そんな思いで出来上がりました、どうぞ。
それはパパもママを失い、捕虜として大人達に捕まっていた時だ。
どうやら私は大事な商品で、無理矢理小さな檻の中に入れられ、これからどうなるか、当時は分からず、震えていた。
大人は何を言ってもやめてくれず、私はこれから酷い事になる。そうとしか分からなかった。
彼奴が現れるまでは………
眠れぬ夜、銃声が響きながら、耳を防ぎ、身を縮ませていると、目の前に、血まみれの、私を無理矢理ここに押し込めた男が倒れた。
「ひぃ」
小さな悲鳴の中、誰かが入ってくる。
それは人じゃなく、化け物だった。
青色の姿、ベルトに青色のハートみたいな機械をつけて巻いている。身体は鎧を着た何か。
その身体から緑の血を流し、両腕に刃物が付いている。その刃先は赤く染まっていた。
もう片手に剣のようなものを握りしめて、化け物は部屋の中を見渡し、こちらに振り返る。
怖くて怖くて、他にいる子達も騒ぎに気づき、泣き叫ぶ。
化け物が右腕を大きく振り上げた。
私は目を瞑ったけど、どこかで安心していた。
これでパパとママのところに行けると………
目を閉じて大きな音が鳴り響いた瞬間、金属音が鳴り響いた。
化け物はオリと鎖を壊す。
「えっ………」
【まだ終わってない、ここにいろ】
そう言って、化け物は私達を繋ぐ鎖や手錠を壊してくれるのだ。
それでもそれが怖く、恐ろしいなにかなのは変わらない。何人かは怯えて泣いていたが、私は不思議と、もう怖くなかった。
【すぐ終わらせる】
そして化け物はそのまま外に出ると、銃声が鳴り響く。それが鳴りやむまで、私は静かに待ち続けた。
全てが終わり、化け物はもう出て平気だと言って、私達に缶詰や水が入った木箱を置く。
そしてそのまま、人の姿に変わった。
血の色だけは変わらなかったが、黒い髪と黒い瞳の男で、男はそのまま、
「騒ぎを聞きつけて、いま保護する人が来る。ここにいろ」
そう告げて、男はそのままどこかへ出向く。
「………どうしてついてくる」
「………なんで」
私は、なぜか化け物を追って歩いていた。
だいぶ歩いて、もといた場所から離れかけたときだ。
しばらくして化け物は話しかけ、そして尋ねた。私は、
「なんでもっと早く助けてくれなかったんだよッ!! パパとママは死んだんだッ、なのに、なのにいまさら、いまさら助けやがってッ」
そう叫び、化け物に言った。
我ながら理不尽だ。あの時、パパやママが死んだ時、こいつは側になんかいなかったのに、私は自分だけを助けたこいつを許せなかったんだ。
それを聞き、化け物が近づく。殺されてもいいと、私は思っていた。
だけど、
「ごめん………」
そう言って、私を抱きしめてくれた。
受け入れた。理不尽極まり無いことなのに、化け物は受け入れたんだ。
「助けるのが遅くて、ごめん………」
その後からほぼ記憶は無い。ただ泣いた、泣いた記憶と、忘れたい記憶しかない。
一真とはその後、一緒に旅をした。
大人は信用できないと、そう言って何度も困った顔をする一真と行動する。
一真は、大人達と戦う。ずっとだ。そんな日々の中、
「いいか、ここにいれば保護される。だからここにいろ」
「なんでだよッ、なんでだよ一真!!」
五年後、一真は急にそう言い始める。
いや、前々から一真は私のことを考えて、何度も人里で情報を集めていたことは知っていた。そして何度目かのやり取りだと思っていた。
だけどその時の一真は引かないまま、かたくなに私を置いて行こうとする。
「お前は人間で、俺が化け物だからだ」
「そんな、そんな理由」
分かっていた、化け物である一真の足を引っ張っている。一真を縛り付けている。
だけど、いまなら分かる。本当はそれが嬉しかった。
私だけの一真、私だけの化け物。私を理解する、私だけの。
そして一真はパパとママの夢を、化け物だけど同じように見ていると………
「なのにッ」
彼奴は私を置いていった。人間だから、そう言って国連に、大人に預けて私を置いて行った。
だから私は力を欲したんだ。彼奴の側にいられるために、大人なんかに頼らなくていい力が欲しい。一真の側にいられるためにも………
再会した彼奴の側に、別の女がいる。
そこは私のだッ、私の、私の一真ッ。
フィーネに教えたのは一真のジョーカーの、緑色の姿だけだ。他にもいろいろあるが、言うつもりなんかない。あれは私のなんだから。
「誰にも話さないし、渡さない………」
その時、私は彼奴の顔を思い出す。
「融合症例一号………」
そこは私の居場所だ。お前のじゃない………必ず奪い返す。
一真は殺す。殺して、殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して、殺し続けて、傷付け続け、私のだと言う証を刻む。痛みを与え続ける。
一真は私のだ。あのバカは、私だけのバカなんだッ。
「はははっ………」
考えただけで、笑いがこみあげて来る。
待ってろ一真、すぐに殺すからな………
◇
「ブッハションっ!! シャケカ?」
アンデッドは風邪をひくことはないだろ。私は呆れる。
いまの寝床。静かに身体を休ませる中、そろそろあのチビの話をするか。
「一真、あの子のこと知ってるの」
「………俺が日本に来た理由だ」
「確か、人売りしてる組織潰した時に拾ったおもらし少女のこと?」
これ、本人が他人に話したこと知れば、比喩無く殺すだろうな。一真不死身だもん。
一真のことが怖くて、最初おもらししたらしい話。後をついて来た時、しばらくして気づいて大変だったと………
日本に来た理由としてそのエピソード言うんだもん。私なら、必ず殺す。
途中まで一緒にいたけど、少し大きな組織を根本から潰す為に、もう連れて歩けなくなったらしい。というより、私くらいの年頃の子になったから、これやばくない?っていまさらながら思い国連に預けたらしい。
だからこの化け物はバカなのだ。考えずに連れまわしてたら美少女になるけど、同時にがさつな子になっていって、本当にまずいと思ったらしい。親御さんに申し訳ないからと、人の中に戻したら、行方不明。
だから日本に来たら、コンサート事件に遭遇して今に至る。
こいつは時々、別の意味で本能のままに動きすぎるんだよね。
………イライラする。色々な意味でイライラする。
そう思っていると、
「誰か来る」
私は立ち上がり、構えていると、すぐにやめた。敵わないからだ。
風鳴弦十郎、その人が訪ねてきた。
「すまない、力を貸してほしい」
話としてはこうらしい。あの秘密基地の地下には、完全聖遺物『デュランダル』があり、そして防衛大臣暗殺事件が起きた。
様々な思惑が重なり、二課にあるそれが狙われていると推測される。
それを別の場所に輸送する計画があり、できればと頼まれた。
「その話、あの鎧の子も出る可能性はあるか」
一真がそう聞くと、風鳴弦十郎は静かに頷く。それに一真は決めるのには十分だ。
「響はここにいろ、輸送は俺が守る」
「なんで」
そうイラつきながら答える。
「あの子を捕まえるのなら、手を貸す。てか、ノイズは私がこの手で壊す。一真にだってそれは否定させない………」
「………そうか」
「………すまない」
そう話が纏まり、私達は動く。
だけどイライラする………私をイライラさせないでほしい………
◇
立花響、ツヴァイウィングコンサート事件の生存者。
二年前の事件にて、ガングニールの破片が心臓付近に刺さり、重傷を負うものの、回復し、リハビリ後退院。
だがその後、彼女の父親蒸発時に姿を消す。
その後は行方不明。現在も捜索願は出ている。
学園生活など、風評被害に遭った形跡有り。それが原因であると考えられ、それは天羽奏、風鳴翼と言う少女達の心を揺さぶるには、十分だった。
「緒川、二人は」
「表向きは立ち直ってますが、父親の蒸発や、学園内でのいじめなど………軽く当時のネット掲示板も調べておきました。無論、一課に問い合わせ、消させましたが」
「酷いってもんじゃありませんでしたよ。事実を知る我々からしたら、ぞっとする内容ばかりの尾ひれでした」
「そうか………」
藤尭の言葉にコーヒーを飲み、紙コップを握りしめる。
これは自分達の失態だ。
「このような形で、あの日の失態が顔を出すか。いや、目を背けていたのだろうな俺達は」
あまりのごたごた、畑違いから対処も他人任せ。それがこの結果だと、歯を食いしばる。
「奏さんや翼さん、二人のフォローは僕が」
「すまない、俺はその間、やらなきゃいけないことをする。ここが俺の踏ん張り所の一つか」
そう言い、紙コップを捨て、次の作戦について考え込む。
「………この状態では翼達と合わせては戦えない、二人は俺と行動させ、一真くんと響くんに、デュランダルの警護を任せるか」
「それしか無いですね」
緒川の言葉を聞き、いまはこうして、作戦は決行するしかない。
◇
バイクを二台あり、一つは『ブルースペイダー』であり、それに響が乗り込む、ハンドルは持つだけだ。操縦などは自動に動くから、それ任せだ。
もう一つは一真が乗る『シャドーチェイサー』に乗り、カリスへと変わっている。
「は~い♪ 二人とも♪♪」
「………」
「あんたが櫻井了子か」
カリスの姿で陽気に話しかける者は少なかったが、話しかけて来る者がいた。
「ええ♪ できる女、櫻井了子よっ♪♪ 一真くん、よね。できれば今度メディカルチェックさせて、もらうわけにはいかないようね………」
途中から響から鋭い殺気を受け、渋々引き下がる了子に、一真は何も言わないが、
「あんたに少し話がある、響の中の欠片だ。できれば時間があるときに聞きたい」
「あら、デートのさそ、いや、もう。時間ならいつでも作るからね~」
響からの殺気の所為で、変に冗談も言えず、渋々自分の車に乗り込む。あそこにデュランダルがある。
獣のように鋭い眼光の中、静かに、
「イライラする………」
そう呟きながらも、行動を開始する。
複数の車と共に、輸送先までついていく二人。ヘリが二台空を飛び、そこに二人の装者が乗り込んでいる。
司令官である弦十郎さんもいて、そして、
「来るぞ」
「!」
ノイズの群れが、襲い掛かってくる。
◇
カーチェイスの中、化学工場らしい場所にたどり着き、バイクを捨てるしかなく、私はここでノイズを睨み、握りつぶす。
「誘いこまれた………!?」
鎖を放たれ、それを避け、相手を見る。
「よお、また会ったな融合症例第一号」
ノイズを従えて、チビが現れた。
「………ああそうだな、おねしょ少女ちゃん」
それを聞き、バイザー越しでも分かるほど真っ赤になり、鎖を握る手が強まり、トゲが一層鋭くなる。
「一真の奴ッ、殺す!!」
「また漏らさないうちに、大人しく捕まれおねしょちゃんッ」
「一真アァァァァァァァァァァァァァァァァア」
「一真の名前を口にするなァァァァァァァァァ」
あれは私のだ。その名前を口にするなッ。
私は歌いながら、あの子は歌わず、戦い始めるが、スペックとノイズの数だけは多い。
だけど一真の風を感じながら、歌を歌う。まだ早い、奥の手はまだ取っておく。
そう歌いながら、私は壊す衝動に身を任せる。
「一真の側にいけしゃあしゃあといやがってッ」
「あれは私のだッ、捨てられたんだからもう諦めろ!!」
「黙れッ、彼奴を殺す。殺して殺して殺しつくす………お前が私達の間に入り込むな!!」
「あれに手を出すなって言ってるだろガキッ」
地面を砕きながら、蹴り技を放つ。瓦礫を吹き飛ばして目くらましするが、向こうも気にせずに向かってくる。
私達の間に割り込む異物、昔、一真が面倒を見ていても、いまはもう異物だ。
そうしていると、何かが飛び出し、煙や煤を吹き飛ばす。
「なにッ」
「あれは、デュランダルッ!?」
確かに剣のようなものであり、それが僅かな光を放つ。
おねしょちゃんがそう呟き、舌打ちを盛大にし、急いでそちらに跳ぶ。彼女も跳んだ。
このままあれを渡すのは癪に障る。絶対に渡さないため、足蹴にしてさらに跳ぶ。
そして剣を手にした瞬間、世界が暗転した。
◇
「ッ!?」
柱のような黒い光が立ち上ると共に、悲鳴が聞こえる。これは、
「響ッ」
その時、何かが吹き飛んでくるため、受け止める。それは、
「クリス………」
「かず、ま………」
バイザーが僅かに砕け、片目だけだが忘れられない。その顔………
「やっぱり、俺のこと見てもらしたクリぐふっ」
鎖が刃物のように、思いっきり腹を貫き、クリスは本気でキレた顔でこちらを見る。少し赤面していた。
「お前は………お前はぁぁぁぁぁ」
「待てクリス、いまはあれ。まさか響か」
その時、無数の鉱物が鎧のように輝き、暗闇を纏う響が剣を掲げている。
あのままならまずい。
そう思い、クリスを静かに置き、Kのカードを取り出す。
≪エボリューション≫
ハートの十三枚のカードが飛び上がり、全て一つへと集まる。
ワイルドカリス。いまの姿に成り、急いで構える。
「響」
【アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ】
暗い柱がこちらへと振り下ろされるが、ここでそれはまずい。
すぐに『醒鎌ワイルドスラッシャー』をカリスアローに合わせ、13のカードを一枚へ変える。
≪ワイルド≫
「響ッ」
放たれる矢は、柱へと激突するが、その場に止まるだけであり、勢いは殺せていない。
「響、一真ッ」
翼や奏が後ろから話しかけてくる。だが、構っていられない。
「この一瞬があれば」
その瞬間、響から一枚のカードが飛び出て、それを使う。
『ターンアップ』
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
全ての過程を飛ばし、13のカードが黄金へと変わり、全てが自分の中へと戻る。
これがブレイド、これが俺の、最強の姿の一つ。
スロットにラウズカードを差し込む暇は無い。ただ力を、13の力を『重醒剣キングラウザー』へ流し込み、ただ振るう。
「オッリィアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
黒の柱を叩き折る、黄金の一撃。
暗闇を斬り、反動ですぐに変身が解けたが、俺はすぐに響へと駆け寄った。
◇
「響」
急いで響の側でリカバーを使う。呼吸も正しく、問題は無い。
緑の血を流しながら、周りを見る。余波だけでノイズは消し飛び、クリスは………
「もういない………クリス………」
腹の傷は、もう塞がっていた。
だがクリスになにがあった? それが分からない。
そうこうしていると、二人の装者が近づいてくる。
「あんた、傷が」
「俺は不死身だ」
奏にそう言い、響を見つめながら、その手を握りしめる。僅かだが、その手は握り返された。
「貴方は、やっぱりあの時の………」
あの一瞬で、あの日の姿を見られたようだ。
一真は少しだけ目を閉じながら………
「………俺があの時、もっと早ければ、響をこんな風にはしなかった」
「! 違うッ、そんな「そんなことあるッ」」
この小さな手を握りしめながら、
「俺はジョーカーッ、不死身の化け物だ!! あの日、もっと多くの命を救えていればッ、もっと多くのノイズを切り伏せていれば、この子の人生を壊さずに済んだんだッ」
ネットやテレビなんて見ない。本能のまま静かに戦う。
声が聴こえ、そこに出向き、本能のまま、獣として戦う。怪物、不死の戦士アンデット。
だから知らなかった。あの日の生還者、その中で風評被害が広まっていたなんて………
「あんた………」
「俺が助けられなかった、もっと大勢の人を助けたかったッ。俺は、俺が遅かったばかりに、この子の人生を守れなかった、大勢の人を救えなかった」
もっと早く声が聞こえていれば、もっと早くノイズを探知すればよかったと、彼は叫ぶ。
「それは我々とて同じだっ、あの場にあなたがいなければ、被害はもっと」
「被害に大きいも小さいも無いッ」
「「ッ!?」」
二人はその言葉を聞き黙り込み、静かに響を持ち上げる一真。
「俺は守る、そして戦う。戦えない、全ての人の為に、俺は戦う………俺は運命と戦い続ける。言い訳も何もしない、俺はこの子を救えなかった。だからこそ、いまの俺はこの子を支える、全てを、支えると決めている」
その瞳を見て、二人は黙る。弦十郎もヘリから下りて、それを見た。
本気で言っている。彼は、本気でそう決意している。
「俺は全てを守る為、戦い続ける化け物。仮面ライダー………ブレイドであり、アンデッドジョーカーだ」
そして化け物の姿に成り、そのまま響を連れていく。
【こんな事態だ、もうデュランダルの輸送はいいだろう。この子を連れていく】
「………ああ」
弦十郎とすれ違いながら、彼はそう告げて消えていく。
負傷者は出たが、誰も死なない。
それでも彼は背負う。なにも救えない罪を背負い、永遠に戦い続けるために………
僅かになりました。そしてクリス、クリスあれクリス?
響、あれグレ響?
困惑しながら、この調子で頑張ります。
お読みいただき、ありがとうございます。