ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 ~焔の子~   作:早起き三文

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第10話 炎の紋章

「待たせましたね」

 

ブラギの塔からクロードが出てくる。

 

「お告げとやらは聞けましたかね?」

 

「ええ」

 

レックスにクロードは頷く。

 

「全ては天の意思、神竜ナーガの御意思だそうです」

 

「ロプトの柱もか?」

 

「ええ」

 

クロードは肩をすくめて答える。

 

「神竜ナーガがロプトの柱の犠牲から力を得て、大地に恵みをもたらしている、らしいです」

 

「ふぅん……」

 

レックスは納得がいかない顔をする。

 

「ナーガはロプトの血を引くもの、そして信じる者に死ねと言っているわけか」

 

「額面通りに信じれば、ですがね」

 

クロードのその言葉に今度はティルテュが疑問を投げつける。

 

「司祭様はブラギ様のお告げを信じていないの?」

 

ティルテュの言葉にクロードは苦笑する。

 

「いけませんか?」

 

「他の人に見られたらクロード様は生臭坊主っていわれるぅ!!」

 

「ふふ……」

 

ティルテュのニヤけ笑いにクロードは笑顔で返す。

 

「だって、そうじゃないですか」

 

クロードは手にする戦女神の杖を見ながら呟いた。

 

「ブラギのお告げが正しければ、このままロプトの柱を続けるのが正しいって言っているようなものです」

 

「まともな人間の考えじゃあないな……」

 

「ええ」

 

真顔になるクロード。

 

「それゆえに私は」

 

クロードがブラギの塔を見上げながら話し続ける。

 

「ブラギが真実を言っていないのか、あるいは……」

 

「あるいは?」

 

「ブラギは神竜ナーガを嫌っているのではないかと推測しています」

 

「司祭様は怖いねぇ」

 

レックスが口笛を吹きながら茶化す。

 

「自分の神様を疑うなんてねぇ」

 

「ただねえ……」

 

苦笑するクロード。

 

「私の心などはブラギは見破っていると思うんですよ」

 

「まるでレプトールお父様があたしに教えている政治の世界みたい」

 

「騙し合いですかね……」

 

「怖い怖い……!!」

 

ティルテュがレックスと顔を見合わせて笑い合う。

 

「あと、もう一つお告げを受けたのですが……」

 

クロードは辺りを見渡す。

 

「アゼルは?」

 

「まだショックで海に石を投げている」

 

「全く……!!」

 

クロードは大きな溜め息をついた。

 

「あたしがアゼルを慰めようと、したんだけどねぇ……」

 

「今のアイツに」

 

レックスがティルテュを呆れたように見る。

 

「このままウジウジしていると、頭と眉と下の毛を全部削ぎ落とすぞ!! オラ!!」

 

レックスがティルテュの口真似をした。

 

「は、逆効果だったと思うぞ」

 

「そうかしらん?」

 

首を傾げるティルテュにクロードは再び大きな溜め息をついて、アゼルの居る海岸へ歩いて行った。

 

 

 

「ハァ……」

 

アゼルは夕陽を眺めながら海に石を投げ続けている。

 

「僕はダメ人間なんだよ……」

 

ポシャ……

 

「兄上とは違うんだ……」

 

ポシャ……

 

「この世に生きている価値のないダメなファラの小水から生まれてトイレに流されるだけの存在なんだ……」

 

ポシャ……

 

「僕は……」

 

「アゼルゥ!!」

 

「ひっ!?」

 

ティルテュがウジウジとしていたアゼルを怒鳴り付ける。

 

「いい加減にしなさいよ!! あんた!!」

 

「あ、あわわ……」

 

「ほんとに身体中の体毛を剃り落とされたいの!?」

 

アゼルはティルテュの剣幕に身をすくめる。

 

「ぼ、僕の下の毛はあんまりないよ!?」

 

「そうなのか!?」

 

レックスが身体を乗り出して聞く。

 

「可愛いやつだ……!!」

 

ボグァ!!

 

そのレックスを杖で殴り飛ばしながら、クロードがアゼルの隣に座る。

 

「アゼル」

 

「はっ、はひ!?」

 

アゼルはびくびくと訊ねる。

 

「な、なんでありましょう!?」

 

クロードは苦笑いしながら話をする。

 

「炎の紋章って聞いたことはありますか?」

 

「ほ、炎の紋章?」

 

アゼルは少し考え込む。

 

「確か兄上が昔、そんな話をしていたような……」

 

「そうですか……」

 

クロードはアゼルの手を引きながら、ブラギのお告げの説明をする。

 

「炎の紋章を見つけ出せと……?」

 

「ええ」

 

クロードはアゼルの頭の砂を落として、身なりを整えてやる。

 

「理由は解りませんがね……」

 

「ではこれから……」

 

「とりあえず、ヴェルトマーへ行こうと思います」

 

クロード達の周りにティルテュとレックスが集まってくる。

 

「また、大ワープですかぁ?」

 

「いや」

 

クロードは魔法陣を描きながら答える。

 

「帰還の術、リワープで一度エッダへ戻ります」

 

「そこから歩いてヴェルトマーへ?」

 

「はい」

 

魔法陣を描きおえたクロードが頷く。

 

「リワープなら失敗は多分ありません」

 

「多分かよ……」

 

杖で殴られた頭を押さえながら、レックスが愚痴る。

 

「さ、行きますよ」

 

クロードがリワープを唱えはじめた。

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