"要塞空母デスピナ" スターティングオペレーション! 作:SAIFA
ここ最近モチベーションの低下(とアズレン熱の上昇)のおかげで手がつけられませんでしたが、ようやく最新話を更新出来ました。
翔鶴さんの案内で鎮守府庁舎の中を進む。学ランと帽子と、あと翔鶴さんが持って来てくれた食器は後で回収するらしい為そのままにしてある。
この建物自体が艦娘達の寮舎では無いのか、あるいは出撃等で出払っていたのかは定かでは無いが、数歩前を歩く翔鶴さん以外に艦娘、どころか人らしき者は見当たらなかった。
一度、建物の一階部分を出た。
屋外通路を歩いていた際、歩きながら一瞬振り返って建物の外壁を見た。
内部の床や壁が現代のオフィスや病院などに良く見られるような見た目をしていた事から、始めはコンクリート造りの構造物を想像していた。しかし実際に外から眺めた様子は、前世で見たアニメ版艦これに登場したような、いわゆる"赤煉瓦"の鎮守府を彷彿とさせるそれだった。
梅雨の薄灰色の曇り空に、深い赤色のコントラストが良く映えている。
視線を前に戻すと、遠目に駆逐艦達を見つけた。先日横須賀に到着する直前に神通さんが言っていた、哨戒に出ている駆逐隊だろうか。艤装をまだ身につけていたが、ここからでも見える海から陸側に喋りながら歩いていた。恐らく任務を完了したのだろう。
少し眺めていたが、すぐに別の、先ほど出た建物よりも二回りくらい大きな庁舎に入ったため姿は見えなくなった。
入ってすぐ、気になった事を尋ねてみる。
デスピナ「あの、すみません、少しお訊きしてもよろしいですか?」
翔鶴「はい、何でしょうか」
俺からの問いに翔鶴さんは振り返りつつ、俺の右前あたりまで歩く速度を落とした。
デスピナ「今鎮守府には、何隻ほど艦娘が所属しているのでしょうか?」
翔鶴「一部の艦種は、任務によっては異動することが良くありますので、正確な数は分かりませんが……ここ横須賀には、今は少なくとも戦艦が5隻、空母が私と軽空母を入れて6隻、工作艦が1隻、重巡洋艦が4隻、軽巡洋艦が3隻、駆逐艦が…確か、今は20隻程だと思います」
デスピナ「そうですか……他の鎮守府も、それくらいで?」
翔鶴「はい。基本的には、鎮守府ごとの管轄海域を考慮して配置されます。半数以上は、海外の港や泊地に派遣されて、現地に出現する深海棲艦の撃退と、それらの拠点の攻略に先立って前哨任務にあたります。……と言っても――」
彼女の声色が、心なしか弱く感じられた。
翔鶴「今は殆どの艦娘が、国内に引き上げている状況なんですけどね……」
デスピナ「……そうでしたか」
なるほど、どうやら戦局は、あまり芳しく無いのかもしれない。
この世界が本当に、前世で俺を始めとした全国の提督諸氏が遊んでいた通りの艦これが現実となった世界なら、やはり大破撤退か、それに近い事はしているのだろうか?
仮に行っているとして、果たして現実の深海棲艦がそんな"攻略法"で海域を明け渡してくれるか、と言う疑問が出てくるが、もし俺が――存在するのかは兎も角――深海側の提督だとしたら、せっかく勢力下に入れた海域を簡単には手放さないだろう。
堅牢に防備を固め、布陣を整え、さらに近くの敵拠点からの攻撃による被害を抑え、襲撃してくる艦娘を退けた上で追撃、殲滅に掛かるのが、実際の戦闘と言うものだ……多分。
この世界における深海棲艦は、前世で俺が裕一として遊んでいたゲームの中に登場する一枚絵キャラクターでは無く、実在する脅威だ。
"全体の半数を海外派遣している筈の艦娘が国内に引き上げている"と言う事は、少なくとも「派遣先で艦娘の建造に成功したから日本の支援は不要になりました」とかの理由ではないだろう。現代の国際協調の世の中では早々ありえない話だ……と思う。
デスピナ(いや、こっちの世界の歴史も深海棲艦が現れた時期や経緯も俺には全く分からないんだけどさ……)
なんかこう、癖なのよね、いちいち余計な事考えて思考の尺とか容量使っちゃうの。
あんまり考え事に耽ったところで頭のフケが取れる訳でもないので、黙って翔鶴さんの案内に着いて行く事にした。
翔鶴「こちらです」
あ、もう着いたのね。格子状の木枠に梨地のガラス板が貼り付けられた引き戸、戸枠にはいかにもと言わんばかりに、突っ張り棒で青い暖簾が提げられ、"入浴場"の木札が戸枠の右側に取り付けられでいる、九分九厘男湯。反対側には赤い暖簾の梨地のガラス戸、十中八九女湯。
翔鶴「お着替えはすぐにお持ちしますので、脱いだ服は脱衣篭の中に入れておいてください」
デスピナ「あ、はい、分かりました。では、失礼します」
翔鶴「はい。しばらくしましたら、声をお掛けしますので、ごゆっくり」
そう言って、翔鶴さんは丁寧に頭を下げた。彼女、旅館の仲居さんとかめっちゃ適正ありそうだ。
……そうでもないか? なんせ客人をはじめから風呂に入れるつもりだったなら、着替えを持たせるか事前に準備しておくのが普通だろうし。案外抜けてるのかも。かわいい。
しかし同時に、自分の脱いだ衣服が、艦娘――高確率で翔鶴さん――に回収されて洗濯場に持ってくなり廃棄なりされる事が少し気恥ずかしくなり、そそくさと引き戸を開けて脱衣所に入った。
――――――――・・・・・・・・――――――――
"風呂は心の洗濯"とは本当だな全く。頭髪の重っ苦しさが無くなってサッパリした。ついでに前世も恋しくなりはじめた。
洗い場で古くなった皮脂と雑念を落としたり、準備良く沸かされていた広めの湯船に浸かって汗と疲れを流したりしながら、おおよそ20分間、転生して最初の入浴を楽しんだ。
さて、備え付けのバスタオルで体を拭きつつ脱衣所に戻ってみると、確かに服が綺麗な物に交換されている。男物の下着上下と白のワイシャツ、そして黒のスラックスが、畳まれた状態で先ほど脱いだ服を入れた脱衣籠に入れられていた。いずれも、俺が転生した時に着ていたものと同じようなデザインである。俺が気絶している間に急いで調達したのだろうか。
まさか翔鶴さん、交換に脱衣所まで入った時に俺の入浴シーン覗いたり……してるわけなかった。だって何となく見てた入り口は1ミリも動いてなかったし。
下着だけ身につけ、脱衣所備え付けの洗面台の前に立ち、鏡を正面から見る。
デスピナ(……うむ、あまり変わって無さそうだ)
入浴時にも鏡を見て思った。とは言えどうにもこの世界の俺は、前世で裕一として過ごしていた頃の身体と比べて、若干の面影を残しつつもいくらか変化しているようだった。
顔つきは前世で当時17歳だった頃よりも年を重ねた、有り体な言い方をすればいくらか大人びたような、良い言い方をすれば男らしくなっている。具体的には数年分成長しているようだ。
で、脱衣時や体洗ってる時に一番驚いたのが、随分肉体が鍛え上げられていた事である。あんな大きいデスピナ艤装を扱う都合上当然なのだろうが、これはちょっと嬉しいかも。前世では運動不足ぎみだったし。
デスピナ(じゃねぇよ早く着替えないと)
ワイシャツとスラックスを着用し……。あれ、そう言えば風呂上がった後どうすれば良いのか聞いてなかった。
仕方ないので、廊下に出る出入口の梨地ガラス戸から気配を伺う。ビンゴ、脱衣所と通路を隔てる引き戸の横に、白い着物と赤いスカートの銀髪女性のシルエットが見えた。
靴を履き――これも、新品の綺麗なスニーカーに交換されていた――、戸を引いて声を掛ける。
デスピナ「すみません、お待たせしてしまって」
翔鶴「いえ、ほんの少し前に来たところですから」
デスピナ「そうでしたか」
デートの待ち合わせじゃ無いんだから……。本当にデートだったら良かったのに。
いや、待てよ? 今後横須賀鎮守府で過ごすようになればワンチャンあるよな?
おらワクワクしてきたぞ。
この後提督と対面すると言うのに緊張感の無い事を考えながら、再び翔鶴さんに案内される形で庁舎の中を歩いた。
途中で階段を上がって、二階の廊下を少し歩く。
ドアの前を通りかかるたびにここかここかと考えながら、頭の中で前世で進路指導担当教諭から教わった入室時のマナーを復習する。
何度か思い出している内に、鎮守府内の構造を覚え損ねてしまった。
仕方ないので、生まれたばかりのカルガモの雛のように翔鶴さんに着いていくしかない。
まだ配属させて貰えるかは分からないが、航空機で空を相手取る艦種の後輩と言える立場の俺からして見れば、本当に彼女らは親鳥のような存在と言えそうだ。
やがてやや大きく、今まで通り過ぎてきたそれよりも暗い色で塗られた二枚扉の前で翔鶴さんは止まり、
「こちらが提督の執務室になります」と説明し、そのまま三回ドアをノックした。
部屋の中から「誰だ?」と男性の声が聞こえた。十中八九提督だろう。もし女性だったら若干気が楽だったかも知れない。
翔鶴「翔鶴です。デスピナさんをお連れしました」
「入ってくれ」
翔鶴さんがドアを開け「失礼します」と一言いれてから入室し、ドアノブを持って俺の入室を促した。
デスピナ「失礼します」
俺も彼女に習って一言ことわりを入れ、会釈を挟んでから入室する。
俺と翔鶴さんの姿を確認すると、入り口正面に据え置かれた木製の執務机から、白い半袖の制服を着用した男が被っている帽子の位置を軽く整えつつ立ち上がる。
瑞鶴「あ、翔鶴姉ぇ…と、デスピナさんも一緒ね」
デスピナ「どうも」
「わたしも居ますよー」
デスピナ「あれ、副長」
副長「すっかり体調はよくなったみたいですね」
デスピナ「ん……」
こちらはこちらで情報交換でもしていたのか、瑞鶴と副長妖精が既に執務室にいた。
改めて、目の前で軽く咳払いをした提督を正面から見、挨拶してからもう一度お辞儀をする。
デスピナ「お初にお目にかかります。自分は、連合地球海軍日本支部、太平洋方面群隷下、デスピナ級要塞航空母艦一番艦、デスピナと申します。本日はお時間を頂き、ありがとうございます」
やはり、目下の自分から自己紹介するのが妥当だろう。
提督「日本国防海軍、洋上機動隊横須賀方面隊司令兼、同隊横須賀基地司令、中村京介一等海佐だ。艦娘の皆からは、"提督"と呼ばれているよ。ここ横須賀で艦娘達の指揮を取っている者だ」
30代半ば程の、青年と言うにはやや難しく、中年かと言われればそこまで歳くっているわけでも無い様に見えるのは、半袖から露出しているやや引き締まった腕と、更に上部の、白い制服の肩部分に位置している黒基調の階級章の存在ゆえだろうか。
さて、入室したらどうしたら良いんだったか、前世で通っていた高校の進路指導担当教師に教わった面接指導が果たして軍隊で役に立つのかどうか軽く悩んでいると、提督の方から声が掛かった。
中村「翔鶴達から話は聞いているよ。何でも、危なかった所で敵を排除して、撤退を助けてくれたとか。お陰で、出撃していた艦隊は全員無事に帰投出来た。彼女らの指揮を執る者として礼を言いたい」
デスピナ「いえ、ご無事でしたら何よりです」
翔鶴「私も、艦隊を率いていた当事者として、改めてお礼申し上げます」
瑞鶴「本当、あの時は命を拾ったわ。ありがとう、デスピナさん」
デスピナ「あ……どういたしまして」
中村提督の後に続き、俺の隣に立っている翔鶴、提督の傍らで副長と戯れていた瑞鶴からも謝辞が続いた。純粋に複数人から感謝される状況と適当な返しが出来ない事へのもどかしさが、何だかこそばゆい。
どういたしまして、で一応良かっただろうか。人助けした後に言われるお礼に対する返事のボキャブラリーが見つからず、曖昧に返事しては軽くお辞儀するだけになってしまった。
副長「良かったですね、デスピナさん♪」
デスピナ「副長も、サポートお疲れ様」
副長「ええ。わたしもがんばった甲斐がありました」エッヘン
ありがとう副長。俺の方こそそのドヤ顔のお陰でいくらか気分が落ち着いたよ。
後でライちゃんクゥちゃんこと砲雷長と航空参謀にも伝えておかねば。疲労でぶっ倒れたお陰で、あいつらに対する労いがまだ出来ていない。
中村「さて、客人を立ち放しにさせる訳にも行くまい。そこに掛けくれ」
そう言って、執務室入り口から向かって左側にある、テーブルを挟んで向かい合っている二つのソファを指し、座るよう促した。
失礼します、と一言断りを入れ下座のソファに腰を下ろす。提督も上座側のソファに、何枚かの書類を持って移動し腰掛けた。
翔鶴さんは執務室備え付けの設備で茶の準備をしているようだった。
一方瑞鶴は、入り口から見て右側の資料棚の所で副長と小声で話を続けている。
中村「君の艤装妖精…副長だったね、彼女から、艤装の使用履歴を見させてもらったよ。一応、ここに辿り着くまでの経緯は粗方把握しているが、念のため、君の口からも話を聞いておきたい」
南鳥島での一件は特に、と付け加えた。
中村「覚えている限りで構わない。こちらの所属する艦娘達に合流するまでにあった事と、君が行った事を話して欲しい。良いかな?」
デスピナ「はい……、まず私は、気がついた時には大体、ハワイから何百キロか西の海域にいました。日時は確か、単純に計算して6月13日だったと思います。その日から4日程西に向かって日本を目指しました。17日の午前11時頃には、南鳥島から東南東500km沖の海域に辿り着きました。その時に――」
ここまで話して俺は、何百キロも離れた所から、南鳥島に巣食っていた離島棲鬼と北西に向かう深海棲艦達を観測出来た理由が、簡単に説明出来る代物ではない事を思い出した。
しかし、既に艤装を使った操作履歴は全て提督に見られてしまっているらしいため、衛星画像で状況を確認した事は隠しようが無い。
ここはノートゥングを攻撃衛星ではなく、単に"衛星"として誤魔化しにかかってみる。
デスピナ「――その時に、自分の正確な位置を把握するため、衛星から画像を受信して南鳥島周辺の様子を確認したところ、島に築かれた離島要塞と、北西に向かう深海棲艦多数を発見しました」
中村「君がうちの艦隊が戦闘している最中に南鳥島に居合わせたのは、偶然と言う事かな?」
デスピナ「そうです」
中村「ふむ」
手元の薄い書類の束を一枚捲り、また問いかける。
中村「君が確か、こちらに来ようとしていた事は聞いている。それなら、多少時間が掛かってでも南鳥島を安全に迂回する事も出来たと思うんだが、何故介入したんだい?」
デスピナ「急いでいる訳でもありませんでしたが、出来るだけ早く横須賀には着きたかったので、南鳥島の近くを通って直線的に目指そうと思いました。離島棲鬼から飛び立った敵機の進路と、先に展開していた深海棲艦達の位置から味方が接近していると判断して、その時なら島の防御も手薄でしょうから、自分が保有する戦力で離島棲鬼に打撃を与えれば安全に通過出来ると考え、攻撃しました」
中村「なるほど。攻撃タイミングとしてはベストだったと言う訳か……」
俺に対する質問なのか、それともただの独り言なのか判断がつかず黙っていると、再び中村提督が口を開いた。
中村「次の質問に移ろう。翔鶴たちには、"EDF"や、"連合地球軍"所属と名乗ったそうだが、日本どころか、世界中どの国、いつの時代にも、そのような軍隊や名前に該当するような軍事組織は見つからなかった。どのような軍隊なのか教えて欲しい」
やっぱり、ものすごく疑われている。
が、俺が着用していた艤装各部には、俺が前世でEDF4シリーズを遊んだ事のある者にしか分からない名前やデザインが散見されていたのも事実。
仕方が無いので、前世のEDF3から4.1で設定されていた世界観を思い出し、その通りに説明する。
デスピナ「2015年に、攻撃的な地球外文明との接触に備えて設立された世界規模の軍隊です。北米に総司令部を、世界各国に支部を設置した国際的な軍事組織として機能しています」
中村「地球外文明と? 宇宙戦争に備えていたのか?」
デスピナ「はい。実際に、2017年から18年まで、地球に降下してきた異星文明の侵略兵器たちと交戦しています」
中村「2017年……」
提督は少しだけ目線を俺から外し、西暦を反芻しているように見えた。
中村「君、"要塞空母デスピナ"も、その軍隊の所属なんだね?」
デスピナ「はい、日本支部に所属していました。と言っても、2017年の戦いの時点ではまだ自分はいなかったので、実戦経験はありません」
中村「進水日はいつだい?」
デスピナ「正確には分かりません。船体が大きすぎるので、通常のドックでは建造出来ないのです」
中村「戦いが起こった時は、建造途中だったのか?」
デスピナ「はっきりとした記憶はありませんが、おそらく。ただ知識として知っている程度です」
中村「そうか……EDFには、艦娘は所属しているのかな?」
デスピナ「いえ、艦娘やそれに該当する人は一人も居ません。自分も、一隻の超大型艦船として建造されました」
中村「ふむ……」
取り敢えず一通り、前世で遊んだEDFシリーズの設定と夢の中で大妖精から聞いた情報をまとめて、話せる事は話したと思う。
中村「質問を変えよう。君が元居た場所について、何か覚えている事はあるかい?」
非現実的な事に対して人は自然と疑り深くなる事を差し引けば、この提督は中々柔軟な質問をしてくれた。俺としてはむしろ、お陰で話すべき事が整理出来てありがたい。
デスピナ「いえそれが、ここに来る前、ハワイ近くの海域で気が付いた時より前の記憶があまり無いのです」
中村「所属していた組織についての知識はあるのに?」
デスピナ「はい。自分がどのような目的で作られ、所属する組織の事も知ってはいるのですが、何故あの海域にいたのか、何故人間のような身体を持っているのか、全く分からないんです」
流石に記憶喪失を装うには無理がある説明な気がしてきたが、中村提督はもう一度、ただ一言「そうか……」と返しただけだった。
提督は手に持っていた書類の何枚目かを束に戻し、ソファに座った自身の膝ほどの高さもない机に置いた。
提督がそのまま背もたれへ倒れきる前に、お茶汲みを終えた翔鶴さんが湯飲みを二つ、盆に載せて運んできた。
翔鶴「お茶が入りました」
中村「ああ、ありがとう」
翔鶴「デスピナさんも。緑茶でよろしかったですか?」
デスピナ「はい、大丈夫です。頂きます」
低めのテーブルに置かれた湯呑みをどちらからともなく取り、淹れたての熱い茶を一口啜る。
そろそろ、俺が初めに当鎮守府の提督に要求した事について切り出す頃合か。湯呑みをテーブルに置いて姿勢を正してから改めて口を開く。
デスピナ「あの、中村一佐」
中村「何かな?」
デスピナ「自分は今、実質どこの組織にも所属していません。もちろんEDFの所属ではありますが、少なくとも自分の知っているEDFが無いようですので行く当てもありません。なので改めてお願い申し上げたいのですが、当面の間、自分と、自分が見に着けていた艤装の妖精達をここ横須賀に置いては頂けないでしょうか」
中村「それが、君がウチを目指していた理由?」
デスピナ「はい」
中村「今後は兎も角、君が装着していた艤装に関してまだ訊いておきたい事がいくらかあるから、しばらくは此処で過ごして貰う事になると思うよ。その後の事は、洋機隊に属してもらう事も含めて、色々検討するつもりだ」
デスピナ「ご厚意、感謝致します」
良し、これで俺のひとまずの目的は果たした。
長かったぁ……。
2022/8/15:いい加減、少しずつ書いて形だけでも完結させねば…