それは、偶然の産物だった。
ただ偶然、偶然過ぎる。
「この辺りに聖遺物があるはずだが」
そう呟きながら、遺跡を探している時、大きな音が鳴り響く。
自分が見つける前に、聖遺物が何かしら起動したかと首をかしげ、そこに出向き、出会った。
「! なんだ」
ノイズは分かる。この聖遺物の守りとして、古代人が配置した類だろう。
そして巨人の怪物、燃え盛る自立型の聖遺物。
「スルトの巨人の原点の聖遺物………だが」
オレが見るのは、戦っているそれだった。
『ターンアップ』
カブトムシの光の門を潜り抜け、西洋の騎士のような姿を変えて、無数のノイズを一振りで薙ぎ払う。
スルトの炎の剣が振り下ろされ、大地を揺らす。
だがそれを、片手で持つ剣で受け止めていた。
「………」
無言のまま、巨人を薙ぎ払い、何度もその顔を殴る。
はっきり言えば原始的な戦い。だがあり得ない。
(自立型聖遺物スルトは、炎そのものでできた聖遺物だ)
スルトは炎の巨人として言い伝えられていて、現在において詳しい逸話が無いのは、これと出会って生きていた人間がいないことを指す。
作り出した者はすでにいない、ノイズと同じ、対人類型の兵器。
(巨人などの逸話を持つ聖遺物はだいたいがノイズの上位か下位の物………それを殴り倒すだと?)
そして、また劇的な変化を起こす。
姿が変わった。
青い仮面をつけた異形、鎧を纏うそれは緑色の血を流す。
心の臓を貫かれたが、気にも留めず、武器を振り下ろして倒した。
そして………
(なんだっ、聖遺物を食らう? ネフィリムか?)
だがそれは確かあんな形ではないはず。
いままた姿を変え、完全聖遺物を食らうそれを遠巻きに見ながら考え込む。
記憶と記録。この身に刻まれた知識を呼び起こしながら隠れて見ていたが、それは聖遺物を飲み込んだ後、カードを取り出す。
ベルトのハートにそれを読み込ませる。次の瞬間姿を変え、飛翔して飛び去る。
「………目的の聖遺物、では無かったが、収穫はあった」
オレはその後、奴の血を採取し、テレポートジェムを使い帰還する。
◇
「………んな、バカな」
解析結果に目を疑う。
ありとあらゆる生物のデータが内包された血液。こんな生物、理論上あり得ない。
それだけでなく、この情報の中に、錬金術を収めたオレだから分かる。
仙草アルニム、これを調べているときにも感じ取った感覚。
パパはこれで難病を治した。いまはその記憶はいい。
「まさかあの生物は、全ての病魔に耐性を持つ? しかも理想的、いや試すか」
オレはすぐに自分の次の器にこれを組み込んだ。
結果はどうだ?
「これほどか………まさか」
元々そろそろだろうと思っていたところだったため、すぐに実験に移った。
オレは肉体、身体の転写並び複製をすることで疑似的な不死を会得している。
その際に魂の引継ぎもし、さまざまな錬金術を使うが、その際にできる身体は、限界がまばらであり、安定はしなかった。
だがどうだ?
オレはすぐに転写後の肉体で動き回るが、転写によるさまざまな問題点が解決している。
「ははっ………」
思わず笑みがこぼれる。
例の存在の情報を取り込んでからは、複製した肉体の限界、寿命がただの人間と変わらないほど安定していた。
(だけじゃない、ある程度なら病気にもかからないだろう。これは)
不老不死、一瞬そんなワードが過ると共に、あれは心の臓を貫かれていても平然としていて、傷は塞がっていた。
オレはすぐにあれについて調べ出す。
「だがいまのいままで表に出ない情報だ、神話、逸話からたどり着かない。着いていたらオレより奴らの方が早いはず、なら」
ヒントはこの血かと思いながら、緑の血液を睨む。
探索と独占、それをするための情報操作。長い時間をかけて探し出し、他の者達の目を欺くのには苦労する。
だがオレはたどり着く、ある日本政府の研究機関へと………
◇
「ウッラアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
「ビッキーが渾身の右を放ったっ」
ゲーセンで暇をつぶす女子高生。未来、創世、詩織、弓美と共に遊んでいる。
「どうしたのビッキー?」
「急に全てのパワーを吐き出したくなった」
現在装者は待機命令が出ている。
忙しい時は、宇宙キターなんかしないといけないのに、忙しく無い時は普通なのだ。
そしてふらわーへとお好み焼きを食べに出向こうかと言う話の中、少しばかり考える。
「どうしたの響、傷痛むの?」
「ん、傷はもう治ったよ」
そう、傷は了子の異端技術で痕すら残さないらしい。
私は錬金術師キャロル・マールス・ディーンハイムの攻撃で瓦礫の下。
その間に、クリス、翼のシンフォギアが、アルカノイズにより機能破壊された。
アルカノイズ、キャロルがノイズのレシピから錬金術により作った亜種ノイズ。
それらの情報を持ち込んだのは、エルフナイン。
キャロルの下にいた、ホムンクルス。キャロルのデータを下に作られた子だ。
(怪しさ爆発だが、いまはどうするかは司令達に任せるしかないか)
キャロルの下で、チフォージュ・シャトーと言うものを作っていた。それが世界を破壊すると言うものだと知り、キャロルを止めるために私達の下に逃げてきた。
曰く、対抗するには自分が持ち込んだ聖遺物によりシンフォギアを強化する、プロジェクトイグナイトというものを提案。
だが、
◇
『それを使うのなら、俺は貴方達の敵だ』
そう一真が言った。
了子はそれらの情報を集め、思考する。
「とりあえずアルカノイズの分解により、天羽々斬、イチイバルはシンフォギアとしての機能を失った。そこは強化しなければいけない、それに魔剣ダインスレイフを使うのもあり、そう思うが………」
「危険があると」
「理論上、暴走を抑え、戦える。この聖遺物を使えばできる。だが剣崎一真がそこまで反対する理由が分からない」
そう話し合いながら、ともかく強化はする予定だが、魔剣を使うかは保留らしい。
◇
(どうする気………!)
考え込みながら歩いていると、その時、
「聖杯にはすでに中身は満たされ、されど生贄の少女を求める」
唐突にそれと共に水柱が舞い上がり、全員が硬直する。
「………誰だ」
木の陰に一人、青色のドレスを着た者がいる。
「久方ぶり。まーさかあの爆発を直撃して生きてるって~ヤンデレ頑丈過ぎぃ~」
そう笑いながら答え、私はカバンを道に投げた。
「錬金術師キャロルの仲間か」
「そしてあなたの倒すべき敵」
見覚えがある人形。性根の腐ったそれはポーズを取りながら、何かをばらまく。そこからアルカノイズが現れ、静かに構える。
だが………
(後ろがまずいっ、このままここで戦うのか!?)
表情を変えずに周りを見たが、それをニヤニヤした顔でこちらを見る。
「昔ならともかく、今現在の貴方は戦いにくい状況」
すでに性格から見抜かれている。
「こいつ性格悪ぅぅ」
「私らの状況も悪いよっ」
「ビッキー」
どうする。どうすればいいか分からない。
「マスターから貴方は必ず殺せと言われてるのぉ。だからごめんね」
そして、アルカノイズが行進し出す。
だが………
◇
バイク音が鳴り響き、高速でアルカノイズを引きつぶした。
「!」
「一真っ」
バイク音を鳴り響かせながら、ヘルメットを脱ぎ、人形ガリィへと歩き出す。
「響は戦うな、貴様は俺が破壊する!」
「イモータル………マスターのお気に入りかッ」
「変身」
≪チェンジ≫
鳴り響く音と共に駆けだし、カリスが姿を現す。
カリスアローを構えながら、無数のアルカノイズが向かってくるが、ただのノイズと変わらず、カリスアローで切り裂く。
「ちぃ、いまはお呼びじゃないんだよっ」
そう言った途端、水柱が放たれ、水流が向かってくるが、
≪ゲル≫
その瞬間、カリスは液状化し、水の中に溶け込んだ。
「なっ」
水から飛び出る瞬間、またカードを取り出す。
≪チョップ≫
ガリィは水を出し、滑るように避けるが、表情は焦りを浮かべている。
放たれた手刀はガリィのいた場所を粉々に粉砕した。
「威力が」
≪リモート≫
無数のラウズカードを投げ、アンデッドが放たれ、それを見ながら、
「もぅ~ガリィちゃんっ、あんたの相手じゃないのにぃ~」
「知るかッ」
アルカノイズとアンデッドが戦いだすが、アンデッドを分解はできず、破壊される。
ガリィはすぐに懐から小瓶を取り出すが、それはカリスアローで破壊、撃ち砕かれた。
「逃がすと思うか」
「くっ………」
≪エボリューション≫
ギルドラウズカード化した13枚が舞い上がり、カリスはワイルドカリスへと姿を変え、静かに近づく。
「終われ」
「! 一真上っ」
瞬間気づき、横へと飛ぶ。
風が吹き荒れ、ガリィは安堵する。
「マスターっ」
「一真とは戦闘するなと、言っていたはずだが」
そう不機嫌そうにキャロルは言い、ガリィはめそめそしているように仕草を真似をしながら、
「だってマスターよりも可愛いガリィちゃんの方が好みらしいからっ、しつこくってぇぇ」
「壊すぞガリィ」
不機嫌そうに言うと、少しだけ舌を出して、すぐに小瓶を取り出し引っ込む。
キャロルは舌打ちしながら、何体かのアンデッド、そして一真を見る。
「やはり自分の分身を呼び出せたのか、アンデッドジョーカー………」
「なんでキャロルがそれを」
武器を構えながら、カリスは無言のまま見つめ、アンデッド達はアルカノイズを倒し、各々命令を待つ。
「なんだ、貴様は知らないのか。俺と一真はそこそこ長い年月知り合いだぞ」
「………」
「なにか言いたそうだな」
得意げに笑うキャロル。それにカリスは、
「なぜ………成長してない」
「クローンによる複製と転写だと何度説明すれば分かるんだ貴様はッ!!」
そんなバカげた会話にガリィは唖然となり、未来達も唖然となる。
響だけが目で人を殺せそうなほど睨んでいた。
「………キャロル、お前はまだ………命題の答えを探しているのか」
話を変えるように、カリスはそう呟く。
それにはキャロルは叫ぶ。
「当たり前だ、オレはオレの目的を達成させるッ。無論貴様も手に入れるっ、万能の力、世界の勝利者ッ。生物と言う生物の頂点に立つ、貴様はオレの物だ!!」
その言葉に響は驚愕する。
万能の力や、アンデッドなど………
(一真のことが、知られているのか………)
「………俺は万能の力を、誰かに渡す気は無い。この力は封印され続けるべきものだ」
カリスはカリスで、そう言い返すが、キャロルは聞く気は無い。
「だからと? 諦められるかッ!!」
力強く叫び、睨むようにカリス、一真を見る。
「バトルファイトの存在を知り、アンデッド。イモータルであるその人類を、世界を超えた英知を知ったオレの思いッ。貴様に分かるか一真!!?」
「キャロル」
「必ずだ、オレは必ず、世界を、奇跡を、そして貴様を壊すッ。貴様の全てはオレの物だと覚えていろ!!」
そして小瓶を叩き割り、いずこかへと去るキャロル。
さすがの一真も、キャロルと戦えば、被害が大きくなると判断し、それを見送るしか無かった。
◇
「………」
一真はキャロルを見届けた後、片手をあげ、アンデッドをカードに戻し、手元に集める。
静かにバイクに乗り、その場から、
「待ってよ一真っ」
それに一瞬止まるが、一真は、
「響、魔剣ダインスレイフには手を出すな」
「!」
「それに手を出すのなら、俺はお前達の敵だッ!!」
そうはっきり、一真はそう言った。
それに驚きながら、だけど………
「………あの子のこと、自分一人で片付ける気なの」
それには何も答えない。
「ふざけるなッ、何でも一人で解決しようとして、それで納得できるか!」
「なら俺と戦うのか」
「ああッ」
それに少し考え込む一真。そして、
バシュと、耳元で音が鳴る。
「響っ」
頬が痛い、血が流れた。
先ほどの戦いからワイルドカリスのままだった一真が、カリスアローを向けていた。
「言ったはずだ、魔剣に手を出すのなら、俺はお前達の敵だっ」
一真は本気らしい。それにガングニールを握りしめたとき、一真は後ろを振り返る。
「………これで最後だ、次の警告は無い」
そしてバイクを走らせ、その場から去る。
すれ違ったのかは知らないが、車に乗って、マリア、セレナ、奏と戦える装者が駆けつけた。
だが全ては遅く、一真は私達の敵として、立ちふさがる………
未来「響の顔に傷がッ、傷がッ」
響「平気、責任取ってもらうから」
未来「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――」
アニメちゃん「ヒナがラスボスのようなオーラを出したっ!?」
マリア「この状況なんなの………」
お読みいただきありがとうございます。