「………早めに行動してよかった」
そう言い、剣崎一真はしゃがみ込み、異形の実を取る。
その実は極彩色の植物に実り、それを取り、食らう。
「やはり勝利者には意味ないか」
そう言い、いつの間にか空間から突如現れるように、剣崎一真の前に一人の男が現れる。
一真はそれをアンデッドの目で睨んで、男はおおっと、大げさにひるむが、顔は全然ひるんでいない。
「貴様がこの世界に根を張るか、蛇」
「いや違うぞ勝利者、俺は今回被害者だ」
そう言いながら、男の背後からジッパー状の入口が開いて、草木が中に取り込まれていく。実は残して。
瞬間、ジョーカーになり立ち上がり、爆炎が辺りを包む。
森にまで届く炎に、おいおいと慌てたそぶりをするが、特に気にも留めない。
「俺は呼ばれ、根を張ってしまった被害者だ。俺に怒りを向けるのは違う」
【黙れ、お前は統制者に近い、知らないとでも思っていたか】
「統制者、か………まさか奴が取り込まれ、封印され消えるとは思わなかった。葛葉紘汰といいお前といい、仮面ライダーという存在は面白い………」
そう言い、ある仮面ライダーの名前を言いながら周りを歩く。
【ごたくはいい、お前はなぜここにいる】
「どうやら俺は、お気に召さなかったようだ。そう言っておこう」
【ふざけるなッ】
無数の武器が男に放たれたが、草木の蛇となり、それは通り過ぎて消える。
『俺は鏡から呼ばれた、気を付けろ。あの様子じゃ、まだ『呼ぶ』気だろう』
そう言い気配が消えたため、人の姿に戻りながら実を全て食らう。
「………急ぐか」
そして人では無い力を振るい、その場から離れた。
◇
「少しまずいんだけど、どうするか」
間髪入れずミーティングをすぐに始めた時、向こうの立花、彼女からガングニールか響。そう呼ぶように言われた。
その響が、キャロル、奏、そしてマリアの妹であるセレナ。彼女達と共に来て、難しい顔でそう言う。
「なにか問題があるのか?」
「どうも一真の話じゃ、ヘルヘイムの森の気配があったらしいんだ」
「ヘルヘイム?」
「北欧神話で、女神ヘルが治め、ユグドラシルの地下にあると言う死者の国のことですか?」
エルフナインの言葉に、我々は目を丸くする。
あまりに突拍子の無い話だが、
「それより質が悪い」
険しい顔で顔を歪めながら、キャロルたちも分からないという顔をする。彼女達も知らないようだ。
「ヘルヘイムの森ってのは、仮面ライダーの世界の人類が付けた呼称で、実際名前は無い」
「響先輩が呼称っ!?」
「おい、気持ちは分かるがいまは黙れ後輩」
「みんな………」
立花が少し遠い目をしながら、僅かに呆れながら、話を戻す。
「外来種って言葉は知っているな」
「外国から来た、その大陸や地域に無い植物や生き物のことね」
「ヘルヘイムの森は平行世界、他宇宙からの外来種と言ったものなんだ」
「どゆことデス?」
ここで響が話すには、ヘルヘイムの森と言う植物は、どんな場所でも根を張り、実を作る。
それを見続けている生き物はそれを美味そうだと思い、口にしてしまう。よほどの精神力があるか、強く警戒していなければ、口にして食べてしまう。
口にすれば最後、インベスと言う生き物に突然変異してしまい、森の住人になる。
「インベスは別の個体に攻撃して、森の毒を植え付けて殺して肥料にする。インベスは実を食べて広げ、被害は拡大する。一種の侵略行為だ」
「そんなものがあるんですか」
セレナの言葉に静かに頷き、ヘルヘイムの森は、森を発見した者達が付けただけであり、剣崎と言う、まだ会っていない者が言うには、生き物らしい。
「実際蛇と言うアバターみたいなものを使って、森の侵食を受けている生き物に接触するらしい。私も会ったことないんだけど」
「どうしてそんなことを」
「本人曰く、そう生まれたかららしい。理由は無い、森の侵食に耐え、森の力を吸収して、その世界の文明を進化させる。それが森の性質」
「その森が我々の世界に?」
「本当なら急いで根こそぎ焼きたいけど、問題は実を前にして耐えられるか、インベスが現れた際の対処、それと、あんたらがサンプルとして実を持つこと」
最後の一つだけ、我々は顔を険しくする。
だが響は、手で制した。
「それくらい警戒するもんなんだよ。ここだって組織として活動する以上、現物研究は視野に入れなきゃいけないことだろ? だから場所は聞いてるけど、返答次第じゃ一真達に任せるしかない」
「………つまり、木々のサンプルはけして取らず、危険物として一切合切処分することが条件か」
それに叔父様は頭を抱える。響の言うことはもっともだ。
危険物とは言え、未知の植物。我々の判断だけで処分することはできない。
少し腕を組みながら考え、すぐに、
「分かった、実並びにヘルヘイムの森のサンプルはけして取らない。我々もそれほどまでの危険物を管理する気はないからな」
「じゃ、メンバーを何人か決めて行こう。それと森の怪物と実はけして相手にしない、したとしても」
「毒のことや、実を口にしないことを前提だな、分かっている。だが実際現れたら」
「一真は問題ないんだ、一真のことも言っておく」
それは剣崎一真と言う者は人間から別の存在、ジョーカーと言う不死身の戦士になり、自分達を救ったと。
その彼なら実を食べても問題ないし、傷つけられても毒は効かない。
そして我々からは私、マリアが出向き、向こうはセレナと奏が来る。
◇
「おお、来たか」
私達はマリアと翼を連れて、もう一人の仮面ライダーである翔太郎が待っている工場へとやってきた。
「ここは、すでに廃棄されているな」
「ここに森の植物が」
「ああ、すでに発見されて剣崎が奥で処理、俺は人が入らないように見張りだ。俺も森の実は危険だから」
翔太郎の言葉に頷きながら、結局セレナとマリアをここに置いて、私達は中の見に行く。
一真のことだから、食べながら草木燃やしているだろうな………
◇
平行世界のセレナ。
「~~~♪」
鼻歌を歌いながら、本部には連絡して周りの人払いは終わらせたし、この辺りで行方不明事件が起きているかの確認も終えて、現在はまだ何も起きていないらしい。
セレナは静かにいる。
セレナ………
(セレナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
もう可愛いッ、可愛いわよずるいわよ向こうの私ッ。
セレナごめんなさい、お姉ちゃんは寂しがり屋なのッ。セレナがいなくて何度くじけかけたか分からないの!!!
向こうのセレナはこっちのセレナや私のことを気にしてあまり話もしない。
話がしたいのッ、滅茶苦茶24時間体制で一緒に居たいの。
けどダメよね、私のセレナじゃないんだからそんなこと。ああけど………
◇
顔には出ていませんが、気のせいか、こちらのマリアさんは私を気にかけて暴走している気がします。
あっ、いま反応した。マリアさんと他人行儀にしたからなのっ!?
◇
一真は果物?っぽいもんをむしゃむしゃと食べていた。
「………そっちはもう済んだのか」
「そっちはなに食べてるんだよ」
「ともかく火はいるか」
「火は自前がある」
キャロルとそう会話しながら、果物を食べている。
一見すると不気味なもんだが、確かによく見ていると食いたくなる。その前に食われていくが………
「確かに、危険な果物ですね………貴方は平気なんですか?」
「俺は人間じゃないからな」
そう言い、僅かにこちらの翼にジョーカーの姿を見せて戻る。
さすがに驚くが、すでに話しているから、すぐに落ち着く。
「ともかく、蛇と接触した」
「蛇と?」
「曰く、鏡から呼ばれたらしい。聖遺物で、鏡、召喚で検索を掛けて欲しいんだが」
「分かりました、本部に連絡を」
「いや待て、聖遺物、こっちや俺達の世界の神話の道具なら、相棒に聞けば早い」
◇
「OK翔太郎、検索ワードは『聖遺物』『鏡』『呼び出す』でいいんだね」
僕の能力で、すでに確認済み。問題なくこの世界でも星の本棚は使用可能。
「さあ検索を始めよう」
白い空間、無数の本棚の中、僕は検索ワードを口にする。
無数の本が現れる中、少しばかり考え込む。
「少し多いな………もう少し絞り込むことはできないかな?」
そう連絡すると、すぐに『呼び出す』のワードを変える。
異形と………
すると一冊の本が手元に。
「ふむ」
◇
「『ニトクリスの鏡』か………エジプトの女王が持っていたらしい物で、本来は冥界のような世界を見る鏡。そしてそこからそういうもんが出て来るらしいが」
携帯電話で相棒と会話しながら、それにキャロルは顔をゆがめる。
「存在する、ニトクリスの鏡とそのままでな。誰が所有しているか、完全聖遺物であるかは不明だが………」
「こちらもいまエルフナインたちが調べ始めています」
「そっちもそれが当たりと思うのか。後は一真が蛇に騙されていないかだけど」
「そればかりはな」
そう思いながら立ち上がり………
◇
俺はすぐにガラスを砕いた。
ジョーカーになり、マンティスを構え、すぐに戦闘態勢に入る。
その様子に響や翔太郎はすぐに構え、奏ちゃんは風鳴ちゃんと遅れて構えた。
「なんだ敵かっ」
【………ミラーモンスターだと】
そう呟くと、入口である映るものから、レイドラグーンと言う怪物が大量に出て来る。
ミラーワールドには意識が向いていなかった。
「こいつは」
【ミラーワールドと言う、かつてあった世界の化け物だ。鏡の中に人間を引きずり込んで食らう】
「それが」
「かなり数が多いぞッ」
すぐにリモートを取り出し、無数のアンデッドを呼び出し、構える。
翔太郎も黒いメモリを取り出す、すでに緑のメモリが差し込まれていた。
「変身っ」
≪サイクロン! ジョーカー!≫
「これはまずいね」
「ともかくやるしかないッ」
「ちっ、こいつつはインベスじゃないっ、一匹残らず駆逐するぞっ」
「おうっ」
「ああっ」
◇
「こっちでも数は確認したわ」
「行きましょう、マリアさんっ」
「ツッ、ええッ」
◇
二人の仮面ライダーが無数の敵を切り払う。
「ったく」
≪ルナ! トリガー!≫
右が黄色に左の銃を取り出し、軌道が曲がりながら撃ち落とす。
≪ルナ! メタル!≫
今度は伸縮自在になったメタルシャフトを振り回す。
ジョーカーになっている一真は斬撃を飛ばしたりして、数を減らしていた。
「このままじゃらちが明かないぞ」
「数が多いうえ、かなり強敵ときた」
「仕方ねぇッ、一気に肩を付けるぞブレイド!」
【ああっ】
13枚のカードを取り出し、バックルを構える。
どこからか鳥の鳴き声と共に、エクストリームメモリが飛んできた。
≪ターンアップ≫
≪サイクロン! ジョーカー! エクストリーム!≫
13のレリーフを纏う黄金のブレイドと、完全にシンクロしたダブル。エクストリームが現れ、盾と剣を呼び出し、プリズムメモリを初めとした四つのメモリを差し込む。
「「ビッカーファイナリュージョン」」
ビッカーシールドから照射される光が次々とレイドラグーンを撃ち落とし、ブレイドは重醒剣キングラウザーにギルドラウズカードを読み込ませると共に、醒剣を取り出す。
≪スペードⅡ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ ストレートフラッシュ≫
無数いるレイドラグーンを切り刻み、全て消し飛ばす。
「まだ数がいる」
「気を抜かずに片付けるしかないね」
「他のみんなは………!」
その時、僅かに違和感を感じた。
だがすぐに敵が迫り、返り討ちにする。
「いまはこいつらか」
そう呟き、剣を構え走り出した。
インベスと思いましたか? ミラーモンスターです。
実はキマイラも食ってたし、食えると思いました。
剣崎一真「むしゃむしゃ」
剣崎響「それでも食うなよな………」
それではお読みいただきありがとうございます。