銀河転生者伝説~君は生き延びることができるか~   作:高任斎

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不運な転生者の絶望をご覧あれ。


栄光なき転生者の章
1:僕はこの星で生まれた。


 僕の名は、村上流星。

 地球は狙われている!

 

 はいはい、出オチ出オチ。

 いやもう、気づいたときにはどうしようもないってこと、現実にはゴロゴロしてるよね。

 前の人生で嫌ってほど味わった現実に、転生してさらに往復ビンタされてる気分。

 オチから入るけどさ、ここ多分銀英伝の世界。

 そして俺は、地球で生まれた。

 ああ、さっきの一人称の『僕』はネタで、いつもは『俺』を使ってる。

 銀英伝の中で、良くも悪くも存在感を示した地球教の本拠地……は、チベット山脈の地下らしいけど、俺たち家族は場所とかの認識もなく、関係なく生きていた。

 うん、地球に住んでる人間が全員地球教信者とかじゃないから。

 帝国250億、同盟130億、フェザーン20億だったっけ?

 地球の人口は約1000万。

 前世の時点では地球に70億以上の人間が生きていたし、今のフェザーンが1つの星系に20億ってことを考えると、少ねーって思うだろ?

 でも、1つの星単位で考えると、地球の人口はかなり多い方なんだ。

 そもそも、地球の生活環境というか、自然は戦争のせいで汚染されまくってるからね。

 つーか、人類が宇宙に旅立った初期ならともかく、経済圏が拡大するにつれて地球は辺境へと追いやられるのは当然だろ?

 経済の中心は、流通の中心。

 地球がいつまでも中心でいたいと思うこと自体がおかしい。

 そりゃ、いつまでも盟主面してたら、ボコられるよ。

 どこかの魔術師じゃないけど、歴史は繰り返されるってことだね。

 

 

 で、だ。

 前世で原作小説を読んだときに、『地球は一応帝国領土だったはずなんだけど、どういう扱いを受けてたのかなあ』と思った疑問を、嫌というほど思い知ったわけです。

 あ、もしかして貴族の下、農奴としてきっつい生活を送ってきたと想像した?

 残念ながらというか、幸運にもというか、違う。

 帝国が、この汚染されて資源も掘り尽くした地球をどう扱ったかというと。

 

 放置。

 

 一応、かなりの長期間、監視というか管理されていたらしいけどね。

 それで、無力化というか、無害化された。

 いや、地球教とかあるじゃんと言うかもしれないけどさ。

 今、地球には、地球を脱出する宇宙船がほぼない。

 生産設備は当然破壊されて、新しく作る資源がない。

 ほかの星との交易ができない、というかそもそも売るものがない。

 ……気づいたか?

 汚染された星。

 交易も不可能。

 放置なので、資本も、資源も流入してこない。

 ははは、悲惨だぜ、地球の生活は。

 老朽化したプランクトン製造工場でほそぼそと食料を生産し、資源リサイクルで修理を繰り返し……汚染された大気、汚染された大地で、スクラップを発掘、持ち帰り……。

 うん、原作小説で地球教の本部がチベット山脈の地下にあるって読んで、『やっぱり悪の秘密基地は地下じゃないとな』なんて思ってた前世の自分を殴りたい。

 ははは、地下のシェルターというか、そういうスペースじゃないと住めないんだ。

 

 この世界が銀英伝の世界、もしくはそれに近い世界とかには関係なく、ここから一刻も早く脱出しなきゃと思うよね?

 うん、脱出できない。(笑)

 宇宙船に乗って、地球を脱出だ。

 お金はどうする?

 まさか、タダで宇宙船旅行ができるとでも?

 そもそも、脱出もなにも宇宙船が来ないんだけどね。

 コストを考えると、宇宙時代の食糧自給は星単位で賄わないけないんだなってつくづく思い知りました。

 

 ぶっちゃけ、地球に1000万人が住んでいるのは、もう、どこにも行けなくなった人が残ってるだけ。

 脱出できる人は脱出済みなんだよね、きっと。

 そういう意味では、地球教は立派な観光資源であると同時に……地球脱出のための細い糸ってことだ。

 そう、細い細い糸なんだよ。

 地球脱出のために冒険しちゃうよね、普通。

 

 と、いうわけで俺、村上流星、15歳。

 ゲラゲラ笑いながら、迫り来る大艦隊をモニターで眺めています。

 ああ、うん。

 地球教本部襲撃です、ワーレンさん。

 この名前を聞いて、ここが銀英伝の世界って確信したわ。

 確か原作だと、ワーレンさんは地球教信者に襲われて、片腕失ったんだったっけ?

 はは、何この詰みゲー。

 タイミング悪すぎだろ、これ。

 自分が無双できるとか、原作歴史を変えられるなんてうぬぼれてはいないけど、地球以外の星に生まれたかったよ。

 

 ネタで始めたからは、ネタで終わるか。

 

 俺たちにはまだヤマトがあるじゃないか!

 うん、ないない。

 ねえよ、そんなもん。

 何もねえんだよ、ここには。

 

 ……さて、僕の名は、村上流星。

 それではみなさん……さようならぁぁぁっ。

 




生まれた時代と場所が悪かった。
よくあるよくある。
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