戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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レンゲルのキングフォーム強化並び、バニティアンデッドと言う姿を見せる剣崎一真。

ついにネフィリムと言う聖遺物を破壊し、その一部を食らうが暴走。

我に返り、ウェル博士を逃がし、暴走を止めた響達に背を向けて歩く………


第7枚・迷い進む

 どこかの廃棄された工場施設、そこで目を閉じ、静かにしている一真。

 

 静かに座り込みながら、眼を開く。その瞳は青色で、すぐに黒に戻る。

 

「………無い」

 

 ネフィリムが自分の中に無い。

 

 破壊したのだろうかとも思うが、自分の中にあるネフィリムの細胞から、もう少しだけ、情報を拾っている。

 

「ネフィリムの細胞、独立する聖遺物か………コアが無いとすぐに消滅するな」

 

 そのコアが関係あるのか?

 

 もう少し調べてから、動くことにしよう。

 

 だが、同時に思い出す。

 

「………響」

 

 あの時、あの顔を思い出しながら、首を振り、また中を見始める………

 

 

 ◇

 

 

「………」

 

 私はいま、全身検査、メディカルチェックを受けている。

 

 了子は静かにその結果を見ながら、

 

「はあ、まずいわね。上半身だけじゃなく、全体に聖遺物の融合が見られるわ」

「欠片の融合、侵食が早まってる………」

「こればかりは長期で当たらないと無理ね」

 

 難しい顔をする了子。つまりは、

 

「私は戦えない」

 

 それでは一真に会えないじゃないか。

 

 察したのか、了子は静かに、真剣にこちらを見る。

 

「いい、いまの状態なら、通常時でも侵食が始まっていると考えるべきよ。だから」

「ギアを纏うな、ってこと」

「そうよ」

 

 それに拳を強く握る。イライラする。

 

 一真は何を考えている。月の落下も、完全に明るみになった。これからどうなる?

 

 分からない、分からないことだらけだ。

 

「一真………」

 

 

 ◇

 

 

「響、なにか悩み事?」

「未来」

 

 上の空の中、未来には気づかれたらしい。話したくないが、

 

「聞いて後悔と聞かなくて後悔、どっちがいい」

「………聞いて後悔」

「ん」

 

 人のいないことを確認して、私はいまの状態を説明する。前々から理解はしていた、侵食による危険性。

 

 それが少しばかり、明るみになった。

 

 衝撃を受けるが、少しは覚悟していたからか、未来はその後私を見つめる。

 

「響は、どうするの」

「正直、死にたくないよいまは」

 

 そう言いながら、静かに考え込む。

 

「まったく笑えるよ、昔は死んでもいいって思った、生きてちゃいけないって思ってた。けどね、いまは違う。死にたくない、けど、戦いたいと思う」

「………響」

 

 心配そうな未来、一真は、

 

「一真もそうだったんだろうな、彼奴、私より優しくてバカだもん」

 

 だから人を捨てた。

 

 だから戦い続けると決めた。

 

 愚かな、人間だ。

 

 人間だから人間をやめたんだ。だけど………

 

「私は一真の選択肢は選びたくない、私は一真の所為で、それが悲しい選択だってことが身に染みてる。選びたくない、けど………選びたくって、選んだんじゃないんだろうな、一真」

 

 そう、一真はきっと、仲間を裏切ったこと、人間であることをやめたことは後悔している。

 

 いまはクリスと翼、奏は別行動で活動している。

 

 いまの私は前線から外された。

 

「救える手があるのに、振るわない苦しみ………彼奴は永遠に味わい続けて、壊れたんだよ。私よりも、誰よりも」

「………」

 

 何も言わず側にいる未来。それに少し寄り添う。

 

「未来はあたたかいや………日なたのよう」

「なら私にとって、響は太陽だよ」

「太陽は一真だよ………温かく照らすのに、近づくのは危険。彼奴は………」

 

 ずっと一人で、世界を守ると決めてるんだから………

 

 

 ◇

 

 

「それじゃ、ふらわーでお好み焼き食べるんだね」

「なんで国家機密なのに、こう知られるんだろうね」

「まあまあ」

 

 そんな会話をする。いつの間にか、友達と呼べるものも増えた。

 

 未来達と共に、お好み焼きを食べに出向いて歩く。

 

 そんな中、黒い車が前を横切る。

 

「………いまの」

 

 あれは裏の人間だ。

 

 そう思った時、車が出向いた先で爆発が起きた。

 

「! みんなはここから離れてろっ」

「響っ」

 

 駆け出し、走る。

 

 その先に、きっと………

 

 

 ◇

 

 

「くっ、化け物が!!」

 

【人殺しに言われたくない】

 

 巨大な剣オールオーバーと、盾ソリッドシールドを持ち、コーカサスビートルアンデットの姿で、ウェル博士を追い詰める。

 

【この前倒した時、ネフィリムは俺の中になかった。あるのは残滓、ならば核となる心臓は………】

 

 その時、ソロモンの杖を持つウェル博士は青ざめ、何かを布で巻いた物。それを隠すように後ろに下がった。

 

【それか】

 

「い、嫌だっ。これがないと英雄に、僕は英雄になるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 無数のノイズが放たれるが、カードを一枚取り出す。

 

≪リモート≫

 

 瞬間、身体から無数のカードが飛び出て、アンデッドになる。

 

 AとダイヤQ、ハートとダイヤのKを除く、上級アンデッド達が、武器を構えながら現れた。

 

【あぁぁぁ………】

 

 青のジョーカーになり、コーカサスも解放し、静かにマンティスとデスサイズを構え、ノイズを殲滅する。

 

「ひいぃ、化け物がっ」

 

【ああ、この世界最強だ】

 

 その時、ノイズが風で吹き飛び散る。その様子に、エネルギー波を放った者を見る

 

【響っ】

 

「一真っ」

 

「ま、また出たっ」

 

 そして彼は戦慄する。

 

【馬鹿なっ、平常時でも侵食し出してるのかっ】

 

 アンデッドの目で見る響の身体は、ほとんど神経に繋がるように聖遺物が融合している。

 

「………やっぱりか」

 

 そうマフラーで素顔を隠しながら、拳を構える。

 

【馬鹿やろうっ、すぐにギアを解けっ。カテゴリーKっ】

 

 四体のアンデットを放つが、それに、

 

「へいき、へっちゃらだこの程度っ」

 

 そう言い、四体の上級アンデッドの攻撃をかわして進む。

 

【ちっ、後ろもうざいッ】

 

 マンティスでノイズを吹き飛ばし、腕の刃物を構え、突き刺す。

 

 そのままネフィリムのコアを封印する、全てはその後。

 

 だが丸鋸が現れ、火花を散らす。

 

【!】

 

「この身に宿るシュルシャガナは、おっかない見た目よりもずっと、汎用性に富んでいる。防御性能にだって不足ない」

「それでも、全力の二人かがりでどうにかこうにか受け止めてるんデスけどね」

 

 攻撃を止めたのは二人の少女。

 

 そう言われながら、丸鋸が腕の刃を受け止め、後ろから緑の子が支える。

 

 だが、

 

【だがジョーカーは止められない】

 

 そのまま腕に力を籠める。青色に光り、腕を上に振り上げ砕く。

 

「デスっ!」

「!?」

 

【聖遺物程度で、アンデッドは止められ】

 

 その時、吹き飛ぶカプリコーン。

 

【なにっ!?】

 

 

 ◇

 

 

 突然のことに驚き、俺は後ろを見ると、響が炎を纏い、闇纏う姿で、赤い眼光で見ていた。

 

「ぁう………」

「調っ」

 

 なぜか調と呼ばれた子が酷く怯えているが、アンデッドを地面に建物にめり込ませて動けなくする響。

 

 そして鉄柱や、建物の中にある鉄の骨組みで磔のように差し込んでいた。

 

 全身を緑色に染めながら、静かに、

 

【今度は一真の番、そして………し・ら・べちゃあぁぁんのばぁぁんだよぉぉぉ………】

 

「!」

 

 あっ、この響調って子いじめてる。そして俺もか。

 

 ともかく、先に俺がどうにかするか、

 

「くっ、プレゼントですよっ二人とも!!」

 

 そう言い、薬品の入った銃のような注射器を、首筋を当てて使った。

 

 二人とも仲間のはずの男から離れ、薬を打たれたところを抑える。

 

「なにをしやがるデスっ」

「これはリンカー?」

「効果時間にはまだ余裕あるデス」

 

「だからこその連続投与ですよ! あの化け物たちに抵抗するには、いま以上の適合率でねじ伏せるのです」

 

「ふざけるなッ、なんで私達があなたの為にそんなことをっ」

 

「するでしょうっ、いや、せざるを得ないのでしょう。貴方達は連帯感や仲間意識で助け出そうとはしないでしょうっ。大方、あのおばはんが倒れたから、おっかなびっくり駆けつけたのでしょう!!」

 

 自分でしか薬を作れない。なら守れ、それは、

 

【貴様はどこまで、どこまで俺の本能を刺激するッ】

 

 デスサイズを投げ、光速回転し、マンティスで光を放つ。

 

 土煙が立ち、男の悲鳴が聞こえる中、すぐに接近する。

 

「くっ」

「来るなっ」

【動くな】

 

 そう言い、鎌と丸鋸が展開されたが、無視する。

 

 手を差し込むのと同時に、自分に食い込む刃。丸鋸は回転しているため、鮮血が舞い、鎌の刃は特殊なのか、身体の中で普通のものよりも食い込む。

 

 だが、

 

≪リカバー≫

 

 彼女達の中にある、リンカーとか言う薬を中から取り出す。

 

 

 ◇

 

 

「デスっ」

「な、に………」

【このままでもいい、だから離れるな】

 

 薬を体内から取り出し、後ろに下がる化け物。

 

 前にマリア達を、ネフィリムの暴走から守った人。

 

 セレナは彼と敵対することで精神的に追い詰められてる。セレナから聞いた。

 

『私は、ううん私達………あの人のこと好きなんだと思うんだ。だから月の落下を止める。きっとどこかにいるあの人に、恩返しするために』

 

 そうセレナは言っていた。

 

 そして目の前にいる彼は、

 

「身体が、軽いデス………」

「これ、って………」

 

 先ほどの光景、マリア達から教えてもらった話と合致する。

 

 マリアも身体からリンカーの影響や、負担が消えていたと言っていた。

 

 傷付きながらも、その人は私達を癒した。

 

 それに何も言わないけれど、私達が傷つけた傷から血が流れる。赤では無い、その色は、あの人が人間じゃない何よりの証拠だ。

 

「どう、して………」

 

【………】

 

 その時、銀のナイフ、銀の風が吹き荒れ、そして飛行船が、マムたちが来る。

 

【響】

「………」

 

 あの人の側にいる。あの人は、彼の手を握りしめる。あの人とは思えない。

 

 そして私達は見逃された。そんな気がする。

 

「あの人は、なんなの………」

 

 分からないことが多すぎて、胸が苦しい。

 

 私達は、何をしてるの?

 

 

 ◇

 

 

 響の傷、侵食を消す剣崎さんがいた。

 

 響から取り出したのは、鉱石であり、それを握りしめる。

 

【………】

 

「どこに行く気だ、剣崎さん」

 

 私は前に出る。雪音や奏も、奏はまだギアを纏っていないが、雪音は違う。

 

 そして響も、

 

「一真、どうして………」

 

【俺はジョーカーだ、人の中では生きられない】

 

「何を言っているっ」

 

 私には彼の気持ちが分からない。だが、雪音や響の思いをこれ以上踏みにじらせる気は無い。

 

 彼女達はいまは落ち着き、彼に異常なまでの依存はしていない。時折それらしい様子は見せるが。だが、彼の望む救いには向かっている。

 

 だが、だからと言って彼がそこから消えていいはずは無い。

 

「剣崎さん、なぜ貴方は」

 

【俺の中でまた、アンデッドの本能が目覚めだした】

 

 その言葉に、我々は言葉を無くす。

 

【最近、目覚めだしてるんだ。怪物としての意識、バニティアンデッド、ジョーカーとしての本能………闘争本能がまた、な】

 

「アンデッドの、だが」

 

【ああ、戦いは終わっている。俺が戦う相手は、人を傷つける何かだ】

 

 確か、彼は紛争地域に現れたり、雪音を助けたりしていた。

 

 その言葉に何も言わず、彼は立ち上がる。

 

【………クリスに会う前に戻りかけているだけだ。人とも獣とも言えない怪物に戻る】

 

「それって」

 

 その時、小日向が駆けつけてきた。

 

 肩で息をし、それで彼に、剣崎さんに近づく。

 

「それは響の側にいられないことなんですか」

【………俺は怪物だ】

「それでも、私の親友を救ってくれた、恩人です」

「未来………」

 

 そう言い、緑の血に触れる。恐れず、静かに目の前の剣崎さんを見る。

 

 だが剣崎さんは、顔を背けた。

 

【俺はいずれ、この世界に害あるモノを破壊する怪物に戻る。あの子、銀の歌姫達の施設でもそうだった】

「それって」

【俺は一度、ネフィリムの反応に気づき、本能のまま、それと戦った記憶がある。が、前後の記憶は曖昧だ】

 

 覚えているのは、ギアを纏う少女と目が合ったこと。または瓦礫に埋もれた人達、銀の子をかばった程度であり、それ以上は無いに等しい。

 

 そしてネフィリムを半分機能を封印した後、その子に襲い掛かろうとした。

 

【俺があの時、施設を破壊すれば、あるいは】

「そればっか、一真はそればっかだっ」

 

 響もまた、剣崎さんの手を握りしめる。

 

「かもしれない、あるいは、もしかすればばっかりだっ!! どうしてなんだよっ!? どうしてそう全部、悪いこと全部背負うんだよ!!」

【俺は】

 

「怪物でも、一真は響にとって大切なんだっ。いい加減にしろよ!!」

 

 奏の一言にも、剣崎さんは何も言わない。

 

「あるいはなんて言葉、それは私達防人とて同じだ。戦場にて我々は、いつもそう思う」

 

「ああそうだよっ、一真だけ背負わないでくれよ。私は、私やそのバカは一真に救われたんだ」

 

 そう言われながら、そんな中、

 

【………俺にはもう、分からないんだ】

 

 そう言った瞬間、煙が立ち上り、すぐに剣で切り伏せたが、剣崎さんはいない。

 

「一真………」

 

 誰もが戦うことしかできない剣に思いをはせるしか無く、なにも言えずにいた。

 

 

 ◇

 

 

 あの彼が治癒したからか、身体が軽い。

 

 マムからは念のために時間を置くと言うことになり、計画はいまだ進む。

 

 私達は食糧調達をしていて、少し休憩する。

 

 工事現場の跡地で、ご飯を少し食べることにしたけど、私は分からない。

 

 分からないことばかりだ。

 

 偽善者と思った人は、怖い人だった。

 

 大切な人達の好きな人は化け物だった。

 

 その化け物は、傷つけられても、私達を救おうと、敵を救おうとした。

 

 分からない、分からな過ぎて何が正しいか分からない。

 

 私達はフィーネの魂の器として、施設に閉じ込められて、私達の代わりにマリアはフィーネの器になった。

 

 自分が自分で無くなる中、セレナは静かに戦っている。

 

 家族のこと、大切な人と敵対しながら。マリアだって戦っているんだ。

 

(私は………私達は)

 

 そう思い、立ち上がると立ちくらみがした。

 

「調っ」

 

 切ちゃんの叫びと共に、

 

「危ないっ」

 

 そう叫ばれ、無数の鉄が落ちる音が響いた。

 

 

 ◇

 

 

「アブネェェ………ナブネダンダトコイダンダキメラっ!!」

「えっ、えっと………」

「ご、ごめんなさい、デス?」

 

 よく分からない。滑舌が悪すぎて日本語ですらない。

 

 大人の人、男の人が私達を助けてくれたようだ。私達がいたところは、鉄パイプが落ちて土煙を立てている。

 

 そして、

 

「あっ」

 

 すぐに気づいて立ち上がろうとすると、足に痛みが走る。

 

 その人は再度私達を支えてくれた。

 

「調っ、平気ですかっ」

「………大丈夫か?」

「すいま」

 

 せんと言い終える前に、抱き上げられ、今度は彼のものらしいバイクの上に座らされた。

 

「あ、あの」

「足が少し、すぐに冷やした方がいいな。こっち来なさい、君も」

「で、デスけど」

「いいから」

 

 そうして私達はその人に連れられていく。

 

 バイクは走らせず、私を乗せたまま押して、カフェかな? それらしい場所に連れていられる。

 

 この人には関係ないけど、分からないところで、危険を顧みずこうして優しくするその人に、私は余計に分からなくなっていく。

 

 正しいとは? 正義や偽善とはなんなんだろうか………

 

 ただ一つ言えるのは、

 

(………胸触られた)

 

 恥ずかしくて、本人は気づいてないから言わない。

 

 切ちゃんも頬を赤くしていた………

 

 

 ◇

 

 

「一真を殺したくなった」

「奇遇だな、私もだ」

 

 いつものように、唐突に二人は謎の怒りを醸し出す。

 

 そして………

 

(なぜあたしは………否定できないのはなぜだ?)

 

 奏もそう考え込み、なぞの一体感を感じた………




………すまん一真。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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