ」
「月の落下なんて馬鹿げた災厄なんて、各国機関が察したとしても」
「どう対処すればいいか分からない災害だ。そんなん口外するわけにもいかない。いま月の落下が分かる連中は、自分達が助かればいいと思う連中かっ」
クリスと共に人間の、偉い人間の考えを察して語る。それにウェル博士は笑う。
そしてネフィリムと叫ぶと、地面から何かが出て来る。
「生物型っ」
「チイィィィィィィィイ」
だが気になる事がある。こんな世界災害、あれが黙っているわけはない。
世界を守る、化け物が………
【フォォォォォォォォォ】
その時、咆哮と共に衝撃波がノイズを吹き飛ばす。
「な、なんですかあれはっ!?」
驚愕するウェル博士。知らない奴が見たら驚くだろう。
「アンデッド」
「カプリコーンっ!!」
それは山羊の始祖、カプリコーンアンデッド。
続くように次々とアンデットが現れ、ネフィリムと呼ばれたものやノイズを倒し始める。
だが自分達を阻む壁のように、アンデッドが襲い掛かっても来た。
「響、雪音。これは」
「アンデッドだっ、リモートで完全制御のな」
「腰ベルトがラウザーなら、一真が変身してるはず………」
「ラウザーって、カリスの赤い奴のこと、だっけか? んなもんいるのかっ」
時折一真のことを説明したおかげで、多少の説明はしなくて済む二課の面々。
リモートにより現れたのは、上級アンデッドとⅩのアンデッド。何人かの下級、戦闘力で選ばれたのだろう。そしてクラブのQとKは外されている。
だがこの局面で、彼奴がいない訳がない。
「い・たッ」
口元を歪め、睨むアンデッドは双剣を振るうギラファアンデッドだが、腰のベルトはラウザーではない。
だが、
「一真ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
私は挨拶として拳を放ち、貫くことは無かったが吹き飛ぶ。
そして地面に転がると姿が変わる。
「あれは、カメレオン?」
「カメレオンアンデッドの力で、ギラファに変化しやがって」
カメレオンのその腰には、青いジョーカーラウザーが巻かれていた。
【なぜバレた………】
困惑する声を出すが、二人は即答した。
「「一真の存在ならすぐに分かるんだよっ!」」
立ち上がりながら、クラブのA、スパイダーアンデッドがカードに戻り、手元に戻り、バックルに入れた。
「………仕方ない、取っていたものだ。あまり時間も無いからな」
『オープンアップ』≪アブゾーブクイーン エボリューションキング≫
「っ!? それは」
姿が変わる。あまり見ないレンゲルのキングフォーム。
レンゲルはキングフォームのシステムもとい、ラウズアブゾーバーのシステムは対象外だ。
だが一真のは、そもそも物が違う。似せているだけで、一真が取り込んだバトルファイト関係物として取り出している。つまりはラウズカードと同じ扱い。
だからか知らないが、後付けで違う用途で作られたシステムとかみ合っている。
レンゲルのキングは、ギャレンと同じレリーフが隠された、絵柄が無い装甲の鎧。専用のラウザーを持つが、
「はあぁぁぁぁ」
力を込めてそのまま動かなくなる。
それに不思議がると、アンデッド達が襲い掛かってきた。
「一真? 一真なんでこんな面倒な、一真」
分からない顔をしながら、レンゲルは手に持つラウザーを落とす。
「………睦月、力を………俺に貸してくれ」
静かに歩く。それと同調するように、鎧に亀裂が走る。それと共に光があふれだす。
「「なっ」」
その瞬間、13枚のカードが舞い上がり、周りを旋回する。
絵柄、ラウズカードの金色のレリーフが現れ、爆発するように光が辺りを包む。
装甲が崩れ、13枚のカードがギルドラウズカードへ変わり、装甲に纏わり、王の鎧になる。
城の城壁を思わすほど強固な鎧。杖のキングラウザーが手元に現れ、冷気を放つ。
左腕だけ形の違う籠手、ギルドラウズカード専用の、重醒杖キングラウザーとか言うのか?
マントを纏うレンゲルの姿の違うキングフォーム。下半身の装甲も厚いものに変わる。
「レンゲルのキングフォーム、悪いが進化させてもらった。ネフィリム、お前を封印する」
この時ダガーのラウザーを杖で打ち放つと共に、駆けだす。
◇
「くっ、この!」
技の一つ『蒼ノ一閃』を叩き込みアンデッドを切り伏せたが、すぐに立ち上がる。
「不死身の化け物………」
そう言われるアンデッドの戦いに戦慄する。
封印システムが無ければ、彼らは永遠に戦う。いまの自分達では倒せない。
「否、倒せても意味が無いのかっ」
彼らは不死身として存在する、元より死が無いのだ。倒して封印しても、その大本である彼をどうにかしなければまた蘇る。
なによりなぜ敵対するか分からない。
いまの彼は、ネフィリムと言う生物型と言うものと激突するが、
「レリーフがおかしい。雪音」
雪音の側に来ると、ガトリングを受けながら歩くアンデッドを吹き飛ばす。
「わりぃ、私の武器じゃ、吹き飛ばすしかできない」
奏も苦戦しながら、二人の側に来る。視線の先は変わり、さらに変化したレンゲルだ。
「レンゲルの様子がおかしいが、あれはなんだ?」
「分からない、レンゲルとギャレンは、カテゴリーKのラウズカードだけでキングフォームになるシステムで、レンゲルは後にできたもんだ、そもそもあるかも詳しく知らない。だけど」
「あのレンゲルはより強化、変化している?」
それに静かに頷く。確かにレンゲルは、完全に中身が違うもの。ブレイドとギャレンとは違うように設定された。
そこに響も来て、
「レンゲルは彼奴が後付けのようにつけたもんで、ラウザーも」
キングラウザーは、重醒剣のスロットが先端にあり、クラブのマークがついている。
柄を短くすることでこん棒のように扱い、Ⅵのマークが輝くと吹雪が放たれ、柄を長くすると棒術として振るった。
これでは完全に別の何かだ。
「なにより、キングフォームは元々Kだけとの融合で、ブレイドの13枚同時融合もイレギュラーだ。そのレリーフが壊れて、カードの絵柄が姿を現すなんて」
「ブレイドと同じ、13枚同時融合?」
カリスはジョーカーの、元々のシステムが違う。
そしてブレイドも本来はKだけの適合変身だ。なのにブレイドのようなイレギュラーのように変化した。
地面に左腕の籠手から鎖が放たれ、土の塊が鉄球のように固まり、ネフィリムに放たれる。
やはり姿形が違い過ぎる。これは、
「意図的に13枚全部と融合するシステムに変化させたのか!?」
その言葉に、響がアンデッドの群れへと向かい、そこから飛び出す。
ある意味、アンデッド戦はかつて彼と肩を並べ、戦っていた響が誰よりも適応し、前に出られた。
「響っ」
◇
「一真っ」
13枚の融合。そんなことをし続けていいのか分からない。少なくともレンゲルのキングフォームを進化させた。
ギルドラウズカードに変化させていた。そのようなこと、一枚二枚程度なのに、13枚も変化させたんだ。
その結果どうなるかなんて………一つしか無い。
「一真ぁぁぁ」
一真が一真でなくなる。
一度だけ見た、一真が一真では無い一真になる瞬間、だから、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ネフィリムとかいうのは、私が壊す。
そのつもりで接近して、拳を突き出した。
「! ダメだ響っ」
その時、拳が、
「えっ………」
ネフィリムの口の中に入り込み、噛み千切られる。そう思った………
◇
アンデッド達が止まる。
ネフィリムは吹き飛び、地面にめり込む。
「な、にが………」
ウェル博士が驚愕する中、困惑する我々の視界に入るのは、
「………かずま」
響を抱き上げる剣崎。その姿はレンゲルキングフォームのままだが、様子がおかしい。
目の色が青く点滅していた。
「ネフィリム、お前は俺の本能を刺激し過ぎた………」
その瞳は緑と赤、二つに輝いている。
「なっ」
その時、雪音は驚愕する。
突然光から、二枚のカードが取り出される。緑と赤のハート、あれは………
「ジョーカーのカード」
「なっ」
「なんだとっ!?」
◇
その時何かに怯え、向かってくるネフィリム。
だが鎧から光が放たれ、それに眩む瞬間、重醒杖で吹き飛ばし、五枚のレリーフが輝き、カードが現れる。
それを投げ飛ばすと、スロットへと吸い込まれていく。
≪クラブⅩ J Q K A≫
カードの絵柄が光と化し、杖の先端に連なる。
持ち上げるように杖を両腕で振り上げた。
≪ロイヤルストレートフラッシュ≫
その瞬間、光の柱が現れ、それをネフィリムに叩き付ける。
大地は割れ、揺れた。
装者達はバランスを崩すほどの一撃が、星へと放たれる………
だが、
「………」
獣の怒りは収まらない。
◇
自分の中にある、進化に使用した道具。数多の力が逆流する。
ああいいだろう。
俺は………
◇
青のジョーカーカードが現れると共に、一つになる。光り輝き、銀へと変わり、一真の手元に舞い降りた。
その姿はすでに鎧を着こむ青いジョーカーで、そのままラウザーへ通す。
≪チェンジ≫
白い光が朝日のように辺りを照らす。
そしてアンデッド達が彼の中に封印され、響の隣に立っていた彼は、
「なん………」
翼と奏が息をのむ。クリスも響も驚きながら、それを見る。
黒い外装に、銀の色、四色の色と金色が刻まれた姿型。
左肩にコインのような盾、右肩に杯が取り付けられた肩アーマーをつけた、鎧を着こむ何か。
右手にスペードのような剣を、左手にメイスを持つ。
獣、魚類、鳥類、昆虫、爬虫類、鎧。全ての生物の特長を持ち、人の英知が生んだ武具を纏うそれは、三つの爪痕のように黒い宝石が目のように刻まれた、仮面をつけた竜人のようなそれ。
胸の鎧で顔のようなそれは鎧を纏っていた。
【これがもう一つの俺、バニティアンデッド………行くぞッ】
生命の全ての力、人が生み出した力を持つ、幻獣ですらあるそれは、静かに歩き出す。
その瞬間、翼達、生物は恐怖から全身から汗が流れ出る。
本能があれに畏怖を抱き、全身を固めた。
ネフィリムだけは、響を狙い、飛び出したが、瞬間消える。
轟音だけ轟き、地面にはメイスを振り下ろした一真。
メイスはありとあらゆる物を凍結させるメイスであり、クラブを象徴する。
咆哮を上げ、ネフィリムは火球を放つが、盾が回転し、炎の盾になり、防ぐ。
次の瞬間、宙に浮き、回転しながらネフィリムを削る。
コインはダイヤを象徴し、杯から突風が沸き上がった。
杯はハートを司り、雷鳴を纏い、剣を振るう。
スペードは剣を象徴している。
「全てのアンデッドの力を、取り込んだ………」
「バニティアンデッドジョーカー………」
それは一種の天災だった。
大地を砕き、空を汚し、滅びをまき散らす。
「一真のジョーカー………青は武器を使う人から成った。緑は始まり、赤は違反者を殺す統制者の戦士。金はコーカサスのブレイドの融合。だけどあれは、アンデッド全てを一つにしたんだ」
震えながらクリスは呟き、自分ですら見たことも無い。獣のようにネフィリムを追い詰める。
そのネフィリムは向かい、掴み上げようとした瞬間、
「………ぇ」
バニティジョーカーの口が開いた、それは腹の―――
「あれも口だったのかっ!?」
相手を掴もうとしたネフィリムは、逆に先ほどの響のように口へと手を入れ込まれ、それは噛み引きちぎられ、ネフィリムを食らう。
【………】
無言のまま、ネフィリムは咆哮を上げ、逃げ出そうとするが、瞬間鬣の草木や鎖が地面に伸び、それがネフィリムの逃走進路に現れ、それを阻止する。
「や、やめ、やめろぉぉぉぉぉぉぉお!ネフィリムが、僕のネフィリムがあぁぁぁぁ!」
そしてメイスによる激突で上半身が吹き飛び、咆哮と共に四つの力が振り下ろされた。
大地を叩き割る一撃、僅かなうなり声と共に、翼を僅かにはばたかせ、土煙を晴らす。
そこにいるのは、バニティアンデッドのみ。
【………】
そして静かに、ウェル博士へと剣を向け、歩き出す。
「ひぃ、ひいぃぃぃ」
その様子に装者は困惑する。
いや、でも。まさか!?
「ダメだ、一真あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
響だけ暗闇を纏い、獣になり向かっていく。
◇
【一真?】
私にはわからない、分かりたくない。
いま私は、私に気づき、戦いだした一真と戦う。
爪と爪、拳と拳が激突する。
身体の一部一部が変化する。昆虫の針を持つ尾には魚のひれがついていたりするし、羽毛の羽根は、鋭いトゲを持つ草木。
一定の身体を持たず、人間のように武器を振るい戦う。
そして私を認識していない。
【一真じゃ、ない………】
そんな獣、かつて一度だけ、ノイズが子供を殺しかけた瞬間、爆発するようになり果てた姿。
その時は、何もできず、ただビルも何もかも破壊する一真を、見ていた………
【グッ】
胸から鉱石が生まれ出る。黒い影が消えた。
ふざけるなッ、まだ戦わないと………
「響ッ」
奏は飛び上がり、矛先を回転させた槍を一真、バニティアンデッドへと放つ。
だが、その場から避けず、両足を広げ、四足、いや六足歩行の下半身に変わり、咆哮する。
【ァァァァァァァァァアアアア】
その巨大な口を開き、その弓矢を飲み込んだ。
「なっ」
白い身体の口は、真っ暗な闇であり、そこから奏の技は飲まれ、すぐに吐き出された。
「マジか!?」
すぐにその場から避けたが、何倍も威力が上がっていたそれを避ける。
そしてまた戦場が落ち着くと、それはウェル博士を見た。
だけど、そのチャンスを逃す気は無い。
「一真あぁぁぁぁぁ」
私は抱き着く。バニティアンデッドはその瞬間、苦しみだした。
それに、
「一真っ、このバカ!! なにしてるんだよっ」
「一真!! お前は化け物だけど仮面ライダーだろっ、意識を無くした獣になるなよっ」
「剣崎さんっ」
「さっきの許してやるから、いいから目を覚ませっ!」
この場にいる全ての者達と叫びに苦しみ、そして、
【aaaaaaaa―――ッ!!】
腹の口から光弾が放たれ、空で割れる。
無数の力が大地に降り注ぐ。
◇
【ぐっ】
先ほどの一撃は、全て自らに放った一撃だ。
それすらも耐えきるが、耐えた後、青のジョーカー体。鎧を纏う、人の英知を振るうジョーカーになり、カードが身体から飛び出て、二枚に割れて戻る。
【………逃がしたか】
ネフィリムを操る男がいないことに、そう呟く。
私が近づこうとすると、剣が飛ぶ。
この姿、青はアンデッドの武器を全て使える。
「一真………」
こちらを見る響。だが、
【………お前は人間たちの中で生きろ】
「!」
【俺は………もう戻る気は無い】
俺の言葉を聞き、その時、顔を見た。
それでも俺はジョーカーの力を使い、その場を後にする。
【………】
響たちのあの顔は………
あの日、けして忘れられない。仲間の顔と変わらなかった………
バニティアンデッド 固定されているものは腹の口、コイン丈の護符で、炎を纏い守る盾。
肩の鎧に付いた風を溜める聖杯、雷鳴を呼び起こす剣。
凍らせるものを自分の意思で決められる杖。そして竜を思わせる仮面以外、決まった形は無し。
ギルドラウズカード全て使用可能であり、ジョーカーの力を三回同時使用可能。
この姿はジョーカーであってジョーカーで無い為、緑、赤、青の三つを使う。
機械、動物、鳥類、昆虫、海生生物の全てを身体の一部として持つキメラ体。
ライダーでは無いオリジナルフォーム、機械は封印した武器類や、トライアルシリーズにライダーシステムを取り込んだ為です。
身体は常に適した身体へと変化します、何でもあり、ない存在。
それでは、お読みいただき、ありがとうございます。