戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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第10枚・歌姫の恋歌

 響を運ぶのは切歌ちゃんと調ちゃんが担当し、案の定ノイズが放たれた為、奏ちゃんがノイズを討つ為に出向く。

 

 翼ちゃんは心臓部だろうと思われる場所、そこを目指して進む。クリスとソロモンの杖を取り戻すためだ。

 

「すぐに片付けて、二人が出られる状態にする」

「一真、バイク借りるぞ」

「ああ」

 

 そして静かにブレイドのバックルを構え、静かに変身する。

 

 ブレイドの相棒である、こいつと共に、各国のエージェント達などで戦場と化している場所へと走り出す。

 

 

 ◇

 

 

「………剣崎さんのバイク、さすがに高性能だ、!」

 

 その時、無数の弾丸が放たれ、それを避け、バイクを乗り捨てると、バイク、レッドランバスが炎を上げて爆発する。

 

「ギャレンのバイク………一真がいるのか」

 

「雪音………」

 

 首元に何かを付けた、イチイバルの雪音が現れる。

 

 剣崎さんや響の考えでは、

 

「おそらくソロモンの杖を取り戻す為に近づいた」

「たぶん、なにかしらチャンスをうかがう為に戦うだろうね」

 

 そう言っていたが、

 

「一真のバイク………あんであんたが乗ってるんだよッ」

 

 そう叫び、辺り一面に弾幕を張る雪音。

 

 目から光が怪しく光り、ギラギラと刃物のようにこちらを射貫く。

 

(本当にこれは演技だろうか)

 

 そう思うほど、後輩との激しい攻防を繰り広げるしか無かった。

 

 

 ◇

 

 

 もうすぐマリア姉さんが歌を歌う。

 

 フロンティアは起動した、後は月遺跡を動かす為のエネルギーを、世界中から集める。

 

 いまからその歌で世界を救う。

 

 その時、バイク音が響き渡る。

 

 心臓が締め付けられる。それは、

 

≪アブゾーブクイーン エボリューションキング≫

 

 黄金の戦士、その日、あの場所で私を、私達を救ってくれた人が、敵として現れた。

 

「………姉さん達の場所には行かせません」

 

 私はいまどんな顔をしているんだろう………きっと酷い顔をしている………

 

「………君は」

 

 銀の腕である私は、歌を歌う。

 

 彼と戦う、その為の歌。その為に、銀の光が彼に迫った。

 

 彼は………

 

 

 ◇

 

 

「緒川、準備はいいか」

「ええ」

「ったく、困った弟子たちだ」

「切っ掛けを作ってもらったの間違いでは?」

 

 そう言いながら、車の準備をしていると、電波がジャックされ、一斉報道される。

 

「これは」

「どうやら彼女達のようです」

 

 どうもフォニックゲインを集めるようで、連絡が入る。

 

『どうやら彼女達は、フロンティアの機能を回復させ、月遺跡を掌握して落下を防ぐ気だ』

 

「その為に、フォニックゲインを集めるつもりか。緒川っ」

「はい、急ぎますよ」

 

 司令の言葉に車を走らせ、ノイズやらエージェントの皆さんがいる中で、車を走らせた。

 

 

 ◇

 

 

「行くぜ先輩っ、いままでの全部を使い切るっ」

 

 そう言われ、私はすぐに勘付いた。

 

 コンビネーション攻撃、さんざん練習した雪音との鍛錬。それを思い出す。

 

 奏や響の為にも、私が引くわけにはいかない。

 

 そのコンビネーションでの攻撃の中、雪音の首に付いた爆薬を斬り壊し、そして雪音と共に一気に動く。

 

 

 ◇

 

 

「まったく、最近の子は行動的なのねっ。私ももう少し行動的なら月破壊して、バラルの呪詛を壊してたのかしら」

 

「不吉なこと言わないでくださいっ」

 

 藤尭の叫びを無視して、私はある少女の前に立つ。

 

 急いで加工したが、余計なことをしてくれた。

 

「小日向未来、いい、これが用意した貴方用のシンフォギア。神獣鏡よ」

 

「これが、ですか」

 

「あの男に感謝しなさい、これは貴方用に調整されているわ」

 

 

 ◇

 

 

 私は響達に助けられ、了子さんに呼ばれてここにいる。

 

 みんなが戦い、各々の戦いをする中でそれを聞かされ驚きながら、詳しく説明を受ける。

 

「まず貴方がこれを纏っていたとき、リンカーや機械制御をされていた。貴方の制御もあったのでしょうが、その際貴方に触れていた彼は貴方の意思をくみ取り、性質を変えたようよ」

 

「性質を………」

 

 私は驚きながら、その手に聖遺物のペンダントを包み込み、了子さんは静かに言い聞かせる。

 

「神獣鏡は性質上、魔を払う鏡であり、異形の力であるものを払う力がある。だからこそ融合症例の彼女から、ギアを弾いたし、貴方自身も弾かれたわ。その際に回収した欠片と自身が持ってた物を合わせた」

 

 いつの間にと思うが、それと何かしら別の力を感じる。下手をすればそれが万能の力、アンデッドの力だろうか?

 

 私がそう思うほど、これからは力を感じる。

 

「その結果、リンカー無しであなたは装者になれる」

 

 だけどと付け加える。

 

「それは危険な目に遭うという事よ、それでもこのペンダントを手に取り、装者としてこの戦場に舞い戻る覚悟はある?」

 

「それは」

 

 それは、この場にいない、私の大切な人達の代わりや、色々な人達の代わりに聞かれているのだろう。

 

 しばらく黙り込んだ後、私はそれを静かに受け取る。

 

 するとすぐに呆れながら、静かにため息をつく。

 

「はあ、ホント、いまの世で計画を行ったのがそもそもの間違いのようだ」

 

 そんなことを言いながら、いつもの了子さんに戻ったように苦笑した。

 

「あっははは………頑張ります」

 

「即席だから、援護に私が色々手を加えたわ。そのサポートがあればノイズ程度は倒せる。頑張りなさい、恋する乙女」

 

「はいっ、って私は」

 

 恋なんかしていないっ。はずです。

 

「はいはい、性別は関係ないわよもう。世界は移り変わるのだから」

 

「も~~~」

 

 ともかく私はノイズ退治の為に、走り出した。

 

 

 ◇

 

 

 そう言いながら、未来ちゃんを送り出した後、すでに出ているであろう男たちを考える。

 

 まだノイズが動き回っていると言うのに、呆れたものだ。

 

「はあ、そもそもこの騒ぎって、巡り巡って私の所為よね………それに指揮官系統任せるって弦十郎くん。男って勝手なんだからっ」

 

 私の文句は誰に言えばいい。今度藤尭か緒川を連れてはしご酒するか?

 

 それとも、クリスや響、奏や翼に、今後の為に恋愛話を仕込んでやろう。そうするか。

 

 

 ◇

 

 

「ったく、なんとかかんとかって奴か」

「ああ」

 

 あの後爆発の余波で地下の通路かは知らないが、そこに落ちた。

 

 まあそのおかげであの野郎からソロモンの杖を取り戻せた。

 

 ギアを纏い、私はすぐに話を聞くために近づく。

 

「とりあえず、なんで一真のバイクに乗ってたんだよ」

「そこは本気だったのか雪音………」

「るっせぇ、一真のバイクは、その、乗っていいのは私だけだっ」

 

 そう言われる中、私は小さく、

 

「早く一真に会いに行くぞ………先輩」

 

 そうぶっきらぼうに言われた。

 

「………ああ」

 

 そう返され、私達は戦場に戻る。

 

「剣崎さんは、大丈夫だろうか」

 

 

 ◇

 

 

「………なんで」

 

「………」

 

 私の攻撃を一斉避けず、この人は近づいて来た。

 

 鎧が解けたその姿は、緑の血を流す人だ。

 

「………どうして」

 

 分からない、なんで抵抗しないの………

 

 どうして………敵になってくれないのッ!?

 

「月をどうにかしたいのは、君たちだけじゃない。聞いたよ、各国政府の機関にノイズを放ったり、色々したの」

 

 それに唇を噛み締めながら、

 

「しかた、ないことです。彼らは交渉にも応じず、自分達だけが助かろうとしていました。そのために多くの人を巻き込んで………」

 

 私はいま………どんな顔をしているのだろうか。

 

 もう嫌だ、もういや………

 

 やっと、この人に嫌われるだろう………

 

 なのに、

 

「ならいまの君は」

 

「………」

 

 それに何も言えない。

 

 この人はどうすれば止められるのだろう。

 

 もう、私は―――

 

「貴方は、なんなんですか………」

 

 震える声で私は、彼に聞く。

 

 彼はなんでもない様子で、

 

「俺は戦う事だけしかできない怪物だ、君を救うことも、世界を救うこともできない。けど戦う、救いたいから、俺は戦う」

 

 怪物………人間じゃない………

 

「………ならどうやってですか」

 

 意地の悪い言葉だ。

 

 私が私でなくなる感覚。私はいつからこうなってしまったんだろう?

 

 マリア姉さんはこんな感覚で、ギアを纏っているのだろうか?

 

 そう考え込んでいると、意外な答えが来た………

 

「月を押し戻す術がある、仲間には、みんなには内緒にしてるけど、俺が俺で無くなることで月を元の位置に戻す術がある」

 

「えっ………」

 

 その時、怪物の姿に、目の前で変化した。

 

【この姿も俺だ、この姿の時、俺は俺で無くなる。君たちを助けた時も、俺は俺では無かった】

 

「………」

 

 そして静かに、青い怪物は静かに頭を叩いた。

 

「ツッ」

 

 油断していたから、痛かった。

 

【君らは頭が良いのか悪いのか、どっちなんだ。国が信用できないからってテロリストになったり、国に協力交渉して破断したら、一般人を使ったり】

 

「ッ!? 貴方に何が分かるんですかっ、私だって、マムや姉さんだってしたくてしてるんじゃないッ。私達は世界を」

 

【世界はみんなの物だ、世界を救いたいのは、君たちだけじゃないッ】

 

 その言葉と同時に、肩を掴まれた。

 

【いい加減にしろッ、君たちが願った道に出向かないのは、君たちが君たちだけでしかできないと思って行動したからだろっ】

 

「そ、れは………」

 

【助けてほしいのなら叫べ、手を貸してほしいのなら初めからそう言えッ。俺はバカだから分からない、声が聴こえなければ、俺はそこに出向けない】

 

 そう言いながら、静かに抱きしめられた。

 

【俺は人を、人類を守りたい。君は本当は、何がしたい】

 

「………わた、しは」

 

 本当は、本当は………

 

「本当は、誰かを傷つけて、みんなを傷つける作戦なんかしたくないっ。けど、姉さんが今犠牲になろうとしているっ。いまマリア姉さんはフィーネの意識に塗りつぶされてでも、世界を救おうと」

 

【あの人は世界を救わないッ。あの人の願いは、好きな人の側にいることだ。月の落下なんてどうでもいいことだ】

 

 それに、私は驚く。

 

「? だって、いま姉さんは………」

 

【僅かにも君の姉さんは、姉さんじゃないことを言ったか。それとフィーネはいま別の人間として滞在してるから、記憶の塗りつぶしは起きない】

 

 今この人はなにを言った?

 

【君たちはそこまで追い詰められてたんだ、だから】

 

「フィーネの魂に塗りつぶされない? 姉さんは、マムはじゃあ」

 

【世界を救う為に演じてたんだ、だけど、そんな中自分のことしか考えてない男がいる】

 

 ドクターとすぐに答えそうになる。

 

 私はもう分からなくなる。確かにこの人の言う通りかもしれない。

 

 どうすればいいの? もう分からない。

 

【俺は戦えない人達の為に、戦う】

 

 その言葉が優しく、透き通っている。

 

 ああそうか、変わらない。

 

(この人は………)

 

 あの日から変わってないのだ。

 

 私は、

 

「わた、私を………姉さんを、私の大切な家族を、助けてぇぇ………!」

 

 その言葉と共に、涙が溢れる。

 

 止まらない、ずっと言いたかった言葉。この人に、求めていた言葉。

 

 そして静かに、

 

【任せろ】

 

 あの日に見た人は、やっぱり私の………騎士に見えました………

 

 

 ◇

 

 

「浮気してるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 どこからかナイフを持ったガングニールの子が背後から刺した。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

「デッスウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」

「やっぱりこの人怖いッ!!」

 

 ぐっさり刺さり、僅かに苦悶している。

 

 この人はなにしてるのっ!?

 

「カズマァァァァアアア、なあぁぁぁに女の子口説いてるかな? いま大変だって知ってるよね?」

【ドコガ!?】

 

 そう話していると、無数のノイズが向かってくる。

 

【! 響っ】

「………コロスっ」

 

 物凄い目で睨みますが、ガングニールを持って無いために止められて、切歌と調が戦っている。

 

 辺りの様子がおかしい。これは、

 

「………本当に、ドクターは世界を救う気は無い? 私達は」

 

 このままじゃ世界を救うどころではない。

 

 ならばもう、迷わない。

 

 涙を拭き、あの人にああ言ったけど、全部任せる気は無い。

 

「姉さんを、私の大切な家族を守りたいっ!」

 

 それが本心だ。

 

【………ならさっさと行こう】

「一真さん………私を、私の大切な家族を、守ってください」

 

 これもやっと言えた。私の、私達の本心だ。

 

【ああ】

 

 そう言って、私の手を取る。

 

 私は色々した、過ちを、間違いを。

 

 だけどこの人は………

 

(ああやっぱり、私は………)

 

 そして私は首を振る。

 

 いまは考えるのをやめよう。彼のこと、この人のことをちゃんと聞くときまで………

 

「マリア姉さん、マム、待ってて」

 

 そして私も走り出す。

 

 

 ◇

 

 

 ―――ネフィリムの細胞ですか―――

 

 ―――………俺達はなんなんだろうか。いや、もう関係ない―――

 

 ―――ああ、剣崎を、俺達の仲間を、助けを求める者達を―――

 

 

 ◇

 

 

【………】

 

 身体の中でざわめく力、何が起きているか分からない。

 

 だが不思議と、信じられる。

 

【………俺は】

 

 そして静かに、前に進む………




開眼、初恋!初めて!顔真っ赤!

だけど緑の血が流れた………なぜだろう。

未来さん、装者として戦場に。

どうなるフロンティア、どうなる一真を巡るラブファイト。

それではお読みいただきありがとうございます。
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