衛宮士郎に憧れた男   作:黒幕系神父

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起源・魔術属性 「剣(偽)」


10話「偽者の剣」

ふと、気づく。

音がない。遠坂が魔術を使ったのだろうか。神秘とは秘匿するもの。サーヴァントを出した時点で、魔術師たる遠坂がその対策をしていないはずがない。

平日であるというのに、この学校には確かに誰一人としていないだろう。

 

それが分かれば十分だ。

 

この至近距離。令呪でセイバーを召喚しようとすると、斬られる。

なら

 

俺は懐にあった拳銃を撃つのではなく、彼女に投げつけた。恐らく全身を魔術で強化しているだろうから、よく見えるだろう?俺が投げたものは

銃とは撃つもの。その常識から外れた非常識は誰であろうと戸惑う。銃を嫌う魔術師なら尚更だ。俺が切嗣から教えてもらった不意打ち。

 

「なっ!?」

そんな彼女の驚愕の声が聞こえ、

 

一瞬の隙をつき

 

俺は、学校の屋上から飛び降りた。

 

 

物の落ちる速さは一定だ。アサシン・佐々木小次郎が全英霊の中で最速の英雄であってもそれは変わらない。

だからこそ、俺が地面につくまでの間、先に飛び降りた俺を佐々木小次郎が捕らえることは決してない。

 

その隙は決して逃がさない。

 

「来い!セイバァアアアアアアアアアア!!!」

 

そうして令呪は正しく起動して、

 

「マスター!」

 

俺は地面に落ちることなく、セイバーに空中で支えられた。

 

これで俺の勝ちだ…!遠坂!

 

 

 

 

 

「――――と、思ったか?それは流石になめすぎよな」

そんな声がふと後ろから聞こえ―――

 

キィン!と、金属同士が響きあう、轟音が鳴り響く。

 

セイバーは確かに、俺を守ってくれた。

 

 

 

 

「このような力強い剣、初めて見るぞ。まったく、聖杯戦争とは本当に血沸き、肉踊る戦いよ」

「舐めるな!」

セイバーは俺から離れ、アサシンと剣戟を続けている。

セイバーとアサシンの剣戟、それは常人では決して理解できない最高峰の戦い。

ただ、何故か。この体は衛宮士郎なのに。

俺はセイバーの剣よりも、アサシン・佐々木小次郎の剣に惹かれていた。

 

 

美しい。彼の剣技は、それに尽きる。

 

英霊・佐々木小次郎、その正体はただの農民。佐々木小次郎に近かった存在。それだけの理由で英霊として聖杯に招かれた、真実は英霊ですらない亡霊。偽者。

だから、遠坂が召喚できるはずがない、だが現実として彼は遠坂のサーヴァントになっている。

 

彼は英雄ではない。だが、その剣の技術はあらゆる英霊を凌駕している。

燕返し。全く同時に3度刀を放つ。ただそれだけの技術。

それこそが彼の真骨頂。あらゆる英霊でも再現不可能な、彼が生涯を使って生み出したただの人間の意地の結晶。

 

「はて、これでは平行線だな?」

「何を言うかと思えば…!」

 

佐々木小次郎の技術は確実にアルトリアを超えている。それは俺の目でもわかる。

それでも、彼女は確かに佐々木小次郎と斬りあいが出来ていた。

 

直感。彼女が持つ武器の一つ。彼女の直感はもはや未来視と同等とも言われる、彼女の強さの原点ともいえるもの。

 

だが、それすらも佐々木小次郎の持つ燕返しにはかなわない。

もし使われたらそれで終わり。それこそが燕返し。

どんなに未来が読めたとしても、3つの剣を同時に防ぐことなんて出来ないのだから。それは正しい。

 

 

「だからこそ、ここで一度見舞うとしよう」

 

そうして、彼は確かに構えた。

あれは俺が知る、燕返しの構え。

 

「では、参る。燕――――」

そうして、彼の全力の刀がセイバーに決まり――――

 

 

 

ピシュゥウウウウンという爆音と共に光が炸裂した。

「グッ!?」

「ガッ!?」

 

決まった!

俺が用意した対英霊用の武器、閃光弾。

これは最新鋭の武器だ。決して英霊が知る武器ではない。だからこそ有効である。

閃光弾は物理的な攻撃方法ではない。神秘的な力はないものの、英霊であっても、人は目で周りを見ている。だからこそ唯一効く現代の武器。

 

それでも相手は英霊。一度知られたら最後、決して通用しない。

 

 

だからこそ、今使う。それも、英霊ではないアサシン・佐々木小次郎に。

 

奴は英雄ではない。剣の技量こそ英雄よりもワンランク上だがそれ以外は凡庸。だからこそ

 

 

だからこそ、今ここで奴の首を刈り取る。

 

 

「同調・開始(トレース・オン)!」

 

今から投影するのは宝具ではない。ただの長い刀だ。

 

強度はいらない。ただ一撃だけ放てる硬さだけでいい。

構成材質は鉄でいい、無駄なものはいらない。

基本骨子も単純でいい。創造理念なんてない。

切れ味はいらない。たとえ神秘がなくても、この一撃は英霊でも確実に届く。

ただ、長く、そして細く。

 

 

今から作るは宝具ではない。ただの人間の意地だ。

彼に届く技量ではない。でも、それでもその技術を憑依経験させる。

解析しろ。解析しろ。解析しろ。俺が持つのは投影魔術と、それを十全に使えるようにする解析魔術。原作より遥かに劣化した強化魔術しかない。

 

頭が痛い。頭が痛い。頭が痛い。やはり俺は贋作者として本来の衛宮士郎に劣る。一度カリバーンを投影できたのはただの偶然。だが、関係ない。その剣は見た。それならば俺ならば可能のはずだ。

 

その技術を追憶し、その経験を体験し、彼の強さを憑依させる。

 

それは佐々木小次郎の偽者が放つ刀。だからか、俺には酷く相性がいい気がした。

 

確実に、かの首を切る―――!

 

 

 

「偽・燕―――

 

 

 

その長刀は、確かに彼を捉えて

 

 

 

―――返し!」

 

そうして放った一撃は確かに、全く同時に2つの剣を発生させ

 

 

 

―――アサシン・佐々木小次郎の体をズタズタにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、英雄を召喚できなかった。

ただ、もう7基召喚されていた。それだけの理由で私の召喚は誰も応じなかった。

 

ただただ悔しかった。遠坂家の悲願を、こんなことで捨てることが。父に、申し訳なかった。

 

令呪はあるのに召喚できないなんてとんだうっかり。本当に…嫌になる。

 

そんな、どうしようもないと諦めていた時、私は消えかかっている彼。アサシン・佐々木小次郎を発見した。

 

何でもマスターが殺されたと、そんなことを言っていた彼はそんな顔を見せてないのに酷く無念そうで。

 

傷をなめあうように、私たちは契約を交わした。

 

だからか、わからないけど。

 

アイツがやられそうになるのを見て、黙ってられるわけがない。

 

私たちは、決して負けはしない―――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「令呪を持って命ずる!元に戻れ!アサシン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そんな声が聞こえ、

 

 

「なっ!?」

まるで、逆再生するかのようにアサシンは元に戻り、

セイバーは、俺を守るように前に立ち

 

「本当、無粋よな。だが、それでも私たちの勝利だ。」

 

確かに首を切り落とした彼は、俺たちに無傷の姿を見せつけ、

 

 

その剣は彼女の剣をすり抜けるように動き、

 

 

ヒュゥ、と鋭い風の音と共に

 

 

「―――燕返し」

 

 

 

彼女を、その鎧ごと切り裂いた。




令呪無双の時間。
設定的にこれくらいチートでもいいと思うんだ。


偽・燕返し:全く同時に2つの剣を生み出す技術。本家のものと違い、2つなので燕には逃げられる。

アサシン:マスターであるキャスターがライダーの攻撃で消滅したので、どうせ消えるならと街を歩いていたところ凛と出会う。寄り代(擬似マスター)である山門はライダーの宝具で無事吹っ飛んだ。

閃光弾:独自設定。英霊には現代の武器は効かない設定があるが、単純な光の攻撃は流石に効くと思ったので。


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