戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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第8枚・強き弱き者たち

 俺がいけなかったんだ。

 

 風評被害の所為で仕事がうまくいかなくなり、色々なものに耐えられなくなり、家を出た。

 

 それから一か月も経ってからか。新聞で娘が行方不明になったことを知って、必死に頭を下げて状況を教えてもらう。

 

 俺が、俺だけがいけなかったんだ。一番傷付いていたのは響なのに………

 

 その後は俺は必死に娘を捜し歩く。

 

 そしてたまたま立ち寄ったコンビニで、

 

「!!! ひ、ひびき………響っ!!」

 

 見つけた、見つけた娘は………

 

「放してッ、いきなりなんだよッ!」

 

 俺が知っている娘の面影はなく、あのいつも笑顔だった娘が笑顔じゃなかった。

 

 俺の所為だ、俺が傷つけたんだ。

 

 だが娘は自分の所為と叫び、泣きそうな顔で睨んでくる。

 

 そんな顔、俺は、俺はッ。

 

 あの日の自分が嫌になる。

 

 その場から去る娘を追いかけることもできず、俺はその場に膝をつく………

 

 

 ◇

 

 

「………」

 

「うぅ………ううっ………どぼじて」

 

 抱きしめられ、抱き枕のように響に抱きしめられるエルフナインちゃん。

 

 昨日の夜。

 

「エルフナインの相部屋はくじにするからな」

 

「各々が用意したくじでやるわよ」

 

 クリスと共に細工したくじを捨てた響は、気合いを入れてくじを作り、エルフナインちゃんに引かせる。

 

 みんなが用意したくじの中、エルフナインちゃんが引いたのは、響の部屋のくじ。

 

 こうして寝て起きても抱きしめられ、その腕で包まれている。

 

 なぜかこちらを見て怯えている、なぜ怯えているか分からない。

 

 あの夜、響はおじさんに出会ってからこの調子であり、エルフナインちゃんを抱きしめている。

 

 エルフナインちゃんとの同室決めに勝ち、ずっと抱きしめられていた。

 

 ずっと………ずっと………

 

「な、何で見てるんですかぁ………いっ、いったいいつから」

 

「気にしなくていいよ」

 

 私はそう穏やかな声で答えて、その頬を撫でる。

 

 響を虜にするその肌を………すべすべだね、可愛いね。

 

 これなら響と一緒に………

 

 なんで泣きそうな顔で私を見るのか分からないな。

 

 神獣鏡があれば、私はギアを纏っていそうだ。歌が、私の中からあふれだす。

 

 大丈夫、私が見ててあげるから。

 

 ずっと、ずっと………

 

 

 ◇

 

 

「結局、あのままでいいのだろうか」

「にゃ~」

 

 あの後、すぐにバカンスが終わり、エルフナインを開放した。

 

 私はすぐに、私の居場所へ向かうことにする。

 

 野良猫の集まりの中で、膝の上で丸くなる猫。ここは一真と過ごした廃屋だ。

 

 猫とたわむれる中で、少しだけ親の顔を思い出す。

 

「………やっぱり無理だ」

 

 会いたくない。

 

 もう壊れるのも、壊すのも、その後も見るのは嫌だ。

 

 一真に会いたい、一真を感じたい。

 

 あの後、エルフナインを抱きしめて、少しは一真を感じていた。やはり一真が関わるからだ。

 

 必ず手に入れよう、あの子は私の下にいるべき子だと確信した。

 

 全てを終えた後のことを考えたその時、また猫が来る。親子で現れ、すり寄ってくる。

 

 子猫でも生んだのだろうか? 子猫を加えたりしていた。

 

 そう言えばお腹が大きな子がいたと思いだす、ここをねぐらにしていた猫。

 

 生んだ猫をくわえて、まるで餌をくれている人だと認識させるがためか、私の膝に子猫を置く。

 

 三匹の目が見えていない子猫がにゃーにゃーと膝の上で暴れている。

 

「お前達は親子仲良しのままでいてくれよ」

 

 私と違って………

 

「………一真」

 

 この後、エルフナインを抱きしめに行くか。

 

 めちゃくちゃ可愛がってやりたいな………

 

 

 ◇

 

 

 今日は少し外で出歩く中で、私は切ちゃんと共に飲み物を買う。

 

 切ちゃんがハイテンションで自動販売機同時押しで買ったため、少し変なジュースを飲む。ドリアンエナジー味って、どうして作られたんだろう?

 

 不思議なおいしさのジュースを飲みながら、少し会話する。イグナイトについての話。

 

 そうこうしていると、連絡が入る。

 

 

 ◇

 

 

「二人とも、問題ないか」

「問題無しデス」

「はい」

 

 今回近くにいたと言うことで、私達は響先輩についていく。

 

 響先輩は少し何かあったようだが、それは、

 

「へいき、へっちゃらだそんなの。いいから行くぞ」

「は、はいっ」

 

 そして地下の施設へと入ると、回線らしい重要な機材ばかり見える。

 

「まずいな、ここじゃ私は戦いづらい………相手は」

 

 軽い舌打ちした後、人選ミスだろと嘆いていた。

 

 物陰に隠れながら、アルカノイズと、オートスコアラーのミカと言う、炎と赤い水晶みたいな物を取り出して戦う相手。

 

「パワータイプか………切歌、調。攻撃は私がひきつけるから、お前らがミカと戦ってくれ。私はパワーで彼奴の水晶を壊すから」

「はいデス」

 

 私もこくりと頷く。正直私はそんな守られながらは嫌だが、ここは壊れそうな物で溢れている。

 

 そこを気を付けて戦うしか無い為、私達は従い、先手を打つ。

 

 

 ◇

 

 

 無数の丸鋸を放ち、切ちゃんの戦慄が鳴り響く。

 

「ゾ?」

 

 それに手のひらから水晶体を取り出し、振り回すミカ。

 

「装者かだゾ、ミカはいま忙しいんだゾっ」

 

「知るかッ。大人しく壊されろ!!」

 

 前に出るが、いつもよりも勢いはない。

 

 なるべく囮になりつつ、攻撃が放たれる。向こうはやっぱり、周りにお構いなしだ。

 

 炎は無理だが、水晶体は壊す響先輩。切ちゃんと共にユニゾンで攻めるが、

 

「そのくらいじゃ、ミカは倒せないゾ」

 

 そう遊ぶように言われながら、全部の攻撃が届かない。

 

 手に持つ水晶なりで、私の攻撃が防がれたり、切ちゃんも攻め切れない。

 

 水晶体の攻撃は全て響先輩が受け持っているけど、このままじゃ、

 

「こうなれば」

 

 そう言い、切ちゃんはイグナイトのペンダントを握りしめる。

 

「待って切ちゃんっ、それじゃ響先輩の邪魔になるっ」

 

 響先輩は本気が出せないから私達に任せてくれてるのに、その私達が周りを巻き込む攻撃したら意味が無いよっ。

 

「デスけど、このままじゃこいつに勝てないデスっ」

 

「! 止まるな二人ともっ」

 

 その時、特大の水晶体が切ちゃんに放たれ、響先輩が無理に前に手で砕く。

 

 だけど勢いは止められず、切ちゃんと一緒に後ろの壁へと吹き飛んだ!?

 

「がはっ」

 

「デスっ!?」

 

 二人がバランスを崩すと、炎が放たれる。私はすぐに丸鋸の盾で防ぐ中、

 

「調っ、このままじゃダメです、やっぱりイグナイトを」

「だからそれじゃ響先輩が我慢した意味がないよっ。ここはユニゾンで」

「それじゃダメだから」

「口論している場合かっ、くっ………」

「「響先輩っ」」

 

 僅かに苦しそうに膝をつくとき………

 

≪トルネード≫

 

 風を纏いながらバイク音が響、アルカノイズや炎、ミカを吹き飛ばす。

 

「「一真さんっ」」

 

「一真………ワイルドカリス」

 

 バイクから飛び降りた瞬間、カリスアローから光弾を放ち、ミカに命中させる。

 

「だゾぉぉぉぉぉぉぉお」

 

 吹き飛ぶミカに追撃を掛けるように駆け、13枚のカードが1枚のカードに集まる。

 

≪ワイルド≫

 

 そのまま斬り付けるように、醒弓カリススラッシャーで斬り付けようとするが、

 

「お前はダメって言われてるんだゾっ」

 

 早口でそう言った途端、無数のアルカノイズがばらまかれ、一斉に向かってくる。

 

 それを切り伏せると、すぐに小瓶で逃げるミカ。

 

「逃げた………」

「切歌、調構えろ」

「!? 響先輩、でもっ」

「でもじゃない………一真は、敵だ」

 

 その言葉に、胸が締め付けられる。

 

 この人がそれを言う。その顔が痛みからなのか分からないけど、酷く歪んでいた。

 

(私は………)

 

 カリスであるあの人は、静かに見つめながら、そして、

 

「ここでの戦闘は、人に迷惑をかける」

 

 そう言った途端、人の姿に戻る。

 

 一真さんはそう言い、響先輩を見つめた。

 

「………いまの俺に、心配する資格は無いか」

 

「………なんの話だ」

 

「………半端者の、我が儘だ」

 

 そう悲しそうに響先輩を見ながら、バイクに乗って走り去る。

 

 その後、糸が切れたように、響先輩は倒れた………

 

 

 ◇

 

 

「なんで止めたんデスか調っ」

 

「あそこでイグナイトで戦うことなんてできないっ、切ちゃんの分からず屋っ」

 

「分からず屋なのは調デスっ」

 

「やめなさいあなたたちッ」

 

 響が倒れてから、この子達はこの調子だ。

 

 戦闘結果を見る限り、場所が悪い。回線や機械器具が多く、ガングニールのパワーが使えないし、イグナイトなんて成功してもガングニールと同じだ。

 

 調の言いたい事は切歌にも分かっている。だけど切歌の言う通り、イグナイト以外に、オートスコアラーを倒せるか分からない。

 

「ともかく、二人は大人しくしていなさいっ」

 

「マリア………」

 

「………」

 

 二人は黙り込む中、響の方もだ。

 

 あの子も少し無理している気がする。一真が気にかけた。

 

 私はすぐにあの日の夜を思い出し、小日向未来に話を聞こうと、動き出す。

 

 

 ◇

 

 

 夕焼けの中、切ちゃんと共に、家に帰る。

 

 何も話さず、ただ歩く。

 

 その時、

 

「!」

 

 静かにあの人が現れた。

 

「………」

 

「一真さんっ」

 

「デスっ」

 

 一真さんは静かにこちらを見ながら、手を向けて呟く。

 

「イガリマとシュルシャガナを渡してくれ」

 

 そう言われ、私達はお互い、自分のペンダントを握りしめる。

 

 それはいや、それだけはいやっ。

 

「これだけは」

 

「一真に言われても、渡せないデスっ」

 

「………なんでだ」

 

 それに、私達は黙り、静かに、

 

「私達は間違いを犯した、自分達に正義があって、月の落下は自分達しか止められないと思い込んでいました」

 

「デスけど違った、私達は間違えたんデス」

 

「だからもう間違えないためにも、これが必要」

 

「過ちを正すために、聖遺物、イグナイトの力が必要デスっ」

 

 それを聞きながら、一真さんは悲しそうに見つめていた。

 

「………過ちは正せない、なにがあろうと」

 

 そう悲しそうにつぶやいた。

 

「君たちは一つ、思い違いをしているよ」

 

「「えっ………」」

 

 

 ◇

 

 

「力は力だ。俺たち仮面ライダーの力は、怪人たちと変わらない。暴力の力だ」

 

「デ、デスけど」

 

「一真さんはその力で、人を、世界や人類を救った」

 

「だけど、俺は仲間たちを裏切った」

 

 そうだ、俺の過ちは、けして消えない。

 

「俺は始を救い、戦いという運命から解放したいと、戦いを終わらせたいと願った。これしかなかった、それしか思いつかなかった。だけど俺は仲間を裏切った、人間であることを捨てた」

 

 二人は悲しそうに俺を見る。

 

 俺はいま、どんな顔をしているんだろうか。

 

「だけど、それでも俺はこの選択を選ぶよ。例え怪人でも、何であろうと俺は仮面ライダーでありたいと願う………君たちは間違った、けど、それを力で償う必要は無い」

 

「力で償う必要………だけど」

 

「君たちが戦う理由が償いなら、俺は力ずくでギアを取り上げる」

 

 前に踏み込むと、彼女たちは後ろに下がる。

 

「な、なんで」

 

「力で償えるものなんてない、守るための理由なんて、そんなものはいらない」

 

「「!」」

 

「守るために戦う理由なんて、誰かを守り、救いたいって思っただけで十分だ。償うためなら、それは誰かを守りたいんじゃない、自分が救われたいから戦うんだ」

 

「………私は」

 

「違うデス………私達が戦いたい理由は、守られて、大切な人が傷付いてほしくないだけ」

 

「切ちゃん」

 

「調………」

 

 何か考え込む二人は、俺を見る。今度は悲しい顔ではなく、迎え合う為に、そんな顔だ。

 

「一真さん、やっぱり私達は、聖遺物を渡せません」

 

「大切な人たちだけに、戦わせて、自分達は安全な場所にいたくない、その隣で、一緒に戦いたいんデス」

 

「………」

 

 強いな、この子たちは………

 

「そうだ、戦う理由なんてそれでいいんだ………凄いな、俺は気づくのに、何年も経った、全部取り返しがつかないぐらいに………」

 

「一真さん………」

 

「だけど俺は変われない、もうこの道を選んだ、だけじゃない。結局これが、俺が俺だから、だからだ」

 

 その時、無数の爆発と悲鳴が響き渡る。

 

 俺たちはすぐに気づき、そこにミカと言うキャロルの人形がいた………

 

 

 ◇

 

 

 その後、私達は戦い、調と共に抜剣したデス。

 

 なんとかユニゾンで勝てた後、アルカノイズを倒していた一真さんに………

 

 む、むむ、胸触られて、リンカーの悪影響など、治してもらったデス。

 

 正直、恥ずかしいデスけど、身体の調子が良くなりました。

 

 一真さんはその後悲しそうに、その場を去ります。

 

 ずっと目の色が赤や青、緑になったりしてました。先輩に聞くと、ジョーカーの力が安定してないらしいデス。

 

「イグナイトはやはり、剣崎さんの力、アンデッドの力を暴走させているのか」

 

「だけど、だとしても私達は手放すことはできないわ」

 

 そうマリアと翼先輩が話し合います。デスが………

 

「調ちゃん、お姉さん家に少し来ようか」

 

「お前はこっちだ………私らに黙って一真と話してたことを話してもらおうか」

 

 こっちを助けてくださいッ、調、調エェェェェェェェェェェェェっ!

 

 

 ◇

 

 

「………」

 

 静かに一人、怪物が黙り込む。

 

 身体の中で闘争を求める。

 

「………俺は」

 

 闇の中で呟きながら、静かにそれと戦い続けた………




響「押しとおるッ」

クリス「行くぜッ」

風鳴弦十郎「来い!」

激突する、そして吹き飛ぶ光景を見るエルフナイン。

今日も司令に守られた。

セレナ「よしよし」

エルフナイン(あれ、つい反射的に動きましたが、どうしてボクはセレナさんに抱き着いてるんだろう?)

セレナ「………ふふっ」

エルフナインはこの作品ではヒロインですね。

この子、このままみんなを信じる子のまま大人になって欲しい。

お読みいただき、ありがとうございます。
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