戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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もう針は止められない。


第10枚・キズナ

 イーグルアンデッドで高く飛び、移動できるとはいえ、限度がある。

 

 そしてアンデッドの目を使うと、すでに施設は大幅に壊れていた。

 

(このままじゃまずい)

 

 地面に下りて、移動を陸路へ替える。これは………

 

「ぐっ、アァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 突然心臓が鷲掴みか、何か突き刺さったように激痛が走り、頭の中で闘争本能。自分の中にある魔剣がざわめく。

 

「この反応………クリスか、まずいっ、くっそ」

 

 全身から汗が流れ出て、アンデッドの目で辺りがくらむ。

 

 その時、厄介なものを見つけてしまう。

 

「まずい、いまの状態じゃアンデッドは………」

 

 だが無視できない。

 

 バイクを走らせ、海へと飛び込んだ。

 

 

 ◇

 

 

 私達は急いで海底から海上へと浮上した瞬間、巨大なオートスコアラーが現れ、その腕を振り下ろす………

 

【させるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ】

 

 瞬間、バニティアンデッドが現れ、絡み付き、それを防いだ。

 

 すぐに待機していた私はミサイルのようにポットから放たれ、そこから、

 

「動くな一真ァァァァァァァァァァァァァァァァア」

 

 弓矢を構え、その頭部へと向かって弾薬の矢を放つ。

 

 突き刺さり爆発するオートスコアラーのトドメに、一真が巨大な爪で貫いた。

 

 すぐに潜水艇の上、一真は下りて来るが、

 

「がっ、はあはあ………」

 

 一真の姿がおかしい。

 

 ジョーカーの姿だけじゃなく、動物、植物、昆虫、海生生物のアンデッド。全てがノイズが走りながらまばらに変化する。

 

「一真っ」

 

 私が近づくと、イグナイトがざわめいた。

 

 そう思うほど、こいつが反応したとき、私は知る。

 

 私達が思うよりもずっと、一真はイグナイトの反応に限界があったのだ。

 

 魔剣ダインスレイフは、欠片から取り出したものでもこれほどまでに強化されている。

 

 なら、その大本を封印している一真の負担は? 考えるまでも無かった。

 

「一真、わたし、私は………」

「気に、するなクリス………これは俺が、選んだ、んだ………」

 

 肩で息をしながら、すぐに私の肩を掴む。

 

「魔剣でオートスコアラーを倒した、このままじゃ」

「分かってる、そのことはエルフナインから。キャロル、エルフナインを使って、こっちの情報を盗んでいたんだ。一真のアンデッドの目みたいに」

 

 そう聞くと、一真は苦しみながら、その場に倒れる。

 

「が、ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 身体から黒い刃が出て来る。

 

 音叉のように刀身を持つ魔剣、ダインスレイフ。その鍔の宝玉は瞳のように動く。

 

「な、なに」

 

『クリスさん避けてくださいっ』

 

 エルフナインから無線でそう言われ、すぐに離れた。

 

 私がいた場所を貫き、黒い欠片、ドヴェルグ=ダインの遺産が出て来ると、刃先に繋がる。

 

「がっ………完全体になったか、魔剣ッ」

 

 そして身体の中に封印する一真。

 

「あれが、最後の欠片だったのか………くそッ」

 

 無理矢理立ち上がると共に、一真は青のジョーカーになる。

 

【ここから陸地まで時間が無いクリスッ、弦十郎さんに頼んで陸地まで連れて行ってくれっ、このままじゃ間に合わなくなるぞっ】

 

 私はすぐにオッサンに連絡し、すぐに動き出す。

 

 

 ◇

 

 

 私達は連絡待ちをしていた。

 

「定義報告、ありませんね」

 

「ああ、なんかあった。って考えるべきなんだろうな、緒川さんにもつながらない」

 

 私の家でセレナと奏、そして未来。留守番組がいる中、一真も来ない、連絡もない。やばいにおいがする。

 

「………!」

 

 その時、辺りを揺らす地震が起きた。

 

「地震っ!?」

 

「いや違う」

 

 まるで地響きのようで、このタイミングの揺れは危機感しかない。

 

「ごめん未来、力を貸して」

 

「うんっ」

 

 未来が手を握ってきたので、二人も緊急時の行動プランで動き出す中、ギアを纏って外に出た。

 

 

 

 ◇

 

 

「響っ」

 

 一真や了子のおかげか所為か、未来もまた、リンカーが無くても神獣鏡を纏える装者になって、外に出ていた。

 

 外の景色は都心の空が割れて、中から建物が現れている。

 

 その光景に驚きながら、大急ぎで向かっていった。

 

 

 ◇

 

 

「どうだッ、僕の左腕は!! トリガーパーツなぞ必要ないッ、僕と繋がった聖遺物は、全て意のままに動くのだ」

 

 高笑いする、深淵の竜宮より運び込んだこの男。この男のおかげで、チフォージュ・シャトーは動き出した。

 

「オートスコアラー達によって、呪われた旋律はあと一つ、だったが、これならばもう必要ない。これで世界はバラバラにかみ砕かれる」

 

「アァァ? 世界を、かみ砕く?」

 

「………父親に託された命題だ」

 

 

 

 ―――キャロル、生きて、もっと世界を知るんだ―――

 

 

 

「分かってるって、だから世界をバラバラにするのっ。だから一真を手に入れるのっ」

 

 両腕を広げ、ワタシは数々の、一真のデータを立体モニターへ映す。

 

「万能の力、地球上の生物全ての始祖っ! 全ての起源であり、全ての生命の大元っ。世界をバラバラにするだけじゃダメだったんだっ♪」

 

 そう、全て一真がいなきゃだめなの♪♪

 

「全てを、世界を、生命(いのち)を形成したバトルファイト♪♪ 知らなかった、そして知ったのっ♪」

 

 あの日の喜びが湧き上がる、始祖の存在がワタシにとっての分岐点だ。

 

 世界の始まりを決める戦い。ワタシの一真、そう、一真はワタシの物っ。

 

「誰にも渡さないっ、一真はワタシのなんだ♪」

 

 世界を、一真を分解して知る。全て、そう、本当に全てを、世界を知るんだ。

 

「あとは一真をこの手にして、世界をバラバラにして調べ尽くすのっ♪♪ これで万象の全てだけじゃなく、生命そのものも理解できるわっ」

 

 ああなんてすばらしいんだっ、あの日、あの日があったからこれに気づけた。

 

 如何なる事があろうと生物しての機能が停止することがない生き物。生物の限界を超えた生物。

 

 だから手に入れなきゃいけない、パパとの命題の為にも、絶対に手に入れなきゃいけないの♪♪

 

「もうすぐ来る、ワタシの一真っ。一真なら必ず来るわ♪ ワタシの、ワタシだけの獣が」

 

「つまりは至高の英知。ならばレディは、その知をもって、何を求める?」

 

「なにもしない」

 

「アァ?」

 

 父親に託された命題と、世界を解き明かすと言うこと。

 

 万能の力たる一真もそこに加われば、もはや何もいらない。なにもしない。

 

 一真さえいればいい。

 

 

 

 ―――ウェイィ!? ナジャセジョシテナイノ!!?―――

 

 ―――また君か………何で成長してないの? 飯か、飯………なにか食うか?―――

 

 ―――キャロル………結婚とかはそのな、大きくなってから考えなさい―――

 

 

 

 バカな事、苛立つ事ばかりだった。

 

 やっと終わる。一真はワタシの物だっ、もう放さない。全てを知るんだワタシはっ♪♪

 

 一真っ♪♪ 一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真一真―――

 

「はあぁぁぁぁ、ノゥ、レディに夢は無いのか? 英雄とはあくなき夢を見、誰かに夢を見せるものッ、託された物なんかに満足していたら、底もてっぺんもたかが知れる」

 

 ………なんか、だと?

 

「父親から託されたものを、なんかとお前は切って捨てたか」

 

「馬鹿げたものだ、ハァ、レディがその様子では、その命題とやらも解き明かせるか疑わしい」

 

「なに」

 

「至高の英知を手にするなぞ、出来るのは英雄だけ。英雄の器が小学生サイズのレディでは荷が重すぎるっ」

 

 ちっ。

 

「やはり世界に英雄は僕独りぼっち、二人と並ぶ者なんていないッ」

 

 その時、一真の顔が過った………

 

 そこから廃棄予定の物を早めることにした。

 

 

 ◇

 

 

「アルカノイズが周りに」

 

「響、アルカノイズを潰すよっ」

 

「ああッ」

 

 アルカノイズが辺りに散らされ、二手に分かれて破壊する。

 

 そして一陣の風が放たれ、すぐにマフラーの尾で叩き落す。

 

「防いだか」

 

「キャロル」

 

 お互い睨みながら、舌打ちしそうな顔で見る。

 

「いい加減、こちらの思惑は知られている頃か?」

 

「………さっき連絡が入った、呪われた旋律は歌わないぞ」

 

「もう呪われた旋律はもういらん、後はチフォージュ・シャトーにて、世界を解体するだけ。だがガングニール装者響ッ、貴様の存在は目障りだッ。オレの一真の周りにウロウロと」

 

「………貴様こそ、あれは私のだッ。勝手に所有権を持ってるように言うなガキ!!」

 

「わめくな小娘ッ、あれはオレの物、オレだけの物だッ!!」

 

 竪琴の聖遺物を鳴らすと共に、オートスコアラー達の技を再現、いや本家はこっちか。それを避けながら、接近する。

 

「獣が。神獣鏡からは遠ざけたっ、援軍は無いと思えッ」

 

「抜かせッ」

 

 

 ◇

 

 

 歌が聞こえる。最近聞く、ノイズを倒す歌なのだろうか?

 

 そんなことはどうでもいい。

 

 ノイズ、触れただけで死んでしまう、もう無くなったはずのものだ。

 

 こんな場所に娘はいた。

 

 こんな場所から、帰ってきたのに、俺は、俺はッ。

 

「大丈夫ですかっ、いいから早く立って走ってッ」

 

 こんなところから生きて帰ってくれた。俺は初め喜んだじゃないかッ、くそ、くそッ。

 

 いま逃げないところでもう戻せないのかもしれない。だけど諦めてたまるか。

 

「誰かいるのか、くそッ」

 

 逃げてなるものか、転んだ所為か、気を失っている子がいる。この子以外誰もいない。

 

 俺も急いで逃げないと………

 

 そして俺の側に、何かが落下した。

 

「ひ、びき………」

 

「!? どう、し」

 

 その時、突風が、娘を吹き飛ばした。

 

 

 ◇

 

 

「あっけないものだ、この程度」

 

 響を吹き飛ばした後、キャロルは静かにトドメを刺す為に構える。

 

 その時、

 

「やめろッ」

 

 そうして一人の男が前に出る。

 

「………なんの真似だ」

 

「俺はこの子の父親だッ、これ以上娘は傷つけさせないッ」

 

 それをギリっという音が鳴り、瓦礫をどかして立ち上がる。

 

「どけ、あんたは関係ないだろ」

 

「関係あるッ、おれは」

 

「逃げた癖にッ、いまさら父親面するなッ」

 

 その言葉に、男の顔が歪んだ。だが、

 

「ああ逃げたッ、逃げたさ! 自分だけ辛いと思い込んで逃げて、逃げた後で娘があまりの辛さにどこかへ消えたことさえ気づかない男だっ」

 

 だけどと呟き、両腕を広げた。

 

「だけど俺はどこまで行ってもお前の父親だっ」

 

「私に関わるなッ、私は壊す、壊すことしか」

 

「壊れたらなおせばいいじゃないかッ、もう一度、母さん達のもとに行こう。俺がいる、だから」

 

「くだらんッ」

 

 突風が巻き起こり、洸は吹き飛び、地面に落下する。

 

「!」

 

 その時響の顔は歪む。

 

 だが静かに、よれよれでも立ち上がる。

 

「だい、じょうぶ………へいき、へっちゃらだ響………」

 

 その言葉を聞き、響は歯を食いしばり、前に出る。

 

「テメェの相手は私だろ」

 

「そんな男を救うと言うのか貴様は」

 

「………救わない、私の手は壊す手だ。家族も、過去も何もかも壊した、壊す手だ」

 

 それに男もまた歯を食いしばり立ち上がる。

 

「………だけど、だとしてもッ」

 

 その瞬間、バイク音が鳴り響き、雷鳴纏う剣が振り下ろされる。

 

「ウェィィィィィィィィィイイイイ!」

 

「一真っ」

 

 雷鳴を防ぐ瞬間、一つの巨大な剣が降り立ち、キャロルを阻む。

 

「ちっ、一真との再会に、邪魔してくれるかシンフォギア」

 

 緒川が運転する車がやってきて、セレナと奏までもが駆けつける。

 

 その瞬間、気付いた一真は二枚のカードを投げ渡す。

 

「これは」

 

「私らのギアっ」

 

 弾幕が張られ、装者全員が駆けつける。

 

 セレナも奏もギアを纏い、ブレイドは静かに響に駆け寄った。

 

「響」

 

「遅いよ化け物………」

 

 そう微笑みながら、ブレイド。一真はキャロルを見る。

 

「キャロル、お前、世界を分解するのか」

 

「ああそうだ、世界を分解して、全てを知る。それがオレの命題、パパから与えられた」

 

「違う、違うだろキャロル」

 

 首を振りながら、ブレイドは静かに前を歩く。

 

「お前のお父さんは、世界を知れと言った。世界を壊せなんて言っていない」

 

「同じことだっ、オレは世界を分解し、世界を知るッ。剣崎一真、星の生命の始祖である全てを取り込んだお前もまた、オレが手にする命題の一つだ」

 

「………キャロル」

 

「お前も世界も壊し、オレは全てを知るッ」

 

 竪琴、ダウルダブラを取り出し、音を鳴らす。

 

 身体を一時的に成長させ、シンフォギアのように聖遺物を纏う。

 

「ファウストローブ………シンフォギアのように聖遺物を」

 

「それだけだと思うなっ!!」

 

 そして戦慄を歌いだす。瞬間、爆発的にエネルギーが跳ね上がり、辺りにばらまき始める。

 

「くっ」

 

 ブレイドはジョーカーになり、全員がそれを防ぐ。

 

 未来は光で防ぐ中、それに驚愕する。

 

「これって、絶唱」

 

「バカな、錬金術はそこまで可能とするのかッ」

 

【! キャロルっ】

 

 戦慄を歌う中、施設、チフォージュ・シャトーが反応する。

 

「!? おいあれ、セレナ」

 

「はいっ、音叉のように反応してる。施設がこの歌に反応して、倍増してるの!?」

 

 そして施設が何かの光を放とうとしたとき、一真は気づき、バニティアンデッドになり、その力を開放。

 

 巨大な姿に成り、その光を阻む。

 

【ガアァァァァァァァァァァァァァァァ】

 

「! 一真っ」

 

 その腕、光に触れる身体は解けるように消え、また再生する。

 

「ふっははははははははははは、まさか世界の分解を己の不死で防ぐか一真っ。だがそれでいいッ、それでお前を分解し、オレはお前を手に入れる!!」

 

「そんなことはさせないッ、姉さん!」

 

「ええっ、私達があの施設に向かう。後のことは頼む」

 

「分かった、防人の剣に任せろ!!」

 

 無数の糸がマリアの道を阻んだが、神獣鏡の光と、シュルシャガナがそれを切り裂く。

 

「行ってくださいっ、マリアさん」

 

「マリア行くよ」

 

「この身は時限式ではあるけれど、この絆は時限式じゃないのデスっ」

 

 そして中に入る装者を見ながら、響、奏、翼、クリスは構えながらキャロルを見る。

 

「一真が止めているうちに、全て終わらすぞっ」

 

「「「応ッ」」」

 

「やれるものならやってみろ小娘どもがッ」

 

 大量にアルカノイズをばらまき、それを町に放つキャロル。

 

 こうして滅びの戦慄が鳴り響き、戦場に歌が響き渡る………




キャロルはすでにヤンデレです。

魔剣がなにげに復元しているという事態。

未来さんも参戦する中の戦い、どうなる戦い。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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