ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 ~焔の子~   作:早起き三文

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第2話 スワンチカの騎士

「シアルフィに貸す食料は充分であるか?」

 

ドズル家の当主であるランゴバルトは算盤を弾きながら、目の前の男に訊ねる。

 

「あれで充分だと思う」

 

その言葉に再びランゴバルトは算盤を弾き始める。

 

「シグルド公から利子を安くしろとの要請があった」

 

「わかった」

 

ランゴバルトは引き出しから書類を取り出す。

 

「熱心だねえ……」

 

青い髪をした青年は呆れたようにランゴバルトの姿を見やる。

 

「レックス、お前もわしの息子なら少しは経済を覚えろ」

 

書類を見ながら、再び算盤を弾く。

 

「俺はただの騎士だから……」

 

「言い訳はいい」

 

「出来ないし……」

 

「わしだって最初は出来なかった」

 

「ふん……」

 

レックスと呼ばれた青年は不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「他に不作の所は?」

 

「ユングヴィが少し……」

 

その言葉に無言で算盤を弾くランゴバルト。

 

「ヴェルトマーは?」

 

「ああ、先ほど」

 

レックスは懐から紙を取り出した。

 

「アルヴィスの弟が礼状を持ってきた」

 

「つまり、どうにか奴の所はどうにか持ったと言うことか?」

 

「だろうな……」

 

書類を机にしまいながら、ランゴバルトはタバコを吸い始めた。

 

「計算は済んだのか?」

 

「一区切りがついた」

 

旨そうにタバコを吸いながら、ランゴバルトは微笑む。

 

「アルヴィスの弟な……」

 

ランゴバルトがニヤリと笑う。

 

「好きなのだろう?」

 

「オイオイ……!!」

 

レックスは苦笑いしながら父親に答える。

 

「親がアブノーマルな事を勧めるなよ……」

 

「ハッハハハッ……」

 

「ったく……!!」

 

レックスは頭を掻きながら、ランゴバルトの背後の棚に飾られている斧に目をやる。

 

「銭勘定ばっかりでは、スワンチカが泣くぜ……?」

 

「金は大切だ」

 

「そりゃあ……」

 

断言するランゴバルトにレックスは何も言えない。

 

「神の武器とは言えども」

 

ドズル公ランゴバルトは聖なる斧スワンチカに目をやりながら話しを続ける。

 

「腹は膨れん」

 

「ふん……」

 

「お前にくれてやる」

 

「おい……!!」

 

「アゼルとやらについていきたいのだろう?」

 

「アイツ一人では物騒だ……」

 

レックスはスワンチカに目をやりながら答える。

 

「借りてくぜ、親父」

 

「無くすなよ?」

 

「無くそうと思って無くせる物ではないだろう!?」

 

レックスは怒ったように怒鳴る。

 

「無くしても親父が呼べば手元に戻るだろ……?」

 

「だから無くすなと言っている」

 

「ああ……!!」

 

レックスは父の顔をしげしげと見つめる。

 

「悪ぃな……」

 

「シアルフィまでの道はまず間違いなく野盗が出る」

 

「アゼルを守ってやれと?」

 

「惚れた男だろう?」

 

「だから……!!」

 

ランゴバルトは豪快に笑いながら再び算盤を弾き始めた。

 

「仕事の邪魔だ」

 

「ちっ……!!」

 

レックスはスワンチカを手に取り、部屋を出ていこうとする。

 

「お前を旅に出す理由は解るな?」

 

「各地の情報を集めろと……」

 

「わかっているなら早く行け」

 

ランゴバルトは頭を上げずに息子へ声をかける。

 

「ちっ……!!」

 

「怪我をするなよ」

 

「ふん……」

 

レックスは怒り肩で部屋を出ていった。

 

 

 

「レックス?」

 

「ついてくよ」

 

ドズル城の客室でパンを食べていたアゼルにレックスは声をかける。

 

「いいねぇ、その食べっぷり」

 

レックスはアゼルの頬のパン屑を取ってやる。

 

「お、おい!?」

 

「ははっ、顔を真っ赤にして!!」

 

「一人で行けるさ!!」

 

「無理だな」

 

「なんでだよ!?」

 

「治安が悪すぎる」

 

「フン……」

 

アゼルは不承不承ながら、頷く。

 

「親父にこいつを借りた」

 

レックスはスワンチカを見せびらかす。

 

「ふぅん……」

 

「親父は金勘定に夢中だ」

 

「ランゴバルト様はお優しいな……」

 

「どこがだよ……」

 

レックスは苦笑しながら、支度をしてくると言い残して客室から去っていった。

 

「全く……!!」

 

アゼルは不機嫌そうにスープを飲み干す。

 

「あいつは男と女の両方いけるとか言っているからなあ……」

 

アゼルは溜め息をつく。

 

「しかし……」

 

アゼルは窓の外からシアルフィへと通じる道を見やる。

 

「ロプトの柱が激しい場所か……」

 

アゼルは悲しそうに呟く。

 

「シグルド公もお辛いだろうに……」

 

シアルフィの領主シグルドの顔を思い出していると、兄の嫁であるディアドラの顔が連想された。

 

「あの女狐の元旦那か……」

 

レックスの事と言い、様々な心配事が頭によぎり、アゼルは頭が痛くなってきた。

 

「はぁ……」

 

アゼルはモソモソと残りの食事を口に入れ始めた。

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