響を運ぶのは切歌ちゃんと調ちゃんが担当し、案の定ノイズが放たれた為、奏ちゃんがノイズを討つ為に出向く。
翼ちゃんは心臓部だろうと思われる場所、そこを目指して進む。クリスとソロモンの杖を取り戻すためだ。
「すぐに片付けて、二人が出られる状態にする」
「一真、バイク借りるぞ」
「ああ」
そして静かにブレイドのバックルを構え、静かに変身する。
ブレイドの相棒である、こいつと共に、各国のエージェント達などで戦場と化している場所へと走り出す。
◇
「………剣崎さんのバイク、さすがに高性能だ、!」
その時、無数の弾丸が放たれ、それを避け、バイクを乗り捨てると、バイク、レッドランバスが炎を上げて爆発する。
「ギャレンのバイク………一真がいるのか」
「雪音………」
首元に何かを付けた、イチイバルの雪音が現れる。
剣崎さんや響の考えでは、
「おそらくソロモンの杖を取り戻す為に近づいた」
「たぶん、なにかしらチャンスをうかがう為に戦うだろうね」
そう言っていたが、
「一真のバイク………あんであんたが乗ってるんだよッ」
そう叫び、辺り一面に弾幕を張る雪音。
目から光が怪しく光り、ギラギラと刃物のようにこちらを射貫く。
(本当にこれは演技だろうか)
そう思うほど、後輩との激しい攻防を繰り広げるしか無かった。
◇
もうすぐマリア姉さんが歌を歌う。
フロンティアは起動した、後は月遺跡を動かす為のエネルギーを、世界中から集める。
いまからその歌で世界を救う。
その時、バイク音が響き渡る。
心臓が締め付けられる。それは、
≪アブゾーブクイーン エボリューションキング≫
黄金の戦士、その日、あの場所で私を、私達を救ってくれた人が、敵として現れた。
「………姉さん達の場所には行かせません」
私はいまどんな顔をしているんだろう………きっと酷い顔をしている………
「………君は」
銀の腕である私は、歌を歌う。
彼と戦う、その為の歌。その為に、銀の光が彼に迫った。
彼は………
◇
「緒川、準備はいいか」
「ええ」
「ったく、困った弟子たちだ」
「切っ掛けを作ってもらったの間違いでは?」
そう言いながら、車の準備をしていると、電波がジャックされ、一斉報道される。
「これは」
「どうやら彼女達のようです」
どうもフォニックゲインを集めるようで、連絡が入る。
『どうやら彼女達は、フロンティアの機能を回復させ、月遺跡を掌握して落下を防ぐ気だ』
「その為に、フォニックゲインを集めるつもりか。緒川っ」
「はい、急ぎますよ」
司令の言葉に車を走らせ、ノイズやらエージェントの皆さんがいる中で、車を走らせた。
◇
「行くぜ先輩っ、いままでの全部を使い切るっ」
そう言われ、私はすぐに勘付いた。
コンビネーション攻撃、さんざん練習した雪音との鍛錬。それを思い出す。
奏や響の為にも、私が引くわけにはいかない。
そのコンビネーションでの攻撃の中、雪音の首に付いた爆薬を斬り壊し、そして雪音と共に一気に動く。
◇
「まったく、最近の子は行動的なのねっ。私ももう少し行動的なら月破壊して、バラルの呪詛を壊してたのかしら」
「不吉なこと言わないでくださいっ」
藤尭の叫びを無視して、私はある少女の前に立つ。
急いで加工したが、余計なことをしてくれた。
「小日向未来、いい、これが用意した貴方用のシンフォギア。神獣鏡よ」
「これが、ですか」
「あの男に感謝しなさい、これは貴方用に調整されているわ」
◇
私は響達に助けられ、了子さんに呼ばれてここにいる。
みんなが戦い、各々の戦いをする中でそれを聞かされ驚きながら、詳しく説明を受ける。
「まず貴方がこれを纏っていたとき、リンカーや機械制御をされていた。貴方の制御もあったのでしょうが、その際貴方に触れていた彼は貴方の意思をくみ取り、性質を変えたようよ」
「性質を………」
私は驚きながら、その手に聖遺物のペンダントを包み込み、了子さんは静かに言い聞かせる。
「神獣鏡は性質上、魔を払う鏡であり、異形の力であるものを払う力がある。だからこそ融合症例の彼女から、ギアを弾いたし、貴方自身も弾かれたわ。その際に回収した欠片と自身が持ってた物を合わせた」
いつの間にと思うが、それと何かしら別の力を感じる。下手をすればそれが万能の力、アンデッドの力だろうか?
私がそう思うほど、これからは力を感じる。
「その結果、リンカー無しであなたは装者になれる」
だけどと付け加える。
「それは危険な目に遭うという事よ、それでもこのペンダントを手に取り、装者としてこの戦場に舞い戻る覚悟はある?」
「それは」
それは、この場にいない、私の大切な人達の代わりや、色々な人達の代わりに聞かれているのだろう。
しばらく黙り込んだ後、私はそれを静かに受け取る。
するとすぐに呆れながら、静かにため息をつく。
「はあ、ホント、いまの世で計画を行ったのがそもそもの間違いのようだ」
そんなことを言いながら、いつもの了子さんに戻ったように苦笑した。
「あっははは………頑張ります」
「即席だから、援護に私が色々手を加えたわ。そのサポートがあればノイズ程度は倒せる。頑張りなさい、恋する乙女」
「はいっ、って私は」
恋なんかしていないっ。はずです。
「はいはい、性別は関係ないわよもう。世界は移り変わるのだから」
「も~~~」
ともかく私はノイズ退治の為に、走り出した。
◇
そう言いながら、未来ちゃんを送り出した後、すでに出ているであろう男たちを考える。
まだノイズが動き回っていると言うのに、呆れたものだ。
「はあ、そもそもこの騒ぎって、巡り巡って私の所為よね………それに指揮官系統任せるって弦十郎くん。男って勝手なんだからっ」
私の文句は誰に言えばいい。今度藤尭か緒川を連れてはしご酒するか?
それとも、クリスや響、奏や翼に、今後の為に恋愛話を仕込んでやろう。そうするか。
◇
「ったく、なんとかかんとかって奴か」
「ああ」
あの後爆発の余波で地下の通路かは知らないが、そこに落ちた。
まあそのおかげであの野郎からソロモンの杖を取り戻せた。
ギアを纏い、私はすぐに話を聞くために近づく。
「とりあえず、なんで一真のバイクに乗ってたんだよ」
「そこは本気だったのか雪音………」
「るっせぇ、一真のバイクは、その、乗っていいのは私だけだっ」
そう言われる中、私は小さく、
「早く一真に会いに行くぞ………先輩」
そうぶっきらぼうに言われた。
「………ああ」
そう返され、私達は戦場に戻る。
「剣崎さんは、大丈夫だろうか」
◇
「………なんで」
「………」
私の攻撃を一斉避けず、この人は近づいて来た。
鎧が解けたその姿は、緑の血を流す人だ。
「………どうして」
分からない、なんで抵抗しないの………
どうして………敵になってくれないのッ!?
「月をどうにかしたいのは、君たちだけじゃない。聞いたよ、各国政府の機関にノイズを放ったり、色々したの」
それに唇を噛み締めながら、
「しかた、ないことです。彼らは交渉にも応じず、自分達だけが助かろうとしていました。そのために多くの人を巻き込んで………」
私はいま………どんな顔をしているのだろうか。
もう嫌だ、もういや………
やっと、この人に嫌われるだろう………
なのに、
「ならいまの君は」
「………」
それに何も言えない。
この人はどうすれば止められるのだろう。
もう、私は―――
「貴方は、なんなんですか………」
震える声で私は、彼に聞く。
彼はなんでもない様子で、
「俺は戦う事だけしかできない怪物だ、君を救うことも、世界を救うこともできない。けど戦う、救いたいから、俺は戦う」
怪物………人間じゃない………
「………ならどうやってですか」
意地の悪い言葉だ。
私が私でなくなる感覚。私はいつからこうなってしまったんだろう?
マリア姉さんはこんな感覚で、ギアを纏っているのだろうか?
そう考え込んでいると、意外な答えが来た………
「月を押し戻す術がある、仲間には、みんなには内緒にしてるけど、俺が俺で無くなることで月を元の位置に戻す術がある」
「えっ………」
その時、怪物の姿に、目の前で変化した。
【この姿も俺だ、この姿の時、俺は俺で無くなる。君たちを助けた時も、俺は俺では無かった】
「………」
そして静かに、青い怪物は静かに頭を叩いた。
「ツッ」
油断していたから、痛かった。
【君らは頭が良いのか悪いのか、どっちなんだ。国が信用できないからってテロリストになったり、国に協力交渉して破断したら、一般人を使ったり】
「ッ!? 貴方に何が分かるんですかっ、私だって、マムや姉さんだってしたくてしてるんじゃないッ。私達は世界を」
【世界はみんなの物だ、世界を救いたいのは、君たちだけじゃないッ】
その言葉と同時に、肩を掴まれた。
【いい加減にしろッ、君たちが願った道に出向かないのは、君たちが君たちだけでしかできないと思って行動したからだろっ】
「そ、れは………」
【助けてほしいのなら叫べ、手を貸してほしいのなら初めからそう言えッ。俺はバカだから分からない、声が聴こえなければ、俺はそこに出向けない】
そう言いながら、静かに抱きしめられた。
【俺は人を、人類を守りたい。君は本当は、何がしたい】
「………わた、しは」
本当は、本当は………
「本当は、誰かを傷つけて、みんなを傷つける作戦なんかしたくないっ。けど、姉さんが今犠牲になろうとしているっ。いまマリア姉さんはフィーネの意識に塗りつぶされてでも、世界を救おうと」
【あの人は世界を救わないッ。あの人の願いは、好きな人の側にいることだ。月の落下なんてどうでもいいことだ】
それに、私は驚く。
「? だって、いま姉さんは………」
【僅かにも君の姉さんは、姉さんじゃないことを言ったか。それとフィーネはいま別の人間として滞在してるから、記憶の塗りつぶしは起きない】
今この人はなにを言った?
【君たちはそこまで追い詰められてたんだ、だから】
「フィーネの魂に塗りつぶされない? 姉さんは、マムはじゃあ」
【世界を救う為に演じてたんだ、だけど、そんな中自分のことしか考えてない男がいる】
ドクターとすぐに答えそうになる。
私はもう分からなくなる。確かにこの人の言う通りかもしれない。
どうすればいいの? もう分からない。
【俺は戦えない人達の為に、戦う】
その言葉が優しく、透き通っている。
ああそうか、変わらない。
(この人は………)
あの日から変わってないのだ。
私は、
「わた、私を………姉さんを、私の大切な家族を、助けてぇぇ………!」
その言葉と共に、涙が溢れる。
止まらない、ずっと言いたかった言葉。この人に、求めていた言葉。
そして静かに、
【任せろ】
あの日に見た人は、やっぱり私の………騎士に見えました………
◇
「浮気してるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
どこからかナイフを持ったガングニールの子が背後から刺した。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「デッスウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
「やっぱりこの人怖いッ!!」
ぐっさり刺さり、僅かに苦悶している。
この人はなにしてるのっ!?
「カズマァァァァアアア、なあぁぁぁに女の子口説いてるかな? いま大変だって知ってるよね?」
【ドコガ!?】
そう話していると、無数のノイズが向かってくる。
【! 響っ】
「………コロスっ」
物凄い目で睨みますが、ガングニールを持って無いために止められて、切歌と調が戦っている。
辺りの様子がおかしい。これは、
「………本当に、ドクターは世界を救う気は無い? 私達は」
このままじゃ世界を救うどころではない。
ならばもう、迷わない。
涙を拭き、あの人にああ言ったけど、全部任せる気は無い。
「姉さんを、私の大切な家族を守りたいっ!」
それが本心だ。
【………ならさっさと行こう】
「一真さん………私を、私の大切な家族を、守ってください」
これもやっと言えた。私の、私達の本心だ。
【ああ】
そう言って、私の手を取る。
私は色々した、過ちを、間違いを。
だけどこの人は………
(ああやっぱり、私は………)
そして私は首を振る。
いまは考えるのをやめよう。彼のこと、この人のことをちゃんと聞くときまで………
「マリア姉さん、マム、待ってて」
そして私も走り出す。
◇
―――ネフィリムの細胞ですか―――
―――………俺達はなんなんだろうか。いや、もう関係ない―――
―――ああ、剣崎を、俺達の仲間を、助けを求める者達を―――
◇
【………】
身体の中でざわめく力、何が起きているか分からない。
だが不思議と、信じられる。
【………俺は】
そして静かに、前に進む………
開眼、初恋!初めて!顔真っ赤!
だけど緑の血が流れた………なぜだろう。
未来さん、装者として戦場に。
どうなるフロンティア、どうなる一真を巡るラブファイト。
それではお読みいただきありがとうございます。