戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

54 / 54
平行世界へ出向いた一真。

異世界に来た一海。

そして彼らの行動は………


最後の一枚・そしてまた旅に出る

 そこは廃屋の病院である。

 

 だが地下施設、防護服に身を包み、数々の動物を漬けた液体がある中で、警報が鳴り響く。

 

 扉や壁が壊され、突如として二人の戦士が現れる。

 

「心火を燃やして、ぶっ潰す」

 

【………】

 

 そしてアマゾン研究者たちを手あたり次第襲う。

 

 そんな中、グリスは静かに研究書類を見ながら、舌打ちする。

 

【どうした】

 

 バニティアンデッドが近づくと、グリスは、

 

「マジで人間にも投与する予定らしい、いや、もうすでにされてる」

 

 死刑囚や重病患者。

 

 様々な方法を使い、アマゾン細胞の投与をしていたらしい。

 

「ですが、全ての方はアマゾン細胞に食われて死亡しています」

 

 突然声がして、二人はゆっくりそちらを見る。

 

「お前は」

 

「特異災害対策機動部二課、緒川と言います」

 

 彼らと接触しながらグリスとバニティは、仕方なくその姿のまま、彼らの施設へ出向く。

 

 

 ◇

 

 

「君らがアマゾン研究所を襲うのは、そう言う意味が」

 

「何よりも気に食わない」

 

【………】

 

 風鳴弦十郎に詳しい話を聞かされながら、奏、翼は彼らを不審な目で見続けた。

 

 だが、櫻井了子はそれよりも、

 

「それよりも、どうやってアマゾンの研究所を」

 

「こいつがアマゾン細胞の気配を見つけ出したからだ」

 

【俺は怪物だ。人とは違う力も察することができる】

 

「なら我々と協力を」

 

【それはできない、君達が俺達を信じられないように、こちらも。ん?】

 

「どうした」

 

 その時、急にアラームが鳴り響き、すぐにモニターに何か浮遊する島が映る。

 

「なんだあれは………みーたんの浮遊島ライブか」

 

【あれはふららんてあだ】

 

「フロンティアっ、こんな遺跡が急に浮遊するなんてっ」

 

 二人はなにも言わなくなる中、だがすぐに一真は気づく。

 

「フロンティア内部に無数のアマゾン反応ありっ、外部にも無数のアマゾンの活動を感知」

 

「ようは空飛ぶアマゾン研究所か。笑えねえな………」

 

「翼、奏っ。分かっているな」

 

「はい、いまは確かに貴方たちを信用できない」

 

「だけどあれを放っておくことはできない」

 

「分かっている」

 

【さっさと終わらすぞ】

 

 こうして彼らは、フロンティアへと降り立つ。

 

 

 ◇

 

 

「殲滅ッ」

 

 無数のアマゾンがうろつく中、

 

『ビームモードッ』

 

「駆逐ッ」

 

『シングル! シングルブレイク!』

 

「激ッ戦ッ!!」

 

 アマゾンを次々と倒す中、中には変なベルトを着けているアマゾンもいる。

 

「こいつは」

 

【気を付けろ】

 

≪ブレード・ローディング≫

 

 瞬間、剣のようなものや棘、数多の武器を取り出す。

 

 アマゾンの姿が異常になり、これに装者たちは驚愕する。

 

「こいつは」

 

【ネオアマゾンドライバー、アマゾンを進化させたのか】

 

「まあいい、心火を燃やしてッ、突っ切るッ!!」

 

 そして彼らは奥へ奥へと先に進む。

 

 

 ◇

 

 

 それは叫んだ。

 

「これがこの僕がッ、ノイズ対策で作り出した、古代兵器アマゾンの数々だあぁぁあああ」

 

 叫び声を上げ、あらゆる場所で集うアマゾンに満足する中、白いリボンの少女は睨む。

 

 彼女は彼に攫われ、なぜかここにいる。

 

「………なんで」

 

「ん~ん?」

 

「なんでこんなひどいことをするんですかっ」

 

「酷い? 酷いだってっ。ただの家畜や物言わない植物から、この僕に使える最強の生物アマゾンに変わったんだ! むしろ感謝されるべき、そう、僕は世界を壊す事も救う事も許された存在、英ッ雄ッになったんだ!!」

 

「狂ってる………」

 

 その瞬間、壁を壊し、レンゲルが現れ、それに身構える。

 

「同感だ、貴様はまともじゃない」

 

「貴様、この僕の作品とは別の、怪物くんは」

 

 男、ウェル博士は攫われた少女、小日向未来と共にいた。

 

 レンゲルがレンゲルラウザーを向けながら歩く中でも、けして笑みは止まらない。

 

「後ろだッ」

 

 グリスの叫びに、すぐに身体を動かすと、

 

≪ブレード・ローディング≫

 

【アァァァァァァァァァァァァァァァァ】

 

 ブレードを取り出すアマゾンが現れ、それを防ぐ。

 

「!? まずいっ、この個体は人だッ」

 

「なにっ」

 

「そのとぉぉぉぉぉぉぉぉりいぃぃぃ。アマゾンネオっ、やってしまいなさいッ」

 

 向かってくるアマゾンは、

 

「ネオ、仮面ライダーアマゾンネオっ」

 

「なんっ、こいつも仮面ライダーかッ」

 

『アタックモード!』

 

 うなるツインブレイカーを振り回し、レンゲルから、バニティへと変わり、抑え込もうとする。

 

「どうすんだこれッ」

 

【人の意識があればいいが、これは】

 

「無駄ですよっ、その子はもう、僕の兵器ですっ。アマゾンネオっ、僕の言う通りに動きなさい! 後で極上のエサをあげますよ!!」

 

 激突する怪物の中、未来は信じられない顔でネオを見る。

 

「ひ、びき………響っ」

 

「っ!? 知り合いかよ!」

 

「お願い響を傷つけないで!」

 

 叫び声を上げる時、ネオの腕に気づく。

 

【! 魔法石………繋がッ】

 

 ブレードが突き刺さり、そのまま切り裂かれた。

 

「響っ」

 

【ガア、ガアっ】

 

【この程度で死ぬかっ】

 

 斬られたが即座に繋がり、そのままアマゾンネオを取り押さえた。

 

【グア】

 

【グリスっ、この子にはまだ意識がある、魔法石の所有者だっ】

 

「なに………」

 

【お前ならこの子を、この子たちの未来を変えられるッ。お前の力を貸してくれ!】

 

 その言葉を聞きながら、苦しむように雄たけびを上げるアマゾンネオを見ながら、舌打ちする。

 

「だからってどうすればいいんだよ………」

 

≪ニードル・ローディング≫

 

 その瞬間、無数の棘が放たれ、グリス共々それを避け、ウェル博士すら避けた。

 

「きゃあ」

 

 その時、微かにかすめた未来。

 

 一滴の血が流れ、それにアマゾンネオが振り向く。

 

【イ、あ………アァァァァ】

 

 その一筋の血を見て苦しみ出すアマゾンネオ。

 

【まずい、アマゾンネオッ】

 

 抑え込む中、アマゾンネオから少女の、叫び声が、

 

【ゴロジデ、わたし、をっ。殺せェェェェェェェェェ】

 

 向かって来るアマゾンネオに対して、武器などで対処する。

 

【アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ】

 

 叫び声を上げるアマゾンネオを見ながら、グリスは、

 

「………ちくしょうが」

 

 そう呟き、ツインブレイカーを構える。

 

「待って、響を殺さないで!」

 

 未来はそう叫ぶが、グリスは、

 

「いまこいつを殺さなきゃ、テメェが彼奴に殺されて食われるんだッ。ならここで殺すのが、彼奴の願い、俺がここにいる理由だ!」

 

 そしてツインブレイカーをビームモードで放つが、

 

≪リフレクト≫

 

 反射する中、バニティはグリスを、

 

「テメ、分かってるのかッ」

 

【………俺は】

 

【アアァァァァァァァァァァァァァアア】

 

 叫び声を上げ、三者三様が暴れる中、その時、

 

「せっかくの成功例ですが仕方ないですね」

 

 そう言い、静かに物陰に隠れ、なにかを操作した。

 

 その瞬間、彼らを囲む柱が生まれ、電流が流れる。

 

「響っ」

 

 叫ぶと共に、アマゾンネオがバニティを蹴り、そのまま電磁フィールドから飛び出た。

 

「響っ」

 

【コナイデ】

 

 剣を向け、未来を止めるアマゾンネオ、響。

 

 その手に同じブレスレットが輝く中、それでも未来は、

 

「怖くないっ」

 

 そう言い、抱きしめる未来。

 

 それに動きを止め、顔の口が僅かに開き、噛みつく。

 

【ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ】

 

 噛み千切らないようにか叫び声を上げるが、彼女の服が微かに血で汚れる。

 

 それでも、

 

「響に食べられるんなら、わたしはいいよ響」

 

 そう言って離れない未来。

 

 それに電磁波の中にいるグリスは、

 

「心火だ………心の火を、心火を燃やせッ」

 

【ゴゴロノ、ビ………】

 

「心火を燃やせッ」

 

 ビームモードで柱を、バニティも力で破壊し、人の姿に戻り、そこから叫ぶ。

 

「仮面ライダーになるんだっ、響」

 

「心火を燃やせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

【アァァァァァァァァァァァァァァァ】

 

 その時、ブレスレットの光が輝き、二つの光が二人の仮面ライダーを照らす。

 

【っ!?】

 

「こいつは」

 

 光り輝く中、万能の力が輝く。

 

 光が収まり、一人の少女を抱きしめるのは、

 

「ひびき………」

 

 当たりは凍てつき、凍った床。

 

 だが少女だけは平気で、ある少女は微笑む。

 

「うん………信じてくれてありがとう、みく………」

 

 涙を流し抱きしめ合う二人に、ウェル博士が叫ぶ。

 

「バカなっ、アマゾン化が止まったッ!? 自我が、なぜえッ、なぜなんだぁぁぁぁ」

 

「それは彼女が仮面ライダーになったからだ」

 

 それに一真も人の姿で現れ、少女達の前に立つ。

 

「かめんらいだー………」

 

 響が反響するようにその言葉を口にし、魔法石のブレスレットを見つめた。

 

「その魔法石が集めた。仮面ライダーアマゾンネオに、彼の思いを集めた」

 

「仮面ライダーだからこいつは正気に戻ったとでも言いたいのか?」

 

 グリスも人の姿に戻りながら、前に現れ、静かに聞く。

 

 一真は首を振り、静かに告げる。

 

「いいや。仮面ライダーだからというだけじゃ、正気に戻らない。この子がこの子だから、信じてくれた人がいるからだ」

 

 そしてキングのカードを取り出し、一海もゼリーを構える。

 

「仮面ライダーは人間だけじゃない。怪物でもあり、兵器でもある。だけど、俺達の中にある正義が、俺達の未来を決める」

 

「正義………」

 

「ご託はいい、俺は心火を燃やし続ける。彼奴らの為にもな」

 

 そう言い構える彼らを見ながら、響は、

 

「未来、私も」

 

「響」

 

「大丈夫、私、私も仮面ライダーだから」

 

 そして注射器のようなそれを取り出し、静かに構える。

 

「「変身ッ」」

 

「………アマゾン」

 

 姿を変える彼らに対して、ウェル博士はすぐに対処する。

 

「ぼ、僕に近づくなッ。アマゾンネフィリムウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 

 突如床を砕いて現れたそれに、三人は構えながら、それを見る。

 

「聖遺物とアマゾン細胞を合わせたか」

 

「その通りッ、これこそ究極のアマゾンだッ」

 

「それでもッ。私は心火を燃やしてぶっ潰すッ」

 

「なら俺は、負ける気がしねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

「貴様は俺の本能を刺激したッ」

 

 そして三人の仮面ライダーが駆けだす。

 

 

 ◇

 

 

 グリスはツインブレイカーをアタックモードにし、何度も拳を振るう。

 

 勢いあまり、部屋から飛び出すと共に、肥大化し、巨大なアマゾンネフィリムの巨腕が振るわれたが、それすら無視して吹き飛ばす。

 

「最強」

 

 一つはクワガタ、青い羽。

 

「究極」

 

 一つはフクロウ、黄色い羽。

 

「無双」

 

 一つは白、赤い羽。

 

「これが俺達の必殺技だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 ぶつかり放たれた一撃に片腕がもげるアマゾンネフィリム。

 

「もう片方ッ」

 

≪スペードⅩ J Q K A ロイヤルストレートフラッシュ≫

 

「ウッイイィィィィィィィィィィィィィィ」

 

 片腕は黄金の斬撃で、斬られ、

 

「アマゾンネオっ」

 

 雄たけびを上げて、取り出す武器は、

 

≪ガングニール・ローディング≫

 

 その言葉に驚く中、その腕から槍のような刃先が現れ、それがアマゾンネフィリムを貫き、光が伸びさらなるダメージを与えた。

 

「こいつは」

 

「………そうか」

 

 一真だけが知る情報。

 

 響の中にはガングニールの破片がある。

 

 その破片とアマゾン細胞、さらに魔法石や万能の力。

 

 それらが複雑に絡みつき、いまのアマゾンネオを作り上げたのだろう。

 

「トドメだ」

 

 三人のライダーが飛び上がり、各々の力を纏い、飛び蹴りを放つ。

 

「塵すら残さず」

 

「消し飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 その攻撃による爆発するアマゾンネフィリム。

 

 光景を静かに眺めながら、これで一真は確信した。

 

 自分もここに呼ばれていたのだと………

 

 

 ◇

 

 

 ウェル博士は捕まり、多くの制御不可能のアマゾンは退治された。

 

 響の身は、二課が責任を取り、また彼女を調査して、人型アマゾンに対する治療方法を調べる。

 

 調べる人間が了子と言うのが心配な一真だが、この世界は平行世界。信じるしかない。

 

 だから、

 

「魔法石を壊せば、いまの彼女はどうなるか分からない。だけど壊さなければ、君を帰せない」

 

「任せろ。俺の、この思いは半端ない」

 

 

 ◇

 

 

 それは次元を超えた先、

 

「カズミンどこ行った?」

 

「朝食買いに出かけたはずだけど………なんだ?」

 

 彼らが集まる場所で光のオーロラが現れ、その瞬間、

 

「みーーーたーーーーんーーーーー」

 

 その叫び声と共に砕け散り、次元の壁は壊れた。

 

「ぶーーーっ、カズミンっ」

 

「オメエなにしてるんだよ!」

 

「みーたん、これ異世界のマグロ。獲れたれピチピチの、これでみーたんにうまい朝食作るよ」

 

 そう言い、生きの良いマグロを差し出す笑顔の男。

 

「あり、ありがとう………」

 

 確実に引きながら、彼女はそう言うしかない。

 

「おまっ、飯買いにどこまで出かけてるんだよっ」

 

「んなわけあるかっ。って、お前は」

 

「………」

 

 壁の先、超えた彼を見ながら、一真は、

 

「そっちは任せたぞ、仮面ライダービルド」

 

「………ああ、任せろ。仮面ライダーブレイド」

 

 そう言い壁が消える瞬間、彼もまた別の世界へと扉を開けて、バイクで走り出す。

 

 

 ◇

 

 

 ある世界で戦いはまだ続き、ある世界で彷徨いながらも戦い続ける怪物がいて、そして、

 

「未来っ」

 

「響」

 

 同じ石のブレスレットを身に着けた少女が、

 

「アマゾンが出た、私は行くね」

 

「うん、いつものように待ってるよ。仮面ライダー」

 

 そう言い合い、彼女は静かに変身する。

 

 誰かを、自分のように守るために、その為に、

 

「私は仮面ライダーアマゾンネオだッ」

 

 そう叫び声を上げて、何者になっても、助けを求める者の前に駆けだした。

 

 

 ◇

 

 

 バイクを走らせ、異世界を走る。

 

「………俺は戦うよ、この運命に」

 

 そう呟き、アクセルを強め、一人また走り出した………




オマケ章、これにて終了です。

響が仮面ライダーアマゾンネオに成った世界。カズミンはマグロ土産に帰還。

そして一真は別の世界へと走り出す、そのような終わりです。

それではいままでありがとうございました。

ケンジャキ「ウィィィィィ。お読みいただき、ありがとうございます。またどこかで」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。