なんというか、激動の子供時代だった。
それなりに成長しただけでなく、前世の記憶を取り戻してたから、色々と整理してまとめられるんだけど。
こんな感じ。
お父さんが、戦争で死亡。
残されたのは、弟がおなかの中にいたお母さんと、私。
生活していけなくて、いろいろあって奴隷に。
ああ、うん。
前世日本人の感覚からすると、ものすっごい悲劇なんだけどね。
これがね、それほど悪くないのよ。
私が生まれ変わったこの世界、どうも男尊女卑社会でね。
娘の私と生まれたばかりの弟抱えた母親が、生きていける感じじゃないみたいで。
まあ、なんだかんだあって奴隷になっちゃったんだけど。
まず、奴隷だから自動的に仕事が与えられます。
いい食事とは言えないけど、ご飯がちゃんと食べられます。
ここ重要。
ご飯がちゃんと食べられます。
いやっほぅ!
いやあ、奴隷になる前のね、あの状態を思い出すと……泣けるわ。
お母さんがね、何も食べてないのに、にこって笑って私に食べさせようとするのよ。
お腹すいてないからとか言って。
前世日本人の私、号泣よ。
胸を張って言えるわ。
奴隷ですが、それが何か?
まあ、運が良かったんでしょうね。
お母さんが言うには、ここのお貴族様は特別だって言ってた。
良くわからないけど、そうなんだろう。
ついでに言うと、この国はずっと反乱軍ってのと、戦争してるらしい。
反乱軍?
ずっと?
え、お母さんが生まれる前から?
それ、ホントに反乱軍なの?
まあ、いいけど。
さてと、今日も頑張ります。
朝から晩まで、えーんやこーら。
ちゃんと昼食はあるから。
子供の頃に農作業はやってたから平気。
それに、ブラック企業のブラック勤務に比べたら平気。
ふはは、下には下があるのよ。
お貴族様にとったら奴隷は財産だから、大事にするってことよね。
え、ここのお貴族様が特別だからだって?
はい、はい、ラッキー!
あ、そういえば最近男たちの……まあ奴隷だけど、熱い視線を感じるわ。
お母さんが、戦争で若い男の人が死んでいくから、平民は結婚するのが大変だったって言ってたなあ。
ん?
それって、女が余ってるってことよね?
え、もしかして……。
今の私、勝ち組?
はて、奴隷の男女構成比ってどうなってんのかしら?
私や母のケースを考えると、女性の方が多くなるのよね?
……今思ったけど、女性の奴隷って、ろくでもない仕事を割り当てられたりする場合もあるのよね?
謎は解けた。
女性の奴隷、超安い。
なんかイメージと逆。
でも、力仕事とか男のイメージだから、労力と考えたら妥当なのかも。
つまり、ここのお貴族様、とにかく人手が欲しい状態で、子供とか、女性の奴隷もほいほい買い込んだみたい。
人海戦術か。
そして、この扱い。
聞けば、お貴族様のお嬢さんが陣頭指揮をとって土にまみれているみたい。
そして、奴隷のみんなと同じ食事をとってるとか。
『みんなで一緒に美味しいものを食べましょう』ってね。
話半分にしても、できることじゃないわ。
と、いうか。
ここのお貴族様、お人好し……じゃなくて超いい人なんじゃ。
弟も含めて、家族一緒にいられるし。
よし、頑張ろう。
受けた恩は必ず返す。
前世日本人ですから。
うん、美味しいものも食べたいしね。
しかし、ここの仕事やりがいあるわ。
なんかね、昨日より今日、今日よりも明日って感じに、前へ前へ進んでる実感があるのね。
もちろん、どこかで頭打ちになるとは思うんだけど。
とはいえ、私に分かるぐらいだから、みんなモチベーション高いの。
この感じ、高校の学祭の準備とか思い出すなあ。
程よい一体感というか、みんなでなんでもできるみたいな、高揚感というか。
あの時は、ずっとこのままだったらいいのになって思ったものよ。
困惑した。
そして、呆然とした。
爆発した。
みんなが、爆発した。
持ち主が変わった。
すべてが変わった。
あろうことか、以前の持ち主を馬鹿にされた。
みんなの心は1つだ。
殺される。
それがなんだ。
殺される。
それがどうした。
殺しても許さん。
みんなが死んでいく。
みんなが殺していく。
私が殺し、私が死んでいく。
私たちは爆発し続ける。
最後の1人まで。
この娘、たくましい。