戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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始まる新たな戦い、それは守ると決めた少女たちに刃を向けるものである。

彼はなんのために戦い、なぜ全てを捨てたのだろう?

それでも彼は止まらない。

それ以外に道を選べないから………


第6枚・抜剣される魔剣・後編

 それは何度目かの出会いであった。

 

 何度も逃がし、何度も話し合う。

 

「貴様の力はオレの物だ剣崎一真ァァァァァァァァァァ!」

 

 キングフォームと成りながら、黄金の斬撃が放たれ、重醒剣キングラウザーを構えなおす。

 

「キャロル、俺の力は人間には渡せない。僅かな力ですでに分かっているはずだ」

 

「ああ分かっているともッ」

 

 風を放てば風が、雷は雷、炎は氷の壁。

 

 時には時間を止め、高速に動き回ったり、数多の姿を持つ。

 

 その力を垣間見る度に、オレの心は胸躍る。

 

 世界の始まり、いまの世界を構成した戦いの力。

 

 バトルファイトの戦士。

 

「貴様の細胞から創ったこの身体、思い出の焼却を必要とせず、万の病魔への免疫力、人の、いや生命がたどり着かない頂きの力。オレはその力を持って、世界を知る!!」

 

「世界を知る、何の為に」

 

「貴様には関係ない、大人しくオレの物になれ剣崎一真ッ」

 

 錬金術のスピードも増す中で、一真は静かに構えなおす。

 

≪チェンジ≫

 

 それこそが一真の真なる姿、万象を現す四元素を身体で表し、聖杯、こん棒の杖、硬貨、剣。

 

 一にて世界を現す全、そうだ。お前は世界だ、奇跡だ、だからこそ、

 

「貴様は俺の物だ………剣崎一真」

 

 その災いを形にした姿で逃げられたあとで、オレは決意する。

 

 その奇跡を壊してこそ、そして知ることがオレの命題、パパから託された命題の解明に繋がるんだと確信できた。

 

 諦めてなるものか。

 

 奇跡を壊し、世界を知る。

 

 お前を知って、壊して、オレの物にすることが、オレの命題なんだ

 

「一真………」

 

 そう、この長い間、オレから逃げながらも、オレを見続け、向き合い続けたお前を………

 

 絶対に手に入れてみせる。

 

 

 ◇

 

 

≪チェンジ≫

 

 鳴り響くはバニティアンデッドのカードの音。

 

 そして現れたのは、

 

 

 

【Aaaaaaaaaaaa―――ッ!!】

 

 

 

 

 完全に生物から外れた、何かだった。

 

 巨大な顔から角のように竜の頭部が生えて、巨大な尾は昆虫の針、魚のひれを持つ獣の尾。

 

 昆虫の羽根、鳥類の翼、機械のブースターが腰に付いていて、様々な種類の蔦が鎖と共についている。鎖の刃先は種類様々な刃物だ。

 

 腕らしいものも両腕合わせて六本もある。異なる武装などで、力を繰り出す。

 

 籠手のような武装する腕には剣と杖のようなメイス。

 

 もう一つの両腕は腰から生え、巨大な三つ爪が付いた籠手を纏い、覆い隠した腕。

 

 最後の両腕は、肩に付いたような腕。聖杯と護符のように言葉が刻まれたコイン状の盾を持つ。

 

【なん】

 

 生物では無い生物は咆哮を上げた。

 

 地面が砕け、雲が消し飛び、飛来してくる。

 

「んな重量でッ」

 

 クリスは叫びながら、全員がその場から飛び立つ。大地を削りながら飛翔するそれは、機械の鎧すら纏っている。

 

「もはや生き物ですら無いっ!?」

 

「翼、クリス響っ」

 

 奏やセレナが来るが、巨体を旋回させ、空の上に鎮座するそれは、一種の神話の怪物だ。

 

 聖杯から風をこぼし、剣は雷鳴を呼び、炎の文字を灯す貨幣の盾、杖から冷気を、氷を形作る。

 

「また体当たりするかもしれないが」

 

「ちっ、強化した矢先の相手が、不死………」

 

 その時、全員が凍り付く。

 

 クリスが言いかけた言葉、不死身。

 

 そう不死身なのだ、この怪物は。

 

 体当たりでは無く、口開き、両腕の三つ爪は光を灯し、武器を持つそれらは各々の力を同時に吐き出すと共に、ミサイルや弾丸が放たれる。

 

「なんでもありかッ」

 

「来ますっ!?」

 

 大地に降り注ぐ災厄を避けながら、それはまた接近する。

 

 六本の腕で一人一人対処するが、ここには私、クリス、翼、奏、セレナしかいない。

 

 剣が薙ぎ払われ、私達は吹き飛んだ。

 

【ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ】

 

 暴走が解け、すぐに地面にバンカーを伸ばして止まろうとするが、

 

≪ロック メタル バイオ チェーンバインド≫

 

 瞬間草木のように鉄が生えて、私に絡みつく。

 

「ラウズカードォォォォォォォォ!?!」

 

≪タイム≫

 

 おそらく、空中でクリス達含め、世界は停止した。

 

 

 

≪サンダー ファイア トルネード ブリザード エクストリームショット≫

 

 

 

 次の瞬間、世界は全てのみ込まれた。

 

 

 ◇

 

 

 翼を閉じて、大地に下りる時、通常のバニティアンデッド姿で着地する。

 

 イグナイトモジュールが解けて、その場に倒れる装者達。

 

 響なぞ、ギアが解けていた。

 

 だが、それよりダメージを受けている。セレナ、奏を見る。

 

「………ガングニール、封印」

 

≪バニティ≫

 

 ラウザーにカードを通した後、奏へとカードを投げる。

 

 奏は気づいたとき、カードがスーツに刺さり、ガングニール。ギアがカードの絵の中に吸い込まれていく。

 

「なっ」

 

「アガートラーム、封印」

 

≪バニティ≫

 

 同じ手順でセレナに投げると、セレナにも同じ現象が起き、二人とも前を隠すよりも、カードを掴もうとするが、それは回転しながら、主の下へ戻る。

 

 カードを持つ一真は、その絵柄を見せる。

 

 変化したカードは槍と銀色の腕が描かれたカードであった。

 

「聖遺物を」

 

「封印した………」

 

 そしてカードは手の中に取り込まれ、一真の中に封印された。

 

 それに驚愕しながら、

 

「天羽々斬、イチイバル。封印」

 

≪≪バニティ≫≫

 

 今度は二枚連続に投げ、それは真っ直ぐ、翼とクリスへと向かっていく。

 

 二人は顔を上げ、クリスは弾丸を放つが、それも砕けて、その破片すら中に吸い込まれながら、接近してくる。

 

(まず)

 

 

 

 その時、轟ッと言う音が鳴り響き、カードは叩き落された。

 

 

 

「ぇ………」

 

「なっ」

 

【………】

 

 叩き落されてもカードはくるくると回転し続けた。

 

 だがカードはそのまま、一真の下に戻り、戻ってきたカードを掴み、現れたそれを睨む。

 

「存外と硬いな」

 

 そう言いながら、手を振り、アップし出すは、

 

「オッサンっ」

 

「旦那!?」

 

「司令さんッ」

 

「叔父上」

 

「司令………」

 

 歌姫達は驚愕する中、セレナと奏に着る物を持ってくる切歌と調。

 

 風鳴弦十郎、静かに目の前の怪物を見る。

 

「君にしては、少しばかり強引過ぎるな。一真くん」

 

【魔剣ばかりは、人の手に置けないからな。悪いが怪我はさせたくないんだが】

 

 武器は持たないが、構える一真。それに弦十郎は構える。

 

「悪いがそれでもこれは、俺達の希望だ。おいそれと渡すわけにはいかない、奪った聖遺物、返してもらうぞ」

 

【………行くぞ】

 

 

 ◇

 

 

 私、響は目の前の展開についていけない。

 

「翼、貴方の家は怪奇の血持ちか」

 

「言いたいことは分かるが、風鳴の血は防人の血、怪物にあらず」

 

「けど旦那のあれ見ればな………」

 

 

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――!」

 

【ウッイィィィィィィィィィリヤャャャャィィィィァァァァァ―――!】

 

 

 

 轟ッ、ガンッ、バンッと大気を鳴らし、大地を揺らす二人。

 

 海が二人の余波で舞い上がり、空が割れる。

 

 どちらも血を流しながら、撃ちあっていた。

 

「翼先輩、オッサンはトライアルシリーズなのか?」

 

「知っているぞ雪音っ、叔父上は人間だっ」

 

「人間の動きじゃないですよ………」

 

 セレナの言いたいことは最もだ。どこの世界に一真と生身で互角に戦える人間がいる。

 

 ここにいたよ。

 

 また巨大な揺れをたたき出した後、距離を取る二人。

 

 そして………

 

「!」

 

 一真は人間体へ変わる。

 

 だけどその目の色は人の物では無いように、発光していた。

 

「一真くん?」

 

「………弦十郎さん、魔剣ダインスレイフは、ヒューマンアンデッドの最後の兵器、その一つ。そして、俺の中のシステムと呼べる物を、進化させた」

 

 ビキビキと何か音が鳴り響き、一真の傷が癒える。

 

 だがこんな奇怪な音を響かせながらなんて、初めてだ。

 

「アンデッドの戦いに必要なものは、闘争本能だけ………魔剣ダインスレイフは、まさにうってつけの力を持つ、バトルファイトを勝ち残った証だ」

 

「………君の本音は、響くんたちの安否か」

 

 それを聞き、私達は驚く。

 

 一真は否定も何もしない。

 

 だが構えることはやめなかった。

 

 それに苦笑しながら、一真へと拳を構える。

 

「君は、キャロルくんのことも一人で解決する気か」

 

「何をいまさら………俺はそう言う道を選んだバカだ………」

 

 拳を握りしめ、静かに構えると共に、司令も構えた。

 

「君は心の中に仲間を持つ、そして運命と戦うのだろ」

 

「ああ、けれど、それを無視してでもやらなければいけないこともあるんだ………俺は仮面ライダーで、剣崎一真で………化け物だ」

 

 

 

 瞬間、二人は跳んだ。

 

 

 

 耳を響かせ、空間を揺らす一撃が激突して、そして………

 

 

 

 司令は吹き飛び、一真は立ち尽くす。

 

 

 

「司令さんっ」

 

「一真………」

 

 だが一真は目の色を変えながら、静かに歩き出す。

 

「いまの状態で封印はできない、俺が俺で無くなる………いまはそれは困る」

 

 そう言いながらラウズカードを取り出す。

 

「響、翼ちゃん、クリス。調ちゃん、切歌ちゃん。そしてマリアちゃん………魔剣を組み込むと言うんなら、俺はそれを封印する。それは人間が持つべきものでも、歌でもない」

 

 そう言い、一真はフロートの風を巻き起こしてどこかへと去っていく。

 

 とりあえず、私はこの後、司令に弟子入り頼もう。

 

 

 ◇

 

 

「………負けたか」

「建物の被害を考えれば、よく死者が出なかったものだ」

 

 了子くんがそう言いながら、俺の治療をしている。

 

 すでに痛みも何も無い。これならすぐに動けるか。

 

「錬金術師達は?」

「錬金術師キャロルはすでに姿は無く、各施設を襲っていたオートスコアラー達も、アンデッドが現れた時点で逃走していた」

 

 逃がしたか、それは仕方ないだろう。

 

 だがやることは多い。

 

「どうせ、すぐに色々動く気なんだろ? 緒川達がすでに動いている、休ませたいのだがな」

「すまないな」

 

 こればかりは悪いと思うが、

 

「とはいえ、プロジェクトイグナイトはどうなった?」

 

「………響のガングニールを始め、神獣鏡以外のギアに強化完了。これで剣崎一真と敵対は」

「確定、というわけか」

 

 ため息をつくが、致し方ない。

 

 彼の目的は分かった。アンデッド、一万年前のバトルファイトで使われた魔剣か。

 

 闘争本能を求められる戦いで活躍した物。うってつけだったのだろうな。

 

「一真くん、不器用な男が。他にやりようがあるだろう」

 

 だが分かる。装者全員、危険と知っていてそれを避けるような人間ではない。

 

 切歌くんや調くんも、リンカーを躊躇いも無く、必要なら連続投与する。

 

 罪の清算、譲れない信念、待ってはくれない戦い。

 

 腹立たしいな。

 

「結局、俺は一真くんに、危険な物に手を出す子供を、無理矢理止める役を押し付けているだけじゃないか」

 

 分かっているから無理矢理なんだろう。

 

 そこまでしても止まらないだろう。装者達全員、皆そう言う性格だ。

 

 俺は果たして、彼を咎める資格はあるか? 危険と知りつつ、戦いに出すこの俺が?

 

 考え込んでいると、了子くんの治療で痛みが走る。

 

「余計なこと考えない、貴方は貴方のやるべきことをするだけでしょ?」

「………すまない」

「はあ………まったく、この世はやはり、呪詛がある限り、分かり合えないのだろうか」

 

 そう言うが、

 

「いや違う、俺は少なくとも、彼の願いは分かり合えた」

「………そうか」

 

 響くん達の絶対安全。

 

 彼の願い、彼の願望、唯一の望み。

 

 いまのままだろうと、俺は、俺達は叶えてみせなくてはいけない。

 

 彼から明日を渡された、俺達の、いや、俺達が選んだ明日だ。

 

 

 ◇

 

 

「………一真さんに、裸にされたんだ私………」

 

「セレナっ、なんで嬉しそうなの!?」

 

「なら私達は」

 

「胸触られたデスっ」

 

「ほう………」

 

「つまりハチの巣になりたいわけか」

 

「奏は」

 

「んなもん気にしていられるか、ともかく、二人を止めるぞっ」

 

 この後、弦十郎が医務室から帰還するまで、混乱が続いたらしい………

 

 

 ◇

 

 

 そして、

 

「エルフナイン」

 

「あっ、響さんっ」

 

 全ての作業を終えたエルフナイン、まるで合わせたように現れる響。

 

 エルフナインは何も不審に思わず、響の下に近づいていく。

 

「ちょうどよかったです、いま響さんたちのシンフォギアの強化が完了しました。これが響さんのガングニールです」

 

「ありがとう、大事にするよエルフナイン」

 

 そして響はガングニールを受け取ると共に、その手を離さない。

 

「? 響さん?」

 

「ところで、これからエルフナインはどこに住むの?」

 

「はいっ、このままけん「ダメだよ」きゅう………えっ?」

 

「エルフナインはね、今日から私の所に住むの」

 

「な、なんでですか? は、はなしてください響さ」

 

 そして力づくで、エルフナインの身体を引き寄せ、抱きしめる。

 

 その時、僅かに頬を舐めた。

 

「はひっ!?」

 

「………一真と同じか………」

 

「………響さん?」

 

 エルフナインはこの時、初めて自分は危険な状況なのではないかと気づいた時、クリスが入ってくる。

 

「く、クリスさんたすけ」

 

 その手に人一人入る袋と、縄を持って………

 

「ぇ………」

 

「………」

 

「………」

 

「交代な」

 

「おう」

 

「ひ、ひび」

 

 そしてエルフナインの悲鳴がこだまして、その時、最後の良心風鳴弦十郎が立ちふさがり、響とクリスは御用となる。

 

「大変だったねエルフナインちゃん」

 

「ゼレナざん………」

 

「よしよし、いいこいいこ………」

 

 その時、セレナは僅かに微笑む。

 

「セレナ?」

 

 少し姉が何かに気づき、聞き返したが、優しく微笑む。

 

 セレナからもエルフナインを回収され、しばらく装者は説教を受けることになる。

 

 だが翌日、この話を聞いた小日向未来は静かに響に頷いて、会話していたらしい。

 

「そうなの………エルフナインちゃんたら………」

 

「私は必ず手に入れるよ」

 

「………そう………」

 

 そう静かに相槌して、虚空を見つめる未来。

 

 響は今日も平和だと呟いた。




バニティアンデッドジョーカーは、クトゥルフのような状態ですね。

機械も組み込まれた、常に姿が変わる生き物。

そして響もクリスも諦めてません。

セレナは静かに篭絡しようと動きます。守るのは、年上装者達ですが、奏は怪しいです。

後輩ズはそこまで堕ちてません。

エルフナインは完全な被害者です。

そして未来さん、エルフナインに憎しみは抱きません、ただ黒いものは抱いてますね。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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