"要塞空母デスピナ" スターティングオペレーション!   作:SAIFA

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「もう一話話を進めたい」とボヤいてから、早3週間が経過してしまいました。

今回は完成を急ぎたかったのと、今後の更新間隔を少しでも短くするため、文字数を5,000字ちょいに大幅に抑えました。
現在14話も執筆を進めており、流石にこんなに長く空ける事なく投稿出来ると思います。

余談ですが、最近艦これで建造に成功した瑞鶴さん、秘書艦にしていつも通り爆撃を食らっていた所、昨日のメンテで新しく実装された「決戦前夜」ボイスがSAIFAの知識と頭ではナゾの塊です……。


第二・五章:めざせヨコスカ
第13話:自己紹介


――side 要塞空母【デスピナ】――

 

 

 

デスピナ「――1番艦の、デスピナと申します」

 

挨拶を切り、前世で見よう見まねで覚えた敬礼をする。

 

6月18日、午前5時23分。

ついに翔鶴さん達と合流出来た。

 

俺は艦息に生まれ変わった今はもちろん、ただの一高校生である裕一として生きていた前世でも、沢山の女の子達といっぺんに会う事なんて無かった。

しかも相手は初対面で軍人な事も相まって、さっきから心臓がバクバク鳴りっぱなしである。

 

俺と正面から向き合う艦娘12名の内、昨日の時点で名前が判明したのは、機動艦隊所属の翔鶴姉妹・金剛四姉妹の6名、そして彼女らが撤退する道中に合流したんであろう水雷戦隊旗艦である神通さん。

 

神通さんは、服装から改ニだと分かる。

残りの5名の艦娘、つまり神通さんが率いてきた駆逐艦は、服装や髪型や髪色から前世の記憶を頼りに当てはめていくと、おそらく、"朝潮""満潮""不知火""黒潮""初風"だと思う。

駆逐艦たちはまだ錬度が足りないのか一人も改ニには――あ、陽炎型はいずれにせよ改ニ実装艦無いんだっけ。

 

デスピナ「今回は急なご無理をきいて頂き、ありがとうございます」

 

いやはや、流石は俺の元居た世界の二次元で美少女として描かれていただけあると言うべきか、戦艦・空母から軽巡・駆逐艦まで、皆かなりの美形揃いだ。

前世では好きだと「ガチ」扱いされた朝潮型に属する二人ですら、まだあどけなさが残ってはいるがほとんど"美人"と言っても差し支えない程に整った容姿をしている。この娘ら本当に小学生か――て艦娘に学校もへったくれもあるかい、多分。

髪の色が本来ありえない色である筈の不知火や初風(あと多分満潮や瑞鶴)も、コスプレイヤー御用達の安っぽーいウィッグのような不自然さは――地毛だろうから当然だが――全く無くて、むしろその色が初めっから自然な色かのように、より女の子としての可愛らしさを引き立てている。

 

おぉっと思考がそれ過ぎた。

 

翔鶴「こちらこそ、この度はお手を煩わせてしまい、申し訳ありません。昨日の事は、本当にありがとうございました。私は、横須賀鎮守府で機動艦隊の旗艦を務めております、翔鶴型航空母艦の翔鶴です」

瑞鶴「翔鶴型2番艦、妹の瑞鶴よ。…本当に、男の人なのね」

 

頭だけ下げて礼をする翔鶴さんと、彼女に肩を貸している瑞鶴――いや、俺の目の前にいる艦娘全員が、俺とその後ろの艤装を物珍しげに見ている。

無理もない、アホみたいにデカイ艤装を背負っているうえ、何より俺は男だ。この世界には(おそらく)「要塞空母デスピナ」なんて言う艦は過去にも居ないだろうし、外見や性別、名前や艦種も含めて珍しい物の塊だもんな。

 

所で、昨日翔鶴さんが言っていた「大破した空母1隻」って翔鶴さん本人の事だったのね。

俺からも軽く会釈するついでに盗み見たが、どうりで足の主機がぶっ壊れて焦げてる上に、衣服が全身ボロボロになっている訳だ。

 

デスピナ(おーぅ、目のやり場に困る……でも体中生傷だらけだ。この世界では被弾したら服だけじゃ済まないのか)

 

もしや瑞鶴、「本当に男なのね」って()()()()()()で言った……?

なお、瑞鶴には目立った損傷は無さそうだった。流石幸運の空母。あ、服装が"改"状態だ。

 

金剛「Hmm…中々のnice guyネー。改めて、金剛型一番艦の金剛デース! Nice to meet you!」

デスピナ「…どうも」コクリ

 

金剛さんの言葉から、()()()()()()では無いと信じたい。

そう言えば、生まれ変わって以来鏡の類を一切見ていないので、自分の外見がどうなっているのか分からない。どんな顔してるんだろ俺、イケメンだったら良いな…。

 

比叡「わー…艦娘って、男性の方も居るんですねー…あ、私、比叡です」

デスピナ「……」コクリ

 

金剛さんの腕に掴まっている比叡さんは、"捜索隊"からの報告にあった「中破した戦艦3隻」の内の一隻だろう。良く見ると主機も破損している。上半身は、サラシが少し見える程度にしか破れてはいないようだ。

どうでも良いけど、破れたタイツとニーハイブーツから覗く脚が結構エロい。やっぱり俺は男だ、色んな意味で。

 

榛名「はじめまして、榛名です。随分と大きな艤装ですね…榛名、納得です」

デスピナ「…?」コクリ

 

何に?

まぁそれは兎も角、榛名さんの被害も相当な物だ。頭に付いてる電探はぶっ壊れて脚まわりも損傷している上、上半身の服はサラシを残して殆ど無くなってしまっている。それにより露出した素肌には、傷や打撲が所々に見えた。

流石に男の前では恥じらいがあるようで、焦げ付いた付け袖で胸元を隠すようにしている。

金剛さんの被害があまり見られない事から、「中破した戦艦3隻」とは妹達の事だ。

 

注視しないよう視界の隅で盗み見たが、その…何だ、翔鶴さんと言い金剛四姉妹と言い……デカいな、どこがとは言わんけど。

 

霧島「霧島です。先日は、救援感謝します」

デスピナ「…いえ、どういたしまして」コクリ

 

霧島さんの場合は、どちらかと言うと背中の艤装の損傷が目立つかな。

"目立つ"ってだけで、彼女も服が相当目のやり場に困る状態っす、はい。

姉を見習ってちょっとは隠してください…。

 

神通「横須賀鎮守府所属、軽巡洋艦神通です」

朝潮「朝潮型駆逐艦、ネームシップの朝潮です!」

満潮「…三番艦、満潮よ」

 

流石お姉ちゃんと言うべきか、朝潮はハキハキと真面目に挨拶してくれた。

満潮は、まぁ予想通りだ。初対面だもんね、仕方ないね。

 

黒潮「うち、陽炎型駆逐艦の三番艦、黒潮や。よろしゅうな!」

不知火「陽炎型二番艦、不知火です。…よろしくです」

初風「七番艦初風よ、まぁよろしく」

 

黒潮、ぬいぬい、ツチ――何でもないっす。

陽炎型の3人からも、それぞれ簡単な挨拶を貰った。

ところで、不知火は前世では「戦艦クラスの眼光」なんてよく言われていたが、今の彼女はそんなに目が鋭くも感じられない。本気モードに入ってないだけかも知らんけど。

 

デスピナ「初めまして、デスピナです」

 

既に無線で連絡を取り合っていた翔鶴さん達と違い、水雷戦隊の方々に至っては会話も含め完全に初対面なので、改めて簡単な挨拶をしておく。

神通さんの前と言う事もあり念のため丁寧語は使ったが、相手のぱっと見中学生かそれ以下くらいの駆逐艦たちに対してバカみたいに緊張した挨拶するのは絵面的にアレなので、幾分か落ち着きつつにこやか(?)に、かつ当たり障りのない態度でもって接した。

 

デスピナ(何で子供相手にこんな緊張してんのよ、俺)

 

皆、かの大戦で死力を尽くして戦った艦だからじゃないかな。

神通さん以下、水雷戦隊の6名は無傷だ、念のため。

 

翔鶴「あの、デスピナさん、他にお仲間の方は…?」

 

今度は翔鶴さんが話しかけてきた。

ん、他の仲間?

 

デスピナ「いえ、私以外には、誰もおりませんが」

 

デスピナ艤装の妖精さんならいるよ。

まず副長でしょ、航空参謀でしょ、砲雷長に、後はCDC妖精と航空兵がわらわらわら……。

 

瑞鶴「え、じゃあ昨日、デスピナさんと一緒に喋ってた女の人は誰なの?」

デスピナ「女の…? ぁー…」

 

俺は左右の肩に乗っかってる3匹の妖精さんに目を向ける。

右肩の副長も左肩の航空参謀も、翔鶴姉妹の誤解に心当たりがあるようだ。いやあって貰わないと困る。

とりあえず、左手は右肩にやり副長と、ついでに砲雷長を、右手は左肩にやり航空参謀を、それぞれ手のひらに乗っける。手を両肩から離すと、三人とも立ち上がって正面を向く。

 

デスピナ「…それは、たぶんこの子らの声です」

 

そう言いながら、俺は副長たち三人を乗っけた両手を翔鶴姉妹に向け、良く見えるよう肘を伸ばして差し出す。

金剛さん達も興味ありげな様子なので、俺の方から機関を微速前進させ少しだけ彼女らに近寄る。

 

副長と砲雷長は左手のひらの上で気をつけの姿勢を、航空参謀は右手のひらの上で所謂「休め」の姿勢を作り、翔鶴さん達に向き合って口を開いた。

 

副長「お初にお目にかかります。わたしは、要塞空母デスピナの副長妖精です。デスピナさんのサポートをつとめています。この子は砲雷長妖精で、デスピナ兵装の指揮官です」

砲雷長「はじめまして、砲雷長です」ペコリ

航空参謀「ども! ウチはデスピナ航空隊のリーダー、航空参謀っす! 気軽に『クゥ』とでも呼んでくれるとうれしいっす!」

 

三人らしい挨拶だ。

 

金剛「フレンドリーな妖精さんたちネー。ヨロシクデース!」

瑞鶴「てことは、本当に一隻だけであんな沢山飛ばしたの…!?」

デスピナ「そうですが…」

 

そりゃ驚くよな。

大型の戦闘機や爆撃機を350機も収容出来る空母なんて艦これには実装されて無かったもんな、現実にもねーよ。

今更ながら俺の艤装の積載量凄いな…。

 

翔鶴「…私たちのために、それだけの墳式機をわざわざ……本当に、この度はなんとお礼を申し上げたら良いか…。横須賀に着きましたら、デスピナさんの艤装と全航空機分の補給の手配を、提督に上申致します」

デスピナ「あ、ありがとうございます」

 

そんな大げさな……そうでもないか?

まぁ()()()()()()()()()()()()()()()()、前世の艦これ基準は兎も角、こっちの世界でもそれなりに大きい戦果だとは思うし、貰えるなら貰っておこう。

 

でもそのご厚意、後で大分断っちゃう事になりそうだ。

だって俺の艤装、機関は半永久稼動で弾薬は自給自足出来るし、実際にご相伴に預かられるのは艦載機の燃料タンクだけだ。

 

デスピナ(――て、悠長に話してる場合じゃ無いって)

 

再び副長・砲雷長・航空参謀(3匹の妖精さん)を肩に乗せ、本題を切り出す。

彼女らの外見を軽く眺め、会話するだけでもう"何か"を2分の1以上使ってしまった気がするので、早く事を進展させたい。

俺は今一度、翔鶴さんと神通さんに向き直って自身の要求を伝える。

 

デスピナ「もう一度確認したいのですが、横須賀まで同行させて頂ける、と言う事でよろしいでしょうか?」

翔鶴「はい、昨日横須賀に連絡を取りましたところ、提督が是非に、と申しておりました」

 

まさかの提督お墨付きかい!?

やったぜ!(定型文)

 

デスピナ「それは良かったです。では、本艦でも周囲の対空・対潜警戒を致しますので、横須賀まで、よろしくお願いします」

 

改めて頼み込み、深めに礼を――ぐぅッ…艤装の腹まわりの固定部分が食い込んで苦しい…!

 

翔鶴「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

神通「わざわざすみません、協力感謝致します。――水雷戦隊、陣形を構築せよ」

 

神通さんの掛け声で、駆逐艦たちは翔鶴さん達を中心に輪形に展開する。陣形の種類としては、敵航空機の襲撃にも対応出来るようにするためであろう、前世で遊んだ艦これゲーム内で言う"連合艦隊"の陣形の一つである「第三警戒航行序列」が一番近い。

俺も一応、広域レーダーとソナーを使って周囲に気を配るため、神通さんと駆逐艦達が作る六角形状の輪の最後尾左側に入れてもらった。

同じく最後方の右側には、俺が緊張しすぎないように気を使ってくれたのだろうか、はんなりとした関西弁と柔らかい人当たりが特徴の黒潮がついてくれた。

 

黒潮「ほな、よろしゅうな、デスピナはん」

デスピナ「ああ、よろしく」

 

そりゃもちろん、本当は先頭の方が良いに決まってるけどね。向かう先に潜んでるかも知れない潜水艦発見し易くなるし。けど流石に初対面の艦娘達の前に出しゃばるのはどうなのよ、て訳で。良いように取れば、皆の背中を眺めていられる最後方で大人しく周囲に気を配る事にする。

 

神通「皆さん、準備はよろしいですか? では、艦隊、出発!」

 

護衛艦隊旗艦でもある神通さんの指示で、艦隊はほぼ半日ぶりに動き出した。

 

現在時刻は、大体5時半。

俺はコマンドの海図を開き、現在地から横須賀までの距離を確認した。

 

デスピナ(えぇと、大体200…400…――…800…1000…1200km)

 

忘れてた、横須賀まではまだまだ距離あるんだった。

そして、翔鶴さんと比叡さんは機関が損傷しているため曳航されており、速度もあんまり出ないと……。

 

コマンド画面右側の、右上のメニューと右下の船体情報に挟まれて表示されている速度計によると、現在船速は10ノット前後。隣にはご丁寧に[km/h]で表示されているものもある。

 

デスピナ(10ノット=時速18.52キロみたいだから、1200を18.52で割って、ええと……)

 

1200÷18.52=64.8時間

※小数点以下第二位を四捨五入

 

時間が出たので、次に日数を計算してみる。

1日、つまり次の日に今と同じ時刻になるまでの時間が24時間と言うことだから、

 

64.8÷24=2.7日

※小数点以下(略

 

1日の時間を小数含めた日数で表す場合、0.5日が12時間となるから、仮にこのままの速度で夜通しぶっ続けで航行し続けたと考えると…うっげぇ2日半以上は確実にかかっちまう計算じゃねぇか。

 

デスピナ(orz)

 

助けるだけ助けたら、俺だけ先に見つからないように横須賀に急いでも良かったか……いやそれは本末転倒だ。

自分で合流すると決めたんだから、もう後悔はしない。

 

デスピナ(良いモノも見れたしね、何がとは言わない――と言うか言えないけど)

 

そう思いつつ俺は、大破した翔鶴さんのスカートの破れ目を盗み見るのであった。




さて14話の完成を急がねば。
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