異世界に来た一海。
そして彼らの行動は………
そこは廃屋の病院である。
だが地下施設、防護服に身を包み、数々の動物を漬けた液体がある中で、警報が鳴り響く。
扉や壁が壊され、突如として二人の戦士が現れる。
「心火を燃やして、ぶっ潰す」
【………】
そしてアマゾン研究者たちを手あたり次第襲う。
そんな中、グリスは静かに研究書類を見ながら、舌打ちする。
【どうした】
バニティアンデッドが近づくと、グリスは、
「マジで人間にも投与する予定らしい、いや、もうすでにされてる」
死刑囚や重病患者。
様々な方法を使い、アマゾン細胞の投与をしていたらしい。
「ですが、全ての方はアマゾン細胞に食われて死亡しています」
突然声がして、二人はゆっくりそちらを見る。
「お前は」
「特異災害対策機動部二課、緒川と言います」
彼らと接触しながらグリスとバニティは、仕方なくその姿のまま、彼らの施設へ出向く。
◇
「君らがアマゾン研究所を襲うのは、そう言う意味が」
「何よりも気に食わない」
【………】
風鳴弦十郎に詳しい話を聞かされながら、奏、翼は彼らを不審な目で見続けた。
だが、櫻井了子はそれよりも、
「それよりも、どうやってアマゾンの研究所を」
「こいつがアマゾン細胞の気配を見つけ出したからだ」
【俺は怪物だ。人とは違う力も察することができる】
「なら我々と協力を」
【それはできない、君達が俺達を信じられないように、こちらも。ん?】
「どうした」
その時、急にアラームが鳴り響き、すぐにモニターに何か浮遊する島が映る。
「なんだあれは………みーたんの浮遊島ライブか」
【あれはふららんてあだ】
「フロンティアっ、こんな遺跡が急に浮遊するなんてっ」
二人はなにも言わなくなる中、だがすぐに一真は気づく。
「フロンティア内部に無数のアマゾン反応ありっ、外部にも無数のアマゾンの活動を感知」
「ようは空飛ぶアマゾン研究所か。笑えねえな………」
「翼、奏っ。分かっているな」
「はい、いまは確かに貴方たちを信用できない」
「だけどあれを放っておくことはできない」
「分かっている」
【さっさと終わらすぞ】
こうして彼らは、フロンティアへと降り立つ。
◇
「殲滅ッ」
無数のアマゾンがうろつく中、
『ビームモードッ』
「駆逐ッ」
『シングル! シングルブレイク!』
「激ッ戦ッ!!」
アマゾンを次々と倒す中、中には変なベルトを着けているアマゾンもいる。
「こいつは」
【気を付けろ】
≪ブレード・ローディング≫
瞬間、剣のようなものや棘、数多の武器を取り出す。
アマゾンの姿が異常になり、これに装者たちは驚愕する。
「こいつは」
【ネオアマゾンドライバー、アマゾンを進化させたのか】
「まあいい、心火を燃やしてッ、突っ切るッ!!」
そして彼らは奥へ奥へと先に進む。
◇
それは叫んだ。
「これがこの僕がッ、ノイズ対策で作り出した、古代兵器アマゾンの数々だあぁぁあああ」
叫び声を上げ、あらゆる場所で集うアマゾンに満足する中、白いリボンの少女は睨む。
彼女は彼に攫われ、なぜかここにいる。
「………なんで」
「ん~ん?」
「なんでこんなひどいことをするんですかっ」
「酷い? 酷いだってっ。ただの家畜や物言わない植物から、この僕に使える最強の生物アマゾンに変わったんだ! むしろ感謝されるべき、そう、僕は世界を壊す事も救う事も許された存在、英ッ雄ッになったんだ!!」
「狂ってる………」
その瞬間、壁を壊し、レンゲルが現れ、それに身構える。
「同感だ、貴様はまともじゃない」
「貴様、この僕の作品とは別の、怪物くんは」
男、ウェル博士は攫われた少女、小日向未来と共にいた。
レンゲルがレンゲルラウザーを向けながら歩く中でも、けして笑みは止まらない。
「後ろだッ」
グリスの叫びに、すぐに身体を動かすと、
≪ブレード・ローディング≫
【アァァァァァァァァァァァァァァァァ】
ブレードを取り出すアマゾンが現れ、それを防ぐ。
「!? まずいっ、この個体は人だッ」
「なにっ」
「そのとぉぉぉぉぉぉぉぉりいぃぃぃ。アマゾンネオっ、やってしまいなさいッ」
向かってくるアマゾンは、
「ネオ、仮面ライダーアマゾンネオっ」
「なんっ、こいつも仮面ライダーかッ」
『アタックモード!』
うなるツインブレイカーを振り回し、レンゲルから、バニティへと変わり、抑え込もうとする。
「どうすんだこれッ」
【人の意識があればいいが、これは】
「無駄ですよっ、その子はもう、僕の兵器ですっ。アマゾンネオっ、僕の言う通りに動きなさい! 後で極上のエサをあげますよ!!」
激突する怪物の中、未来は信じられない顔でネオを見る。
「ひ、びき………響っ」
「っ!? 知り合いかよ!」
「お願い響を傷つけないで!」
叫び声を上げる時、ネオの腕に気づく。
【! 魔法石………繋がッ】
ブレードが突き刺さり、そのまま切り裂かれた。
「響っ」
【ガア、ガアっ】
【この程度で死ぬかっ】
斬られたが即座に繋がり、そのままアマゾンネオを取り押さえた。
【グア】
【グリスっ、この子にはまだ意識がある、魔法石の所有者だっ】
「なに………」
【お前ならこの子を、この子たちの未来を変えられるッ。お前の力を貸してくれ!】
その言葉を聞きながら、苦しむように雄たけびを上げるアマゾンネオを見ながら、舌打ちする。
「だからってどうすればいいんだよ………」
≪ニードル・ローディング≫
その瞬間、無数の棘が放たれ、グリス共々それを避け、ウェル博士すら避けた。
「きゃあ」
その時、微かにかすめた未来。
一滴の血が流れ、それにアマゾンネオが振り向く。
【イ、あ………アァァァァ】
その一筋の血を見て苦しみ出すアマゾンネオ。
【まずい、アマゾンネオッ】
抑え込む中、アマゾンネオから少女の、叫び声が、
【ゴロジデ、わたし、をっ。殺せェェェェェェェェェ】
向かって来るアマゾンネオに対して、武器などで対処する。
【アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ】
叫び声を上げるアマゾンネオを見ながら、グリスは、
「………ちくしょうが」
そう呟き、ツインブレイカーを構える。
「待って、響を殺さないで!」
未来はそう叫ぶが、グリスは、
「いまこいつを殺さなきゃ、テメェが彼奴に殺されて食われるんだッ。ならここで殺すのが、彼奴の願い、俺がここにいる理由だ!」
そしてツインブレイカーをビームモードで放つが、
≪リフレクト≫
反射する中、バニティはグリスを、
「テメ、分かってるのかッ」
【………俺は】
【アアァァァァァァァァァァァァァアア】
叫び声を上げ、三者三様が暴れる中、その時、
「せっかくの成功例ですが仕方ないですね」
そう言い、静かに物陰に隠れ、なにかを操作した。
その瞬間、彼らを囲む柱が生まれ、電流が流れる。
「響っ」
叫ぶと共に、アマゾンネオがバニティを蹴り、そのまま電磁フィールドから飛び出た。
「響っ」
【コナイデ】
剣を向け、未来を止めるアマゾンネオ、響。
その手に同じブレスレットが輝く中、それでも未来は、
「怖くないっ」
そう言い、抱きしめる未来。
それに動きを止め、顔の口が僅かに開き、噛みつく。
【ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ】
噛み千切らないようにか叫び声を上げるが、彼女の服が微かに血で汚れる。
それでも、
「響に食べられるんなら、わたしはいいよ響」
そう言って離れない未来。
それに電磁波の中にいるグリスは、
「心火だ………心の火を、心火を燃やせッ」
【ゴゴロノ、ビ………】
「心火を燃やせッ」
ビームモードで柱を、バニティも力で破壊し、人の姿に戻り、そこから叫ぶ。
「仮面ライダーになるんだっ、響」
「心火を燃やせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
【アァァァァァァァァァァァァァァァ】
その時、ブレスレットの光が輝き、二つの光が二人の仮面ライダーを照らす。
【っ!?】
「こいつは」
光り輝く中、万能の力が輝く。
光が収まり、一人の少女を抱きしめるのは、
「ひびき………」
当たりは凍てつき、凍った床。
だが少女だけは平気で、ある少女は微笑む。
「うん………信じてくれてありがとう、みく………」
涙を流し抱きしめ合う二人に、ウェル博士が叫ぶ。
「バカなっ、アマゾン化が止まったッ!? 自我が、なぜえッ、なぜなんだぁぁぁぁ」
「それは彼女が仮面ライダーになったからだ」
それに一真も人の姿で現れ、少女達の前に立つ。
「かめんらいだー………」
響が反響するようにその言葉を口にし、魔法石のブレスレットを見つめた。
「その魔法石が集めた。仮面ライダーアマゾンネオに、彼の思いを集めた」
「仮面ライダーだからこいつは正気に戻ったとでも言いたいのか?」
グリスも人の姿に戻りながら、前に現れ、静かに聞く。
一真は首を振り、静かに告げる。
「いいや。仮面ライダーだからというだけじゃ、正気に戻らない。この子がこの子だから、信じてくれた人がいるからだ」
そしてキングのカードを取り出し、一海もゼリーを構える。
「仮面ライダーは人間だけじゃない。怪物でもあり、兵器でもある。だけど、俺達の中にある正義が、俺達の未来を決める」
「正義………」
「ご託はいい、俺は心火を燃やし続ける。彼奴らの為にもな」
そう言い構える彼らを見ながら、響は、
「未来、私も」
「響」
「大丈夫、私、私も仮面ライダーだから」
そして注射器のようなそれを取り出し、静かに構える。
「「変身ッ」」
「………アマゾン」
姿を変える彼らに対して、ウェル博士はすぐに対処する。
「ぼ、僕に近づくなッ。アマゾンネフィリムウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
突如床を砕いて現れたそれに、三人は構えながら、それを見る。
「聖遺物とアマゾン細胞を合わせたか」
「その通りッ、これこそ究極のアマゾンだッ」
「それでもッ。私は心火を燃やしてぶっ潰すッ」
「なら俺は、負ける気がしねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「貴様は俺の本能を刺激したッ」
そして三人の仮面ライダーが駆けだす。
◇
グリスはツインブレイカーをアタックモードにし、何度も拳を振るう。
勢いあまり、部屋から飛び出すと共に、肥大化し、巨大なアマゾンネフィリムの巨腕が振るわれたが、それすら無視して吹き飛ばす。
「最強」
一つはクワガタ、青い羽。
「究極」
一つはフクロウ、黄色い羽。
「無双」
一つは白、赤い羽。
「これが俺達の必殺技だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ぶつかり放たれた一撃に片腕がもげるアマゾンネフィリム。
「もう片方ッ」
≪スペードⅩ J Q K A ロイヤルストレートフラッシュ≫
「ウッイイィィィィィィィィィィィィィィ」
片腕は黄金の斬撃で、斬られ、
「アマゾンネオっ」
雄たけびを上げて、取り出す武器は、
≪ガングニール・ローディング≫
その言葉に驚く中、その腕から槍のような刃先が現れ、それがアマゾンネフィリムを貫き、光が伸びさらなるダメージを与えた。
「こいつは」
「………そうか」
一真だけが知る情報。
響の中にはガングニールの破片がある。
その破片とアマゾン細胞、さらに魔法石や万能の力。
それらが複雑に絡みつき、いまのアマゾンネオを作り上げたのだろう。
「トドメだ」
三人のライダーが飛び上がり、各々の力を纏い、飛び蹴りを放つ。
「塵すら残さず」
「消し飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
その攻撃による爆発するアマゾンネフィリム。
光景を静かに眺めながら、これで一真は確信した。
自分もここに呼ばれていたのだと………
◇
ウェル博士は捕まり、多くの制御不可能のアマゾンは退治された。
響の身は、二課が責任を取り、また彼女を調査して、人型アマゾンに対する治療方法を調べる。
調べる人間が了子と言うのが心配な一真だが、この世界は平行世界。信じるしかない。
だから、
「魔法石を壊せば、いまの彼女はどうなるか分からない。だけど壊さなければ、君を帰せない」
「任せろ。俺の、この思いは半端ない」
◇
それは次元を超えた先、
「カズミンどこ行った?」
「朝食買いに出かけたはずだけど………なんだ?」
彼らが集まる場所で光のオーロラが現れ、その瞬間、
「みーーーたーーーーんーーーーー」
その叫び声と共に砕け散り、次元の壁は壊れた。
「ぶーーーっ、カズミンっ」
「オメエなにしてるんだよ!」
「みーたん、これ異世界のマグロ。獲れたれピチピチの、これでみーたんにうまい朝食作るよ」
そう言い、生きの良いマグロを差し出す笑顔の男。
「あり、ありがとう………」
確実に引きながら、彼女はそう言うしかない。
「おまっ、飯買いにどこまで出かけてるんだよっ」
「んなわけあるかっ。って、お前は」
「………」
壁の先、超えた彼を見ながら、一真は、
「そっちは任せたぞ、仮面ライダービルド」
「………ああ、任せろ。仮面ライダーブレイド」
そう言い壁が消える瞬間、彼もまた別の世界へと扉を開けて、バイクで走り出す。
◇
ある世界で戦いはまだ続き、ある世界で彷徨いながらも戦い続ける怪物がいて、そして、
「未来っ」
「響」
同じ石のブレスレットを身に着けた少女が、
「アマゾンが出た、私は行くね」
「うん、いつものように待ってるよ。仮面ライダー」
そう言い合い、彼女は静かに変身する。
誰かを、自分のように守るために、その為に、
「私は仮面ライダーアマゾンネオだッ」
そう叫び声を上げて、何者になっても、助けを求める者の前に駆けだした。
◇
バイクを走らせ、異世界を走る。
「………俺は戦うよ、この運命に」
そう呟き、アクセルを強め、一人また走り出した………
オマケ章、これにて終了です。
響が仮面ライダーアマゾンネオに成った世界。カズミンはマグロ土産に帰還。
そして一真は別の世界へと走り出す、そのような終わりです。
それではいままでありがとうございました。
ケンジャキ「ウィィィィィ。お読みいただき、ありがとうございます。またどこかで」