俺がいけなかったんだ。
風評被害の所為で仕事がうまくいかなくなり、色々なものに耐えられなくなり、家を出た。
それから一か月も経ってからか。新聞で娘が行方不明になったことを知って、必死に頭を下げて状況を教えてもらう。
俺が、俺だけがいけなかったんだ。一番傷付いていたのは響なのに………
その後は俺は必死に娘を捜し歩く。
そしてたまたま立ち寄ったコンビニで、
「!!! ひ、ひびき………響っ!!」
見つけた、見つけた娘は………
「放してッ、いきなりなんだよッ!」
俺が知っている娘の面影はなく、あのいつも笑顔だった娘が笑顔じゃなかった。
俺の所為だ、俺が傷つけたんだ。
だが娘は自分の所為と叫び、泣きそうな顔で睨んでくる。
そんな顔、俺は、俺はッ。
あの日の自分が嫌になる。
その場から去る娘を追いかけることもできず、俺はその場に膝をつく………
◇
「………」
「うぅ………ううっ………どぼじて」
抱きしめられ、抱き枕のように響に抱きしめられるエルフナインちゃん。
昨日の夜。
「エルフナインの相部屋はくじにするからな」
「各々が用意したくじでやるわよ」
クリスと共に細工したくじを捨てた響は、気合いを入れてくじを作り、エルフナインちゃんに引かせる。
みんなが用意したくじの中、エルフナインちゃんが引いたのは、響の部屋のくじ。
こうして寝て起きても抱きしめられ、その腕で包まれている。
なぜかこちらを見て怯えている、なぜ怯えているか分からない。
あの夜、響はおじさんに出会ってからこの調子であり、エルフナインちゃんを抱きしめている。
エルフナインちゃんとの同室決めに勝ち、ずっと抱きしめられていた。
ずっと………ずっと………
「な、何で見てるんですかぁ………いっ、いったいいつから」
「気にしなくていいよ」
私はそう穏やかな声で答えて、その頬を撫でる。
響を虜にするその肌を………すべすべだね、可愛いね。
これなら響と一緒に………
なんで泣きそうな顔で私を見るのか分からないな。
神獣鏡があれば、私はギアを纏っていそうだ。歌が、私の中からあふれだす。
大丈夫、私が見ててあげるから。
ずっと、ずっと………
◇
「結局、あのままでいいのだろうか」
「にゃ~」
あの後、すぐにバカンスが終わり、エルフナインを開放した。
私はすぐに、私の居場所へ向かうことにする。
野良猫の集まりの中で、膝の上で丸くなる猫。ここは一真と過ごした廃屋だ。
猫とたわむれる中で、少しだけ親の顔を思い出す。
「………やっぱり無理だ」
会いたくない。
もう壊れるのも、壊すのも、その後も見るのは嫌だ。
一真に会いたい、一真を感じたい。
あの後、エルフナインを抱きしめて、少しは一真を感じていた。やはり一真が関わるからだ。
必ず手に入れよう、あの子は私の下にいるべき子だと確信した。
全てを終えた後のことを考えたその時、また猫が来る。親子で現れ、すり寄ってくる。
子猫でも生んだのだろうか? 子猫を加えたりしていた。
そう言えばお腹が大きな子がいたと思いだす、ここをねぐらにしていた猫。
生んだ猫をくわえて、まるで餌をくれている人だと認識させるがためか、私の膝に子猫を置く。
三匹の目が見えていない子猫がにゃーにゃーと膝の上で暴れている。
「お前達は親子仲良しのままでいてくれよ」
私と違って………
「………一真」
この後、エルフナインを抱きしめに行くか。
めちゃくちゃ可愛がってやりたいな………
◇
今日は少し外で出歩く中で、私は切ちゃんと共に飲み物を買う。
切ちゃんがハイテンションで自動販売機同時押しで買ったため、少し変なジュースを飲む。ドリアンエナジー味って、どうして作られたんだろう?
不思議なおいしさのジュースを飲みながら、少し会話する。イグナイトについての話。
そうこうしていると、連絡が入る。
◇
「二人とも、問題ないか」
「問題無しデス」
「はい」
今回近くにいたと言うことで、私達は響先輩についていく。
響先輩は少し何かあったようだが、それは、
「へいき、へっちゃらだそんなの。いいから行くぞ」
「は、はいっ」
そして地下の施設へと入ると、回線らしい重要な機材ばかり見える。
「まずいな、ここじゃ私は戦いづらい………相手は」
軽い舌打ちした後、人選ミスだろと嘆いていた。
物陰に隠れながら、アルカノイズと、オートスコアラーのミカと言う、炎と赤い水晶みたいな物を取り出して戦う相手。
「パワータイプか………切歌、調。攻撃は私がひきつけるから、お前らがミカと戦ってくれ。私はパワーで彼奴の水晶を壊すから」
「はいデス」
私もこくりと頷く。正直私はそんな守られながらは嫌だが、ここは壊れそうな物で溢れている。
そこを気を付けて戦うしか無い為、私達は従い、先手を打つ。
◇
無数の丸鋸を放ち、切ちゃんの戦慄が鳴り響く。
「ゾ?」
それに手のひらから水晶体を取り出し、振り回すミカ。
「装者かだゾ、ミカはいま忙しいんだゾっ」
「知るかッ。大人しく壊されろ!!」
前に出るが、いつもよりも勢いはない。
なるべく囮になりつつ、攻撃が放たれる。向こうはやっぱり、周りにお構いなしだ。
炎は無理だが、水晶体は壊す響先輩。切ちゃんと共にユニゾンで攻めるが、
「そのくらいじゃ、ミカは倒せないゾ」
そう遊ぶように言われながら、全部の攻撃が届かない。
手に持つ水晶なりで、私の攻撃が防がれたり、切ちゃんも攻め切れない。
水晶体の攻撃は全て響先輩が受け持っているけど、このままじゃ、
「こうなれば」
そう言い、切ちゃんはイグナイトのペンダントを握りしめる。
「待って切ちゃんっ、それじゃ響先輩の邪魔になるっ」
響先輩は本気が出せないから私達に任せてくれてるのに、その私達が周りを巻き込む攻撃したら意味が無いよっ。
「デスけど、このままじゃこいつに勝てないデスっ」
「! 止まるな二人ともっ」
その時、特大の水晶体が切ちゃんに放たれ、響先輩が無理に前に手で砕く。
だけど勢いは止められず、切ちゃんと一緒に後ろの壁へと吹き飛んだ!?
「がはっ」
「デスっ!?」
二人がバランスを崩すと、炎が放たれる。私はすぐに丸鋸の盾で防ぐ中、
「調っ、このままじゃダメです、やっぱりイグナイトを」
「だからそれじゃ響先輩が我慢した意味がないよっ。ここはユニゾンで」
「それじゃダメだから」
「口論している場合かっ、くっ………」
「「響先輩っ」」
僅かに苦しそうに膝をつくとき………
≪トルネード≫
風を纏いながらバイク音が響、アルカノイズや炎、ミカを吹き飛ばす。
「「一真さんっ」」
「一真………ワイルドカリス」
バイクから飛び降りた瞬間、カリスアローから光弾を放ち、ミカに命中させる。
「だゾぉぉぉぉぉぉぉお」
吹き飛ぶミカに追撃を掛けるように駆け、13枚のカードが1枚のカードに集まる。
≪ワイルド≫
そのまま斬り付けるように、醒弓カリススラッシャーで斬り付けようとするが、
「お前はダメって言われてるんだゾっ」
早口でそう言った途端、無数のアルカノイズがばらまかれ、一斉に向かってくる。
それを切り伏せると、すぐに小瓶で逃げるミカ。
「逃げた………」
「切歌、調構えろ」
「!? 響先輩、でもっ」
「でもじゃない………一真は、敵だ」
その言葉に、胸が締め付けられる。
この人がそれを言う。その顔が痛みからなのか分からないけど、酷く歪んでいた。
(私は………)
カリスであるあの人は、静かに見つめながら、そして、
「ここでの戦闘は、人に迷惑をかける」
そう言った途端、人の姿に戻る。
一真さんはそう言い、響先輩を見つめた。
「………いまの俺に、心配する資格は無いか」
「………なんの話だ」
「………半端者の、我が儘だ」
そう悲しそうに響先輩を見ながら、バイクに乗って走り去る。
その後、糸が切れたように、響先輩は倒れた………
◇
「なんで止めたんデスか調っ」
「あそこでイグナイトで戦うことなんてできないっ、切ちゃんの分からず屋っ」
「分からず屋なのは調デスっ」
「やめなさいあなたたちッ」
響が倒れてから、この子達はこの調子だ。
戦闘結果を見る限り、場所が悪い。回線や機械器具が多く、ガングニールのパワーが使えないし、イグナイトなんて成功してもガングニールと同じだ。
調の言いたい事は切歌にも分かっている。だけど切歌の言う通り、イグナイト以外に、オートスコアラーを倒せるか分からない。
「ともかく、二人は大人しくしていなさいっ」
「マリア………」
「………」
二人は黙り込む中、響の方もだ。
あの子も少し無理している気がする。一真が気にかけた。
私はすぐにあの日の夜を思い出し、小日向未来に話を聞こうと、動き出す。
◇
夕焼けの中、切ちゃんと共に、家に帰る。
何も話さず、ただ歩く。
その時、
「!」
静かにあの人が現れた。
「………」
「一真さんっ」
「デスっ」
一真さんは静かにこちらを見ながら、手を向けて呟く。
「イガリマとシュルシャガナを渡してくれ」
そう言われ、私達はお互い、自分のペンダントを握りしめる。
それはいや、それだけはいやっ。
「これだけは」
「一真に言われても、渡せないデスっ」
「………なんでだ」
それに、私達は黙り、静かに、
「私達は間違いを犯した、自分達に正義があって、月の落下は自分達しか止められないと思い込んでいました」
「デスけど違った、私達は間違えたんデス」
「だからもう間違えないためにも、これが必要」
「過ちを正すために、聖遺物、イグナイトの力が必要デスっ」
それを聞きながら、一真さんは悲しそうに見つめていた。
「………過ちは正せない、なにがあろうと」
そう悲しそうにつぶやいた。
「君たちは一つ、思い違いをしているよ」
「「えっ………」」
◇
「力は力だ。俺たち仮面ライダーの力は、怪人たちと変わらない。暴力の力だ」
「デ、デスけど」
「一真さんはその力で、人を、世界や人類を救った」
「だけど、俺は仲間たちを裏切った」
そうだ、俺の過ちは、けして消えない。
「俺は始を救い、戦いという運命から解放したいと、戦いを終わらせたいと願った。これしかなかった、それしか思いつかなかった。だけど俺は仲間を裏切った、人間であることを捨てた」
二人は悲しそうに俺を見る。
俺はいま、どんな顔をしているんだろうか。
「だけど、それでも俺はこの選択を選ぶよ。例え怪人でも、何であろうと俺は仮面ライダーでありたいと願う………君たちは間違った、けど、それを力で償う必要は無い」
「力で償う必要………だけど」
「君たちが戦う理由が償いなら、俺は力ずくでギアを取り上げる」
前に踏み込むと、彼女たちは後ろに下がる。
「な、なんで」
「力で償えるものなんてない、守るための理由なんて、そんなものはいらない」
「「!」」
「守るために戦う理由なんて、誰かを守り、救いたいって思っただけで十分だ。償うためなら、それは誰かを守りたいんじゃない、自分が救われたいから戦うんだ」
「………私は」
「違うデス………私達が戦いたい理由は、守られて、大切な人が傷付いてほしくないだけ」
「切ちゃん」
「調………」
何か考え込む二人は、俺を見る。今度は悲しい顔ではなく、迎え合う為に、そんな顔だ。
「一真さん、やっぱり私達は、聖遺物を渡せません」
「大切な人たちだけに、戦わせて、自分達は安全な場所にいたくない、その隣で、一緒に戦いたいんデス」
「………」
強いな、この子たちは………
「そうだ、戦う理由なんてそれでいいんだ………凄いな、俺は気づくのに、何年も経った、全部取り返しがつかないぐらいに………」
「一真さん………」
「だけど俺は変われない、もうこの道を選んだ、だけじゃない。結局これが、俺が俺だから、だからだ」
その時、無数の爆発と悲鳴が響き渡る。
俺たちはすぐに気づき、そこにミカと言うキャロルの人形がいた………
◇
その後、私達は戦い、調と共に抜剣したデス。
なんとかユニゾンで勝てた後、アルカノイズを倒していた一真さんに………
む、むむ、胸触られて、リンカーの悪影響など、治してもらったデス。
正直、恥ずかしいデスけど、身体の調子が良くなりました。
一真さんはその後悲しそうに、その場を去ります。
ずっと目の色が赤や青、緑になったりしてました。先輩に聞くと、ジョーカーの力が安定してないらしいデス。
「イグナイトはやはり、剣崎さんの力、アンデッドの力を暴走させているのか」
「だけど、だとしても私達は手放すことはできないわ」
そうマリアと翼先輩が話し合います。デスが………
「調ちゃん、お姉さん家に少し来ようか」
「お前はこっちだ………私らに黙って一真と話してたことを話してもらおうか」
こっちを助けてくださいッ、調、調エェェェェェェェェェェェェっ!
◇
「………」
静かに一人、怪物が黙り込む。
身体の中で闘争を求める。
「………俺は」
闇の中で呟きながら、静かにそれと戦い続けた………
響「押しとおるッ」
クリス「行くぜッ」
風鳴弦十郎「来い!」
激突する、そして吹き飛ぶ光景を見るエルフナイン。
今日も司令に守られた。
セレナ「よしよし」
エルフナイン(あれ、つい反射的に動きましたが、どうしてボクはセレナさんに抱き着いてるんだろう?)
セレナ「………ふふっ」
エルフナインはこの作品ではヒロインですね。
この子、このままみんなを信じる子のまま大人になって欲しい。
お読みいただき、ありがとうございます。