銀河転生者伝説~君は生き延びることができるか~   作:高任斎

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少々、タイトルとあらすじ詐欺の内容かもしれません。
先に言っておきますが、作者は元高校球児です。


8:僕は帝国で生まれた。

 前略、前世の父ちゃん母ちゃん、じいちゃん、それとバカ兄貴とクソ妹よ。

 貴族生活が辛いです。

 

 

 物心ついた頃からなんか違和感マッハで、そのせいでなんか周囲から疎まれて、いけ好かない美形の兄貴に殴られて壁に頭をぶつけて気絶……から目覚めたら、前世の記憶にも目覚めました。

 なにこのジェットコースター的展開は?

 甲子園出場を目指すという目標を掲げつつも、ちょっと厳しいなーなんて、現実に片目を閉じながら健全な高校球児をしていた俺の、平均的日本人高校生の生活はどこに消えた。

 とりあえず、美形の兄貴を周囲が止めるまもなくボコボコにぶちのめしてやったけどな。

 まだまだ子供で、前世の俺の記憶に比べたら貧弱な体つきだけど、多少の肉体的ハンデは、喧嘩のやり方によっては全然覆せる。

 そしたら屋敷の地下牢に閉じ込められたよ。

 そう、地下牢。

 うわ、マジ地下牢だぁ、とか興奮してしばらくはしゃぎまくってた俺を、気持ち悪そうに父親の家臣が見つめてたのはお約束。

 まあ、地下牢といってもメシは食えるし、人間身体が資本だからな。

 腹筋背筋腕立て伏せに、柔軟体操なんかでトレーニングだ。

 サーキットトレーニングなんかもしたいけど、もう少し身体ができてこないとケガの原因になっちまう。

 やっぱり汗を流すのは気持ちいいよな。

 え、地下牢とか関係ねえよ。

 高校球児なめんな。

 高校球児はどこでも眠れる。

 真夏の日差しを浴びながら、グラウンドで気絶したように眠れるのが高校球児だ。

 ごく普通に血尿を出し、練習帰りに栄養ドリンクを一気飲みする戦闘民族兼、社畜予備軍が高校球児という生き物だ。

 つーか、この髪の毛邪魔だな、どっかにバリカンねえかな。

 別に丸坊主がスタイリッシュだなんて言うつもりはないが、高校球児って帽子をかぶるし、ヘルメットもかぶるだろ?

 髪が長いと、そもそも不便なんだよ。

 

 そんなこんなで地下牢生活を2年。

 しかし、この身体どうなってんだ?

 めっちゃチートじゃねえのかこれ。

 成長期だったのかもしれねえが、めっちゃパワフルだぜ。

 前世で言うところの中学1年の年齢で、高校3年だった俺の体感を軽く超えてる。

 逆立ちして、片手の指1本立ちとかマジで出来るんだな、感動したぜ。

 勘違いすんなよ、単なる筋力だけじゃなくバランス感覚や、器用さなんかも優れてるってことだからな。

 筋肉だけじゃ、身体は動かねえ。

 え、2年だよ、地下牢で2年間。

 さらっと流すなって?

 いやなんか、『坊ちゃんの気がふれた』とか言い出して、幽閉がどうのこうの言い出してさ……まあ、飯が食えてトレーニングもできれば問題ないだろ。

 これでも俺は、頭脳派高校球児だったからな。

 ちゃんと合間合間に本の差し入れとか頼んで、勉強もしてるんだぜ。

 狭い空間に閉じ込められて、勉強と、体力トレーニング。

 学校生活となにか違いでもあるのか?

 野球部員が脳筋とか、昭和の時代の幻想だよ。

 あー、でも風呂には入りたいな。

 身体は洗わせてくれるんだけど、やっぱ日本人は風呂だぜ。

 

 さらに2年ほど地下牢で過ごしたんだが、美形の兄貴が死んだらしい。

 馬鹿だな、人間身体が資本って言うじゃねえかよ。

 ほんと、バカが……。

 涙を流す俺を見て、周囲の人間がびっくりしたような目で俺を見ていた。

 おい、勘違いすんなよ。

 俺は殴られたから殴り返しただけだ。

 兄貴が俺のことをどう思っていようが、俺と兄貴は兄弟で家族ってやつだろ?

 家族が死んで泣くのがそんなにおかしいかよ?

 くそ、中学の時にばあちゃん死んでめっちゃ泣いたの思い出しちまった。

 

 で、気が付けば死んだ兄貴の代わりに家の後継者。

 いや、地下牢に何年も閉じ込めてた息子を後継者って、手のひらかえしにも程があるだろ。

 まあ、俺も15歳になったし、義務教育は終わったってことにしとこう。

 改めて自己紹介だ、俺は、子爵チルレル家の後継者、イザーク・チルレル。

 正式にはもうちょっと長いんだけどな、爵位とか、呼称とか、前世日本人にはよくわからん。

 よくわかりませんではすみませんって、勉強しないとは言ってないだろ。

 礼儀作法だの教養だの、社交ダンスとか……照れるわ。

 

 時間はかかった(数年)けど、ようやく社交界に出してもなんとかなるとのお墨付きをもらった。

 まあ、ぶっちゃけると……貴族社会って、学校の噂好きおしゃべり女子グループと、陰険性悪連中の性質を足しっぱなしにした感じだな。

 ぶん殴りたくてしょうがねえ。

 あんまり褒められた話じゃないが、俺はただいじめられてる奴が嫌いだけど、誰かをいじめる奴は大嫌いなんだよ。

 特に、数の差を頼む連中には反吐が出る。

 正直、付き合いたくない連中ばかりだが、そういうわけにもいかねえ。

 ここはあれだな、『あいつは変人だから』の路線でいこう。

 多少侮られはするけど、俺の精神衛生の面でも、実利の面でもベストだろうよ。

 

 つーか、野球してえ。

 青空に向かって、ホームランをぶっぱなしてえ。

 地獄のような暑さの中で、汗を流しながら無心で白球を追いかけてえなぁ。

 このチートボディで、全力全開、野球に打ち込んでみてえよなぁ。

 なのにこの世界、野球のやの字もありゃしねえ。

 

 ……作ればいいんじゃね?

 

 いや、俺って、貴族社会では変人枠だろ。

 実害さえなきゃ何かやらかしても、『ああ、あの……』で許される感じだからな。

 そういや、ヴェストパーレ男爵夫人と仲良くなった、同じ変人枠で。

 別に色っぽい話じゃねえけど、いろんな主義主張をそのまま受け入れる、懐の深い女性って感じなんだがなあ、なんで変人枠扱いなんだか。

 あと、キュンメル男爵とかな。

 鍛えりゃ誰でも強くなれるってわけじゃねえが、キュンメルの場合は難病のせいでほぼ寝たきり生活……まあ、本人のせいじゃないことまでとやかく言わねえよ。

 ただコイツはその分頭が良くてな、学者青年風っていうかいろんなことを知ってる。

 俺みたいな変わり者の話を楽しそうにきいてやがるんだ、いいやつだぜ。

 それはさておき、貴族って、たしなみとか、趣味とか、アホみたいなことにびっくりするような金をかけてる……いやまあ、ある意味社会的に必要な支出だってのは理解してるけど。

 ここで俺が、趣味枠で何かを始めても……問題ないよな?

 帝国には約4000の貴族家があって、その貴族がそれぞれ1チームを……貧乏貴族は連合して1チームとか。

 いや、チーム数多すぎるか。

 将来は、2部、3部リーグを成立するにしても、最初は興味を持ってくれた貴族だけが集まって競わせたら、面白いんじゃねえかな。

 そしてゆくゆくは、宇宙をかける、スペースリーグの設立。

 同盟の覇者と、帝国の覇者が、宇宙ナンバーワンをかけてイゼルローン要塞で激突、雌雄を決する。

 なにこれ、夢が広がりすぎだろ。

 メジャーなんか、目じゃねえぜ。

 

 

 くそっ。

 お前ら、戦争なんかやってる場合か?

 野球しろ野球。

 今が野球を認知させるために大事な時なんだよおぉぉ。

 いっそ野球による代理戦争で白黒つけろや……わかってる、俺は野球馬鹿だがそこまで馬鹿じゃねえ。

 仕方ないので、俺は金髪の小僧と言われてる若僧のもとに足を運んで、頭を下げることにした。

 

 死んだ兄貴も美形だったが、コイツはそれ以上だな。

 まあ、ちょっと覇気が強すぎる分、女性からの好みは分かれるだろうが……それとは別に、やっぱり、いい面構えしてやがるぜ。

 ケンカに勝つというか、ケンカに勝てる奴は、まず目つきからして違う。

 ミンチメーカーとか呼ばれてるオフレッサーとも、一度ガチで殴り合ったことがあったが、あいつは確かに強いが、目がな、うまく言えねえけど、どこか死んでる感じがしたぜ。

 まあ、ガチでやりあってたら周囲が洒落にならない状態になっててな、十数人に飛びかかられて止められちまった。

 それで、あらためて2度目は西部劇の酒場の用心棒よろしく、交互に殴り合うスタイルでやりあった。

 大抵の相手はパンチ1発で沈めてきた俺が2発殴ってもあいつはちょっとふらついただけで、こっちは2発目で足に来て負けちまったよ、言わせんな。

 負けるってのは、悔しいもんだぜ。

 

「卿が私に味方してくれる理由は?」

 

 あ、勝つ方に味方するのは当然だろ?

 と、言いたいところだが……アンタの戦い方は見てて気持ちがいい。

 腹の中が腐ったような戦い方をする連中とはお大違いだ。

 まあ、忠告するなら……連中の薄汚さと、プライドを甘く見ると足元をすくわれるかもしれんがな。

 貴族制度をぶっ壊したいなら構わんぞ。

 ただ、贅沢じゃない程度の生活を一族の者に保証……財産の一部を保証ってとこか。

 農奴の開放も受け入れるが、受け皿が確保されてない状態では拒否する。

 俺がそう言うと、周囲の人間が驚いたような表情を浮かべていた。

 俺はにやりと笑い。

 あと、野球の普及に協力してくれ、と付け足す。

 

「チルレル子爵は変人で、や、野球?馬鹿と聞いてはいたが……」

 

 最高の褒め言葉だ、と、俺は差し出された握り返した。

 

 ああ、野球に興味を持ってくれた貴族仲間の分もちゃんと仲介したぞ。

 

 

 帝国が変わる。

 社会が変わる。

 時間はかかるが、なんとかなると思っていたんだがなあ。

 野球の普及は、遅々として進まなかった。

 子供たちへの野球教室。

 俺がこれと見込んだ選手たちの、模範試合観戦。

 そして夢の『代打オレ』。

 どこか空回りしていた。

 何の気なしに教えたサッカーが、爆発的に広がっていくのを見て心が折れそうになった。

 まあ、なんだ。

 社会は変わっていくけど、それを認めない、認めたくない連中はいるってことで。

 どうして俺を狙うかなあ。

 こりゃ、やべえだろ俺、いくらチートボディでもよお。

 

「お前のせいで、金髪の小僧を殺せなかった…」

 

 うわあ、そうきたか……つーか、お前の言う金髪の小僧は病気で死んだだろ。

 まだ若いってのによぉ、美人の嫁さんと生まれたばかりの子供残して……。

 ……って、あれか?

 つーか、たまたま、本当にたまたま、野球の魅力を布教しようとした俺が、襲撃現場に居合わせて、たまたまもっていたバットで5人ほどホームランならぬ葬らんしちゃっただけじゃねえか。

 野球馬鹿として、野球道具を武器に使ったことで、俺だって心が痛かったんだ。

 職人に頼んで作らせた俺専用バットが、赤バットになっちまったしよ。

 そもそもあの場所にいた俺だって殺されそうになったんだけど、正当防衛にも程があるだろ。

 あ、キュンメル?

 キュンメルはなんも関係ないだろう?

 あいつは俺のダチで……結局、死んじまったけどな。

 あいつもまだ、若いのによぉ……いよいよやばいってんで駆けつけたら、あいつ、俺を見て、にこって笑いやがった。

 それを見たら何も言えなくなっちまったよ……いいやつばかり、死にやがるぜ、まったく。

 あ?使用人の1人が怪しいことしてたから、捕まえたのがなんか文句あるのか?

 は、それだけじゃないだと?

 この期に及んでごちゃごちゃうるせえよ。

 それとも、俺が弱るのを待つための時間稼ぎか?

 つーか、オフレッサーには負けたけど、チートボディを舐めんなよ。

 手を伸ばし、襲撃者の首を掴む。

 そいつを縊り殺して、手を伸ばして片手で1人ずつ2人の首を掴む。

 おい、今頃怯えるなよ……殺しに来たってことは、殺される覚悟は出来てんだろ。

 力を入れる……あと、何人だ。

 やべえ、めまいがしてきやがった。

 俺の体を、衝撃が再び突き抜ける。

 

 あれ、何してるんだっけ。

 ああ、そうだ、俺は野球をするんだ……ほら手に握ったボールを……ボール?まあいい、握って、変な感触だ……そして…投げる。

 

 やっぱ、野球はいいよなぁ…。

 いつかきっと、みんなが……わかってくれると、いいな。

 

 




個人的には、主人公とオフレッサーのタッグコンビは悪夢だと思う。
あと、この主人公は無自覚に歴史を歪めてます……ただし、原作知識なし。
多分、英雄ルートもあったんじゃ……脳筋だから無理か。

あと、原作設定に野球が存在してたらすみません。(あると推定されるそうです)
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