戦姫絶唱シンフォギア/ブレイドッ!!   作:にゃはっふー

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二人の少女は仲良くなる、少なくても小さく歩み始める。

暖かな日だまりに向かう少女。

だが闇に潜むモノは………


第9枚・悲しみは終わり

 響は座り込み、静かに睨んでいる。

 

 あの後別れた後、しばらくして拾って帰ったら凄いことになった。その後はこうして無駄に時間が過ぎていった。

 

 そして視線の先にいる、一人座り込む少女は静かに睨み返す。

 

 そこに、

 

「邪魔するぞ」

 

 そう言って買い物袋片手に、雨の中やってくる。弦十郎さん。

 

「こりゃまた、大変だな」

「ええ………」

 

 あの後、クリスを拾って帰り、こうして寝床はギスギスした空間になった。

 

 クリスと響は睨み合いながらも、寝床の廃屋で俺と共にいる。弦十郎はそれを知りながら、静かに食べ物を持ってくる。

 

 お弁当の割りばしを割ったり、カップラーメンを取り出し、慣れた手つきでお湯を沸かす響。キャンプ用のコンロを使いながら、クリスは俺の様子を見ながら、菓子パンを食べだす。

 

「君は、彼女も助けたのか」

「これでも何発も撃たれた」

 

「一真を傷つけていいのは私だけだ」

「アァ? なに言ってるおもらし女、一真を殺していいのは私だけだ」

 

「ウェイ!? サギンノコハオバイ!?!」

 

 拾って連れて来た時は、真っ先に刺された。なぜか鋭利な刃物を持ってた響、その後はクリスにも撃たれた。なぜか睨み合いが始まった。

 

 来る人も増えた。未来ちゃん、響の親友。その子から、

 

「俺のことは虎太郎が残した本で知ったんだったな」

「ああ、君の仲間か」

「………」

 

 静かに頷きながら、思い出す。

 

 最初の戦い、俺がまだ人間だった頃。BOARDで仮面ライダーブレイドとして戦い、ジョーカーになった、始まりの戦い。

 

「俺は数年間、始。始まりのジョーカーと別れ、烏丸所長らが、封印したハートの2以外のカードを保管して、全てが終わったはずだった」

「ハートの2?」

「始祖ヒューマンアンデッド。人間の始祖だ………始、53体目のアンデッド、ジョーカーはそれで人間の身体を保っていた」

 

 だが、一向に戦いを始めないアンデッドに対して、54体目を世に出した。

 

 54体目、アルビノジョーカーの出現。それに一度戦いが再開しかかった。

 

「その戦いじゃ、巨大な力を秘めた存在を復活させて、俺達を倒し、封印されたアンデッドを開放するなりして、アンデッドを一体にしようとした」

「その戦いは」

「なんとかバニティカードという、それを呼び起こすカードを利用してそれで封印した。アルビノジョーカーもその時に封印した」

 

 だが、それだけで全てが終わらないことが、その時に知ってしまう。

 

「モノリスや統制者は戦いを望んでいます」

 

 このままじゃ俺か始、どちらかが最後の一人に成るまで戦うか、封印されたアンデッド達、ヒューマンアンデッドを開放するしかない。

 

「だけどもうヒューマンアンデッドの勝利も、この世界じゃ、もう現人類の破滅が決定してます」

 

「それは本当かっ!?」

 

「本当だよ、新しく人類を作る。それが統制者って言うシステムらしいよ」

「だからヒューマンアンデッドの封印を開放して、一真達ジョーカーが封印されても、意味が無いんだと」

 

 そう言いながらご飯を勝手に作り、食べ始めている少女達。この二人にはもうすでに昔話として話している。弦十郎は静かに聞きながら、

 

「それで君は、バトルファイト関係全てを、自分の中に封印する選択を選んだのか」

「ああ、それしかもう、バトルファイトを起こさせることを止めるためにも、これしか無かった」

 

 元々、自分はアンデッドとの融合、適合率が高く、アンデッドになった。

 

 ならば、アンデッドジョーカーになった自分は、ありとあらゆるものへ適合し、融合することができる。

 

 ライダーシステムのそれと、さらにアルビノジョーカーが使った生贄を封印するカード。バニティカード、それに目を付けた。

 

「バニティカード、アルビノジョーカーが邪神復活に使った力、アンデッドじゃないものをカードに閉じ込める力。そこから思いついた、全てを俺の中に封印し融合するって」

 

 だからこそ、バニティ、ライダーシステムによる融合。これにより、橘さん、睦月からカードを奪い取り。ダイヤとクラブを取り込んだ。

 

「スピリット、人間の始祖とは一度、話はついていた。アンデッド化の影響で、テレパシーみたいにね。その後は万能の力で人の姿、相川始の姿を彼奴に渡す算段はついた時、モノリス、統制者はアンデッドの封印を一体だけ解き、世に出した」

 

 それを察して、もうこの手しかないと思い、それを封印した後、行動に移った。

 

 ダイヤ、クラブのカードを取り込み。最後にジョーカーが持つカードを取り込む。

 

「戦いに俺が勝ち、始を封印しようとするモノリスから、統制者が持つ万能の力を奪い取る。それが目的だった」

「君は………」

 

 あの日、みんなの顔は、人間の意識がある間は忘れられないな。忘れるためには、獣になるしかないほど、鮮明に焼き付いた。

 

 俺は仲間たちを裏切った。その事実だけは変わらない。

 

「力を利用して、俺は万能の力、統制者の力、アンデッド達の力を手に入れた。始には、人の姿を与え、ジョーカーの力を俺は奪い取った」

「なぜ君はそこまで?」

「………始には、人として過ごす過程で、大切な人ができた。ジョーカーのままじゃ、彼奴はその人達と別れる日が来る。普通よりも早い、別れが………」

 

 それを認めることはできなかった。

 

 彼奴は、栗原家のみんなと生きるべきなんだ。

 

 これは俺の勝手な願いだ。それでも、俺にとって叶えて欲しい、小さな思いだ。

 

「始は人の中に生きるべきだ………彼奴が、人間を愛した彼奴の、小さな願い。人間を愛した彼奴は、人間の中に生きてて欲しかった」

「………相川始と言う、仲間の人生のために、君は君の人生を捨てたのか?」

「………彼奴は最後まで、俺の名前を呼んでいた………」

 

 きっと許してないだろう。こんなことをした俺を………

 

 それから海底の、深海で隠れるようにしたな。地上では仲間が探しに来そうだったから。

 

 時々地上に出たりして、分からないくらい時が過ぎたとき、海底探索の気配を感じて、渋々移動した。

 

 その後は、もう本能に近い。

 

 誰かのために戦う本能、ジョーカーとして戦う本能が混じり合い、戦っていた。

 

 仮面ライダーとして、ジョーカーとして、ただ人を守ると言う戦いをしていた記憶しかない。

 

 危険物を自分の中に封印したりもしたが、なにがどう危険なのか分からないことが多い。本能で危険なもの、ことだと思ったからだ。

 

「その時クリスを助けて、クリスに今の世界を聞きながら五年過ごした。その後は国連にクリスを任せたはずだった」

 

「………ふん」

 

 ご飯を食べながら、食べ終えて毛布にくるまる。その様子に残念がる弦十郎。

 

「俺はその子、雪音クリスの保護を命じられていてね。装者候補として彼女の名前が挙がっていたからな」

「………連れていく気か」

「いや、無理に連れて行って、君達と敵対する気は無い。一真くん、悪いが」

「別にかまわない、この子の面倒も見るよ」

「すまない」

 

 こうして弦十郎は、

 

「ああそれと、響くん。未来くんが携帯ぐらいは持ってほしいと言っていた」

 

「………そ」

 

 そう言い、こっちも毛布にくるまる。

 

 その様子に何も言わず、今日は帰っていく。

 

 だが二人して後で殴ってきた。ナジェ!?

 

 

 ◇

 

 

 食い物の買い物に出てた彼奴と出会った。

 

「一真っ」

「………奏か」

 

 たまたま出会ったため、そのまま連れ歩く。

 

 近くの公園に、ベンチに腰掛けながら、静かに買い物袋などを見る。

 

「大買いだな」

「響もクリスも食う方だ………響は最近、欠片の侵食が少し早い。変に感情が不安定だと、進行が普通の状態でも酷い」

「そうなのか」

 

 少し立ち上がりかけたが、それを抑えられた。

 

「安心しろ、俺の中にある力で、初期化させているし、最近は安定してる」

「なら、いいんだが………」

 

 そしてしばらく一真を見る。

 

「あんたがあの日、私や他の観客を守ってくれたんだよな」

「………分からないな、それで悲しみの連鎖は消えなかった」

「それはお前の所為じゃないっ、あたしが、あたしが時限式だから………響の傷だって、あたしがしたようなもんだ」

 

 そう言う中、一真は何も言わない。

 

「事実は変わらないな、だけど未来は、運命は変えられる」

「………そう思うのか」

「俺は終わらない戦いを終わらせたり、彼奴、始を救えたと思ってはいるよ。勝手に決めつけてはいるけどね………俺は人間の中で大切な家族を得た彼奴や、他の仲間達に、明日を作れたと思っている。それだけは、信じられる」

「………強いな」

「響やクリスのおかげだ………俺の手を握ってくれた」

 

 その時、僅かにジョーカーの姿がブレて見えた。

 

 あの姿、いまの姿が本当なんだろうが、

 

「………戻る気は無いのか」

「戻ることはできない、俺の中に、全てを封印してるんたから」

 

 それを聞き、それは永遠にこのままだと言っているようなものだ。

 

 だから、

 

「だから俺はあの二人を助けられたし、奏ちゃん達も助けられた」

「………あんたは」

「俺はこの手が振り払われてもいい、もう人間じゃないから………だけどやめられないんだ。どうしても、俺は人間であった時の、あの温もりを守りたい」

 

 そう言った彼奴の顔がまっすぐで、あたしは僅かに心が温かくなる。

 

 そうか、だからあの二人はこいつを慕うんだ。

 

 こいつは人を信じて、愛してる。

 

 愚かでも、こいつは人間の心を持っているんだ。

 

「………頼みがある」

「頼み?」

「今度翼とコンサートするんだ、あの日の、あの会場で」

「! それは」

「頼む」

 

 あたしは決意する。あたしは、あたし達は前に進みたい。

 

 だから聴いてほしい。響に、クリスに………

 

(なにより、こいつに届けたい。あたしの、あたし達ツヴァイウィングの歌を。絶対に長い時間の中でも歌われる。こいつを支える歌を、あたしは歌いたい)

 

 私は静かに、決意した。あたしの、進みたい、羽ばたきたい世界を………

 

 

 ◇

 

 

「「一真がいるなら」」

 

 それが二人の答えであり、奏に会ったことを言うと二人して攻撃してきた。ニャンデ!?

 

 会場では同じように呼ばれた未来ちゃんと出会い、友達と紹介される。

 

 響は嫌々な顔をするが、三人の友達は気にせず、クリスも挨拶されていた。

 

 俺のことも気にせず、挨拶する三人。

 

(コンサートか)

 

 あの日、全てが変わった。

 

 あの日、忘れられない傷が多くの人々の人生を狂わせた。

 

 それでも、前を向いて向き合うと、決めた者達だっている。

 

(俺は)

 

 その瞬間、身体の中が騒ぎ出す。

 

「また、かぁ………」

 

 俺はアンデッド、その身体は闘争本能でできていて、何かと戦い続けることが生命維持のように求めている。

 

 戦わないことは呼吸しないことであり、俺は怪物である証。

 

「キングで早く倒したのに、まだ無理矢理、ギルドラウズの力を使った反動が」

 

 未来ちゃんを助けたとき、安定したと思っていた。ちゃんと制御するように、手順通りにギルドラウズカードの力を使用したから、問題ないと思ったが………

 

「敵なんて、そう、都合よく………!」

 

 都合よく、感じ取った気配に気づき、僅かに黙る。

 

 

 

 ノイズが大量に現れ、警報が鳴り響く。

 

「タイミングが良いのか悪いのか………」

 

 身体がふらつきかけ、いまジョーカー化はまずい。

 

 だがこの大量のノイズの進行を止めなければ、コンサートが中止になる。

 

 ならば、やるべきことは一つ。

 

≪エボリューション≫

 

 13のカードが舞い上がり、身体の中に入り込む。

 

 立ち止まる気は無い。幻でも夢でも………

 

 ワイルドカリスの姿で、ノイズの群れに飛び込んでいく。

 

 

 

 無数のノイズの中、無双する。

 

≪チョップ≫

 

 腕の一振りが、無数のノイズを吹き飛ばしながら、ワイルドスラッシャーを醒弓へ変えながら、全てを貫く。

 

「コンサートの邪魔はさせないッ。始っ!!」

 

 13のカードが舞い上がり、一つのカードに変わる。

 

≪ワイルド≫

 

 ワイルドサイクロンを放ちながら、波のように押し寄せたノイズを吹き飛ばす。

 

 その様子を見ながら、静かに煤を見る。それでも一向に数は減らない。

 

「このタイミングでこれか」

 

 二課の人達には声をかけているとはいえ、速い段階で倒さなければいけない。

 

 そう思う中、巨大なノイズが三体も現れ、小型も群れがまだ建物の物陰から這い出て来る。

 

「………なら、橘さん、力借ります」

 

 瞬間、左腕にラウズアブゾーバーが現れ、ベルトが変わる。

 

『ターンアップ』≪アブゾーブクイーン エボリューションキング≫

 

 瞬間、爆炎の輪が放たれ、燃え上がりながら飛び立つ昆虫。

 

 13のカードがダイヤのレリーフに収まり、装甲と一体化、火の粉をまき散らしながら、大銃。重醒銃キングラウザーが炎の中から現れる。

 

 巨大な刃を持ち、静かにカードを広げる中、ノイズが槍のように向かってくるが、炎のバリアが発生し、それだけで防ぎ、突破されても、その装甲は貫けず、砕けた。

 

 炎を巻き上げながら、昆虫のような羽根を広げ、空を飛びながら五つのカードを取り出す。

 

≪ダイヤⅩ J Q K A≫

 

 アラームのように炎が音を鳴らし、昆虫の羽根に集まり、グリップを持ち、固まっている位置を狙いながら、構える。

 

 五つのカードが飛び交い、銃口の周りを浮遊する。

 

≪ロイヤルストレートフラッシュ≫

 

 瞬間、炎は輝きと成り、全てを飲み込んだ。

 

 

 

 ◇

 

 

 熱気が漂う中、静かに下りるそれを、静かに見つめる二課。

 

「キングフォーム………これって」

 

「ギャレンのキングフォームだろう。あの本にも本来キングフォームは、Kのカードを軸に、ライダーシステムを強化するのだから、ブレイド、カリスの他に、ギャレン並び、レンゲルにもキングフォームがあっても不思議ではないか」

「そう考えると、それを凌ぐジョーカーと言う力。少々興味深いわね」

「了子くん、だからと言って、無理に彼を見ようとするのは」

「わかってるわよ弦十郎くんっ♪」

 

 そう微笑みながら、

 

(ただ普通に検査したところで、数多くのDNAしか検出されないのだから、意味が無いか………)

 

 融合症例第一号の他に現れた、始祖の全てを内に秘めた生命体。剣崎一真。

 

 彼の経歴、過去はあまりに興味深い。

 

(あの方が現れる前か後か、私の興味はそこに尽きる)

 

 あれはあの方が用意したシステムなのか、一体何なのか。

 

 ああ………

 

(必ず手に入れる、そして必ず、バラルの呪詛を………)

 

 

 ◇

 

 

「途中からいなくなった」

「………悪かった」

「許さねぇ」

 

 そう言い、廃屋のアパートに戻ると、目に輝きが無い二人がいた。

 

「響、ご飯作るけど、なにかリクエストある?」

「食えればなんでもいい」

「もう、そう言うのは駄目だよ。一真さんは戦った後だし、少しボリュームあってもいいよね? 電気と水道来てますか?」

「来てなかったらこれ使おうぜ、コンロがあるんだから鍋だ鍋」

「奏、なぜ私は離れた位置に置かれてる?」

 

 なぜかほぼ全員いる中、響は呆れ、クリスもなんでこうなると言う顔で、一真を放さない。

 

 奏もそれに、

 

「あたしらの歌聴かなかったからな、あたしらの料理食えよ一真」

「俺は、食わなくてもいいんだが」

「元人間なんだろ? そういうの無くすなよ、とりあえず適当に切って入れればいいかな野菜は」

「小日向、奏。私も」

「翼、お前は三人がどっか行かないように見張りだ」

「分かった、分かったが、釈然としないのは気のせいか?」

 

 その後、女の子が男の人と一緒過ぎると未来が響に文句言うが、気にせず流す響。

 

 クリスもまた流しながら、奏はまあまあと未来を落ち着かせ、翼は目を泳がせる。

 

 鍋を食べながら思うのは、こんなわいわいした食事は、いつ振りかと思いながら、

 

「………」

 

 もう自分はいらないかと、二人を見ながら、そう思った………




選んだのは自分。

責められると知りながら、裏切りと知りながら、選んでしまう愚かモノ。

その選択は、変わらない。

お読みいただき、ありがとうございます。
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