"要塞空母デスピナ" スターティングオペレーション! 作:SAIFA
18話は……執筆中です。
当三次創作の原作「要塞空母デスピナ出撃す。」の作者のまはまは様へ。
ごめんなさい、ちょっと色々と考えすぎて最早別物になるかも知れません(^_^;)
第16.5話:夢の中、久しぶりの再開
――真っ暗な視界の真っ白な意識の中で、以前聞いたような、懐かしい声が聞こえる。
「――ゆ……ちさ…!――……いちさん……!」
"ゆきち"さん? 君一万円札の事をさん付けとか中々にがめついのね。
「裕い…さん!――裕一さ…!」
ゆういち……裕いち……裕一……。
あ、俺の名前か。つー事は、この声は俺を呼んでいるんだな。ゴメンよ銭ゲバ扱いして。
そして、この何回か経験した事のある感覚は、おそらく夢だ。
俺はこの後、1~2週間干さなかったお陰で自分の臭いが染み付いている布団に包まれた状態で、ベッドの上で目覚めるのだ。
「裕一さん! 裕一さん!」
いや、もしかしたら学校の机に突っ伏している可能性も――
「ゆ・う・い・ち・さんッ!!」
裕一(だぁもう! さっきから誰だ鬱陶しいっ! 俺はこの、"明らかに現実と違う雰囲気で夢だと分かって起きる"と言う、一番スッキリする目覚めを堪能したいんだよ。頼むから邪魔しないでくれ……)
??「あぁぁっ、待って待って! やっとまた繋がったんだから、まだ目覚めないで! 話を聞いて!」
裕一(うん……? ――あ、君って!?)
??「気づいていただけましたか。そうです、私です」
裕一(変なおじさん?)
??「いやおじさんでは無いです。変わった存在なのは認めますが少なくともおじさんではありません。裕一さん、私ですよ! ほら、以前裕一さんに助けていただいた、あの猫の!」
……思い出したぞ。俺が転生する直前、車の交通量が多い道路の真ん中に猫を設置すると言う極悪非道な事をやってくれた鬼畜娘だ。
裕一(おお、君か! ――ゴメン、名前なんだっけ?)
??「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。と言っても、そう名乗れるような名前は無いのですが、仮に私の事は、"大妖精"とでも呼んでください。そちらの世界の妖精たちの統括を務めています」
裕一(おう、よろしくな。俺は…って、もう知ってるんだよな、俺の事は)
大妖精「あら、結構記憶力いいのですねあなた」
裕一(バカにしてんのかこの野郎。君が俺を死ぬ寸前まで誘導して突然海に放り出したのしっかり覚えてるからな)
大妖精「それに関しては、本当に申し訳ありませんでした。そうせざるを得ない事情がありまして……」
裕一(事情だぁ?)
よほど急ぎの案件だったのだろうか。
大妖精「さて、あまり時間がないので本題に入りますと、裕一さんには4つほど、気をつけて頂きたいことがあります」
裕一(ん、わかった。何?)
大妖精「1つ目は、空母デスピナについて、艤装のシステムに表記されている情報以外のことは一切しゃべらないようにしてください。要塞空母デスピナの所属していた組織の存在する世界に関しては、こちらの世界では極一部の人にしか知られてはならない程の機密らしいのです」
裕一(まぁ、そうなる……のか?)
仮に、並行世界が実在する事が公にバレてしまう事が重大な機密漏洩だとしても、事前知識一切無しに転生させられ、翔鶴さん達からの信頼を取り付ける事に必死だった当時の俺からしてみれば、今更言われてもどうしようもない。
裕一(あ、ごめん、実はもう横須賀鎮守府の翔鶴さん達と提督には、EDF海軍と所属艦隊言っちゃった)
大妖精「でしたら、そこだけは仕方ありませんので、艦娘と、艦娘に深く関わる役職の方にのみ明かすようにしてください。日本国防海軍の艦娘たちは、それなりに秘匿性の高い組織ですので、情報漏洩に繋がる恐れは薄いと思われます。さっき言った"極一部の人"以外には、遠まわしに伝わった場合であれば、ちょっとした噂話以上の話題にはならないでしょう」
裕一(それは良かった)
大妖精「2つ目は、裕一さんの素性についてです。貴方の魂が別世界の民間人の山本裕一であることは、艦娘を含め、誰にも漏らさぬようにしてください」
裕一(提督にも?)
大妖精「はい。裕一さんの所属するいずれの海軍拠点の指揮官を含め、軍の上層部にも知られぬよう、徹底して秘密にしてください」
裕一(それも、やっぱりさっき言った"機密"とやらに関係してたり?)
大妖精「そうです」
裕一(了解、気を付けとくよ)
大妖精「3つ目が、私の事について。これは1つ目と2つ目にも関係する事ですが、私の存在をほのめかしたり、公にする事は、絶対にしないようお願いします」
裕一(んー、バラしたとこで信じられる事はなさそうだけど……まぁ、オーケイ)
実際、「強力な艤装持った艦息の中身は異世界の一般人ですー」なんて事も含め、そうそう信じられそうもない事ではありそうだが……。まぁもしそんなのが居て、前世についてベラベラ喋ったりしたら、何かしら感づかれる事もあるかも知れないので、会話の中でボロを出さぬよう気をつける事にしよう。
大妖精「最後に4つ目。これは、裕一さんが知る世界とその歴史について。たしか、"地球防衛軍"でしたね、貴方が転生した"要塞空母デスピナ"と言う艦は、そのゲームに登場した空母と同一の存在と考えてもらって構いません」
裕一(それに転生させてくれた事だけは、感謝するぜ。おかげで俺みたいな一般人でも、それなりに深海棲艦と戦えるみたいだからな)
大妖精「一般人……そうですね。そして、そのゲームの舞台となった世界と、この世界は時系列がある程度リンクしている事に留意して頂きたいのです」
裕一(時系列……たしか、今のこっちの世界は2024年だから、EDF4.1の頃――西暦2025年――に新登場した敵は居ないどころか、まだフォーリナー再襲来も起こってないんだよな。つまりデスピナはまだ……)
大妖精「その世界での実戦は、まだ経験していないと言う事です。もし、1つ目の事項に関して異星文明について説明する必要に迫られた場合は、上手くごまかしてください」
裕一(ん、了解)
正直、前世でいくらでもその手の創作話を聞いた事がある者としては、そこまで秘匿すべき事でも無さそうな内容な気がするが……まぁ、転生した艦これ世界ではそこら辺の事象についてどこまで解明・公表されているのか不明だし、大人しく従っておこう。
ところで、段々とこのやりとりに現実味が無くなってきたと言うか、"感じている"と言うよりは頭の中で"考えている"状況に、感覚が近くなっているのだが、これはまさか……。
大妖精「――お目覚めのようですね。ご武運を、お祈りいたします。それから――」
少しずつ、大妖精の声が不明瞭になり始めた。
最後に聞いた一言の意味は、起きてから改めて反芻してみようか。
大妖精「本当に、ありがとうございます。もう――だけ、おね――しま――」
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瞼を開くと、目に入って来たのは白い天井だった。