英霊、サーヴァントはマスターの魔力のみで現世に留まり、思考、行動しているのか?
―――答えは否である。
サーヴァントも元は人間。英雄といえど、魔術回路がなくば神秘を操ることは不可能。
否、魔術回路を持つことこそ英雄になるための第一条件ともいえるのかもしれない。
そんな彼らは英霊になっても自前の魔術回路を所持している。
ならば、マスターの魔力が不必要かといえばそうではない。
あくまで彼らは従者、マスターの魔力は必須である。
なら何故マスターが必要か。数多ある魔術回路のうち、ただ一つ。マスターの魔力がないと動かない回路が存在する。
それこそが他の全ての魔術回路を動かすための鍵。
よく言えばマスターは彼ら英霊を動かすための魔力を提供しているといえるし、
悪く言えばマスターの魔力はただの電源ボタンでしかない。
では彼女の場合どうだろうか。アーサー王。アルトリア・ペンドラゴン。
彼女も他の英霊とその原理は同じである。
だが、彼女は所持者に無限の魔力を与えるドラゴンの心臓を持つ。
その力を持ってすれば、彼女は1のマスターの魔力で100の自身の魔力を生み出すことができる。
ならば、彼女のマスターがもし彼女の魔力を使うことが出来たなら―――
――――まともに戦えば、だが。
最高の俊敏性。その速さ、ランクにしてA+。それを持つアサシン・佐々木小次郎が戦いのため動けばヒュンヒュンと、ハエ虫のように飛び回るだろう。
それはつまらない。戦いが長引くだけだ。
だから
――――まずはそのうざったい速さを消すとしよう。
俺の投影の能力は以前の非ではない。だからか、それをしても頭が痛くなることはない。
「止まってろ」
そうして、瞬時に投影した剣、ランクにしてBクラスの剣を、3つ。
アサシンの上空に発生させ突き刺した。
突然の攻撃。ノーモーションから繰り広げられたその音速の剣は、なるほど確かに英雄である。1つめは避け、2つ目も回避した。
「グッ!?」
だが、3つ。同時に突き刺した3つ目の剣は燕返しと同じ原理で、彼を確かに捉えた。
3投目の剣、その剣は確かにアサシンの足をズタズタにし、地に縛り付けている。
――――84回。
俺が憑依、転生した数。年月にして3392年。魔術のない世界でも、根本的な法則の違う世界でも、そのほとんどで俺は正義の味方を張り続けた。
アサシンは死ぬまで修行をしたという。そして英雄ですら持ち得ない最高峰の技術、燕返しを編み出した。
だけどたかだか60年。修行して得ただけの技術。それがどんなに英雄として素晴らしいものでも、そんなものに俺が負けるはずがない。
ハッキリ言おう。戦ってきた年月が違う。
そうだ、今までの道程は決して無意味じゃなかった。今の俺を確かに構成していて、その技術は全て俺の物となっている。
俺が負けるはずがない。
――――同調・開始(トレース・オン)
基本骨子、解明。
構成材質、解明。
昔、見た。俺がかつて衛宮士郎だった、本来の体にいた時。
あの時みたランサー、クーフーリンの槍。
剣ではない。けれど、そんなものは関係ない。
俺の起源は剣、それ以外ならば2~3倍の魔力が必要となる。
槍の投影。それをするには魔力が足りない?
だったら彼女。アルトリア・ペンドラゴンの魔力を使えばいい。
英雄の魔力を体に受け止めるなんて、本来なら出来ない。それはどんなに天才と呼ばれた魔術師であってもだ。
しかし、アヴァロンを2度この身に授かり、さらに言うなら何度も他者の精神を乗っ取った俺だ。他人の魔力を自分の魔力に変換できないわけがない。
彼女が英雄であったとしても、それは苦もなく可能である。
――――出来た。ここまでは計画通り。ならば、それより先に進めようか。
俺が投影するは本物。ランクBまでの宝具なら完全に投影してみせよう。
以前のような所詮ワンランク落ちる投影ではない。そのような半端物じゃない。
製作の理念を思い出し。
その、技術を模倣する。
あの時、何度も、何度もした作業。
その投影は、もはや本来の投影の非ではない。
”リミテッド/ゼロオーバー”
俺が数多の経験によって得た力。その力は投影を、さらなる真に昇華させる力。
そうして、生み出されるは呪いの槍。刺したら最後、対象者の心臓を確実に抉り取る。
ジャイアント・キリングすら容易に可能とするランクBの宝具。
「――――刺し穿つ(ゲイ・)」
その槍はまるで所有者を認めたように
「――――死棘の槍(ボルク)!」
その因果の呪いを持って、確実に佐々木小次郎の心臓を削り飛ばした。
「負けた…か。」
そんなアサシンは何処か他人事のようで。
「ふむ。まるで弱き鼠であろうその姿。その実、獅子の類であったか」
そう、心臓を貫かれたアサシン・佐々木小次郎は確かに満足するような、そんな雰囲気を出しており。
「まって!令呪をもって命ずる。アサ――――」
「やめよ。いい加減そのようなもの無粋きわまる。二度目はない。それに、だ。意味がない」
「何を言って―――!?」
そうだ、意味がない。だって
「ソイツの言うとおり、もはや意味なんてない。霊核を破壊されたサーヴァントは令呪であっても回復できない。そんなこと、御三家の一人であるお前なら知っているはずだ。」
それに、俺が使った槍。ゲイ・ボルクは回復阻害の能力を持つ。仮に霊核が半壊であっても復活はできないだろう。
そんな、俺の言葉を聞いて遠坂はひどくうな垂れた、絶望したような顔で。
「そんな顔をする出ない…。短い間だったが、楽しかったぞ。何、笑顔であれよ。そのほうがそなたらしい」
そういって、アサシンは最後に彼女を励まし、消えていった。
サーヴァントは消えた。だが、マスターは残っている。彼女の戦意次第では俺は連戦しなければならない。
――――それは杞憂に終わった。
遠坂はまるで、悔いがないかのような、そんな顔で。
「負けたら絶対に、絶対に許さないから!アイツの分まで絶対勝ちなさい!」
そういって顔を背け、俺の前から立ち去った。
そんな彼女は、俺にそれを見せなかったけど。
――――確かに、泣いていた。
セイバーは気絶している。だから正確には違うけれど独り。俺は学校のグラウンドにいた。
気づけば夜。さっきの遠坂との激闘はいったい何時間たってたのやら。
俺は先ほどの戦い、記憶を急に戻したこと、それらのせいで疲れきっていた。
だからか、肝心な聖杯戦争のルールを忘れていた。
――――ふいに
バゴン――――!
その爆音とともに。目の前で、確かにグラウンドに穴が出来た。
何かが高速で空から落ちてきた。それを中心に砂の煙が舞う。
モクモクと、そんな砂の煙が時間と共に消えていく。その中には
「へぇ?何かがあると思って戦いを見てれば――――面白い小僧がいるじゃねえか」
そんな飄々とした声、赤い瞳。全身を纏う青タイツ。見知った顔。
ソイツは確かに、衛宮士郎と因果のある英雄。
確かに、俺は彼を覚えている。デジタルの中ですら、その存在は圧倒的。だがやはり、本物は格が違う。
先ほど投影したものとは違う。
本物の呪いの槍を携えた大英雄。ケルト神話最強の槍兵。
クーフーリンがそこにいた。
――――そうだ。今は夜。聖杯戦争は夜に行うもの。だから、彼がそこにいるのも別に偶然でもなんでもない。
だが、彼の大英雄。それが相手でも。
ソイツの姿を見ても、俺が引くことはない。
負ける気がしない――――!
魅せてやろう大英雄よ。今から魅せるは最新の英雄の力。
ただの凡人が、圧倒的な年月を経てたどり着いた極地。
だから頼む。
決して、決して逃げてくれるなよ――――!
オリ主無双回。
とはいえ最初のほうに言いましたが俺TUEE物ではありません。そもそもオリ主の正体が分かっても問題は何も解決していませんし。一切悩まずスパスパ解決にはなりません。
苦悩する衛宮士郎が好き(愉悦)
投影:神造兵器は投影不可。ランクB以下の全ての宝具を完全なる姿で投影可能。ランクA以上だとワンランク落ちる。なお、この士郎はロー・アイアスを見ていないので投影できない。
サーヴァントの魔術回路:漫画版の設定。原作であったか覚えてません。ごめんなさい。
遠坂&アサシン脱落
現在残っている勢力
シロウ&アーサー王(セイバー)
慎二&メデューサ(ライダー)
イリヤ&ヘラクレス(バーサーカー)
?&クーフーリン(ランサー)