戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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………グレビッキー? ヤビッキーの間違いなんじゃないか………

そう思いながら出来上がりました。


第6枚・救いたいもの

 あの後、響を連れて帰る中、俺は本当にこの子を救えているのか分からないと感じた。

 

 俺は化け物なんだ。もう、人の中に生きていられないのに、もう人間と共に生きていられない。

 

 だけどこの子と離れることはできない。俺はどうすればいい、始………

 

 

 ◇

 

 

 デュランダル輸送に失敗したこともあり、少しばかり響の肉体を見る。

 

 完全聖遺物の力がどんな物か分からないが、響の中で多くのエネルギーが暴走し、何かに引っかかり、力を吐き出した。

 

 あの黒い姿、鉱物の生成なども考えると、少しばかり前に出る必要がある。

 

「すまないな、待たせてしまった」

「いや」

 

 現在、響の治療を終えた後、前に聞いた彼ら二課の地下施設へとやってきていた。

 

 風鳴弦十郎。二課と言う機関の司令官。烏丸所長のような人なんだろうかと思いながら、この人に響の状態と、現状そちらの状態を聞く。

 

 暗殺事件の所為で少しごたつきながらも、デュランダルは引き続き、ここの地下で保管する。そのために、この施設の防衛強化など、色々あるそうだ。

 

 響のあれは、完全聖遺物デュランダルの力。眠っていたが、響の歌で目を覚まし、完全に起動したらしい。

 

「君にも、少し話したいことがある」

「なんだ」

「あの、ネフシュタンの鎧を着ている装者。知り合いか?」

 

 その言葉に、女性からコーヒーを渡されながらも、それを断る。

 

「知り合いだ、俺がどこかの国の、人売り組織を壊滅させたときに、俺の正体を知りながら、ついて来た子だ。名前はクリス。それしか知らない」

「!」

 

 僅かに驚くものの、そうかとしか答えず、コーヒーを飲む弦十郎さん。

 

「君は飲まないのか?」

「俺は飲み食いする必要が無いんだ、あまり人側に成りすぎると、また戻るときが辛い」

 

 その言葉に、弦十郎さんは考え込む。

 

「それは」

「俺は人の世界を生きていた頃がある、そして、いまは化け物、ジョーカーだ」

 

 別に隠すことなんてない。俺のことを調べたところで、アンデッドのことが分かるのなら、色々と手遅れなところがある。

 

 それが無いのなら、現代科学などでは自分は理解されないモノなんだろう。

 

「ジョーカー………君の目的はなんなんだ」

「戦い続けることだ」

 

 迷いは無い、もう全部を決めた、運命を受け入れ、抗うと決めたあの日から。

 

「戦えない者達の為に、仮面ライダーとして、ジョーカーとして、運命に挑み、戦い続けること。だが、いまは響だ」

 

 聞きたいことがある顔をするものの、響に関する言葉に飲み込み、静かに聞く姿勢に入る。

 

「響は、ノイズを憎む事で、やっとまともでいられてる。戦うことで、響はまだ、人間だ」

「それは………」

 

 苦虫を噛むように、それを飲み込み、受け入れる。

 

 分かるのだろう。響がそうなる理由をを知ってしまったが故に。

 

「できれば、完璧かはやってみなければ分からないが、欠片は取り外そうと思えば、外せる可能性がある。だが、いまはそれができない。外せば、響は戦えない。その先は」

「あの子の自我の崩壊、か………」

 

 なにより、欠片がある場所が心臓近く。手の出しようがないとも伝えておく。

 

 俺の力では取り除けない可能性が高すぎる。

 

「だから、俺は側にいる。クリスは戦う術が、憎むべき相手がいなかったから、別の道を進めると信じた。だが響はもう選択肢が無い。ノイズと戦い続ける、それ以外の事を、もう考える事すらしていない………俺は救うと言いながら、響を戦いの道具にしている」

「それを君だけに言わせることではない………俺達の不注意もある。聞いてくれ」

 

 それはコンサート事件の裏、とある実験の話だ。

 

 あのコンサートは、聖遺物実験場でもあり、それが失敗した結果が、あの悲劇らしい。

 

「全ては当時の俺の責任でもある」

「いまさらだ、俺だってその場にいたんだ。手のひらで拾える命は、少なすぎる」

 

 こんな身体、こんな力を得ているのにな………

 

「………君は」

「化け物でも、俺は、俺は救いたい。人を、大切な人を。響の手は、壊す為にあるんじゃないってことを、俺は伝えられない」

「一真くん………」

「人間を救えるのは、やっぱり人間なんだろうな………俺じゃもう、人間は救えないのかもしれない」

 

 そう言って、俺は二課を後にする。

 

 弦十郎さんがずっと俺を見ていたが、俺は気にせず、歩くことしかできない。

 

 

 ◇

 

 

「ぐっ………」

 

 頭の中がガンガンする。身体が僅かに変化しかかる。

 

(この前のが、くそ………)

 

 アンデッドの本能。戦闘本能がざわめく、敵を探して戦えと叫ぶ。

 

 俺の敵はなんなんだろうか? もうわけが分からなくなるぐらい戦った。

 

 夕暮れの中、崖、道路? 言語が思いつかない。峠のような場所で沈む日を見る。

 

 何を俺は言って、いや、もう、だめだ、分からない………

 

「何度目だったっけな………太陽が沈むのを見るのは」

 

 そう呟くと、

 

「んなもん、海ん中にいた時数えてないからわっかんねぇだろテメェ」

 

 その言葉に気づき、すぐに振り返る。

 

「………よお、ジョーカー………苦しそうだな」

 

「クリス………」

 

 そこにいたのはクリスだ。

 

「おも」

 

「殺すぞ」

 

「ズイバゼンッ」

 

 鋭い眼光を受けて即座に謝る。そして静かにクリスを見る。

 

「クリス、その身体はどうした。お前」

 

 クリスの身体はボロボロだ。何かの負荷が強くかかっている。相当な無茶をしている。

 

 だが、それに答えず、不敵に笑いながら、

 

「一真、もうすぐなんだ。もうすぐパパとママの夢が叶う、世界から争いが無くなって、もう一真が戦わなくていい世界ができるんだ」

 

「なにを、言っている」

 

 クリスの顔色は悪い。笑顔なのに、目は黒く、光は無い。目が笑って無い。

 

 俺はやはりもう人間を救えないのか、そうクリスを見て思ってしまう。

 

「一真だってもう嫌なはずだろっ。ずっと戦ってきたじゃないか? 戦えない奴の代わりに、その死なない身体で、ずっと化け物って言われながら戦った。もういい、もう十分だっ」

 

「クリス………お前は、争いを無くすために、いまいるのか」

 

「そうすればもう終わる………そうだろ? 一真………」

 

 それは俺の、両親の夢の為に、ここまでなってしまったのか。

 

「フィーネの言う通りにすれば、もう少し、あともう少しなんだ一真」

 

 その言葉を聞きながら、

 

「………そいつがお前を、狂わせたのか」

 

「………抵抗するな一真、もう戦わなくていい。私達のとこに来てもらう。もしかしたら、人間に戻れるかもしれないんだッ」

 

「クリス、俺は戻る気も何も無い。戻っても変わらない。俺は、戦えない全ての人の為に、俺は戦う」

 

「それを私は、殺してでも止めて見せるッ」

 

 ネフシュタンの鎧を纏い、鎖を振るう。すぐにカリスに成る為に、カードを構えようとしたが、

 

「!」

 

 自分の聴覚が、人の声を聞き、急いで後ろを見る。

 

 無数の鎖が迫る中、曲がり角から現れ、それに驚く少女たちの前に、俺は立ちふさがった。

 

 

 ◇

 

 

 それは、お好み焼きふらわーに、友達三人と共に出向いている時だった。

 

 私はずっと、あの日見かけた親友の事が忘れられず、元気が無かったのが切っ掛けだ。

 

 だけど、その日、曲がり角で突如、トゲの付いた鎖がコンクリートを吹き飛ばし、近くの車などが宙に浮いて、こちらへ迫る中、

 

「させるかッ」

 

 一人の男の人が前に出て、何かが響く。

 

≪スクリュー≫

 

 鳴り響くと光が現れ、腕に纏わりつく。その拳で全て、吹き飛ばした。

 

 その瞳は青く、黒色になる。その手から緑色の血が流れ、小さな悲鳴を出してしまう。

 

「お前に誰かを、傷つけさせない」

 

「ツッ、そんな目をお前に向ける奴らを守るのかよッ」

 

 その時、見たことも無い格好をした女の子が、私達を睨む。

 

 何が二人の間にあるか分からない。だけど、

 

「ああ。俺は化け物だ、人から嫌われてもいいんだ」

 

 その人はそう優しく言った。私は緑の血を見たとき、人じゃない。そう思って、正直怖くて恐ろしかったのに、その人はそう言った。

 

「巻き込んでごめん、すぐに元来た道を引き換えして」

 

 けして振り向かず、その人は一枚のカードを取り出す。それを金色の装飾をされた物に入れた瞬間、紫のベルトが巻かれた。

 

「レンゲルか」

 

「変身」

 

≪オープンアップ≫

 

 蜘蛛の絵柄の光が現れ、その人はそれをくぐる。金色の、蜘蛛のような姿に成り、血が止まる。

 

「望む望まれないは関係ない………俺は戦う、そう決めたんだ」

 

 それにバイザーの子は、悲しそうに、拳を震わせていた。

 

 彼は武器らしきものを構えながら、私達は静かに、その場から去る。

 

 その瞬間、爆発が起き始めた………

 

 

 ◇

 

 

「いまのなにッ、変身って!?」

「あの方、緑色の血を流してました」

「………」

 

 三人とも混乱しているけど、私は、

 

(あの人………私達のこと、ずっと心配してた。化け物………確かにそう、思ったのに)

 

 そう思う中、爆発がまだ続く中、誰かがすれ違う。

 

 それは灰色のパーカーで、フードを付けた女の子。

 

 それを私は見逃さなかった………

 

「響?」

 

 その問いかけに、その子は一瞬止まって、こちらを見た。

 

「なんで………ここに」

 

 そこにいたのは、私の、大切な親友だった。

 

 

 ◇

 

 

 ダガーモードの『醒杖レンゲルラウザー』で鎖を吹き飛ばす。

 

「本気を出せッ、レンゲルッ」

 

 だがレンゲルは本気を出さず、戦っている様子に、ふと気づく。

 

「………こっちを見ろッ、なに目線下げてるんだッ」

 

「………前々から聞きたいことがあるんだけど」

 

 そう一真は言いながら、

 

「スーツの下って、その、な………なにもつけてないのか?」

 

 その時私は不死身の化け物を殺そうとしても文句ないと思う。

 

 

 ◇

 

 

 私と出会ったのは、私の大切な幼なじみ。響だった。

 

「響、響っ」

 

「来るなッ」

 

 その言葉に、私は訳が分からなかった。

 

「響?」

 

 その時、私の中にいる響と、目の前の響が違い過ぎた。

 

 あの笑顔で周りを照らす、太陽のような顔は無く、全てを睨むように私を見ていた。

 

「響、怒ってるの………あの日、なにも言わず引っ越したこと」

 

「ああそうだ、あの日、私を見捨てて一人安全な場所に行ったこと、忘れる訳がないッ」

 

 その言葉に私は倒れそうになる。

 

 確かに響を初め、生存者全員へのバッシングが酷いとしか思えないものばかりである。その言葉から、響はその対象になったことは分かった。

 

「ちが、違うよ響っ。響を見捨てた訳じゃないっ、私だって引っ越すのは嫌だった。手紙を出すことしかできな」

 

「手紙なんて一通も送られてないッ、そんな嘘をつくな!!」

 

 そんなことを叫ばれ、私の世界が暗くなる。

 

 手紙が送られてない? そんな、私は、

 

「そん、なこと………」

 

「私が一番つらい時、あの日私をあの場所に置いていきながら………いまさら親友面してるんじゃないッ」

 

「ひび」

 

「やめろッ!!」

 

 私は、私は、

 

「私はもう壊す事しかできないんだッ、家族も、友達も、何もかもッ。あの地獄から生きて帰った日から、私の手は壊す事しかできないッ。だから」

 

 その時、歌を歌う。その瞬間、響の姿が変わる。

 

 それに驚きながら、私は、

 

「私の側にいられるのは、化け物しかいない。ノイズは壊す、一真しか、あの優しい化け物しか、私の側にいられない………緑の血を流す、優しい化け物。世界一のバカしかッ」

 

 そう言って、爆発が起きる場所に向かっていく。

 

「響待って、響ーーーーーーーッ」

 

 私は何が起きているか分からないまま、響の名前を叫んだ。

 

 

 ◇

 

 

 戦いは拮抗している、当たり前だ。レンゲルはけして本気で戦っていない。

 

≪ゲル≫

 

 鳴り響く音は、肉体を液状化に変えるものであり、水のように透明になり、攻撃が効かない。

 

「はあはあ………」

 

「もうやめろクリス、俺には勝てない」

 

「黙れ………」

 

「クリス」

 

「黙れよっ」

 

 その時、

 

「お前がなッ」

 

 横やり、まさに槍のように鋭い拳が放たれ、クリスが吹き飛ぶ。

 

 響の登場に驚く中、響の様子がおかしいのに気づく。

 

「響?」

 

 近づくレンゲルに、響は獣のような目で、その身体を貫いた。

 

「がっ」

 

 あまりのダメージに元の姿、一真に戻り、口から出血するが、

 

「響?」

 

 一真は動じず、何も変わらないまま、彼女を心配する。突然こんなことをする、それは最も心が壊れかかっている時だと、知っているからだ。

 

「………やっぱり一真だ」

 

 そう、真っ黒の瞳で、響は拳を引き抜く。

 

「私の手は壊すだけだ………だけど一真は壊れない」

 

 そう言いながら、笑う。

 

「響………」

 

 彼の望む結果を、世界があざ笑うように違う結果として姿を見せ続ける。

 

「アーマーパージ」

 

 白い鎧が吹き飛び、歌が響く。

 

「歌わせたな………」

 

 そして赤い姿、全く違う姿になり、立ち上がる。

 

「私に、歌を歌わせたなッ!!」

 

「クリス」

 

「私は歌が嫌いだッ、お前も、一真は私のだッ。傷つけて、殺していいのは、私だけなんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 無数の弾幕が放たれるが、それを見て、瞬時に響の前に現れる。

 

 ジョーカー化する中で、弾丸を防ぐ気だったが、その前に、

 

【壁】

 

 が突如現れたが、

 

「否ッ、剣だ」

 

 その弾丸は全て防がれ、槍が無数降り注ぐ。それは奏のガングニール。

 

 それにクリスは舌打ちし、構えなおす。

 

「響、お前自分がなにをしたか分かってるのかッ」

 

 響の腕は緑色の液体に染まっている。それがなんなのか、彼女達は理解した。

 

「あんたには関係ないッ。私はもう、あの日から壊すことしかできないんだ」

「ふざけるなっ、お前はそんな、お前らはそんなんじゃないだろ? あたしが来た時、バカみたいに呆れて、仲が良かったじゃないか? そんな風に傷つける仲じゃない」

「あんたに………あんたに何が分かるッ。私の人生は、もう壊すこと」

「私はそのために、生きるのを諦めるなと言ったんじゃないッ!!」

 

 そう叫び、静かに響を抱きしめる。

 

「お前に生きて、生きていて欲しかったんだ………響、悲しい事を言わないでくれよ………壊すしかないなんて、そんな昔のあたしみたいな間違い、言わないでくれ」

【奏ちゃん………】

「あんたも、全部受け入れるだけ、自分を犠牲にするじゃねぇよ………頼むから………」

 

 抱きしめられる中で、クリスと睨み合う翼。クリスはガトリング銃を構えていると、

 

 

 

 ―――もういいわ―――

 

 

 

 突如響く声に、全員が辺りを見渡す。

 

 すると、

 

「フィーネっ」

 

【フィーネ?】

 

 ―――言われたこともできない、私に隠し事をする貴方は、もう必要ないわ―――

 

 そう言った途端、白い鎧、完全聖遺物がどこかへと飛ぶ。

 

「ま、待てよフィーネっ。くっそッ」

 

【待て、クリスっ!!】

 

 そして前に出るが、無数の弾丸が放たれ、それに仕方なくマンティスに力を籠め、光が刃と成り、放たれ防ぎきる。

 

【クリス………】

 

 いまので逃がしてしまい、辺りを見渡すがそれらしい気配が無い。

 

【………やっぱり、俺は】

「一真」

【ひび】

 

 その時、響からまた鋭い一撃が放たれるが、それを奏が防ぐ。

 

「ツッ、邪魔するなッ」

「何度だって止めてやる………お前の手を、壊す為に使わせない」

「私の手はもう、壊すことしかできないんだッ」

「違うッ」

「………黙れよ………なにも、分からないくせにッ」

「それでも、あたしは命を賭けてでも、止めて見せる!!」

 

 そう言い、睨み合う響と奏。

 

「私の手は壊すだけなんだ、だけど一真は壊れない。壊れないんだ」

【響………】

「あんたたちには分からないよ。何もかも壊れた私の人生の中で、絶対に壊れない一真しか………私には残されてない………」

 

 その後何も言わず、その場から去っていく響。それに奏はやっと武器を下ろし、膝をつきながら静かにギアを解く。

 

【奏ちゃん】

「ははっ………鼻血が」

 

 鼻血が流れる奏に、一真はすぐに一言かけてから、奏の胸に手を置き、リカバーで身体を治す。

 

 少しだけ頬を赤くしてそっぽを向くが、身体が楽になったのか、すぐに立ち上がる。

 

【悪いが俺もやるべきことがある………響も、クリスも、俺は、諦めない】

「一真………」

「貴方」

 

 人の姿に戻ると、緑の血を流す中、その姿の中、

 

「俺は人間じゃない、だからこそできることがある。昔と違う、いまの俺にできることを、俺はする」

 

 そう静かに呟き、歩き出す。

 

「なあ」

 

 奏はその後ろ姿に、

 

「どうしてそうやって戦う」

 

「………」

 

 その言葉を聞きながら、

 

「俺だから、かな………」

 

 そして彼は全てを追う為に動き出す。その言葉の重みが分からぬまま、奏は髪をかき上げた。

 

 

 ◇

 

 

 二課の司令室で、暖かい物を渡されて飲む小日向未来。

 

 彼女から響の過去、それを聞く二課。

 

 彼女も響になにがあったか知りたいと懇願するため、仕方なく話すことになっている。

 

「響くんの友達、か………」

 

「現在の立花響は、捜索願が出ています。二年前のほんの少し後、父親が蒸発後すぐに行方不明。親の話では服も何も持たず、姿を消しています」

 

「そ、んな………」

 

 その事実にショックを受ける未来。それは装者二人も、何度聞いても受け入れたくない真実だ。

 

 全ての原因は、

 

「あの日、私達のコンサートが………」

「………」

 

 それに黙り込む中、その中で、

 

「これからどうする旦那」

「イチイバル装者、雪音クリスくんの背後に、終わりの名を持つ者。フィーネがいるのは間違いなさそうだ」

 

 今現在情報不足であり、なぜ響の前に現れたか分からない。

 

「彼女の特殊な症例と関係があるのか?」

「だとしたら、響が狙われる可能性が高いはずです。二課で保護しますか」

「………できれば無理矢理話を通すことができない以上、一真くんに頼むしかないか」

 

 響の性格を考え、そう考え至る弦十郎。

 

 それに、

 

「前はあんな顔はしてなかった………」

 

 未来が友達達と共にいる中で、静かに涙を流しながら、

 

「どうして、私は手紙を出し続けたのに………手紙」

 

 その時、眼を見開く。

 

「私………手紙………」

「? ヒナ?」

「ヒナさん?」

「私」

 

 少女は静かに、

 

 

 

「手紙をいつも、お父さんやお母さんに渡して、出した気になってた………」

 

 

 

 それに全員が何も言えなくなる。

 

 もし響の言う通り、手紙なんて無かったとしたら、

 

「あ、ああ………アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 

 ◇

 

 

「すいません、なんか施設を使わせてもらいまして」

「いや、あのような事態なら、仕方ない」

 

 三人組はそのまま残り、未来の精神が不安定になったため、ここの施設を利用している。帰りが遅くなってもいいように、色々手を回したりした。

 

「その、いまヒナの大切な幼なじみは、あの………」

「緑の、人と一緒なんですよね………」

 

 彼女達は一真の姿を見ている。それに静かに頷くが、

 

「一真、彼奴はなんなのか分からないが、悪い存在とは思えない」

「ああ、響が不安定な中、ずっと側にいてくれたり、コンサートの時だって、あの人がいたから、戦えた」

 

「ですが、彼は何者なんでしょう」

 

 藤尭の言葉に、女の子の一人が荷物を取り出す。

 

「あの、その人一真って名乗って、ジョーカーって名乗ってるんですよねっ」

 

「ん、ああ」

 

 奏の言葉に、静かに、

 

「アニメか………それじゃ、あの人、仮面ライダー?」

 

 その言葉に、二課全員が驚く。彼自身が言った、謎の言葉。仮面ライダーと言う言葉に、それを彼女が口にしたことに驚いた。

 

「その言葉、いったいどこでっ!?」

 

「えっ、えっと。都市伝説とかで、語られてるんです。仮面ライダーブレイド」

 

「ブレイドッ!? 彼奴の姿の一つじゃないかッ」

 

 それにますます驚きながら、取り出した荷物、ある本を見せる。

 

「これ、この本。昔の都市伝説を扱う、サイエンスライターの書籍です」

 

 そこにはこう大きく書かれていた。

 

 運命と戦う戦士、仮面ライダーブレイド。

 

 著作白井虎太郎と………




映画版の彼が書いたタイトルと違うのは、剣崎一真が違う終わらせ方を選んだからです。

未来さんの親、もしくば郵便局かは知りませんが、手紙は止まってました。未来さん絶叫。

まさかのあの子が持っていた、助かるこの子。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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