"要塞空母デスピナ" スターティングオペレーション!   作:SAIFA

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          ――――――イベント説明――――――
南鳥島に、強力な陸上型の深海棲艦を確認した。デスピナ航空隊は直ちに発艦、南鳥島を攻略せよ! デスピナ航空隊、出撃!
          ――――――――――――――――――

第6話の前書きでは3日に完成させると言ってみたり4日まで音沙汰ナシだったりと、自分の発言の無責任さが見え見えになりましたとさ。
ごめんなさいそのかわり2話分仕上げましたので勘弁してください何でも(略

サブタイトルと上記のなんちゃってイベント説明は、艦これで行われた過去のイベント海域の説明を意識してみました。

7話と8話と9話は、googleマップなどで南鳥島周辺を見ながら読んでいただくと、描写が分かり易いかもしれません。


第7話:発進!デスピナ航空隊 (前編)

副長「では、航空隊の発艦について説明いたします」

デスピナ「あれ、副長がやるのか? クゥは?」

副長「なんか、「久しぶりに航空隊の活躍が出来るから」って、航空兵達に激励していてそれどころではないようです」

デスピナ「そうか」

副長「では、説明いたします。まず、コマンド画面から"航空管制"を選択してください」

 

ボタンをタッチする。

別の小窓ウィンドウに、上から"戦闘隊" "爆撃隊" "攻撃隊" "輸送隊" "全航空隊一覧"の、5つのボタンが表示される。

今回の作戦はまず、南鳥島に巣食う離島棲鬼の偵察と、北西に発進した航空隊の追撃のため、戦闘隊をタッチする。

 

副長「次に――あ、それで合ってます。はい」

 

あ、ゴメン勝手に進めちゃった。

 

タッチすると、各種戦闘機で編成された、1種類につき36機で1個大隊を編成する航空隊が、以下の順番で並んでいる。

 

 

戦闘隊一覧【部隊表示切替】【一括解隊】

 

戦闘機|  EJ24  |12機|第零中隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦闘機|ファイター|36機|第1大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦闘機|ファイター|36機|第2大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦闘機|ファイター|36機|第3大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦闘機|ファイター|36機|第4大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦闘機|ファイター|36機|第5大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

 

(【】で括られている単語はタッチボタン)

 

 

【部隊表示切替】を押してみると、EJ24を含め12機で1個隊を編成する合計16個もの戦闘機中隊が、「○大隊隷下」と言う分類で表示された。

 

デスピナ(うわ…気持ちわる)

 

「戦闘機」「ファイター」「第○中隊」の字がゲシュタルト崩壊を起こしそうなので、もう何回かタッチして大隊規模の表示に戻す。

例外として、総数12機しかないEJ24は、中隊規模でも大隊規模表示の一覧の中にもいる。

 

デスピナ「さて、飛び立った敵は、確認出来ただけでも70機。艦娘がこの向こうにいると仮定した場合、すでに同じ規模の航空隊は、俺たちが補足する前に飛び立ったと踏んだほうが良さそうだな」

副長「不測の自体に備えて、第零中隊と第1から第4大隊を発艦させるのが良いのでは無いでしょうか」

 

素早く暗算する。…156機、加賀さん改の1.5人分ちょいか。何だこの例え。

 

デスピナ「そうだな…クゥ! 戦闘機の兵装で対空戦用の物は何がある!?」

 

ガラガラと格納ブロックのシャッターを上げて、航空参謀が顔を出して答える。

 

航空参謀「EJ24は20mmバルカン1基、対空ミサイルはステルス捨てていいんなら、中短距離合わせて満載で12発! ファイターは27mmリボルバーカノン1基と中距離レーザー砲1基、対空ミサイルは最大8発っす!」

 

EJ24てステルス戦闘機だったのか。少なくともデスピナがいたマジモンの「EDF」では。

それよりファイターにレーザー砲!? やっぱすげぇよEDF。

 

デスピナ「分かった。第零中隊と第1から第4大隊の兵装を、対空戦使用に換装して出撃準備を急げ!」

航空参謀「そう言うと思って、既に予備の第5大隊込みで換装も準備も終わってまっせ旦那! あとはそのビッグでドデカい飛行甲板(デッキ)に誘導してくれれば、いつでも出れますぜ!」

 

流石はデスピナ航空隊参謀、仕事が早い。

 

デスピナ「よし。ならあまり時間がないから手短に言うぞ。第零中隊の任務は、南鳥島・離島棲鬼上空を通過して地上目標を偵察、その後は北西の敵航空隊の索敵と追撃だ。第1と第2戦闘大隊は、南鳥島北側を迂回して別ルートから敵航空隊を追撃し、その後は北西方向に居る深海棲艦の観測機・偵察機含めたすべての航空機を撃墜、制空権を確保してくれ」

航空参謀「りょーかいっ! しっかり伝えておきまさァ!」

 

そう言って、彼女は格納庫へ降りるシャッターに再び身を隠した。

 

航空参謀「あ、あともう一つ!」

デスピナ「なんだ?」

 

シャッターの中に戻りかけた航空参謀が、再び顔を出して話しかけてきた。

 

航空参謀「今後からは、戦闘大隊のことは"ファイター"にナンバーをつけて呼んでてやってくだせぇ。これがあいつらの()()なんでね!」

デスピナ「了解、今後はそう呼ばさせてもらうよ」

航空参謀「編成の名称についてはまた後でくわしくお話しやす。んじゃ!」

 

今度こそ戻っていった。

 

デスピナ(よし、では)

 

深呼吸を一回。

 

デスピナ「でも、流石に10発以上ミサイル積んだジェット機を150とか飛ばすのはやりすぎだろうし、敵機追撃に出撃させるのは第2大隊(ファイター2)までにするか」

 

まぁ、これでも84機はいるんだけどさ…。

 

副長「それもそうですね。航空参謀! 第3、第4は出撃準備だけすませて待機させて!」

航空参謀「ちぇっ、りょーかい……第3大隊(ファイター3)第4大隊(ファイター4)各機! わりぃけど、お前らは今しばらく待機だ!」

 

そして、第零中隊から第2大隊の計3つの航空隊の【出撃準備】ボタンをタッチ。

するとタッチした順番にボタンが【出撃中止】に変わり、背負っている艤装の左後ろからエレベータの駆動音がする。戦闘機をエレベータに載せて、出口に運んでいるようだ。

 

副長「デスピナさん、飛行甲板を」

デスピナ「持ち上げるんだな?」

副長「そうですっ。あとは、航空隊が甲板前方に乗ったら、トリガーを引いて、カタパルトで発艦させてください!」

デスピナ「了解!」

 

ようやく、この時が来た。

なんの運命の悪戯のせいか大分遅れての初使用となる、左腕の140cm長の飛行甲板の中腹のあたりから、収納式のグリップを引っ張り出し、握って持ち上げる。

二の腕上部に取り付けられているジョイントが動き、前方を水平にするとそれに合わせて後方も水平になる。

飛行甲板後部をシャッター入り口の下に持っていくと、磁力か何かでロックが掛かる。

 

再びシャッターが開き、中からミニチュアサイズの戦闘機が2種類、F-22似のやつが2機と、F-22とSu-27系(スホーイ)の相の子にカナード翼がついたようなやつが12機、合計14機のミニチュア戦闘機が、小さくエンジン音を立てながら出てきた。

 

F-22似のやつは、ミニチュアの数からして多分EJ24で、残りの12機は消去法でファイターだろう。航空参謀の言っていた「レーザー砲一基」とは、前輪の後ろの、左右のエアインテークに挟まれたビッグでぶっといソレだな。

なお、全ての機には航続距離確保の為の増槽タンクが2個ずつ装備されていた。

 

ミニチュアの数から計算して、コイツら1機につき6機で一つ編成される小隊となるに違いない。前世で見た艦これアニメでも、空母娘の弓から放たれた矢が複数の航空機に分裂してたし、合ってる筈だ…と思う。

 

最後に航空参謀が、両手に赤いパドルを持って飛行甲板に出てきた。どうやら、部下達の記念すべき初任務の見送りにきたらしい。

 

航空参謀「オーライ! オーライ!」

 

航空参謀の誘導に従い、まずEJ24が2機、横に並び甲板前方に滑るように移動して止まる。それに続くファイターは3列縦隊で続く。

ファイターの最前列はEJ24から1機分ほど間隔を空けて止まる。

すると、EJ24のすぐ後ろの甲板の一部がめくれ上がってブラストディフレクターとなり、エンジン音が高く大きくなった。

ディフレクターの上には、逃げたジェット排気の高温で蜃気楼が立っている。

 

 キィィィーーーーン!!

 

EJ24(ファイターゼロ)妖精《こちら第零中隊(ファイターゼロ)、隷下の2小隊とも発艦位置につきました。出撃準備完了しています!》

 

航空妖精から、左耳に装着しているヘッドセットに通信が入る。

 

デスピナ「ファイターゼロへ、発艦を許可する。蚊トンボ共に一泡吹かせてやれ」

ファイターゼロ妖精《了解!》

 

 ゴオォォォォォォオオーーーー!!

 

エンジンの音が甲高い物から、バリバリと雑音が混じった轟音に変わる。アフターバーナーを点火したのだ。

デスピナ(さぁいよいよ、待ちにまった航空戦だ!)

ところで俺って「さぁ」て言うの好きだね。何でだろうね。

 

俺は大声で、鋼鉄の翼を持った狩人達を大空へ送り出す。

現用戦闘機の主材料が本当に鋼鉄なわけ無いけどさ。

 

デスピナ「デスピナ航空隊……発進!!」

【BGM:TOP GUN「Danger Zone」】

 

叫ぶと同時に、飛行甲板のグリップのトリガーボタンを押す。

 

 カチッ

 シュゥゥーーン!!

 

射出された2機のミニチュアEJ24は、10mほど上昇しながら直進し、一瞬光に包まれ、分裂。2回りも3回りも大きなサイズの、12機の戦闘機に姿を変える。

コマンド画面の、第零中隊の項目の【出撃中止】ボタンが【帰還】に変わった。

 

ディフレクターは後続のファイターを発艦させるべく、再び甲板の一部に溶け込んだ。

 

すぐにミニチュアファイター3機が移動を開始する。残りの9機も後ろに続く。

3機のうち2機は前方のカタパルトで、もう一機は飛行甲板の前方に描かれている2本のアングルドデッキの内、前方にあるもう1基のカタパルトで、それぞれ発艦準備を完了させる。スペース的に、カタパルトは全部で3基ね。覚えた。

再びディフレクターが起き上がり、航空妖精から無線が入る。

 

ファイター妖精《こちらファイター1。隷下の1中隊と1小隊の発艦準備完了!》

デスピナ「よし。ファイター1所属の機は、続けて発艦せよ。ファイター1、発進!」

 

再び戦闘機から轟音が鳴り響き、俺はグリップのトリガーを引く。

 

 シュゥーンシュゥゥーーン!!

 

12機で編成される1中隊と6機で編成される1小隊の、計18機のファイターが上がり、続く18機で第1戦闘大隊全機の発艦を終えた。

 

デスピナ「ファイター2、続け!」

 

この調子で、戦闘隊を上げて行く。

 

 

 

おおよそ2分ほどで、第零中隊から第2大隊、機数に直すと合計84機もの大航空団が、6月の太平洋の日差しを機体背面(せなか)に受け、大空に向けて雄々しく舞い上がった。

左腕の飛行甲板を下ろし、肩を休める。

 

デスピナ「ファイターゼロは、まず低高度で南鳥島に接近し、目標を視認次第上昇、高高度から離島棲鬼偵察を敢行せよ。その後は北西へ進路を変更し敵航空隊を追跡、位置と目的を探れ。発見次第ファイター1・2に位置を伝え、敵航空戦力を撃墜せよ」

ファイターゼロ《了解》

 

離島棲鬼の偵察機によって補足されて母艦である俺が交戦状態になったり、増援を呼ばれたりする場合の事も考慮し、出来るだけ無駄無く少ない手数で情報を集め、後の奇襲作戦を素早く、かつ有利に運ぶ道を選択する。

今回の場合、EJ24で構成される第零中隊は偵察隊、ファイター1・2の72機は制空隊と言った所である。

空中管制機(AWACS)が無いのが不満と言えば不満だが、無い以上贅沢は言えないので、初歩的な偵察飛行を敢行する訳だ。……大型攻撃機ホエールって空中管制には使えないのかしら。

 

デスピナ「ファイター1・2は水平線の影に隠れながら、あまり速度は出さずに出来るだけ狭い半径で南鳥島を東から北に迂回し、北西方向へ向かいファイターゼロからの索敵結果報告を待て。ファイター2は間隔を十分に取り、ファイター1に続け」

ファイター1・2《《イエッサー》》

デスピナ「なお、離島棲鬼への直接攻撃は後続の爆撃隊が行う。無理に南鳥島には接近するな。撃墜される恐れがある」

 

念のため釘をさしておく。

 

 

 

さて、続いて爆撃隊の選定に入る。

 

航空参謀「島の空爆なら、通常弾沢山積めるカロンで数にモノ言わせるか、"クラスター弾"搭載のミッドナイトかアルテミス、対艦戦闘なら精密爆撃が出来るミッドナイトがお勧めっすね。制空権が取れてるなら大型攻撃機ホエールを出してもいいっすよ」

デスピナ「ふむ……」

 

戦闘機隊(ファイターズ)を出撃させるのにも利用したコマンドの"航空管制画面"から、今度は"爆撃隊"を選択する。

今度の編成は以下の通り。

 

 

爆撃隊一覧【部隊表示切替】【一括解隊】

 

戦術爆撃機|カロン|36機|第1大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦術爆撃機|カロン|36機|第2大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

戦術爆撃機|ミッドナイト|36機|第3大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

制圧攻撃機| アルテミス | 36機|第4大隊|【出撃準備】【攻撃指示】【解隊】

 

 

デスピナ「えーと、第3爆撃大隊(ミッドナイト隊)のことは、ボマー3って呼べば良いか?」

航空参謀「いや、あいつらの事は、是非"アタッカー"とでも呼んでくだせぇ」

 

ゲーム中でよく「攻撃機」呼ばわりされていたせいだろうか? いや自分でも呼んでたなそう言えば。

"爆撃隊"の括りの中にいるくせに攻撃者(アタッカー)とは紛らわしい。

 

デスピナ「第4爆撃大隊(アルテミス)の方は?」

航空参謀「"制圧者"の英語読みで、suppressor(サプレッサー)っす」

デスピナ「了解っと」

 

南鳥島の攻略には、滑走路を効率よく潰して砲台の頭数を減らす為にも、クラスター弾を使うのが良いと思われる。

今回は先行したファイターゼロからの偵察結果が来次第すぐの空爆になるだろうから、いざって時に高高度に退避させる事が出来る"戦術爆撃機ミッドナイト"を出撃させるのが妥当であろう。

 

デスピナ「ミッドナイトの武装には、何がある?」

航空参謀「通常爆弾とクラスター弾、後は、あまり数はありやせんが、"新型貫通弾グラインドバスター"のいずれかを搭載できまっせ」

 

話は脱線するが、EDF4シリーズに登場するカロン戦術爆撃機が使う爆弾って、本当に従来型の爆弾なのか? 光球が煙出しながら真っ直ぐ落ちてくる所しか、前世で遊んだゲーム中では見たこと無いんだけど……。

 

話は戻り南鳥島は、1辺およそ2kmの三角形である。裕一の前世で遊んだEDF4.1のマップの1辺が1,000mの四角形だった事、ミッドナイトを要請した時に投下していたクラスター弾の爆撃範囲を考慮すれば、1中隊もいれば十分だろう。高速で飛行させて、1機あたりの攻撃範囲をある程度引き伸ばせば何とかなりそうだ。滑走路を潰せば、後はカロンなりアルテミスなりホエールなりでいたぶり放題だ。

 

残りの2中隊は、通常爆弾と……。

 

デスピナ「クゥ、第3爆撃大隊(アタッカー)隷下の1・2中隊は、北西に向かった深海棲艦攻撃用にに通常爆弾とグラインドバスターをそれぞれ換装させてくれ。3中隊は、離島棲鬼攻略用にクラスター弾を」

航空参謀「とっくに済ませてありますぜ旦那! 何が起こっても良いように、武装は常に複数のミッションに対応出来るようにするのがウチのやり方ですんでね! まぁクラスター弾を搭載しているのはアタッカーA…いや第1中隊で、グラインドバスターは第3中隊っすけど」

 

おー…流石は航空参謀。本当に仕事がお早いようで。なら……

 

デスピナ「後、ミッドナイトの撃ち漏らした砲陣地の一掃に、カロンかアルテミスを使いたいんだけd」

カロン妖精「はいはいはい! 私が、いや我々が出ます!!」

アルテミス妖精「いいや! ここは"制圧"の名に相応しい我々が!!」

デスピナ「……航空参謀」

航空参謀「おう! カロンにアルテミス、通常爆弾もクラスター弾も満載でいつでも発進出来ますぜ!」

 

ちと有能すぎやしないだろうか。それとも俺が抜かっているだけか?

何にせよ、もう出撃できるならそれに越したことはない。

ところで、大隊隷下の中隊単位の呼称には、アルファベットをつけて呼ぶって事でOK?

 

デスピナ「護衛戦闘機は、敵棲鬼攻撃隊(アタッカーA)にファイター3を、北西に向かうアタッカーB・Cにはファイター4を随伴させる」

航空参謀「! なーるほど、粋なことしますねぇ旦那ァ…喜べお前らぁ!! 次は我らデスピナ航空隊の花形、爆撃機隊の出撃だー!!」

カロン隊/ミッドナイト隊/アルテミス隊「「「ウォォォーーーー!!!」」」

 

また航空参謀による激励が始まった。

 

航空参謀「最初の出撃は……ミッドナイト・アタッカーズ! フル装備での出撃命令だぁぁーーッ!!」

ミッドナイト隊「「「イヤッホォーーーー!!」」」

カロン隊「「「えぇぇーー!?」」」

アルテミス隊「「「そんなぁー!!」」」

 

喜びの歓声の中に、落胆の声が混じる。

 

航空参謀「更にもう一丁!」

 

その声を聞いて、一同は静まり返る。

 

航空参謀「島の残敵掃討にはー……カロン隊準備は良いかぁーッ!!?」

カロン隊「「「オオォォーーーー!!」」」

アルテミス隊「「「チクショーー!!」」」

 

ごめんね。その内君達にも活躍してもらうから。……多分。

 

航空参謀「護衛は、第3戦闘大隊(ファイター3)第4戦闘大隊(ファイター4)!! こんときのためにお前らを残しておいたッ! ミッドナイト(真夜中の死神)と一緒に、思う存分ぶっ放せッ!!」

ファイター3・4妖精「「「イェェェーーーイ!!!」」」

 

その後、ミッドナイト隊の更なる後続として投入される、戦術爆撃機カロンで構成される第1爆撃大隊ことボマー1には、予備として備えておいた第5戦闘大隊(ファイター5)を出す事を決定した。

 

 

 

航空妖精達の士気が再び高まった所で、もう一度発艦作業に入る。

 

航空管制メニューの"爆撃隊"内、ミッドナイトで構成される第3爆撃大隊、通称"アタッカー"の項目にある【出撃準備】を押す。【出撃中止】に変わる。

ファイター3・4も同様に操作する。

左腕の飛行甲板を持ち上げ、艤装左の航空機格納ブロックのエレベーターから上がってきた航空機たちを迎え入れる。

まずはミッドナイトのミニチュアが6個、次に護衛戦闘隊としてファイター3・4所属の小隊(ミニチュア)が12個、飛行甲板に3列縦隊で並ぶ。

 

"戦術爆撃機ミッドナイト"。EDF4シリーズでは、圧倒的な防御力を誇るフォーリナー最大の地上戦力である「四足(よつあし)歩行要塞(ほこうようさい)」や低速で飛行する敵の輸送船を、地上部隊(=プレイヤー)に見えない程の高空から"新型貫通弾グラインドバスター"で破壊してみせた。エアレイダーの支援要請の一つである「クラスター弾」の要請時のみその勇姿を拝む事が出来る、全翼機型の爆撃機である。

尚、今回登場しないカロンとアルテミスも、実は全く同じ形をしていたりする。こいつ等の違いや如何に。

 

ミニチュアミッドナイト3機が、甲板前方3箇所のカタパルトについたのを確認すると、通信が入る。

 

ミッドナイト(アタッカー)妖精《こちらアタッカーズ! 発艦準備完了!》

デスピナ「了解。アタッカーA・B・C各機へ。上がり次第巡航速度で目標へ向かえ。護衛のファイターは到着までに合流させる」

アタッカー妖精《《サーイエッサー!》》

デスピナ「では、発艦を許可する」

 

ディフレクターが上がると同時に、ミッドナイトのエンジンが最大出力になったのを音で確認し、発艦させる。

 

デスピナ「アタッカーズ、発進!」

 

 ギュゥゥウウーーンッ!!

 

アタッカー妖精《イヤッホーー!!》

 

ミッドナイト3個小隊=18機を発艦させ、続く18機でアタッカー全機の出撃が完了した。

 

続く護衛のファイター3・4も全機発艦させ、合計3分程で発艦作業が完了した。

 

 

 

――――――――・・・・・・・・――――――――

 

 

 

アタッカー(爆撃機ミッドナイト)発艦から約15分後。

巡航速度一杯のマッハ1(≠1224km/h)越えで西北西に向けて先行した、EJ24・第零中隊ことファイターゼロは、南鳥島との距離おおよそ50kmに迫ったところで所で件の離島棲鬼を視認した。

事前に航空参謀から聞いた通り、周辺の海域は黒く染まり、水平線の上に薄く乗っかるように見える島は全体的に赤黒い。

 

そこへ中隊長機であるファイターゼロ1の航空妖精から、中隊内の無線封止を解除する意味合いを兼ねる通信が入った。

 

ファイターゼロ1《ファイターゼロ各機へ。レーダー起動、ECMオン。これより離島棲鬼の偵察に入る。中隊を4機編隊に分散せよ。ゼロ5、ゼロ9、2・3小隊を指揮しろ》

ファイターゼロ5・9《《了解》》

ファイターゼロ1《これより1小隊をアルファフライトとし、2小隊はブラボー、3小隊はチャーリーと呼称する。アルファ1よりゼロ中隊各機、高度3万ft(フィート)(≠9,000m)まで上昇せよ。アルファ全機、上昇!》

 

中隊長機の指示により、一時的に彼らの呼称は3種類に分けられた。

 

ファイターゼロ5《ブラボーフライト、上昇開始!》

ファイターゼロ9《チャーリー各機、エンジン出力上げろ! 上にあがるぞ!》

 

少し時間を空けて、残りの2小隊も続く。

全12機のEJ24がアフターバーナーを点火して出力を上げ、水平尾翼とフラップを動かして急上昇を開始した。

 

ファイターゼロは、先述した通りEJ24戦闘機12機で編成される戦闘中隊である。

12と言う数字は、複数の小隊や分隊に分けるのに便利だ。

例えば、敵戦闘機1機に対する戦闘機同士の格闘戦において基本となる2機編隊なら、6つの分隊を作る事が出来るし、4機編隊の小隊なら3つ出来る。

他にも、現代の各国軍が保有する航空機同士で使う機会があるかは不明だが、3機編隊なら4個、6機編隊なら2個の分隊や小隊を作る事も出来る。今回の、と言うより今後しばらくの敵は深海棲艦側の航空戦力なので、どの編成がどこまで役に立つかなど、(艦娘用のジェット戦闘機を持っている提督なら兎も角)誰にも判りはしないのだが。

 

ファイターゼロの隊長機である「ファイターゼロ(ワン)(ゼロ1)」は4機編隊を選択。南鳥島を3段階に渡って通過し、1回の目視偵察では掴みきれない情報を3小隊で視察し中隊内で把握、最終的にアタッカーAに偵察結果を通達する仕組みだ。

 

今回当戦闘隊に宛てられた任務、「離島棲鬼偵察」と「敵航空隊追撃」の2つの内前者は、ある意味軍用航空機の本質と言っても過言ではないであろう、偵察。

後続の敵離島棲鬼攻撃隊である"アタッカーA"こと「第3爆撃大隊(ミッドナイト隊)隷下 第1中隊」に、南鳥島に布陣された砲台群と飛行場施設の配置情報を送る事が、彼らの役目である。

 

数十km離れているとは言え、相手からも視認出来る位置に来てしまった以上、そう遅くない内に離島棲鬼に補足されるだろう。仮に、今更母艦であるデスピナから作戦中止や帰還命令が言い渡された所で、逃げることは出来ない。

実際、EJ24のエンジン全開で敵戦闘機の速度は振り切れても、機体の燃料には限りがある上、母艦であるデスピナが敵航空機の速度から逃げ延びる事は難しい。発見されて機動艦隊の増援でも呼ばれれば、敵の親玉である離島棲鬼を潰さない限り厄介なことになる。

 

やがて高度3万ftに到達し、機首を水平に戻す。

 

ゼロ1《アルファからブラボー・チャーリーへ。小隊間の間隔を広く取れ。間もなく目標直上だ》

 

ブラボーフライトとチャーリーフライトから了解を意味する通信が入る。

EJ24全機はアフターバーナーを切り、再び巡航速度のマッハ1で飛行を続けた。

 

 

 

そして2分後。

 

突然、ファイターゼロ所属のEJ24戦闘機全機の無線が、謎のノイズに見舞われる。

【BGM:EDF4「侵略」】

 

 ザザザツ…ザザッザーザーッ……

 

すぐに、同じ中隊所属の味方機から通信が入る。

 

ゼロ5《こち――…(ザザザー)ファイ(ザザッ)――『ソコカラ……クルトハ…ネ……』応と――よ!》

ゼロ9《こ――(ザザー、ザッ)――『……イイ…デショウ……』――クソッ――(ザーザザザッ)――ジャミン――はげし――》

 

しかし、内容はノイズだらけの上、まるで心霊番組で紹介される怨霊の声のようなモノが混じる。

本当に怨霊か何かの仕業なのかは、霊媒師や呪術師が搭乗する電子戦機なら判別がついたかも知れないが、空戦が専門(今回の任務は偵察だが)の戦闘機のコクピットに座るパイロットには何が正体だろうとさしたる問題ではない。

少なくとも戦闘機乗りにとって重要なのは、"()()()に白昼堂々通信妨害を仕掛けられた"と言う事実が、自らに課せられた任務に支障をきたすのか、自分や味方によって対処出来るのかの2つだけだ。

 

ゼロ1《ECCM作動! 通信を回復せよ!》

 

中隊長がECCM――対電子妨害装置――を作動させ、ファイターゼロ全機の確認を取る。

ゼロ1のECCMによってある程度ノイズが軽減されたようで、他の味方機も隊長に習って作動させると、通信が回復した。

 

ゼロ5《こちらブラボーフライト、全機無線クリア》

ゼロ9《チャーリーフライト、通信回復しました》

 

ここでアルファーフライト隊長であるゼロ1から、先のノイズについての見解と、次の行動が示される。

 

ゼロ1《こちらアルファフライト。どうやら敵に補足されたらしい。全機、これよりファイターゼロは南鳥島の南西側を旋回しながら通過し、偵察を敢行する。迎撃機が上がってきた場合は、一先ず速度で振り切り別ルートを飛行中のファイター1・2に後ろから叩いてもらう。いいな?》

ゼロ妖精《《イエッサー!!》》

 

隷下のパイロット達から威勢の良い返事を聞くと、隊長機は加速し南鳥島を南側から右手に捉える形でアルファ小隊を先導する。ブラボーとチャーリーも、1~2km間隔を開けて続いた。

 

丁度南鳥島が右に見えるまで西に直進を続けてから、ゼロ1が宣言した。

 

ゼロ1《アルファ、偵察開始! 我々は島の東側を重点的に視察する!》

 

同時に、機体を大きく右側にバンクさせ、パイロットの妖精の右上に目標を捉えた。

こちらを迎撃するためであろう敵戦闘機も上がり始めている。

 

ゼロ1《全機加速しつつ大回りで旋回せよ! 追いつかれるなよ!》

ゼロ妖精《《サーイェッサー!!》

 

ファイターゼロを補足した時からだろうか。離島棲鬼の周囲の黒々とした海面は赤い絵の具をこれでもかと溶かし込んだような暗い(あか)に染まり変わり、南鳥島上空は重苦しい空気に包まれていた。




今作の中で登場するデスピナ航空隊の戦闘機の「EJ24」は「地球防衛軍3」に、「ファイター」も「地球防衛軍4(≠4.1)」に、それぞれ名前だけ登場した戦闘機の名前です。
私のイメージとしては、EJ24がF-22ラプターのような感じ(あるいはF-35系統)で、
一方のファイターは、ロシアで開発中のステルス戦闘機であるPAK FAに、カナード翼をつけた形のモノを想像しております。
裕一君が「F-22とスホーイの相の子」と表現した理由は、PAK FAがF-22に似たシルエットをしている(と私が思った)からです。

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