ーーチノsideーー
「あ、パン屋さんだ!」
学校から下校している時にそうココアさんが言った。
「確かに、いい匂いですね。」
ヒロがそう答える。
「だね♪久しぶりにパン作りたくなったなー!」
「ココアさんパン作るんですか?」
私は気になりそう尋ねた。
「うん!実は私の実家がパン屋さんで、私もよくパンを作ってたんだー!」
「そうだったんですね。」
「ああそうだ!今度の日曜日みんなでパン作ろうよ!」
「パン作りですか?」
私たちは喫茶店に戻ってもパンの話題で盛り上がっていた。
「パン作りかー。今後のメニューの参考にする為に作ってみようよお姉ちゃん!」
いつもよりテンションの高いヒロがそう言った。そういえばこの子はパンが好きでしたね…。
なるほど、確かにパンをメニューに追加するのはいい考えだと思うのだが…
「それはいい考えだと思うけど…お父さんはなんて言うでしょうか。」
「チノ、問題ないよ。日曜日は閉めておくしみんなと楽しみなさい。」
と父は私に答える。どうやらOKみたいですね。
「ありがとうございますお父さん。」
「ああ、じゃあ俺はこれで。」
お父さんは部屋に戻っていきました。わざわざ返事するために部屋を出てくれたのでしょうか。そんなことを考えていると、
「「やったー!」」
ヒロとココアさんの喜ぶ声が聞こえた。
「やったねヒロくん!タカヒロさんから許可もらえたよ!」
「ですね。」
ふたりは仲良くハイタッチしている。……いつの間にそんなに仲良くなったのでしょうか。
「ヒロ。」
「?」
「ちょっとおいで。」
そう言って私が手招きするとヒロはトコトコこっちに歩いてきた。
ギュッ
「!?」
何故、ココアさんとそんなに仲が良いのか問い詰めようとしたがヒロが可愛いかったのでつい、抱きしめてしまいました。でも、離す気はそんなにありません
「お、お姉ちゃん、いきなりどうしたの…?」
「別に?ただこうしたかっただけ。ダメだった?」
「いや、別に…。」
ふふっ、やっぱり弟はかわいいです。弟が嫌いな姉とかいるのでしょうか。私はヒロを嫌うなんてことありませんが。
私がヒロの温もりを堪能しているとココアさんが羨ましそうにこちらを見ていることに気がついた。
「…何ですかココアさん。前にも言いましたがヒロに抱きついたらダメですよ。」
「うぅ…分かってるよぉ…。」
頬を膨らましながらココアさんはそう答える。
ガチャ
「!?」
お客さんかと思い、恥ずかしくなって私はヒロを離した。
「ようみんな! 」
「こんにちはリゼちゃん!」
「こんにちはリゼさん。」
「こ、こんにちはリゼさん。」
リゼさんだった。もうすぐ開店なのに何恥ずかしいことしてたんでしょうか。私が顔を真っ赤にしていると、ココアさんが目をキラリと光らせ、
「チノちゃんモフモフ〜♪」
「ふぇ!?」
思わず変な声を出してしまった。
「こ、ココアさん!離してください!」
「ヒロくんは抱きしめてないから良いでしょー♪それに妹成分を補給しないと生きていけないよー。」
「そ、それとこれとは話が違います!」
妹成分補給しないと生きていけないのはわかる気がする。私もヒロの弟成分を蓄えないと生きていけない……いや、何でもないです。
「よし、みんな揃ったね!」
今日は日曜日。今日はココアさんの言っていた通り、みんなでパンを作る日だ。
厨房でパン作りをするらしい。
「みんなに紹介するね!こっちが最近友達になった千夜ちゃんだよ!」
「今日はよろしくね。」
「チノです。よろしくお願いします。」
「リゼだ。よろしくな。」
「よろしくお願いします。ヒロです。」
私達はそれぞれ自己紹介をした。
「あら、そのワンちゃんは…」
千夜さんは私の頭の上に乗っているティッピーをワンちゃんと呼びました。…うさぎです。
「ワンちゃんじゃないです、ティッピーです。」
「モフモフしてるわねー。」
「分かる!私もモフモフしたい!」
いきなりココアさんと千夜さんがティッピーをモフモフし出す。
…パン作りはどうしたのだろうか。
「お前ら、パン作りはどうした。」
リゼさんがそう言う。
「あら、そうだったわね。」
「そうだったそうだった!」
助かりましたリゼさん。2人は元の場所に戻りました。すると、ココアさんが
「みんな!パン作りを甘く見ちゃいけないよ!!ちょっとしたミスが命取りになるんだよ!!」
命取りって、大袈裟ではないのでは…。いつも以上に燃えているココアさんを見てリゼさんが、
「おお!ココアがいつも以上に燃えている!!今日はお前に教官を任せた!!」
「サー、イェッサー!!」
「わ、私も仲間にー!」
「あ、暑苦しいです。」
「…。」
本当に暑苦しいです。
「さぁみんな!持ってきた材料を提供!!私は焼きそばパンならぬうどんパンにするよ!」
「私は栗羊羹と魚を持ってきたわ。」
「私も魚です。あと冷蔵庫に納豆なども入っていたので持ってきました。」
「僕は練乳を持ってきました。」
「私はイチゴジャムだが…これってパン作りだよな…?」
「よし!パンをこねるよー!」
次はパンを作る過程らしい。リゼさんと千夜さんとココアさんが、がやがやとパンについて語り合っている。…こ、攻歩菌!?そんなものパンにいれるのですか!?
「そ、そんな危ないものヒロに食べさせるなら、パサパサで我慢します!!」
私は思わず叫んでいた。語り合っていっていた3人は酵母菌の何が危険なんだろうと頭の上に?を浮かべていた。
「よし、これからパンを焼くよ!」
「チノ、それは誰の顔なんだ?」
「これはおじいちゃんです。昔良くお世話になったので。」
私のパンの形についてリゼさんが聞いてきたのでそう答える。
「では、これからおじいちゃんを焼きます。」
「さらっと、えげつないことを言ったな。」
そしてみんなのパンを業務用の大きいオーブンに入れ焼き始めた。焼いている時間が経つにつれ、パンが大きくなっていく様子が面白かったので、ヒロと一緒にずっと覗いている。
「みんなのパンが大きくなっていってます。…リゼさんのパンだけ遅れています。もっと頑張ってください。」
「それ、私のせいなのか…?」
ーー数十分後ーー
チンッ
パンが焼けた音が音がなり、いつの間にか私達は寝ていました。
「ジャジャーン!パンが焼けたー!」
とココアさんがみんなの焼けたパンを持ってくる。
「焼けたてなので早く食べましょう。」
「そうだね!それじゃあみんな!」
「「「「「いただきまーす」」」」」
「うん、美味しい!」
「ほんとっ、作った甲斐があったわね。」
「ですね。」
みんなと感想を言い合っていると、
ココアさんがなにやら別のパンを持ってきた。
「ココアちゃん、それは?」
千夜さんがそう尋ねる。
「ふっふっふっ…ジャーン!!ティッピーパン!」
「「「「おおー」」」」
ココアさんはデザインがティッピーのパンを私たちに見せました。触り心地がとてもモフモフしています。
「あら、美味しい。」
「モチモチしてますね。」
確かに美味しい。……のだが、
「美味しいが…ちょっとえぐいな。」
リゼさんの言う通り、ティッピーから出てきたイチゴジャムが若干えぐさを表していた。