"要塞空母デスピナ" スターティングオペレーション! 作:SAIFA
すみません、仕事で疲れて中々執筆が進まず2週間以上も更新停止が続いておりました。
しかし、まだまだ本家「要塞空母デスピナ出撃す。」の時系列で言えば序盤であり、途中で執筆をやめるつもりはありませんので、私の拙い文章でも楽しんでもらえる方には、首を2~3cmほど長くして待って頂けたらと思います。
さて、今回は対離島棲鬼戦の決着と、普通に読んでいては恐らくすっかり忘れられてしまっているであろう連中の活躍がメインとなります。
(艦これ要素どこ行っちゃったんだろ…)
今回はなんちゃってイベント説明は思いつかなかったのでありません。
(特殊タグを試験的に導入)
最後に、今回のお話では離島棲鬼ちゃんが相当酷い目に遭わされますので、彼女の事が好きな提督さん方は注意が必要かもです。
……私の文章力で迫真さが伝わるかは正直微妙ですが、念のため。
デスピナ「
流石にいつまでも20ノットで移動し続けるのはのろいと感じた俺ことデスピナは、今は30ノットで航行中。
つい先ほど
"戦術爆撃機カロン"。この機もEDF4シリーズに登場した全翼型の爆撃機である。様々なミッション内でその勇姿を拝めた他、エアレイダーの支援要請である「爆撃プラン」や「機銃掃射プラン」で呼び出すことが出来た。
ミッドナイトと違い高高度を飛行する事は無く、プレイヤーの視界で十分捉えられる高度から、一機につき一列に絨毯爆撃を敢行していた。
姿は何故かクラスター弾を投下するミッドナイトやアルテミスと全く同じであり、前世で遊んだEDF4.1のダウンロード配信のとあるミッションではついにカロンもクラスター弾を投下しだした為、"同じ機体を違う名前で呼んで種類を水増ししている説"まで上がる始末。
今度真剣に違いを研究せねば。
カロン(ボマー)妖精《こちらボマー1、発艦準備完了した》
デスピナ「了解。ボマー1全機へ、先行したミッドナイト隊からの情報によれば、島の一辺を1列空爆するだけでも3機は必要との情報だ。編隊を3つ以上に分け、あらゆる方向から敵を粉砕せよ」
ボマー妖精《了解》
ミニチュアカロンのエンジン出力が最大になる。
デスピナ《よし。ボマー1発艦始め!》
俺はトリガーを引き、カロンのミニチュア6つ――6機×6小隊――を二回に分けて空に打ち出した。
ファイター妖精《ファイター5、発艦準備よし!》
デスピナ「了解。君たちが戦闘隊最後尾だ。他の隊に負けぬよう、しっかり働いて来い」
ファイター妖精《EDFの誇りにかけて!》
ミニチュアファイター3個がカタパルトに設置されたのを確認し、俺がトリガーを引いて発艦させる。
何かこう、楽しいね。トリガーボタンを『カチッ』と押して戦闘機飛ばすの。クセになりそうだ。主に人差し指が。
――――――――・・・・・・・・――――――――
航空参謀《よし、アタッカー4から6はウチらの左隣について砲陣地! 2と3はウチと一緒に滑走路潰すぞ!》
アタッカー2~6《《イエスッサー!!》》
航空参謀《前後の間隔を100m空けて高速で突っ込め! 一撃でケリをつける! タイミング見誤ンなよ! あとファイター3、直衛機を1小隊だけくれ! 残りはこの辺りで少し待ってろ! ウチらのケツに迎撃機が上がって来次第、ミサイルぶっ放せッ!》
ファイター3《イエッサ。お気をつけて》
航空参謀の指示通り、護衛の
ミッドナイト6機が加速する。
何故か
離島棲鬼北西の砲陣地の内対空砲と思しき砲台が多数、ミッドナイト隊を睨み付ける。
航空参謀乗機と追従する5機のミッドナイトが加速する。
1分ほどで、ついに爆撃目標直上に到達。
航空参謀《空爆開始ィ!!》
ミッドナイト6機はマッハ0.9(≠1101km/h)に加速し、敵の対空砲火は彼(女?)らを迎えるささやかな花火となる。
ECCMを起動させてもなお無線にはノイズが入り、例の
《(ザザーッ)――『……コノッ…コノッ…!! オチナサイッ…ヨ…!! オチナサイッッ!!』――(ザーッザザザ)――》
航空参謀とアタッカー4は並行して砲陣地と滑走路の端からありったけのクラスター弾を投下。2秒で搭載していた弾薬を全て使い切った。
航空参謀乗機が狙う滑走路には、敵の航空機がスクランブル発進しようと次々に現れた。だがいくら戦闘機と言えど、地上を歩いているだけならばこれ以上に狙い易い獲物は居ない。
続くアタッカー2とアタッカー5が、先頭の2機の投下が終わった地点からクラスター弾を投下。
投下の最中、アタッカー2の目下の滑走路には、深海棲艦の特徴的な見た目の航空機達の姿があった。
2列目の2機が投下を終える頃には、航空参謀とアタッカー4の投下したクラスター弾が着弾し始めた。投下されたクラスター弾は(当然だが)問答無用・手加減不要で、地上の目標を撲殺しにかかる。
ズガガガガガガーッ!!
ズバァァンッ!! ガガガァァァーーーーンッッ!!!
ダダダダダダダァァァッ!!
東側と南側でも繰り広げられた破壊の波が、離島棲鬼最大規模の砲陣地と飛行場、そして健気にも離島棲鬼を防衛する為に離陸を開始する敵の航空機達を次々に吹き飛ばす。後ろから迫り来る爆発の連鎖から逃れるように離陸を開始する戦闘機達は、後ろの機から次々と砕け散り、炎の壁に呑まれていった。
砲陣地では大きな爆発が数回起こり、大型の砲台は今までの重々しく猛々しい威容が嘘のようにひしゃげ、飛び上がり、ひっくり返る。
《――(ザッザザ)―『…ヤメテ…ヤメテェ……! ……ヤメテェェェーー!!』――(ザザザー)―》
最後に3列目のアタッカー3・6が、2と5の投下終わりの場所から最後の攻撃を開始。
アタッカー3の真下では、敵の航空機が未だに発進を諦めていなかった。航空参謀から始まった滑走路の
アタッカー3は、後ろから迫ってきた
が、深海棲艦の航空機にとっての"真の死神"のレーダーにも、彼らのマヌケな背中は映っていた。
ファイター3妖精《今だ! ミサイルファイア! フォックススリー!!》
ファイター3妖精《フォックススリー! アタック! もらったぁ!!》
シュゥゥゥッ―――!
シュゥーッシュゥゥーーンッ!
ズガンッ! ズガガンッ! ドゴォオン!!
ファイター3妖精《ハハッ、俺たちがいること忘れられちゃ困るぜー!!》
南鳥島南西で控えていた
せめてもの報いにとアタッカー3の腹を突こうと急上昇した敵の迎撃機達は、叩き落される
爆撃を終えたミッドナイト6機は、一度南鳥島を時計回りに旋回し点呼を取っていた。
航空参謀《おい、全機無事か!?》
アタッカー2《こちらアタッカー2、隣のアタッカー5ともに損害ありません》
アタッカー6《アタッカー6、3も無事です。》
アタッカー3《中々にガッツのある"蚊トンボ"でしたね。さっきの》
航空参謀《ハハハ、違いねぇ! おい、アタッカー7から12、お前らは大丈夫か?》
別働して砲台を叩きに行った筈のミッドナイト達が見当たらない。もっとも、すぐに通信が入ったため撃墜されたわけでは無いのだが。
アタッカー7《こちらアタッカー7。我々と護衛機は、補給のため一時帰投中。アタッカー8から12も一緒です》
全弾撃ち尽くしたため、一足先に帰路に着いただけのようだ。
航空参謀《おう! ご苦労だったな。すぐに後続の
アタッカー7《了解。そちらも無事で何よりです。では、これより帰還します》
そう言って無線が切られた。航空参謀からアタッカー6、そして最後まで護衛についていたファイター18機が、第一次攻撃隊の中で最後だった。
敵の砲台は粗方破壊ないしは沈黙したのをレーダーで確認し、敵の滑走路は使い物にならなくなったのを目視で確認する。
初めてここに訪れて偵察を敢行したファイターゼロの言っていた通り、ミッドナイト12機だけでは完全に破壊しきれていなかった。
現に、敵の対空砲火は数こそ少ないものの今だ南鳥島の所々から上がり続け、まだ生きているのかどうか分からない砲台や敵施設がちらほら見えた。
対空弾が数発掠めたが、航空参謀は気にせず無線で連絡を取った。
航空参謀《アタッカーAから要塞空母デスピナへ、敵は殆ど片付けやした。現在アタッカー7から12と、ファイター3所属の18機が帰還しますんで、収容お願いしまっす》
デスピナ《了解。お前達も帰るんだな?
航空参謀《おう! 取りあえずは任務完了したんで、これより帰投しやす!》
一度通信を切り、アタッカー2から6と、護衛のファイター3所属機18機に再度通信を掛ける。
航空参謀《アタッカー1より随伴機全機へ、帰投すっぞ》
アタッカー2《イエスサー》
ファイター3《了解。追従します》
航空参謀たちは隊形を組み、燃費を考え高度を上げて帰路についた。
追いすがるように離島棲鬼の対空砲火が飛んでくるが、彼らに届く事は無かった。
――――――――・・・・・・・・――――――――
ミッドナイトチーム隷下
南鳥島から東に160kmの所で、
ボマー1《アタッカー、お疲れさん。後は俺たちに任せておけ》
アタッカー《へっ、もう仕事全部取っちゃったもんね。一方的になるぞ》
ボマー1《そいつはいいな。楽なぶん適当に遊んで帰ることにしよう》
アタッカー《間もなくすれ違う。最後にバトンタッチさせてくれ》
ボマー1《おう、ぶつかるなよ》
10秒ほど経ち、ミッドナイト達が前方に見え、やがてカロン隊とすれ違った。
距離20mほど上の高度を、ミッドナイト6機が通過。
ファイター18機もそれに続く。
1分後、今度は
航空参謀《アタッカー1よりボマー1、大分吹っ飛ばしたが、対空砲がちょいと残ってる。墜ちないように気ぃつけろよ》
そう言って、航空参謀達は上空を通り過ぎて行った。
ボマー1-1(あと9分…)
それまでに、爆撃機の進入ルートを決めなければならない。
既に滑走路は破壊されているため、離島棲鬼直轄の迎撃機が上がってくる心配は無い。だと言うのに護衛に
ボマー1-1《ボマー各機へ、目標から十数kmの所で大隊を3つに分ける。島の3辺と中央付近の施設を、完全に叩き潰す》
ボマー1妖精《《了解》》
9分後、南鳥島東30kmの地点に到達。
隊長機のボマー1-1が、隷下の中隊各機に散開命令を出す。
ボマー1-1《ボマー1Aはこのまま直進して南側の砲台の残りを叩く。1Bは島の南から東を、1Cは北から北西だ。60秒後、各隊は旋回せよ》
ボマー1-13《ボマー1B、了解》
ボマー1-25《1C、了解しました》
1分後、目標との距離が14kmに迫った所で、隊長機の指示通りに、カロン13番機から24番機のBチームは、南鳥島東海岸の砲台を南から北に向かって叩くため一度左に旋回する。25番機から36番機のCチームは、右旋回し島の北側に向かった。
ファイター5も、12機中隊3つに分かれて、それぞれのボマー中隊をを追った。
とうとう離島棲鬼への最後の攻撃が始まった。
まずカロン1番機から12番機が横に6機ずつ2列に並び、南鳥島南側に到達。
ミッドナイト隊による先の爆撃を辛うじて生き延びた対空砲たちが、カロン隊の
12機の"戦術爆撃機カロン"は、1機ずつ前後の位置をずらして列を斜めにし、タイミングを変えて、まずは1列目の6機が南鳥島の端から満載していた通常爆弾(?)を投下する。
裕一にも分かるように言えば、"前後左右の間隔を空けた爆撃プランDの6機×2編隊バージョン"と言った所だろうか。
爆撃機カロンの積載量はミッドナイトのそれよりも多いため、島の一辺の空爆に3機も割く必要は無さそうだ。
ドガガガガガ――――!!
ズゴゴゴゴゴ――――!!
ゴガガガガガガッ!!
先行した
1列目が投下し終わったあたりから、2列目の6機も投下を開始、目標を粉砕する。
《―――(ザザーッ)――『…イヤ……! ……イヤ…! ……イヤァァ!!』――(ザッザザ)――》
20秒後、南に向かったBチームと北に向かったCチームが、離島棲鬼のそれぞれ東側と北西側の目標を空爆しにかかった。
カロン隊Aチームの時もそうだったが、狭い離島内で6機で横に並んでの空爆であるため、沿岸近くを狙っているとは言え島の内側にも大きな被害が出ていた。
バゴゴォォーーーーーンッ!!
ドゴーンッ! ズゴォーーン!!
《――(ザーザー)―――『…ア……アァ…! …ウアァァァァ!!』――(ザザザッ)―》
爆撃機たちの冷酷無比な空爆の嵐は、烈火の炎を伴って離島棲鬼を焼いた。
《――(ザザッ)――『…イヤァ…! イヤダ…ヤメテ……! …ヤメテェェェェ!!!』――(ザッザ)――》
爆撃機カロン36機大隊の投下した大量の爆弾によって、元より紅く染まっていた南鳥島全域が昼間の太陽の下でもよく分かるくらいに赤々と燃えていた。
《―――『アツイ! アヅイノォ…! モウ…イヤ……イヤアァァァーーー!!!』―――》
もうとっくに空爆は終えている。
爆撃機カロン達は、満載してきた爆弾を高速で飛行しながら数秒で落とし切ったため、発生した"嵐"は一瞬だけだ。
にも関わらず、未だに離島棲鬼が上げ続けている悲鳴は、単純に爆弾の威力が高く深い痛手を負った事と、相次ぐ爆発によって発生した、島全体を覆う大規模な火災である。
《――『うグゥゥ……! カはッ…!!』――》
ガッゴオオォォォォォーーーーーーンッッ!!!
《――『がッアアア ア ア゛ア゛!!!』――》
突然、ただ燃え続けているだけだった離島棲鬼を大爆発の閃光と炸裂音が轟いた。
カロン達の爆弾によって引き起こされた火災が、残っていた砲台の弾薬庫と火薬庫に次々と火をつけ出したのだ。
《――『ギ ァ ァ ァ ア ア ア ア!!! ア゛ア゛ア゛ァ ァ ァ ァ (バリバリッ)ァ ァ ァーー !!!!』―――》
離島棲鬼が、
それはまるで、何の前触れも無く突然やってきた
《――(ザザザー)―『―(ザーザー)―ッ!――……!! (ザー)…――』―(ザッザーーー)―――》
南鳥島上空に上がる火柱と黒煙が、勝利の旋回を行う航空隊を祝福していた。
ファイター5妖精(俺たち、今回ついていく必要あったか……?)
と、今更気付いた戦闘隊も含め、今度こそ南鳥島上空にあった機影達は
《―――『……―――…――――…――――、――――……―――……』―――》
ノイズが消えてしまった無線機のスピーカーからは、もう何も聞こえなかった。
――――――――・・・・・・・・――――――――
敵の攻撃をものとも……しないのかは分からないが、少なくとも一機の損失も無く一方的に敵を火の海にしてしまうとは……。自分で指示を出しておいて何だが、恐ろしい。
ボマー1《こちらボマー1、目標は完全に沈黙した。これより帰投する》
南鳥島との距離が約440kmちょいになった所で、離島棲鬼第二次攻撃隊"ボマー1"から通信が入った。
確かにコマンド画面のレーダーからは、例の離島棲鬼の反応は無くなっていた。
目の前の水平線の遥か彼方には、晴天にモクモクと黒煙が昇っているのが見える。
デスピナ「デスピナ、了解。ボマー1・ファイター5は直ちに帰投せよ」
とここで、また通信が。
航空参謀《こちらアタッカーAとファイター3。もうすぐそっちに着きやすんで、着艦の許可お願いしまっす》
デスピナ「了解。アタッカーAチームとファイター3各機へ、貴機の着艦チェックを実施せよ。着艦を許可する」
実は言ってみたかったんだよねこのセリフ。
俺は返答してから、一旦速度を落とす。
コマンドの航空管制画面からアタッカーAとファイター3の項目右の【帰還】ボタンをタッチし、左腕の飛行甲板を持ち上げる。
すると艤装の中から妖精たちがちょこちょこ出てきて、着艦のためのワイヤーを張りだした。
ファイター3《我々が先に着艦します》
直ぐにジェット機のエンジン音が聞こえ、任務を終えて帰ってくるミッドナイト12機とファイター36機を視認した。
1分後、まずはファイター3所属の"戦闘機ファイター"36機が6機ずつ1小隊に纏まり、2小隊が俺の左斜め後ろに回る。
高度を落としながら減速する。やがて2つの小隊は一瞬光に包まれ、一回りも二回りも小さなカナード翼つきのミニチュア戦闘機2機に姿を戻す。
そのまま俺の左腕の飛行甲板の、前方に2本描かれているアングルドデッキに着艦した。(後方の3本のデッキは、着艦ルート上の
甲板上のアレスティングワイヤーに機体のフックが引っ掛かり、機体を強制的に制動させる。
最後に艤装の妖精さん達が、ミニチュアを艤装左の格納ブロックのエレベータに誘導して、2小隊の収容は完了した。
同じ要領で、ファイター3所属の
所要時間は約2分。乗組員妖精さん達の手腕がとても良い事がよく分かった。
航空参謀「全機、帰投したっす」
俺は報告を受け、次の行動を考える。
コマンド画面から時間を確認すると、離島棲鬼に遭遇――と言うより発見――してからもう1時間が経つころだ。
一先ずは、目の前の脅威は消えた。これでやっと、全速力で島を通過して日本列島を目指す事が出来る。
デスピナ(あ、艦娘達の位置探らなきゃ。あと――)
航空参謀「旦那、ボサっとしてる場合じゃないっすよ。アタッカーBとCチーム、そんでファイター達がずっと向こうで交戦中っす。早いとこ迎えにいっとかないと、艦娘助けるどころかウチの部下がイルカとあそぶことになりやす」
デスピナ「そうだな。急いで向かおう」
再び機関出力を最大まで上昇させ、南鳥島北側を直線的に通過するルートで北西に向かった。
――――――――・・・・・・・・――――――――
南鳥島では、いまだに離島棲鬼が燃え続けていた。
「ウゥ……グ…! ……ガハッ…アア……」
デスピナとその航空隊はついにその姿を見ることは無かったが、離島棲鬼にも他の深海棲艦達と同じく"本体"に当たる部分はある。
島の中央付近に鎮座していた、付近の海域の深海棲艦達を束ねるための司令施設に、"彼女"は倒れ、もがき苦しんでいた。
「…ウゥ……ひぐッ…グゥ…!!」
いや、そもそもそこが本当に"施設だった"のかどうか怪しいくらい徹底的に、かつ一方的に、彼女自慢の離島要塞は破壊されたのだ。
その痛みや苦しさ、そしてどれだけ抵抗しても無駄に終わる空しさは、地球上の生き物の中でもっとも賢いとされる人間でも、想像する事は難しい。
「…ィッ…カ……」
今や瓦礫と炎が支配する離島棲鬼の惨状をそのまま体現している"彼女"は、ズタズタになった衣服が燃え、全身の火傷や怪我の痛みが激しい状態で、聞いている者などいる筈も無いにも関わらず、最後の言葉を紡ぐ。
せめて、この世に『自分』と言う者が存在した確かな事実を、あの世に旅立つ"自分自身"が、他の誰よりも憶えているために。
「……イツカ…シズカナ…シズかナ、じダイで……きッと……」
来世では爆撃の轟音も、燃え盛る炎の雑音にも無縁な生涯を送れれば……。
最後の願いを一言だけ遺し、離島棲鬼は今度こそ
――――――――・・・・・・・・――――――――
果たしてデスピナは覚えているだろうか。
全く他の航空隊の話に挙がる事が無かったため恐らく誰もがその存在を忘れているであろう
戦術爆撃機ミッドナイト24機と護衛戦闘機"ファイター"36機からなる「深海棲艦追撃隊」は、航空参謀率いるアタッカーAとの分岐地点から30分間、ミッドナイトの巡航速度一杯の
――のもさっきまでの話。
南鳥島から北西300kmの地点に到達すると、10km程から80km程の遠方にかけての空域では、先行した
"催している"とは言っても、相手は速度・機動力・火力・射程が遥かに劣る相手に、ミサイルを満載した現用のジェット戦闘機を更に強化したモノが、レーダーロックを掛けながら追いかけたり、彼我の圧倒的な速度差によって追い越してしまい不意に追いかけられたりしているのだ。本人達は格闘戦をしているつもりでも、発射している武装と機体のエンジン性能によって旋回半径が大きいのもあり、一撃離脱戦に見えないことも無かった。
デスピナ航空妖精達にとっては、難易度イージーのフライトシューティングゲームも同様である。
ただ、到着した「深海棲艦追撃隊」達の
航空優勢はそろそろ確保できそうだが、制海権はいまだ敵の手中にあるようだ。
EJ24戦闘機12機で構成されるファイターゼロこと"ゼロ中隊"は、彼らから見て30数km先で撤退行動を続ける艦娘達――翔鶴艦隊に降りかかる砲弾の雨を止ませるべく、空母艦娘の一人「瑞鶴」の航空隊と示しも無く共闘し、深海棲艦の戦艦達が飛ばした観測機や偵察機を撃墜、敵艦隊の"目"を潰す。ついでに敵空母が追加発艦させた艦載機も落としておく。
国籍も所属も不明なジェット戦闘機達は、初めは艦娘達に訝しげに見られたようだ。しかし、深海棲艦の航空機を次々に撃墜しつつ、彼女らが操るレシプロ戦闘機には一切攻撃せず、むしろそれらの後ろについた敵戦闘機を的確に撃墜して援護している様子から、どうやらゼロ中隊たち
その60km程後方で、戦闘機ファイター36機×2大隊からなる"ファイター1・ファイター2"は、艦娘達を左右から叩こうと考えたのか二手に散開した70機の航空機群を、ミサイルで次々と撃墜し大幅に数を減らした。
アタッカー13《こちら
アタッカー25《Cチーム、交戦を開始する!》
ファイター4《お待ちどうさん。本命の到着だ! あんたら無事か?》
ゼロ中隊とファイター1・2所属の全機に通信が入った。
ファイター2-1《おお! やっと来たか! 状況はあまり良くない。ゼロ中隊からの報告では、撤退中の艦娘達は中破ないし大破、艦載機達は殆ど全滅して制空権は喪失! おまけにゼロ中隊の燃料がそろそろマズい!》
ファイター2の隊長機は、味方の現状をいち早く通達する。
ファイター4の長機はマイクスイッチを押し返して答えた。
ファイター4-1《了解。ゼロ中隊はもう引き上げさせていいぜ。ゼロ中隊の仕事は俺達が引き継いで、
ファイター2-1《OKだ。――ゼロ中隊! ファイター4とアタッカーB・Cが到着した! そろそろ帰還せよ!》
ファイターゼロ《待ちかねたぞ。後は任せた!》
前方のEJ24の12機中隊が旋回し、帰路につき始める。
次に回線を開いたのはアタッカーB中隊の長機である"アタッカー13"だ。
後方からは、敵艦隊から放たれた対空砲火と思しき炸裂音が小さく鳴っていた。
アタッカー13《俺達は通常爆弾を持ってきた。弾数はある程度余裕があるから、艦娘近くの機動艦隊を叩く。Cチームは確か
アタッカー25率いるCチームも行動を開始する。護衛のファイター4は半々に分かれ、それぞれの
アタッカー25《よし、全機高度上げろ! 敵戦艦を"グラインドバスター"で狙い打つぞ!》
アタッカーBチームは直進し、Cチームは加速して高度を上げながら旋回し、先ほど通り過ぎた敵戦艦達に再び向き合う。
アタッカー25《グラインドバスターは満載でもたったの4発。こいつで貫けないものはない。各機、外すなよ!》
アタッカー26~36《《イエスサー》》
アタッカー25《一番デカイ戦艦が旗艦だ。俺を含めて4機で集中して攻撃する。随伴の戦艦と重巡には2機、駆逐に1機で攻撃に当たれ。照準が合い次第発射しろ》
長機の命令通りに、新型貫通弾"グラインドバスター"搭載の爆撃機ミッドナイト12機は己のターゲットを確認し、狙いを澄ませる。
すぐに照準合わせが終わる。
アタッカー25《デカブツには2発ずつお見舞いする。グラインドバスター、発射!》
長機と僚機3機は1機につき2発ずつ、まずは真下にいる戦艦棲姫に一閃の光を8つ撃ち放った。流石に全弾を一気に放出してしまうのは勿体無いため、まずは搭載量の半数だけ打ち込み様子を見ることにする。
ヒュンッ!! ヒュヒュンッ! ヒッヒュンッ――!!
――ゴォン! ドゴンッ! ガォーンッ!! ズガォーンッ!! ズガガーーンッ!!
全弾直撃。アタッカーCチームの長機の読みは見事的中した。
本体の頭部への直撃で、戦艦棲姫自身は一瞬で気絶。更にグラインドバスターの弾頭が砲塔を貫通した際の摩擦熱で、砲塔内部の弾薬を誘爆させたのだ。
続いて、随伴艦を狙うミッドナイトもグラインドバスターを投下。
あらゆる物を貫く光の筋が、ミッドナイト達から再び降り注ぐ。
ヒュゥンッ!! ヒュンヒュン!! ヒュヒュヒュゥンッッ――!!
――ドゴン!! ズガンッ! ズガガンッ!! バゴォーンッッ!!
ミッドナイトCチームは、次々に深海棲艦達を攻撃、撃沈していった。
その艦隊が、翔鶴艦隊の皆が懸念した最大の脅威であり、今頃別働隊の戦術爆撃機カロン達に散々なまでに嬲られている離島棲鬼の防衛艦隊だった事など露知らず、無遠慮に(当然だが)撃沈して行った。
やがて、Cチームが離島棲鬼からやってきたすべての敵艦隊を殲滅する頃には、通常爆弾を搭載したミッドナイト隊のBチームが、艦娘達やファイター1・2が交戦している深海棲艦隊への攻撃に入った。
またまた、中途半端な所で次回に続く(殴
例によって、長くなりすぎた結果ですはい……。
次回は、艦娘目線の話から書き始めようと考えております。
次こそは…次こそは裕一君を艦娘達に会わせてあげないと……!られなさそうです大変申し訳ございません……orz
そろそろ1話当たり8,000字程度に収められるように書きたいと思う今日この頃。