戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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第12枚・命題の終わり

 それは改めて奴と出会い、拒否され、争い、そんな中の一つだった。

 

「君はなぜ、万能の力を求める」

 

「知れたことッ。父親の命題のためだ!」

 

「そればかりだ」

 

 そう言いながら、距離を置きながら、静かに構える。

 

「その命題はなんなんだ」

 

「それは」

 

 それは世界を知れ、全てを話す。

 

 父親が焼かれた記憶、それをこいつに伝えた。

 

「だからこそ、オレは」

 

「キャロル」

 

 その声は悲しそうに、そう呼んだ。

 

「その答えは一つしか無い」

 

「なに?」

 

「その命題の答え………キャロル」

 

 それはオレはけして認めない。認めてなるものか………

 

 

 ◇

 

 

 無数のアルカノイズは他の装者に任せながら、響はその爪を振り回しながら、キャロルを追い詰める。

 

「あり得んッ、イグナイトは魔剣の、呪われた旋律だッ。それがエクスドライブ、限定解除の対象になり得るなど!!?」

 

「だとしてもッ、私はいま、歌を拳に変えるだけ!!」

 

 火を吹きだしながら、爪を振るい、拳を放つ。舞い上がる火の粉はまるで炎の踊り子だった。

 

 アルカノイズが迫るが、装甲の隙間から炎が吹き荒れ、獣のようにうなる。

 

「認めない………このような奇跡、オレが認めるかッ」

 

「奇跡奇跡るっさいッ、なんでそこまで認めないィィイ!?」

 

「認めてなるものかッ」

 

 絶唱並みの力で大量の水を生成し、渦巻く水に閉じ込めながら、叫び声を上げる。

 

「奇跡なぞ、あの日ッ、蔓延する疫病から村を救ったオレの父親は、周囲によって研鑽を奇跡などに変えられ、そればかりか、資格無き奇跡の代行者として、煤へと変えられたっ」

 

 爆発するは水蒸気爆発、炎が急激に熱し、水蒸気を払いながら響は構える。

 

「父親………」

 

「万象に存在する摂理と実利、それらを隠す覆いを外し、チフォージュ・シャトーに記すことがオレの使命。さなわち万象黙示録の完成だった………だったのにっ」

 

「………」

 

 その瞳から僅かにこぼれるものを見ながら、炎を静かに構える。

 

「奇跡とは、はびこむ病魔にも似た害悪だ!! 故にオレは殺すと誓った、だからオレは、奇跡を纏う者には負けられぬのだッ!!」

 

「………ああそうだな、奇跡なんて害悪だ」

 

 一人の男が戦っている。全てを救わんと醜く足掻き、勝手に全てを失っている。

 

 この世界は奇跡で生かされている。たった一人の男、その仲間達によって。

 

 だが誰もがそれを知らず、そして戦う男を化け物と叫ぶ。

 

「なるほどな、お前も同じだ。奇跡なんて二文字ですべて解決させられた、一真と同じ犠牲者だ」

 

「………だから」

 

「だからこそお前を止める錬金術師ッ」

 

 金と紅の瞳で睨み、炎を放ち纏い、刃のように鋭く冴えわたらせる。

 

「お前は一真と違って、奇跡に踊らされてるんだよキャロルッ。一真と触れ合っていながら、いい加減に気づけ!」

 

「黙れッ、そいつの全てを知り、オレは世界を知るんだ! 壊れてしまえ、全て、世界なぞッ、消えてしまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 炎を舞い上げながら、すれ違いながら、つばぜり合い。

 

 荒れ狂う暴走のように回転しながら、空に舞う。

 

「この身こそが私のアームドギアッ、壊すことしかできないのなら、絶望の明日を壊して見せるッ!」

 

「奇跡を身に纏いながら、オレに勝とうと思うなッ!」

 

「本当の奇跡はこんなものなんかじゃない!!」

 

 その時、剣崎一真が視界にはいる。

 

 お互い空中で激突しながら、彼を見た。

 

「奇跡なんか私は望まない! 望むのは彼奴が救ってくれた世界の平和っ、彼奴が全てを引き換えにしても勝利したこの世界が、それだけの価値があったと胸を張って伝えられる現在(いま)だ!!」

 

「貴様ガァァァァァァァァァァァァァァァァァア!」

 

「本当は分かっているだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 炎を飲み込む水を放つが、それら全てを燃やす。

 

「水を燃やすだとッ!?」

 

「お前が一真を求めるのは、世界の真理だからじゃないッ。一真だからだ!」

 

「黙れッ」

 

「明日を信じ、私たちに明日をくれた、お前の父親と同じ、明日を信じてくれた!!」

 

「黙れえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「お前はただ、信じたいだけだッ。明日をォォォォォォォォォォォォオ!」

 

 爆発する力、キャロルは距離を取り、静かに自分を張り付けにする。

 

 自分の中にある力、全てを引きずり出そうと………

 

「やめろキャロルッ」

 

 シャトーの残骸の上、戦いの傷の所為でまだうまく立ち上がれない一真。

 

 正直に言えば違う、自分の中にある、先ほどのエネルギーを完全に支配下に置くのに時間がかかっていた。

 

「オレの思い出なぞ、なにもいらないィィィィィィィッ」

 

 無数の糸が集まり、束ねられ、一つの翠の獅子へと姿を変える。

 

「全てを無に帰す………そうでもしなければ手に入らない、納得できない。納得できるものか」

 

 炎を吹きだし、その片足で響を吹き飛ばす。

 

 だがかみ砕くように炎が絡みつき、片足を砕く。

 

「獣がッ」

 

「獣ばかりに気を取られ過ぎだッ」

 

 無数の光と銀の風が舞い上がり、もう片足を貫く。

 

「限定解除の装者かッ」

 

「全てのアームドギアを用いてッ、一点突破、勝機を掴み取るッ」

 

「デスっ」

 

「分かりましたっ」

 

「行くぞテメェらッ」

 

「ごたくは後だ、マシマシが来るぞっ」

 

 炎が吐き出され、集まる装者へと向かっていく。

 

『ターンアップ』

 

「ウエェイィィィィィィィィィィィィ」

 

 ブレイドが跳び上がり、その炎へと斬り込む。

 

「ただのブレイドがッ、突破できるとで」

 

「ウェイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」

 

「ッ!?」

 

 炎がただのブレイドだけで受け止められ、はじき返されそうになる。

 

「バカな、ただの!? キングでもジャックでも、ましてジョーカーでもないブレイドが」

 

「それが一真だッ、みんなッ」

 

 全員のアームドギアが放たれ、獅子の頭部を砕くが、キャロルはそれを阻む。

 

「くっ。まだ、だ………」

 

「だったらッ」

 

 その時、この身がアームドギアと叫んだ歌姫が、その突破へと向かってくる。

 

「!?」

 

 それに歯を食いしばる。

 

「奇跡を殺す、殺し尽くす、オレは奇跡の殺戮者にィィィィィィィィ!」

 

 獅子から放たれる光弾が、

 

「させるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ブレイドが前で防ぎきる。

 

「!?」

 

「一真っ」

 

「キャロルを、頼むッ」

 

「ツッ、私の拳は全てを壊す………だから、絶望をこの手で壊し尽くすッ!!」

 

「クッ」

 

 再度力を振るおうとしたとき、キャロルの身体が、心臓が跳ね上がる。

 

「ガッ、こ、んな時に………拒絶反応………!?」

 

 その時、思い出が、記憶が止める。

 

「違う………これは、オレを止めようとする、パパの、思い出………そ、んな、くそ、なら燃やしてッ」

 

 だがそれに一人の戦士の力が引き止める。

 

「ふざけるなッ、オレの、記憶、思い出の中でも、お前は、おまえ、おまえは―――」

 

 

 

 ―――父親の命題? なにか分からないが、手を貸せるなら貸すが?―――

 

 ―――ウェェェイイィィィィっ!? コジャドコニイタ!!?―――

 

 ―――キャロル―――

 

 

 

「ふざけ、るな………」

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

 

 獅子から放たれる光弾とブレイドが激突し、そこに拳を叩き込む響。

 

「響に力をっ、天羽々斬っ」

 

「イチイバルっ」

 

「ガングニールッ」

 

「シュルシャガナ!」

 

「イガリマ!!」

 

「「アガートラームッ」」

 

「神獣鏡ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」

 

 それに歯を食いしばり、

 

「ガングニール………魔剣ッ!! ダインスレイフウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 黒と白を吹きだし、その拳が光弾を超えて、獅子の頭部へと激突する。

 

「………ぁ」

 

 キャロルはその光景を見ながら、静かにその瞳から、一粒の涙を流す。

 

 

 ◇

 

 

 行き場の無くなったエネルギーが爆発する。全ての終わりを告げるように。

 

「ふふふっ、お前に見せて刻んでやろう。歌ではなにも救えない、世界の真理を」

 

「諦めるか、奇跡を超えて、私は絶望を壊すッ」

 

 爆発が起き、キャロルは悲鳴を上げ、元の姿に戻り、落下していく。

 

 響はそれに向かって力を振り絞り爆発する。

 

 その時、

 

「一真」

 

「任せた」

 

「! ああっ」

 

 一真はエネルギー体へ、響はキャロルへとすれ違う。

 

「私は奇跡には頼らない………私は大切な人、仲間たちと共にっ、明日を掴む!!」

 

 キャロルを抱きしめ、ブレイドは、

 

「………魔剣ダインスレイフ」

 

 すれ違う中、響に取り込まれた魔剣は、すでに魔剣では無いものだ。

 

 もう大丈夫だ。

 

「お前も、光を掴め………」

 

 無数のカードが舞い上がり、カードは全て一枚の切り札へと集まる。

 

 ブレイドの剣、醒剣にてカードの力を開放した。

 

≪ワイルド≫

 

 そして金色の光が、エネルギーを巻き込み食らい、空へと吹き飛ばした………

 

 

 ◇

 

 

「こうしてまた仮面ライダーブレイドは、表舞台から姿を消した、か………」

 

 数日後、響はそう呟きながら、いまはシャトーの残骸以外はたいして被害の無い戦いの場へと向かい合う。

 

 響は夏だと言うのにフードはやめず、それを深々と被りながらその光景を見る。

 

「一真のバカ」

 

 そしてキャロルもまた、どこかへと姿をくらませた。

 

 

 ◇

 

 

「キャロルくんはいったいどこに」

 

「分かりません、ですがもうキャロルはなにもしないと思います」

 

 パパの命題の答えを知った今、キャロルはもう何もいない。

 

 いえ、やはり違います。

 

 キャロルは知ってしまったのでしょう。一真さんと出会い、一真さんと過ごすうちに。

 

 それでも、そう思いたくないが故に、ここまでのことをしたのだと思う。

 

「とりあえず事後処理しましょ、がんばがんば~♪」

 

 了子さんはそう言い、仕事をしだす。ボクも頑張らないと。

 

 残されたこの時間、皆さんには言っていませんが、ボクはホムンクルス。

 

(この身体はいったいいつまで持つか………それでも、ボクはその日が来るまで、皆さんと共に生きます)

 

 そう決意した。

 

 それを見られていると知らずに………

 

 

 ◇

 

 

 それはエルフナインが少しだけ、研究室に籠っているとき、扉が突然開いた。

 

「はひっ、どなたで」

 

 その時、糸が自分を拘束し、竪琴を構える一人の少女を見る。

 

「きゃ、キャロルっ!!?」

 

「………」

 

 ただ静かにエルフナインを見つめ、静かに近づく。

 

「お前はこれからどうする」

 

「キャロル………」

 

「パパの命題は、世界を知れ………世界の仕打ちを許し、人々の調和を望む。ああ分かっていたさ、一真と、彼奴と出会い、会話する内に」

 

「………」

 

 顔を伏せていて、エルフナインはどんな顔か分からない。

 

 そしてすぐに顔を上げた。

 

「お前はこれからどうするエルフナイン」

 

「ボクは、ボクのこの命が終わるまで、皆さんと共に、生きますっ」

 

 その言葉を聞き、静かに黙り込む。

 

「………そうか」

 

 そして近づきながら、

 

「ならオレからの餞別だ、最初のプレゼント、受け取れエルフナイン」

 

「えっ………」

 

「オレはオレで世界を巡り、世界を知る。お前はお前で、世界を知れ」

 

 そう言って唇へと唇を押し付ける。

 

 その光景がカメラに映り、監視モニターから警報が鳴りながら、エルフナインの身体は炎へと包まれていった………

 

 

 ◇

 

 

 キャロルは、エルフナインの部屋で倒れていた。

 

 だけど私達が駆けつけたとき、起き上がったキャロルは、エルフナインだ。

 

「キャロル………ありがとう」

 

 そう呟き、自分の身体になった身体を抱きしめる。

 

 エルフナインの話では、この身体は一真の、アンデッドの情報をふんだんに使われていて、ほぼ人間と変わらない。もしかすれば肉体的には人間より優れているらしい。

 

 色々言いたいことがあるが、了子からエルフナインは人より長く生きられない身体から、人間の身体になったと言う話を聞く。

 

「とりあえず寿命が短い事を黙っていたお仕置きだ」

 

「ずびばぜんーーーーーっ」

 

 お尻ぺんぺんしながら、司令は黙っている。

 

「ですけど、この場合、キャロルはどうなったんでしょうか?」

 

 藤尭の言葉に、友里さんも頷く。

 

 それにひぃと叩かれて泣くエルフナインが、

 

「キャロルは、シャトー以外にある、保存機にある予備の肉体へ、最後の記憶の転写をするそうです。最後の記憶に、それがありました」

 

「よし、キャロルもおしりぺんぺんするから攻め込むぞっ」

 

「いえ、その場所だけ転写されず、わかり、ひゃうっ」

 

 ぺんぺんを再開するが、待ったをかける。

 

 それは、

 

「キャロルを一人そのままでいいのか、外に何かないのか」

 

 クリスの言葉に、はひっと呟く。

 

「キャロルなら………」

 

 

 ◇

 

 

 目が覚めると、ずっと守っていたのだろうか、それがいた。

 

「………服」

 

 そう言い、オレに服を渡す。それを着た後は、静かに世界を見渡す。

 

 とある森の中、日本の中だが、パパと薬草を取りに行ったことを思い出させる。

 

『いやですよ、黄昏てないでマスター早く身体プリーズっ』

『これは地味に勝手が悪い』

『みんな一緒だゾ~~~』

『マスターこれはいささか』

『―――』

 

 オートスコアラー達の記憶の転写も、メモリーチップのように宝石に転写した。まずはこいつらの身体作りか。

 

「分かっている、一真、行くぞ。ゴーレムの聖遺物を取りに行く」

「………ああ」

 

 オレは一真から渡されたヘルメットをかぶり、後ろに乗る。

 

 これからオレは世界を知る。

 

 この化け物と共に………

 

 

 ◇

 

 

「うぐっ、ともざとざん………」

「よしよし」

 

 お尻が痛いエルフナイン。そして外で、

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ司令相手でもぉぉぉぉぉ」

 

「押しッ、通ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「ハッ」

 

「「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」」

 

 吹き飛ぶ二人。

 

「翼さん、こそこそと出ようとして、どこに行く気ですか?」

 

「緒川さんいつの間にっ!?」

 

「姉さんそれじゃッ、二、三か月旅に出ますっ」

 

「セレナ待ってっ、行かせないからねっ。長すぎだからねそれは!!?」

 

「んじゃ、あたしはこれで」

 

「抜け駆けはさせないデスッ」

 

「張り付くよ切ちゃんっ」

 

「―――♪♪」

 

「なんで未来ちゃんは聖詠を歌うのっ!?!」

 

 こうして魔法少女事変は、最後に大きな爆弾が爆発し、最後を終える。

 

「一真のッ、バッカアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 少女の叫び声は、響き渡った………




キャロル「オレが勝利者だ」

響「ヒロインは私のはずだッ」

ケンジャキ「ソナゴトイレテモ」(訳そんなこと言われても

お読みいただきありがとうございます。
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